【コラム】奥市川と大町梨街道と北千葉道路

コラム

公開日 2023年1月14日
更新日 2023年1月18日

少し前に、といっても、8か月ほど前なのですが、Twitterで「奥市川探検隊」さんが、こんな投稿をしていました。

この投稿に対して、パステトさんが、「北千葉道路のことだと思います」と応答していました。

この時、私は「北千葉道路」なるものが建設されることを知りませんでした。今、この記事を読んでいる人の中にも、知らないよ、という人がいると思いますので(北千葉~という字の連なりを見た瞬間、「北千住」と脳内で自動変換される人もいるかもしれません)、市川市内を通る予定の、「北千葉道路」について、少し調べてわかったことを綴ってみます。

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大町梨街道~世界的な和梨の生産地、大町~

市川市にお住いの方の多くは、市川市の大町は梨の一大産地であることを知っており、そのことに誇りを感じてさえいるのではないでしょうか。そして、激しいパフォーマンスで知られる梨の妖精を擁する隣の市に、梨の産地としての認知度で後塵を拝していることを、歯がゆく感じている人も少なくないはずです。

参考画像:市川市に本社を置く京葉ガスのキャラクター「がすたん」、船橋市の非公式キャラクター「ふなっしー」、ジャガー星から本八幡に上陸して地球で活躍した後、2021年10月4日にジャガー星に帰還した「JAGUAR(ジャガー)さん」の豪華スリーショット

画像出所:京葉ガス公式チャンネル、「《メイキング》京葉ガススペシャルドラマ「この街をしあわせに」(https://www.youtube.com/watch?v=k3TflM7FIj0、2023年1月10日閲覧)よりキャプチャしたものを元に、色を調整

市川市は全国でも有数の梨の産地です。
初夏の日差しを浴び、たわわに実った梨が旬を迎える頃、市の北部では、あちらこちらに『梨直売』ののぼり旗が立ち始めます。

なかでも、市内を走る国道464号線は、通称『大町梨街道』と呼ばれ、道沿いには約50軒もの梨屋が軒を連ね、街道にはためくのぼり旗は、市川市の夏の風物詩となっております。
シーズンには、市内外、さらには遠く県外からも「市川の梨」を求めて、多くのお客さんが足を運び、賑わいを見せています。

この『大町梨街道』という通称に関しては、『大町をひらいた人々』(平成15年・大町共有地管理委員会)という本の中で、「昭和50年代から個々の梨栽培農家が共同出荷とは別に自宅で梨の直接販売を行うようになり、直販店がならぶ国道を「大町なし街道」と呼ぶようになった」という記述が残されています。

出所:市川市公式Webサイト、「市川の夏の風物詩『大町梨街道』」(最終更新日:2022年12月9日)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/res08/1111000024.html、2023年1月10日閲覧 (太字は筆者)

※冒頭の画像の出所も、市川市公式Webサイト「市川の夏の風物詩『大町梨街道』」です。

この大町梨街道が、今、梨の生産、収穫、販売などに関すること以外で、話題になっています。一体何の件で話題になっているのかというと、本稿で取り上げる「北千葉道路」の建設に関連して、です。

「北千葉道路」とは

千葉県のWebサイトに「北千葉道路の概要」というページがあります(ホーム > 環境・まちづくり > まちづくり > 道路・公共交通 > 道路 > 道路の情報(道路図、圏央道やアクアラインの概要など) > 北千葉道路)。このページから、北千葉道路の説明文を引用してみます。

一般国道464号北千葉道路は、外環道と成田空港を最短で結ぶ計画延長約43kmの幹線道路であり、沿線地域の慢性的な交通混雑の課題を解決するとともに、首都圏の国際競争力の強化はもとより、災害時における緊急輸送路としても機能する本県のみならず、我が国にとって大変重要な道路です。

