【募集中】八幡の古本屋『山本書店』さんへのメッセージを募集します!(2024年3月閉店予定)

活動紹介

古書店は新刊書店以上に店主の個性、こだわり、生き様がはっきりと現れる小宇宙であります。
(略)
とにかく店内は見ごたえあり。古書店のだいご味は、絶版、廃版の希少な本たちに出会えること。店主の目利きを楽しみながら古書の森に分け入ってみませんか。

出所:Yahoo!ニュース「【市川市】市川市民の知は巡る!知に出会う!町の古書店は素敵だ!~八幡 山本書店~」(2022年5月26日、著者:4番ピッチャー|地域情報プロデューサー/編集者(市川市))https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8939c141f842e975ef1554dad869eb1919e8f5d0、2023年10月7日閲覧

いきなり「4番ピッチャー」さんの文章の引用から始まりました(記事全体が、お店の写真も豊富で本当に素晴らしいので、是非読んでみてください)。

表題を見ていただければおわかりでしょう、誠に、誠に残念ながら、八幡の地で長年古本屋さんとして営業を続けてきた――京成八幡駅にほど近く、JR本八幡駅からバス通りの左歩道を北に向かって歩くと、京成線の踏切の手前にある――『山本書店』さんが、2024年3月に閉店する予定であると、発表しました。

1981年に現在の店舗から遠くない場所で開業し、32年(?)ほど前から現在の店舗を営業しているそうです。通算営業期間は40年を超えます。多くの古本好き、読書好きが通ったことでしょう。また、京成バスの車窓からお店の青いファサードをよく見ているという人も少なくないと思います。

残念ながら閉店を決定されたということなので、店主さんのその決断を素直に受け入れます。

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店内で本を選んでいる時に聞こえてくる踏切の音が心地よくて…

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フリースタイル市川は、まちづくりNPOとして活動しており、街の記憶を留めることも重要な活動のひとつです。そこで、『#山本書店さんありがとう』プロジェクトと銘打って、皆さんから『山本書店』さんへのメッセージを募ることにしました。

お寄せいただいたメッセージは、紙に印刷をして、お店に届ける予定です。また、いつでも、いつまでも、インターネット上でメッセージを誰でも見られるようにしたいとも思うので、フリースタイル市川のWebサイト(当サイト)内に、メッセージ類を掲載します。

フリースタイル市川のWebサイトにご自身のメッセージが掲載されてもよいという方は、是非、メッセージ投稿フォームから、お店に/店主さんに伝えたいことや、感謝の気持ち、想い出などを、お送りください。

山本書店さんへのメッセージやエピソードなどの投稿フォーム
https://forms.gle/pdUsvLdWiTZ7D1yt5

2023年10月7日撮影。京成線の線路に面した外壁に本棚が設置されている様は神保町の古本屋さんを彷彿とさせますね、

皆さんからの熱いメッセージや鮮やかな想い出の数々をお待ちしています!

また、X(旧Twitter)などのSNS投稿時に、#山本書店さんありがとう を添えていただければ、フリースタイル市川のアカウントでリアクションします!

長年営業を続けてきたお店に最大級のリスペクトと感謝を込めて、このプロジェクトを進めてまいります。賛同して下さる方は、投稿フォームからメッセージ、エピソード、『山本書店』さんで買った本の想い出などを送っていただけると嬉しいです。

2023年10月7日撮影。購入した直後にお店の前で。
2023年11月撮影。2023年11月25日に山本書店さんで買った6冊です。

#山本書店さんで買った本※1

  • 旅に拾った話 宮尾しげを
  • 日本を決定した百年 吉田茂
  • みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記 星野博美
  • きれいなシワの作り方 淑女の思春期病 村田沙耶香
  • チア男子!! 朝井リョウ
  • 水の旅―日本再発見 富山和子
  • 遠い日の戦争 吉村昭
  • 東京島 桐野夏生
  • お春 橋本治
  • マチネの終わりに 平野啓一郎
  • カイエ・ソバージュⅤ対称性人類学 中沢新一

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ライターの杉江松恋氏が、昨年(2022年)『山本書店』さんを訪問したことを綴っていました。一部を引用します。

中に入ると、右側に帳場がある。中に三本並列で棚があってあとは壁際という配置。いちばん右の通路は壁際の手前が関東の郷土史で始まり、奥に行くと中国・東アジア本。その充実ぶりたるや。店の花形は間違いなくこの棚だろう。向き合ってあるのが歴史棚。その裏にも民俗学などの人文科学書。中央に文庫棚だが、新書や四六判で渋い日本人作家の小説が置かれているので油断ならない。いちばん左の棚は右側が新書で裏がサブカルチャー。といってもかなり昭和の香りする品ぞろえで、(略)

