【コラム】市川市北部の地形~3つの台地、2つの谷、1つの砂州~

コラム

執筆日 2023年5月1日
公開日 2023年5月2日

台地と谷が織りなす地形――奥市川と呼ばれる辺りを含む、市川市の北部には、3つの台地があり、その間に2つの谷、そして、谷から台地に切り込むようにして、谷津という細長い谷があります。

市川市の資料「生物多様性いちかわ戦略」から、地形分類図を引用します(冒頭の画像も同じ資料からの引用です)

画像出所:市川市「生物多様性いちかわ戦略『人と生きものが自然の中でつながる文化のまち』」11ページ掲載の図6「市川市の地形分類図」を加工

この地形分類図を見ると、当たり前なのですが、川が流れている場所が谷になっていることが、よーーーくわかりますね。でも(でも?)、市内北部を車で走ったり、自転車でスイスイと巡ったり、歩いたりする時、この地形を意識できるでしょうか。

 市北部の地形は、大きく分けて国分台、曽谷台、柏井台といわれる三つの台地があり、この台地と台地の間に国分谷と大柏谷の二つの谷が入り込んでいます。
 二つの谷からは台地に向かって多くの細い谷が入り込んでおり、「谷津」と呼ばれる細長い谷地形が形成されていて、谷津の両側は斜面となっています。市中央部の地形は、ほぼ東西の方向に、京成本線を中心に周辺の低地よりわずかに高くなっています。
 この場所は、「市川砂州」と呼ばれる地形で、この砂州の上には「市の木」であるクロマツが帯状に分布しています。

出所:市川市「生物多様性いちかわ戦略『人と生きものが自然の中でつながる文化のまち』」、2023年5月1日閲覧、太字は筆者

引用した文章内に登場する地形と、市川市の北部の地形図に私が上乗せした「い」「ち」「か」「わ」「し」は、対応しています。

い:国分台
ち:国分谷
か:曽谷台
わ:大柏谷
し:柏井台

3つの台地、2つの谷、1つの砂州について、「市立いちかわ自然博物館だより」の2019年の4-5月号、6-7月号、8-9月号、10-11月号に特集記事が掲載されています。地形の簡単な説明を引用します。

国分台は、国府台・国分地区一帯の台地の呼び名です。里見公園やスポーツセンター、真間山弘法寺、下総国分寺などが位置しています。国分谷は、国分台の東側、国分川が流れる谷の呼び名です。外環道路が走る大きな谷の地形です。

出所:市川市「市立いちかわ自然博物館だより 令和元年(2019年)4-5月号(通算181号)」『明治時代の地形と土地利用 国分台・国分谷』https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000304472.pdf、2023年5月1日閲覧、太字強調箇所は筆者による

曽谷台は、曽谷地区の台地の呼び名です。ただ実際は、曽谷から松戸市の高塚新田、紙敷地区を経て、大町、大野町まで続いています。なので、曽谷台という言い方では、実際をうまく言い表せていないかもしれません。

出所:市川市「市立いちかわ自然博物館だより 令和元年(2019年)6-7月号(通算182号)」『明治時代の地形と土地利用 曽谷台』https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000311203.pdf、2023年5月1日閲覧、太字強調箇所は筆者による

柏井台は、中山、若宮から奉免町、柏井町へと続く台地の呼び名です。さらに船橋市側へ続いていて、木下街道が通っています。大柏谷は、この柏井台と、前号で取り上げた曽谷台にはさまれた、大きな谷です。

出所:市川市「市立いちかわ自然博物館だより 令和元年(2019年)8-9月号(通算183号)」『明治時代の地形と土地利用 柏井台と大柏谷』https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000316832.pdf、2023年5月1日閲覧、太字強調箇所は筆者による

市川砂州は、これまでの 3 回で取り上げた「国分台・国分谷」「曽谷台」「柏井台・大柏谷」の南側にある土地の高まりです。眺めるだけではわかりにくい地形ですが、土地利用を見ると、その存在は、はっきりとわかります。

出所:市川市「市立いちかわ自然博物館だより 令和元年(2019年)10-11月号(通算184号)」『明治時代の地形と土地利用 市川砂州』、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000320712.pdf、2023年5月1日閲覧、太字強調箇所は筆者による