千葉県公式Webサイト、「北千葉道路の概要」(最終更新日:2022年12月16日)、https://www.pref.chiba.lg.jp/doukei/kitachiba/kitachibagaiyou.html、2023年1月10日閲覧 (太字や黄色線は筆者による強調)
出所:市川市公式Webサイト、「北千葉道路について」(更新日:2022年6月16日、https://www.city.ichikawa.lg.jp/roa01/1111000107.html、2023年1月10日閲覧)に掲載されている地図の一部を拡大して掲載

上の地図におけるピンク色の線が、「北千葉道路」です。

約43kmということなので、全線開通したあかつきには、それを記念してマラソン大会を開催すれば盛り上がること間違いなしです!なお、東京外かく環状道路千葉区間の開通直前の2018年3月4日(日)には、開通前の道路を特別開放して、マラソン大会(特別開放 外環道工事区間マラソン大会)が開催され、大変盛り上がりました。私も10㎞部門に出場しましたよ。

さて、「北千葉道路」の整備状況(2022年12月16日時点)が千葉県のWebサイトに掲載されているので、確認してみます。

  • 鎌ケ谷市から印西市間の約19.7kmは、4または8車線で開通しています。
  • 印西市から成田市間の約13.5kmは、国と県で協同して整備を進めています。
  • 未事業化区間の市川市から鎌ケ谷市間の約9kmを含む市川市から船橋市間の約15kmについて、令和3年1月12日に都市計画変更、2月15日に環境アセスメントの手続きが完了しました。
  • 令和3年3月に北千葉道路(市川・松戸)3.5kmについて、国の権限代行事業による令和3年度新規事業化が決定されました。

情報出所:千葉県公式Webサイト、「北千葉道路の概要」(最終更新日:2022年12月16日)、https://www.pref.chiba.lg.jp/doukei/kitachiba/kitachibagaiyou.html、2023年1月10日閲覧。市川市に関連する部分を太字にしています(筆者による)

何やら専門用語が見え隠れしますね(未事業化区間、都市計画変更、環境アセスメント、国の権限代行事業など)。ご心配なく。本稿では細かなところまで突っ込んでいくつもりはありません。その理由は、そもそも私の理解が追い付いていないから、そして、本稿が「北千葉道路」のことを知らない人に向けて書かれているからです。

次のブロックでは、「北千葉道路」西側の約15㎞、市川市から船橋市までの部分について見ていきます。

「一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)」約15km

まずはこの地図をご覧ください。

画像出所:千葉県公式Webサイト、「一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)の都市計画の概略の案の公表のお知らせ」(最終更新日:2021年8月20、https://www.pref.chiba.lg.jp/tokei/kitachiba/gairyakunoan.html)に掲載されている図面の一部に鉄道駅名を加筆したもの

地図上の赤い線の部分が「一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)」の約15㎞です。

  • 始点(西):北総線の北国分駅の南(外環道、市川市)
  • 終点(東):北総線の小室駅の近く(国道16号線、船橋市)

「北千葉道路」は、北総鉄道に沿っていることがわかります。鉄道と道路が並走していますね。

なお、「一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)」のルートは、多数の一般道や鉄道と交差することや、路線の重要性などを踏まえて、市街化が進んでいる地域で、できるだけ早く整備を目指すために、高架構造を基本に計画しているとのことです。ただし、外環から県道松戸原木線までの間(約1.6km)と、松飛台地区の北総線との交差部(約1.7km)は地下構造を基本に計画しています。(情報出所:千葉県「一般国道464号 北千葉道路(市川市~船橋市)・関連都市計画道路の都市計画変更について」(2020年8月)」https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000348597.pdf)

北千葉道路建設に対する住民の意見~大町の梨への想い

私は昨年の5月まで、「北千葉道路」が市川市内にも建設されるということを知らなかったのですが、道路が建設される地区近隣の住民の皆さんは、そのことを知り、どんなことを思っている(思っていた)のでしょうか。

