【コラム】本八幡駅北口再開発事業の説明会に参加しました(2023.7.23)

コラム

2023年7月23日に葛飾八幡宮の敷地内にある、市川市八幡市民会館(全日警ホール)のホールで、ある説明会が開かれました。それは、

本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業に伴う都市計画原案等の説明会

という長い名前がつけられた集会で、文字通り、本八幡駅の北口再開発事業(下図の赤色の線で囲まれた地区が対象)の計画案等に関する、市の職員の皆さんから説明が行われました。

出所:市川市『本八幡駅北口再開発基本構想』掲載図を加工。

説明会の少し前の7月12日に、次のような報道があったこともあり、高層建築(タワーマンション)が建てられることに懸念を抱く人たちが多く参加していました。

建設通信新聞(2023年7月12日)
本八幡駅北口駅前再開発/規模は2棟総延べ11.5万㎡/協力者に三井不レジ、大成ら
https://www.kensetsunews.com/archives/846271

日刊建設新聞(2023年7月12日)
本八幡駅前にビル2棟 市街地再開発で27年度の着工(千葉県市川市)
http://www.jcpress.co.jp/wp01/?p=33040

職員の方が丁寧に説明を行った後、5~6名くらいの人から質問がありました。なお、私は会場に入ったのも、質問をしたのも、1番最初でした。単に前のめりだったというだけの話です。

参加者からどのような質問があったか、一部を紹介します。

  • 基本構想の副題には、「歴史と未来をつなぐ」とある。また、「歴史の積み重ねにより形成された街の背景を尊重する空間づくり」が、「街づくりの目標」に含まれている。本八幡のの歴史は、どのように継承されるのか?
  • 新たに870戸が増える可能性があるが、駅のキャパシティ、学校などの収容力は足りているのか?
  • サイゼリヤ1号店(現・記念館)の取り壊しは決まっているのか?
  • 既に建設されている高層マンションの近くでは強烈なビル風が吹き、自転車の運転ができないほどだが、新たなマンション建設により、ビル風は吹くか?

これらの質問の他、

  • 神宮外苑の樹木伐採
  • 武蔵小杉タワーマンション(ビル風、駅利便性低下)
  • 立石駅前の再開発

を引き合いに出して、本八幡駅北口再開発計画について懸念する声もありました。

今あるもの(これまでそこにあったもの)を壊してしまうのは簡単だが、壊したものは二度と戻らない――という話ですね。独特な景観、馴染みのある街並みは、私たちにとって不要なのでしょうか?否、必要です。

このようなド派手なスクラップ&ビルドは、今の時代、これからの時代の市川市に必要なのでしょうか。

この規模で街並みの破壊と創造が行われると、そこに住む人、そこに来る人も、ガラッと入れ替わります。もちろん、住み続ける人、仕事をし続ける人もいますが、そこから静かに去る人も多いですよね。

画一的な都市開発にならなければ良いと思います。

ちなみに、再開発により設けられる2つの広場のうち、駅に近い方の広場は、イメージ図によると、階段が設けられ、高さと奥行きを感じられそうな、それなりに面白そうな空間になることを想像させてくれました。ただ、次の瞬間、車いす利用者や視覚障害者が使いづらい施設になることを懸念したことも事実です。

本件については、引き続き、モニタリングしたいと思います。何か動きがあれば、当サイトで報告しますね。そうですね、私の関心がこの問題から急速に離れていくようなことがない限りにおいて、記事にしたいと思います。

* * * * *

本八幡駅の北口には既にタワーマンションと呼んで差し支えない程の高層建築がいくつもありますが、新たに、市川駅南口のアイリンク「ザ・タワーズ・ウエスト」(45階、約160m)と同等の高さのマンションが、現在、パティオがあるあたりに建設される可能性は高いでしょう。もし、ここにタワーマンションができたらどのような問題が起こりうるか?説明会で飛び出した質問(上述)にあったようなことが起こるのでしょうか。

将来の本八幡駅北口の状況を予想する上で、ヒントになりそうな記事があるので、紹介します。駅周辺に多数のタワーマンションが立ち並ぶことで知られる武蔵小杉エリアについて、5年前に書かれた記事です。

 現在、横須賀線の「武蔵小杉」駅入り口には、臨時の改札口が設けられているので、かつてのように「改札まで〇分」というようなことではなくなったらしい。しかし、地元の人に伺うと「念のために30分早く自宅をでる」といったケースが多いという。それでは何のために「都心に近い便利な武蔵小杉」にマンションを購入したのか分からない。

 また、武蔵小杉エリアでは保育所がかなり不足しているという。タワーマンションが次々に建設されたのに、保育園の新設が追い付いていないのだ。

 タワーマンションの購入者には、パワーカップルが多いと言われている。夫婦のどちらもが第一線で活躍しているようなカップルだ。当然、子どもは保育園に預けることになる。しかし、武蔵小杉周辺では保育園の数が絶対的に不足している。

 また、保育園であっても園庭を持たないビルインのタイプが多いという。そういう保育園では日中、子どもたちを近隣の公園へ連れて行って遊ばせるのだが、タワーマンションエリアには児童公園がほとんどない。

 さらに、この街ではタワーマンションが建ち始めて以来、強いビル風が吹くようになった。台風も来ないのに風速10メートル以上の風が吹くことも珍しくない。最大で風速20メートルのビル風も観測されている。現在のところ、ビル風による大きな事故は起こっていないが、風速20メートルでは何かが起こっても不思議はない。

 駅は人であふれ、子どもたちは建物の中に閉じ込められ、ビル風が地上を吹き荒らすタワーマンションの街、武蔵小杉。この街にタワーマンションが建ち始めたのは、ここ10年少しのことである。

出所:NEWSポストセブン「林立タワマン武蔵小杉の死角 保育所不足、吹き荒れるビル風」(2018年7月28日)https://www.news-postseven.com/archives/20180728_728500.html/2、2023年8月2日閲覧、太字は筆者による強調

良いことは何一つ書かれていませんが、本八幡駅北口で、ここに書かれているようなことが全く生じない可能性もゼロではないと思います。もちろん、ここに書かれた良くないことがアレもコレも起きるという可能性もゼロではありません。

街の風に吹かれて、歌いながら妙なプライドは捨ててしまえば良い――そう歌った人がいましたが、ビル風に吹かれてしまうと、別の歌(例えばこの歌)になってしまいますね。

本八幡の周辺で、こんなに強い風を全身に受けたくはないですね!

それでは、また、お会いしましょう。See Ya !!

* * * * *

執筆日 2023年8月2日
公開日 2023年8月4日