「市川砂州」は、約5,000年前に陸地の奥まで海が入り込んでできた奥東京湾が、約3,000年前に始まった海退によって発達した砂州です。国道14号線(千葉街道)は、この市川砂州を東西に走る道です。

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地形を感じながら散歩したいですね。テレビ番組の『ブラタモリ』のように。

ちなみに、行徳には、この番組を模して『ブラタナリ』なる散歩イヴェントを主宰する人がいます。「タナリ」というのは、この方が田中さんという名前だからだそうです。

以下の対談を読んで、俄然、谷を歩きたくなりました。大柏谷は、それなりに知っているつもりですが、普段は「通り過ぎる場所」を、あえてゆっくり歩いてみたいですし、国分谷も歩きたいですね。

吉玉 : 台地より谷間のほうが、歩いていて楽しいですか?

皆川 : 台地の上は、高級住宅地や公共施設が多いのですが、閉鎖的だし、敷地が広いので歩いていても飽きちゃう。その点、谷間は一軒一軒のスケールが小さくてギュッとしてるし、いろんなお店があるから飽きないんです。肉屋さんがあればコロッケやハムカツを買って食べたりとか、和菓子屋さんがあればお土産にみたらし団子やいちご大福を買ったり。

(中略)

吉玉 : 知ることで、よりその街を好きになりますか?

皆川 : そうそう。自分の住む街もそうだよ。意外と地元のこと知らないんだよね。でも知ると愛着が湧く。

出所:さんたつby散歩の達人「地形の魅力ってなんだろう? 東京スリバチ学会会長に凹凸地形の楽しみ方を教えてもらう!【東京スリバチ学会会長インタビュー前編】」(2020年9月1日更新)、https://san-tatsu.jp/articles/48914/、2023年5月1日閲覧、太字は筆者

意外と地元のことを知らない――これは、少し前の私そのものです。

市川市に住んで長い人で、丸ビルや渋谷スクランブル交差点、新宿歌舞伎町、靖国神社、東京ディズニーランド、南船橋のららぽーと、あるいは、ニューヨークのタイムズスクエアや、パリのルーブル美術館といった場所を訪れたことがある人は少なくないでしょう。

しかし、ずっと市川市に住んでいても、真間大門通りや真間山弘法寺の存在さえ知らない人はたくさんいると思います。現に私がそうでしたからね。

なので、マイクロツーリズムっていうんですかね、市川市内を巡ることを、市川市の中の人(=市川市民)に推奨すれば良いと思うんです、市川市は。

私も訪れたい場所は(行徳にあるかもねぎ商店街、欠真間にあるゴールデン街など)たくさんあります。

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「いちかわ京成縁線逍遥えんせんしょうようという活動体があり、

  • 江戸川の土手
  • 国府台駅
  • 市川真間駅
  • 菅野駅
  • 京成八幡駅
  • 鬼越駅
  • 京成中山駅の手前

まで、京成線の線路沿いを歩いています。市川砂州の上を歩く、この活動に興味がある人は、Twitterアカウント @ensen_tektek の発信をチェックしてみてください。

また、街を走りながらゴミ拾いをする「プロギング」を行っている「市川プロギング」という活動体もありますよ。

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「4travel.jp」というWebサイトには、様々な旅行記が載っているのですが、マイクロツーリズム、散歩の類も載っています。

今回、市川駅から出発して、駅付近のアイリンクタウン展望施設に上り、市川市を眺望してから、新田春日神社、真間川、六所神社、須和田遺跡、郭沫若記念公園、国分寺、国分尼寺跡、国府台、真間山弘法寺を経て、市川駅に戻るコースを歩きました。昼過ぎから歩き始めたため、途中で日が沈み、国府台ではすっかり夜になってしまいました。

出所:4travel.jp「市川を歩く (1) ―須和田から国分寺に―」(2012年1月8日)、https://4travel.jp/travelogue/10735579、2023年5月1日閲覧

このサイトに載っている他人の旅行記を読むのは、とても面白いですね(地形とはもはや関係ありませんが、本八幡で昼飲みハシゴ酒という記事など、最高です)。

というわけで、市川市内を歩いたり自転車をこいだり、車に乗るなどして移動しながら、地形の豊かさを感じることを――私自身、そのようなことを、あまりしているわけではありませんが――おすすめします!