一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)の構想段階評価書なるものを千葉県が公開したところ、近隣住民から15件の意見書の提出があったそうです。千葉県のWebサイト(https://www.pref.chiba.lg.jp/tokei/kitachiba/gairyakunoan.html、2021年8月20日更新)には「構想段階評価書に対する意見と都市計画決定権者の見解」という資料(https://www.pref.chiba.lg.jp/tokei/kitachiba/documents/ikentokenkai.pdf)が掲載されています。この資料から、幾つかの住民意見都市計画決定権者の見解を紹介します。なお、都市計画決定権者というのは、千葉県のことです。そして、その代表者(当時)は「鈴木栄治」さんでした(この方をご存知でしょうか?私はわからなかったので調べてみたところ、「森田健作」さんと同一人物であることがわかりました。当時の千葉県知事ですね。資料には都市計画決定権者の代表者として千葉県知事(当時)の本名が記載されていた、ということでした)

それでは、構想段階評価書に対する住民からの意見と、千葉県の見解をみていきましょう。

「構想段階評価書に対する意見と都市計画決定権者の見解」からの引用(ここから)
なお、太字や黄色マーカーは筆者による強調です。

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■住民意見
北国分から大町にかけての緑地、樹林地に北千葉道路を通すことは、残り少ない市川市北部の貴重な自然環境の破壊となる。
また、大町周辺は市川市の主要産業である梨の生産地であり、北千葉道路の開通は、走行する自動車の排気ガス、粉塵等により梨の生育に少なからず影響を与えるものと考えられることから、以上の点を十分考慮し、北千葉道路計画の中止を含め、大町周辺樹林地・緑地のルートの見直しされることを要望します。

●都市計画決定権者の見解
具体的なルートや道路構造については、いただいたご意見を参考にしながら、今後検討してまいります。
また、環境影響評価の手続きにおいて、動物、植物、生態系等への影響について調査、予測及び評価を行い、その結果に応じて適切な環境保全措置を検討し、回避又は低減に配慮することにできる限り努めます。

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■住民意見
策定過程の「透明性」「正当性」を全く欠いている。具体的には下記項目に問題がある。
・社会的状況の変化と地球規模の環境問題への配慮が欠如している。
・道路建設計画の正当性を裏付ける客観的資料、説明が欠如している。
・複数案における環境影響、環境負荷の比較検討の必要性がある。
・接続道路や関連道路への影響を検討すべきである。

本評価書は、道路の必要性、計画の正当性を社会面、経済面、環境面など多様な観点から総合的に検討され、合理的に導かれたものであるという説得力を欠くものである。したがって計画内容を一旦白紙に戻し、住民、関係者等の理解に必要な情報提供を行いつつ、透明かつ正当な検討過程を経て策定し直すべきである。

●都市計画決定権者の見解
都市計画の構想段階手続きは、早期の段階から検討内容等を開示し、道路の概ねの位置や規模など概略の案を総合的に評価し、その結果を基に意見を聴取、反映しつつ計画の熟度を高めていくものです。
この評価には、最新の文献調査や既存の調査結果を利用することとなっております。
今後も、住民、関係者等の理解に必要な情報提供を行いつつ、皆様のご意見を参考にしながら都市計画の案の作成を進めてまいります。

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■住民意見
市川市大町周辺地区は梨の産地であるが、周囲に霊園があり彼岸の時は渋滞が発生し、梨の販売に影響が出ている。外環道が完成すると更に交通量が増えることが危惧されるので、北千葉道路完成までに、現道の国道 464号の歩道整備や松飛台駅からの市道の拡幅、北千葉道路に接続する都市計画道路の同時着工等をお願いしたい。

●都市計画決定権者の見解
現道や北千葉道路と交差する道路の整備については、いただいたご意見を参考にしながら、北千葉道路の検討と併せて、道路管理者等と協議してまいります。

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■住民意見
北千葉道路の沿道に梨の直売所や商業施設が立地できるようにしてほしい。

●都市計画決定権者の見解
沿道土地利用や市街化編入等については、北千葉道路の都市計画手続きとは別に検討することとしておりますが、いただいたご意見を参考にしながら、今後、沿線市と連携して検討してまいります。

