【コラム】神宮外苑だけじゃない?樹木の伐採はなぜ行われるのか?~国府台公園で樹木400本が伐採される~

コラム

9月も半ばですが(ということは、今年も残り3か月半、106日ですね)、まだまだ暑いですね。

2023年の夏、日本はとても暑かったです(というか、現在進行形で今も暑さが継続しています)が、世界全体で見ても半端ない暑さだったようです。

欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が5日に発表した報告書によると、6~8月の世界平均気温は16.77度で、観測史上最も暑い3カ月間となった。

この夏は米国南部や南欧が熱波に見舞われ、7月は史上最も暑い月、8月は史上2番目に暑い月となった。海面水温も上昇し、8月は平均20.98度だった。

出所:Forbes JAPAN「2023年6~8月は「史上最も暑い夏」に 世界平均気温が最高を記録」(2023年9月7日)https://forbesjapan.com/articles/detail/65824、2023年9月16日

当サイトでも、国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏による7月27日の発言、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」を取り上げました。

地球沸騰化――この言葉のインパクトは強烈で、例えば、法政大学人間環境学部教授で、環境倫理学を専門とする(そして、私と同い年の)吉永明弘氏も、こんなタイトルの文章を書いています。

JB Press(2023年8月23日)
“地球沸騰化”国連の強烈な警告に逆らう神宮外苑再開発、都市の緑こそ必要だ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76610

この文章でも取り上げられているのが、東京都の神宮外苑の再開発に伴う樹木の伐採計画で、地域住民のみならず、多くの著名人――例えば、いとうせいこう氏、後藤正文氏、村上春樹氏、細野晴臣、桑田佳祐氏、加藤登紀子氏、浅田次郎氏、落合恵子氏、椎名誠氏、秋吉久美子氏、小山田圭吾氏、ユザーン氏、サエキけんぞう氏、カヒミカリィ氏など――も声を上げるなど、反対意見が飛び交う事態になっています。

中でも、亡くなる直前に坂本龍一氏が東京都の小池百合子知事に書いた手紙の内容は大きなインパクトを世間に与えました。

東京都都知事 小池百合子様

突然のお手紙、失礼します。
私は音楽家の坂本龍一です。神宮外苑の再開発について私の考えをお伝えしたく筆をとりました。どうかご一読ください。
率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が 100 年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません。これらの樹々はどんな人にも恩恵をもたらしますが、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしか過ぎま せん。この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です。

(略)

いま世界は SDGs を推進していますが、神宮外苑の開発はとても持続可能なものとは言えません。持続可能であらんとす るなら、これらの樹々を私たちが未来の子供達へと手渡せるよう、現在進められている神宮外苑地区再開発計画を中断し、 計画を見直すべきです。 東京を「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導をすることこそ、世界の称賛を得るのではないでしょ うか。 そして、神宮外苑を未来永劫守るためにも、むしろこの機会に神宮外苑を日本の名勝として指定していただくことを謹んで お願いしたく存じます。
あなたのリーダーシップに期待します。

2023年2月24日 坂本龍一

坂本龍一と神宮外苑を心配する「坂本龍一からのメッセージ」2023.2.24、https://jingugaien.jp/、2023年9月16日閲覧(太字は筆者)

また、数日前の2023年9月7日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が、明治神宮外苑再開発に対して文化遺産を守るための緊急声明「ヘリテージ・アラート」を発出したことも記憶に新しいわけですが、イコモスのエリザベス・ブラベック文化的景観委員会委員長は、次のように述べています。
※発言の出所は東京新聞 TOKYO Web 「『外苑再開発は文化遺産の不可逆的な破壊』ユネスコ諮問機関イコモスが事業中止求め会見」(2023年9月15日)https://www.tokyo-np.co.jp/article/277692、2023年9月16日閲覧。

「都市の公園はそもそも不足している。東京のような主要都市で、公園の土地を再開発に回すのは聞いたことがない。全員が非常にショックを受けた」

「成熟した遺産と言える樹木を切り、どんなに新たに植林しても同じものにはならない」

冒頭で述べた、地球温暖化、地球沸騰化。このような気候変動の進行を抑制するために樹木が必要だ、ということであれば、伐採しても別途植樹すればよいではないか、と考える向きもあるかもしれません。100本切っても200本植えれば良いじゃないか、と。