左の壁際は手前が落語などの古典芸能で、そこから演劇などの芸術系、奥にも音楽や美術などの棚が並ぶ。おもしろいのは大衆芸能や歌舞伎、能を峻別して置いてあることで、別々の場所で発見があったりして油断がならない。(略)

店を出て京成八幡駅に向かおうとして衝撃の事実を知る。店の外右側に道に面した棚があり、ここにも見落とせない本が山と並んでいるのだ。おお、こっちを先に見るべきだった、そろそろ時間がなくなってきたので焦って一応棚を確認して駅へ。次に来た時は絶対に外から見よう。

出所:本芸 – hon-gei「杉江松恋不善閑居 京成八幡『山本書店』と玉川太福月例独演会」(2022年4月2日)http://www.hon-gei.com/post-7120/、2023年10月7日閲覧

最後に、古本屋巡りをしている人が2010年6月29日に『山本書店』さんを訪問した際のことを綴った文章の一部を紹介します。面白いエピソードが刻まれていますよ。

出入口右横に、何となく低く感じる帳場があり、中年の店主が帽子を被った老人客と楽しそうにお話し中…何か詩や澁澤について話しているようだ…そしていつの間にか伊達得夫の話になり、伝説の詩書出版社『書肆ユリイカ』について、物凄く盛り上がり始めた。ほとんど、店主が嬉しそうに敬意を込めて質問を発し、ご老人が気さくに答えている形。ご老人はどうやら伊達得夫と深い親交があった方のようで、当時の詩人界の面白そうな話を披露されている。ついつい棚を見ながらも、耳がダンボになりっ放しで、中々集中出来ない。“田中さん”と呼ばれているが、誰なのだろうか…まぁ考えても思い付かないので答えが出るはずも無い。

(略)

店主は書肆ユリイカの、美しい造本&装丁の秘密に触れようと、様々な角度から老人に質問中。私もまだまだ聞いていたいのだが、そうもいかないので帳場に行き本を差し出す。するとそれを汐に会話が途切れ、「では」とご老人が帰られてしまった。

出所:古本屋ツアー・イン・ジャパン 日本全国の古本屋をダッシュで訪ねて「6/29千葉・京成八幡 山本書店」(2010年6月29日)http://furuhonya-tour.seesaa.net/article/392485184.html、2023年10月7日閲覧

“田中さん”が気になるというこの文章の著者さん。引用したこの記事の下部にはコメント欄があり、ここに書き込まれているコメントによると、”田中さん”とは、市川市在住の詩人・田中清光氏のことのようです。お店の訪問は、本との一期一会もありますが、このような出来事との一期一会もありますね。古本屋・一期一会!※2

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2024年2月16日追記:皆さんから寄せられた山本書店さんへのメッセージを以下のページに掲載しました。

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関連記事:ときわ書房本八幡店さん、福家書店市川店さん、中国ラーメン華風伝さんの閉店に際して、皆さんから寄せられたメッセージを、当サイト内に掲載しています。

また、都市景観が変化することについて綴ったコラムもあります。

以上、関連記事をいくつか紹介しました。長い秋の夜にでも、紹介した記事を読んでみてください。

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〈注釈〉

※1:「#山本書店さんで買った本」は、「#文学フリマで買った本」のオマージュです。
ところで、「のオマージュ」なのか、それとも、「へのオマージュ」なのでしょうか。気になったので調べてみましたが、「へのオマージュ」が正しいようですね。書き直します。
「#山本書店さんで買った本」は、「#文学フリマで買った本」へのオマージュです。

※2:「古本屋・一期一会」は、「シアター・一期一会」※3へのオマージュです。

※3:TBSラジオでかつて放送されていた番組『アフター6ジャンクション』(通称アトロク)内に存在した投稿コーナー「シアター・一期一会いちごいちえ」では、リスナーから届いた〈観ながら寝ていたら隣の人が「そろそろいいところですよ」と起こしてくれた〉というような、〈映画館で起こった忘れられない出来事〉が紹介されていました。(〈…〉内はTBSラジオ公式Webサイト「『イキってしまった行為』『ホメられ体験の反芻』『幼い頃から傍に手放せないアレ』『抽象概念』を考える【新概念 提唱型投稿コーナー2021】」(2023年10月1日)https://www.tbsradio.jp/articles/45184/ (2023年10月6日閲覧)からの引用です)

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執筆日 2023年10月7日
公開日 2023年10月8日
更新日 2023年11月29日、2024年2月16日