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■住民意見
沿道は千葉県有数の梨の産地であり、農産物の輸出と地域の産業の活性化を結びつける道路としてほしい。

●都市計画決定権者の見解
いただいたご意見を参考とさせていただきます。

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「構想段階評価書に対する意見と都市計画決定権者の見解」からの引用(ここまで)

意図的に梨に関する記述を多めに引用しているとはいえ、市川市の大町エリアが梨の一大産地であることを踏まえた意見が複数あることは注目に値します。梨に対する市川市民の思い入れはかなり強いことがうかがえますね。

道路建設により、梨の生産に悪影響が出ることを懸念する声がある一方で、北千葉道路開通を梨の販売機会につなげるべきといった経済的な見地からの意見も示されていますね。

もう1つ、別の資料から、市川市民の声をみてみます。

千葉県「一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)関連都市計画道路の都市計画変更について」(2020年8月)という資料(https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000348597.pdf)からの引用です(これは、北千葉道路の建設に伴って、かつて制定された都市計画を変更することに関する資料です)。この資料に、2019年10月6日(日)に市川市の曽谷公民館で開催された公聴会でのやりとりが、「市川都市計画道路に関する公述の要旨と県の考え方」として掲載されています。ここに掲載されている住民意見と千葉県の意見を2つピックアップします(なお、この公聴会に参加した住民は1名でした)

「一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)関連都市計画道路の都市計画変更について」からの引用(ここから)
太字は筆者による強調です。

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■公述の要旨
市川市全体でみると、この北東部の地域というのは緑地も多く、保水機能を持った農地のある地域で、非常に貴重な地域である。そこにこのような大きな道路を造るのは基本的に反対である。

●県の考え方
広域高速移動の強化や周辺道路の渋滞緩和、災害等の緊急輸送ネットワークの強化のため、本計画による北千葉道路の整備は必要であり、事業実施に伴う自然環境への影響については、都市計画手続きと並行して進めている環境影響評価手続きにおいて検討しているところであり、今後、環境影響評価準備書において、調査、予測及び評価し、必要な保全措置を講じて参ります。

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■公述の要旨
外環では地域分断がひどく、北千葉道路でも外環で起きたことと同じことが起こるのではないかと大変心配しており、分断を防ぐ発想が示されておらず問題があると考える。

●県の考え方
今回の計画では、稲越地区において、北千葉道路と立体交差する橋梁の整備、大町地区において、北千葉道路と立体交差する副道を設ける等、主要な市道の平面交差点と併せて、地域分断がおこらないようできる限り配慮したものとしています。

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「一般国道464号北千葉道路(市川市~船橋市)関連都市計画道路の都市計画変更について」からの引用(ここまで)

公聴会に参加したこの1名の方は、基本的に道路建設に反対の立場なのですが、ここで取り上げた1つ目の理由が、豊かな緑地や貴重な農地に対する悪影響が生じるということで、もう1つの理由が、道路が新設されることで「地域分断」が生じることへの懸念です。

緑地の保水機能が開発によって損なわれることへの危惧が述べられています。お隣、船橋市における、海老川流域の保水機能に関する議論のことが、思い浮かびました。現在、船橋市の海老川(架けられている橋の個性的な欄干でも知られています。私の大学の同期生S氏は、この川に架る橋の欄干を題材にレポートを書いていました)の上流地区で進められている開発に対して、下流の流域に住む人たちから、水害リスクが高まると懸念する声が上がっているのです。

海老川上流域でこれまで大雨の際に水がたまるなど、「遊水機能」を果たしていた休耕田や湿地がなくなり、盛り土されてかさ上げされ、アスファルトで固められることにより、その分、川が増水し、下流域であふれるのではないか――。そうした心配が、下流域住民の間でくすぶる。