しかし、新たに植えられた樹木が成長するまでには時間がかかります。十分に成長し、枝葉を伸ばすまでは、再開発前よりも緑の総量が少ない状況が続きます。また、健康状態に問題のない樹木を伐採するという問題もあります。まだ健康な樹木を切り倒し、新たに樹木を植えることに対する懸念が表明されています。他にも、新たに植えた樹木がそこに定着するか、枯れることなくすくすくと育つのかはわからない、ということも懸念材料として挙げられています。
※このパートは次のWebページを参考にしました。TOKYOリスタイル「神宮外苑地区の再開発で樹木が伐採される?!その概要や問題点を分かりやすく解説!」(更新日:2023年7月12日)https://restyle.tokyo/forbeginners/Meiji-Shrine-development.html、2023年9月16日閲覧

というわけで、日本の首都・東京の中でも、近現代を通じて重要な場所であり続けた、明治神宮外苑の再開発に伴い、大量の樹木が伐採されることに反対する声は、収まるどころか、日に日に強まっている、という状況にあります。個人的に、この件には引き続き注目していきます。

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多くの人の耳目を集める話題だから神宮外苑再開発の問題を取り上げたのかな?と思われたかもしれませんが、それだけが本件について綴った理由ではありません。

実は、ここ、市川市でも、建設工事に伴い、400本の樹木が伐採されたことが、最近になり報じられ、話題になっているのです。

まずは、この写真をご覧ください。約7時間前に私が撮影したものです。

これは、国府台公園(国府台スポーツセンター)の野球場です。というか、以前、野球場があった場所であり、今、新たに野球場が建設されようとしている場所です。

色々あって新球場の建設が遅れています。「色々」については、別の機会に記事にしたいと思っています。

ちなみに、「国府台球場」では、かつてプロ野球公式戦が行われたこともあるのです。文字通り伝説的な――驚くような!!――選手が何人もここでプレイしたのです。それについてはこちらの記事で詳しくみているので、興味のある方は是非チェックしてください。

こちらの記事を紹介します。

 一方、地元の市民団体「市川緑の市民フォーラム」は、工事に伴い球場周辺の樹木約400本が伐採されたため、田中甲市長宛ての要望書を11日に提出した。
 要望書では「市は既存樹木は基本的に保全すると言ってきたにもかかわらず、伐採で球場周りの樹木は皆無になった」などとして、理由の説明とともに起工式の延期を求めていた。市は「計画上やむを得ず伐採したが、今後800本程度を補植する」としている。

出所:東京新聞 TOKYO Web「下総国関連遺構出土の市川・国府台 新球場建設へ起工式 25年春オープン予定」(2023年9月15日)https://www.tokyo-np.co.jp/article/277509、2023年9月16日閲覧(太字は筆者)

もう切っちゃったんですね。約400本も。市川市の言い分は、「やむを得ず切った」「800本程度を補植する」。ちなみに、「補植」とは、「人工林で苗木が枯れたり倒れたりして空いた場所に新たに苗木を植栽すること}(出所:ウィクショナリー日本版)。

切っちゃったけど、新たに植えるので、計算上はマイナス分を補って余りある分のプラスになる、という論理ロジックですね。

しかし、上に書いたように、

  • 新たに植えられた樹木が成長するまでには時間がかかる。十分に成長し、枝葉を伸ばすまでは、再開発前よりも緑の総量が少ない状況が続く
  • まだ健康な樹木を切り倒し、新たに樹木を植えることが好ましくない
  • 新たに植えた樹木がそこに定着するか、枯れることなくすくすくと育つのかはわからない

という問題点、懸念点があります。

この件について、皆さんそれぞれに、自分はこう思う、何となくこう思うけれど何が正しいかわからない、モヤモヤする、など、色々な感想や意見や疑問をお持ちかと思います。是非、コーヒーでも飲みながら(あるいは赤ワインでも飲みながら)語り合いたいですね。そういうイヴェントを開くのもよいですね。

何か言いたい!話したい!という人は、問い合わせフォームからメッセージを送ってください。必ず読みます!

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関連記事を2つ紹介します。

ちなみに、上に載せた国府台球場の跡地(新球場の工事準備中)の写真ですが、本日訪れた際に撮影したものです。なぜ訪問したのかというと、「ブルーサンダースの試合を観戦するため」でした。これについては稿を改めて綴りたいと思います!
※冒頭の写真も本日国府台公園で撮影したものです(工事現場のフェンスに掲出されていた下のパネル?の一部を拡大したもの)。

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執筆日 2023年9月16日
公開日 2023年9月16日