TBSラジオ『アシタノカレッジ』2021年12月22日(水)の放送に、湯浅誠さんがゲスト出演するということを知った私(ノスタルジー鈴木)は、ツイッターで上の画像にあるような質問を投げかけました。すると、リスナーからの質問コーナーの一発目として紹介されました。公式YouTube(55分48秒あたりから。下記の埋め込み動画はその辺から再生されるようにしています)で、私の質問に対する湯浅さんの回答をお聴きいただけます。
私からの質問は、
「今年から市川市でフードバンク事業をスタートしたことで、地域における生活困窮者の問題を初めてじっくり考えました。多くの市民が、この問題に関して、自分にもできることがあると思ってもらうにはどのような方法が有効でしょうか?」
というものでした。
これに対する湯浅さんの回答は、概ね次のようなものでした。
「特定の人の課題にしないことだと思いますね。なので、困った人がいるんだ、というのは、事実です。その通りです。
ですが、多くの人がそのことに反応してくれるかって言うと、必ずしも反応してくれない。
なので、例えば、ですが、こういうのは食品ロスの問題を何とかしようという文脈にも結びつくわけですけど、フードバンクの事業っていうのは、そういうことを必要としているのは困っている人だけじゃないですよね、例えば(フードバンクが持っている食品の在庫は)防災の時の備えにもなったりするわけですよね。防災の時の備えだって言われると、『あ、俺の問題でもある』という感じになりますよね。
多くの人が我が事にしやすくすることが、多くの市民に理解してもらうために大事なことかなと思います。『あなたも関係あるよね』という(風に思ってもらうことが大事)」
番組内で湯浅さんは主に子ども食堂の話をしていました。以下の話が印象的でした。
・子ども食堂は、この1年で5,000箇所弱から約6,000箇所に増加した
・子ども食堂は、生活困窮者のため(だけ)の場ではない、みんなの場である(子ども食堂は困窮者のための場所だ、という報道はスティグマにつながるので避けるべき)
・子ども食堂は、孤食をしている人のため(だけ)の場ではない、みんなの場である
・子ども食堂で、おとな10人が食べると子ども7人分の食事をまかなえる(という分析をした人がいる)
・全国の子ども食堂で、子どもだけを対象としているのは約5%にすぎない、貧困者のみを対象としているのも約5%にすぎない(子ども食堂は、みんなの場所で、地域のコミュニティ)
・共助を頑張ることが公助を頑張らせる原因になる、実際にやってみせることが大事
・地域活動の鉄則は、「やれる人が、やれる時に、やれることをやる」
番組終了後のアフタートーク(YouTube動画の後半)で、パーソナリティのキニマンス塚本ニキさんが、このようなことを話していました。
・助けてあげる側/助けてもらう側というのは固定されたものではない。流動的。
・多くの子ども食堂は貧困な人だけのものではなく、みんなのもの──という湯浅さんの話から、「あちら」と「こちら」というふうに分けて考えがちだったが、そのような考えは分断につながるかもしれない
・「あちら」と「こちら」というふうに分けて考えないことで、互いに繋がれる
湯浅さんの、「やれる人が、やれる時に、やれることをやる」というのが地域活動の鉄則である、という話は、フリスタのメンバーがいつも話していることそのものです。また、塚本ニキさんが「あちら側(例:助けてもらう側)とこちら側(例:助ける側)」という二元論的に分けて考えるのは良くない、と話していますが、これもフリスタがフードバンク事業を始めるにあたって、「フリースタイル市川が食品の受け入れから配布まで包括的に行うフードバンク事業を開始」という記事(2021年5月31日のプレスリリース)に記した、「本事業には、『支援する⇆支援される』という二元論を超えて、地域のすべての人たちが『出番』を持てるように「つながり」を創出し、社会的関係性を構築する福祉活動という特徴があります」に通じるものですね。
お時間のある時に、冒頭で紹介したYouTube動画(TBSラジオ公式チャンネル)の、ノスタルジー鈴木のメールが紹介されたパート以外も是非視聴いただきたいと思います。