出所:東洋経済ONLINE、河野博子「千葉・海老川の下流域住民が抱える『最大の心配』 上流域の土地区画整理が水害を誘発する危険性は?」(2022年11月7日)、https://toyokeizai.net/articles/-/629927、2023年1月11日閲覧

また、公聴会では、外環道が建設されたことによる地域分断が酷い、との発言がありましたが、ブログ「Deepランド」の著者、明里あけさとさんが、そのことに言及していました。これについてはブロックを改めて考えてみます。

道路建設による地域分断!消えゆく商店街~Deepランドを読む

明里さんによる、2022年8月のTwitter投稿と、そこで紹介されているブログ「Deepランド」の記事を紹介します。

Deepランド (郷土史家・明里あけさとさんのブログ)
市川の再開発で消えた商店街。みよし通り商店会・大洲東商店会・三栄商店会(2022年8月4日)
https://deepland.blog/icikawa-syoutengai/

県道283号から市川市立鶴指小学校の東側に広がる住宅街を歩く。

実は2009年のストリートビューではこの辺りから既に商店街があった。ピンク色の街灯がずらーっと北へ伸びる。

右側は薬から日用品まで揃うマルトミ?

また、小岩信用金庫八幡支店や中央信用金庫などの看板も。

商店街の面影を伝えるパナソニックの看板がある「ナカノデンキ」。現在も営業している数少ない一軒。

その向かいにあるのが「鶴指文具」。トンボ鉛筆の看板が残るこの佇まい、良く残っていたな…素晴らしい。

近くに鶴指小学校があるので、鶴指文具店?まさにこの地域の子供たちにとって大切な場所だったに違いない。

2011年、店舗前にはレトロなガチャガチャも。看板右側は「高級水彩えのぐ ギターペイント」だったが「たばこ」に変更されている。

また、鶴指文具の脇道の奥あたりに銭湯「八幡湯」が存在した。以前、銭湯一覧をまとめた際に発見。今回この場所を訪れるきっかけとなった。

銭湯「八幡湯」があったと思われる跡地は住宅になっていて、かつてどんな銭湯だったのかは全く分からなかった。覚えている方がいたら教えてください。

そして、鶴指文具店の北側にも商店街が広がっていたのだが、2009年時点で更地に。街灯だけが残っている。

明治牛乳、千葉相互銀行、国民相互銀行、浅草ハムなど。銀行名も時代を感じるものばかり、ストリートビューで確認できるのは嬉しいが、今は同じ場所とは思えないほど景色は変わった。

東京外環自動車道が東西にでき、商店街が完全に分断され消滅してしまったのだ。

2009年以前、商店街が賑わっていた頃はどんな景色だったのだろう…便利さと引き換えに街が消えた。

出所:Deepランド、「市川の再開発で消えた商店街。みよし通り商店会・大洲東商店会・三栄商店会」(2022年8月4日)、https://deepland.blog/icikawa-syoutengai/、2023年1月11日閲覧(赤色太字は筆者による強調)

※鶴指文具の脇道の奥にかつて存在した銭湯「八幡湯」に関する情報をお持ちの方、どんな銭湯だったかという個人的な思い出でも構いません!ご一報をお待ちしています!

古い建物が取り壊され、ピカピカの新しい建物ができたり、あるいは、かつて商店だったであろう建物の道路沿いの正面が、開かずのシャッターで覆われている状態が長く続いたり、時間はただ流れるだけでなく、そこにあった人の営みの記憶、記録、歴史を流し去ってしまうこともあります。明里さんはそんな消えゆく街並みを大切にし、まちを訪ね、歩き、何かを拾い(え?そんなものを?と読者は思うかもしれませんが、かつて誰かが造り、人の手を介して誰かのものになり、その人に使われ、やがて廃棄、または紛失され、ストリートの片隅に転がっていたそれを愛おし気に拾い上げるのでしょう)、街灯を見上げ、看板建築に見とれるのです。

明里さんが「Deepランド」を開設した際に綴った文章を紹介します。

ちょっと前までそこに当たり前としてあったものが、跡形もなく無くなってしまう。いつか失われてしまう当たり前の風景を、このブログで残そうと思いました。この記録が何十年か後に誰かの役に立っているかもしれないからです。

出所:Deepランド、「Deepランド開設! ~○○ランドよりDeepランドが好き!~」(2020年6月22日)、https://deepland.blog/deepland/、2023年1月10日閲覧

当Webサイトで「Deepランド」を取り上げた記事はこちらです。

再開発により、人々が長年親しんだ景観が失われる可能性について綴ったコラムは、こちらです。

北千葉道路区域および周辺の自然環境や景観について

さて、話が随分前の方に戻りますが、このブロックでは、今から5年前の資料、千葉県が出している「一般国道 464 号 北千葉道路(市川市~船橋市)計画段階環境配慮書【要約版】」(2018年1月)(https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000274897.pdf)に、掲載されている「事業実施想定区域及びその周囲の概況」をみていきます。いくつかピックアップしてみますね。

「事業実施想定区域及びその周囲の概況」より引用(ここから)
太字は筆者による強調です。

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●動植物の生息又は生育、植生及び生態系の状況
・動物:注目すべき生息地として、タガメ、ゲンジボタルの生息地等が存在するとされています。
・植物:重要な植物群落等として、国府台、真間山の自然林鎌ケ谷郷土の森等が存在するとされています。
・生態系:重要な湿地として、市川市のじゅん菜池市川市大町周辺の谷津田が指定されています。

●景観
・主要な眺望点と眺望景観については、曽谷の高台からの眺めかまがやスカイビュー等が存在しています。
・自然的・文化的・歴史的景観資源が多く分布しています。主な景観資源として、大町周辺の森、日枝神社の林、八坂神社の林、じゅん菜池緑地、堀之内貝塚公園、小塚山公園等があります。

●人と自然との触れ合いの活動の場
・主要な人と自然との触れ合いの活動の場として、新鎌ふれあい公園及び市制記念公園堀之内貝塚公園等があります。

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「事業実施想定区域及びその周囲の概況」より引用(ここまで)

今、確認したように、北千葉道路が通る予定の場所とその近くのエリア、すなわち、奥市川とその周辺には、本当に貴重な、一度失われたら復元は困難な緑地や景観などが多く存在しています。都心に近い市川市にこの奥市川に、こんなに素晴らしい自然が残っているのは奇跡のようにも思えます。

同資料(https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000274897.pdf、2018年1月)には「計画段階配慮事項に係る予測及び評価の結果」も掲載されています。このうち、「影響を与える可能性があります」、「影響を与える可能性があると評価します」と記されているものは、以下の通りです。

「計画段階配慮事項に係る予測及び評価の結果」より引用(ここから)
太字は筆者による強調箇所です。

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●大気質・騒音
・市川市~鎌ケ谷市間、鎌ケ谷市~船橋市間のいずれの区間ルートも、一部が市街地を通過します。このため、大気質・騒音に影響を与える可能性があると評価します。

●動物
・市川市~鎌ケ谷市間のルートは、タガメやゲンジボタルの一部の生息地を通過すると予測します。このため、動物に影響を与える可能性があると評価します。

●景観
・市川市~鎌ケ谷市間のルートは、主要な景観資源の大町周辺の森を通過すると予測します。このため、景観に影響を与える可能性があります。

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「計画段階配慮事項に係る予測及び評価の結果」より引用(ここまで)

いかがでしょうか。上にも掲載しましたが、〈未事業化区間の市川市から鎌ケ谷市間の約9kmを含む市川市から船橋市間の約15kmについて、令和3年1月12日に都市計画変更、2月15日に環境アセスメントの手続きが完了しました〉(出所:千葉県公式Webサイト、「北千葉道路の概要」(整備状況)、https://www.pref.chiba.lg.jp/doukei/kitachiba/kitachibagaiyou.html、2023年1月10日閲覧)とのことです。

北千葉道路の建設に関して、人々の懸念の声が上がっており、また、2018年の「計画段階配慮事項に係る予測及び評価の結果」には、「影響を与える可能性があります」、「影響を与える可能性があると評価します」と明記された項目があったわけですが、2年前の2021年に、都市計画変更と環境アセスメントの手続きが完了しているということなのです。皆さんの懸念が払拭され、環境への影響が限りなく小さくなるような方法で道路建設を推進していただけると信じています(信じるも信じないも…)

しかし、私のように、そもそも「北千葉道路」なるものが市川市で建設を予定されていることを知らない市川市民は多い気がします。外環道についても、完成する前は、建設区域やその近隣に住んでいる人、あるいは、自家用車を保有していたり、運送業に従事していて、そのあたりを車で走る機会があった人は、どのあたりにその道路ができるのかを把握していたかもしれませんが、車に乗る機会が少ない人には、「外環道?名前を聞いたことはあるし、関東一円をぐるっと回る環状道路だってことは名前から察するけれど、市川市のどの辺を通るのかは、I don’t know知らないんだ.」という態度の人も意外と多かったのかな、と想像します。

都市計画変更と環境アセスメントの手続きが完了している北千葉道路ですが、私は、まだこの道路掛け設されることを知らない市川市民にも、建設されることを知ってほしいと思っています。決定してしまったことを後から知っても「後の祭り」だよ、今から不平不満を言ったって意味がないんだ、という意見にも一定の理解を示す私ですが、しかし、興味を持つこと、関心を持つこと、そのことを誰かに話したり、どこかに書いたりすることで、当事者とうじしゃ(建設区域やその近隣に住む、あるいは、そこで働いたり学んだり遊んだりしている人たち)ではなくとも、共事者きょうじしゃを増やすことにはつながるはずです。

無関心はよくない、という考え方があります。悪という表現は強烈で抵抗感があるかもしれませんが、しかし、詳しくなくても良いけれど、その事象を認識はしている、知ってはいる、そして、当事者性が皆無ではない、少し興味が出てきた、そんな人が、増えないよりは増える方が良いと思いませんか?色々な問題に関して。

今、唐突に「共事者」なる語を文中に紛れ込ませました。さりげなく。いや、さりげなくはありませんでしたね。太字で、ルビまでふっているので、自己主張しているとさえ言えます。次のブロックで、この語について説明します。

それにしても、本稿、長いですね。

共事者(きょうじしゃ)とは何か

「共事者」という語は、ライターで、ローカルアクティビスト(地域活動家)の小松理虔りけんさんの造語です。

当事者同士で課題を持ち寄り、自己を肯定しながら課題と向き合おうというチャンネルには賛同できるし、その局面で「当事者」という言葉は連帯を生むだろう。けれど、その当事者の声を広く伝え、社会を巻き込んでいこうというときには、当事者という言葉が逆に障害になってしまうのではないか。なぜこのようなジレンマが起きるのかといえば、「当事者」という言葉が、やはり当事者「だけ」を指す言葉だからだ。例えばぼくがイメージする「社会の一員としてのわずかな当事者性を付与されている外側の人」を「当事者」という言葉は説明することができない。課題解決のカギを握っているかもしれない人たちなのにだ。

 ならば。当事者の存在を肯定・尊重し、当事者同士が語る場を守りつつ、外側の人たちが自分にもあるわずかな当事者性を自覚し、課題解決にゆるっと参画できるような〝立場〟も肯定的に捉え、そのゆるい〝関わり方〟そのものをポジティブに示す言葉があればいいのではないか、とぼくは考えた。宙ぶらりんな自分のスタンスを探したかったのかもしれない。

 そこでぼくが思いついたのが「共事者」という言葉だった。当事者ではない。当事者を直接的に支援しているわけでもない。研究者でもなければジャーナリストでもなく政治家でもない。プロフェッショナルでも専門知識を有しているわけでもない。けれど、当事者性はゼロではなく、社会の一員としてその物事を共にし、ゆるふわっと当事者を包み込んでいる。そんな人たち。あるいは、専門性も当事者性もないけれど、その課題と事を共にしてしまっている。そのようなゆるい関わり方。それが現段階でぼくがイメージしている「共事者/共事」だ。

出所:小松理虔「当事者から共事者へ(1) 障害と共事」『ゲンロンβ41』(2019年09月27日)(https://www.genron-alpha.com/gb041_01/) 太字は筆者

例えば、「市川市のまちづくり」を実践するのは、市川市民や市川市の職員だけに限りませんよね。市外から市川市に通っている職場や学校がある人だって、「当事者」です。

また、友人や親や子や親戚が住んでいて時々遊びに来る人、昔に住んでいて今でも市川市に愛着を持ち続けている人、週末になると本八幡にやってきて美味しい飲食店で食事やお酒に舌鼓を打ち、お店の情報を発信している素敵な人(例えば、週末八幡botさん)など、私が「市川パースン」と呼んでいるような人たちも、「共事者」として、まちづくりの活動に関わることは可能ですし、むしろどんどん参加してもらいたいと思っています。

自身に子どもがいなくても、子ども関連の事業に関わっている人はいます。そんな感じです。

おわりに~北千葉道路建設により得られる便益、被る損失

改めて、「北千葉道路」の事業の目的を確認します。目的は、大きく、次の3点です。

  • 成田空港などの拠点などへの広域高速移動の強化
  • 周辺道路の渋滞の緩和
  • 災害時の緊急輸送ネットワークの強化

これらの目的を達成することで人々が手にする便益と、人々が被る損失(建設費などのお金の使用と、それ以外、例えば、自然環境の破壊や地域の分断などがあります)を、同時に見ていかなくてはなりませんね。当事者として、あるいは、共事者として、見ていきましょう。

おまけ~あの娘こは市境しざかいの omachiオオマチ angelエンジェル

「おわりに」の後の「おまけ」、つまり、ボーナストラックですね。アンコールではなく。アンコールは、供給者が「もう終わり」と言った後で、需要者からの「もっとちょうだい!」「おかわり!」との要求に応えて、追加で提供すること・ものを指すのに対して、供給者が自主的に需要者に向けて提供するのが、ボーナストラック、あるいは、ボーナスショータイム(米米CLUBのライヴにおけるアンコールの位置付けですが、米米が主体的にオーディエンスに提供しているもの)です。

この画像は、「市川まちガチャ」※1の町名ミニ巾着「大町」のデザインです。

あの娘は市境の

omachi angel

出所:市川まちガチャ町名ミニ巾着「大町」

この言葉は、B’zの有名なソング※2の歌詞に対して捧げられたオマージュなのですが、わかりますか?

あの娘は太陽の

Komachi Angel

出所:B’z「太陽のKomachiAngel」(作詞:稲葉浩志)

この歌の歌詞は実に強烈なのですが、中でも次の箇所には戸惑いを隠しきれません(大好きです)

ジゴロが集まる熱帯夜は

微笑みひとつも誤解のタネ

きっかけは錯覚でもいいから

二人で季節を越えてみたい

出所:B’z「太陽のKomachiAngel」(作詞:稲葉浩志)

ジゴロが集まる熱帯夜とは?そんな熱帯夜、市川市にはないですよね?

さて、この長い長い記事も、本編はそろそろ終了です。熟読していただき、ありがとうございました。精読していただき、本当にうれしいです。この問題に関心を持つ、「共事者」が増えてくれたら良いな、と思っていますので、もしこの考えに共感を覚えてくださったなら、SNSなどでこの記事をシェアしていただけると、筆者(私)が喜びます。よろしくお願いいたします。

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〈注釈〉

※1:市川まちガチャ関連記事を紹介します。

2:「太陽のKomachi Angel」は1990年6月13日に発売された5作目のシングルで、初めてオリコンチャートで1位を獲得したB’zの曲として歴史にその名を刻んでいます。

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