今日は、みんな大好きなサイゼリヤについて、あれこれ書こうと思います。
地球上に約1,500店舗あるサイゼリヤ
サイゼリヤとは、言わずもがな、イタリアン・レストランのチェーンで、お店の屋号であるとともに、企業名でもあります。2022年8月末時点の、子会社を含めた連結の店舗数ですが、日本国内に1,069店舗、国外に478店舗を展開しています。
コルトンプラザとシャポー本八幡にサイゼリヤが復活してくれたなら…
冒頭の写真に含まれる店舗外観写真は、在りし日の(つまり、今はもう存在しない)、コルトンプラザで営業していたサイゼリヤ店舗です。コルトンプラザ開業時にサーカスレストラン(これについては、 https://fs-ichikawa.org/underpass_futamatashinmachi/ で言及しています)が入っていた独特な形状の建物にありました。確か、その前は、今、イオンペット(本社は本八幡駅南口に所在)の店舗、ペテモが営業している場所にあったと記憶しています。コルトンにサイゼが復活することを願っています。シャポー本八幡にもサイゼが復活してほしいです。
サイゼリヤ発祥の地は本八幡(八幡一番街商店会)
さて、今や国内だけでも1,000店舗を超えたサイゼリヤの記念すべき1号店が、市川市の本八幡駅前、八幡一番街商店会にあったことを、市川パースンであれば、多分ご存知かと思います。一度、全焼した際に、そのまま閉店することを考えたそうですが、同じ場所で再度開店し(多分、それが1973年なのだと思います)、2000年2月まで営業を続けました。
今、全焼と書きましたが、個人店として1967年に創業した、その半年後、客同士のケンカで、ヌ・アント!石油ストーブの投げ合い(詳しくは以下の「ねとらぼ」の記事をご参照ください)があり、店が焼けたのだそうです。
ねとらぼ(2019年6月29日)
サイゼリヤ1号店で20年モノのサイゼリヤワインを飲む
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1906/01/news008.html
この「ねとらぼ」の記事によると、1号店が2000年に閉店した後、千葉県中小企業家同友会の宇田川さんが、もったいないから残しておくべきだと言い、それがきっかけとなって保存することになったそうです。
サイゼリヤ1号店
教育記念館保存目的チェーンストア理論により経済民主主義を掲げ発展するサイゼリヤ発祥の第1号店を保存し、その歴史と社会貢献企業としての未来を紹介し訪れたすべての人々に感動を与え、社会貢献の価値とすばらしさの理解をより深めることを目的とする。
前述の目的にそって記念館の運営にあたり、営利目的の使用は認めない。
サイゼリヤ1号店 教育記念館保存会
出所:サイゼリヤ1号店教育記念館保存目的(教育記念館入口に掲出されているもの)
たまに入口の扉が開いていることがあるので、そのタイミングで通りがかったら、意を決して中に入り、階段で2階まで行ってみてください。そこには、1号店で使われていたメニューブックなどの貴重な品をはじめ、サイゼリヤの歴史を彩る様々なものが展示されていますよ。
私が好きな「イカの墨入りスパゲッティ」(455円、税込500円)
サイゼリヤのことを、あれこれ書きたいと思うのですが、私が好きなメニューのうちの1つを明らかにしておきます。それは、「イカの墨入りスパゲッティ」(455円、税込500円。2023年9月2日時点)です。いわゆる「イカ墨パスタ」です。サイゼリヤ以外では食べたことがないと思います。少なくとも日本では。そういえば、「エスカルゴ」もサイゼリヤでしか食べません。そういう人は少なくないと思います。
あいにく、手元に「イカの墨入りスパゲッティ」の写真がないので(あればそれを掲載したかったのですが)、別の写真を載せますね。
合理性を重視するサイゼリヤの経営
美味しい料理を、リーズナブルな(手頃な)価格でお客様に提供するために、サイザリヤは様々な工夫をしています。
国内だけで1,000店舗を超える店舗網を持つサイゼリヤにとって、提供する料理の品質を安定させること、お客様の需要に応えて適切な量の品物を提供(供給)することが重要です。
セントラルキッチン方式を採用し、店舗ではほとんど調理らしいことをしない
卓越した技能を持った料理人が、その手腕を駆使して、美味しい料理をつくる、そんなレストランがありますが、サイゼリヤはチェーンストアです。サイゼリヤの看板を掲げたお店では、どのお店でも同じメニューならば、同じ品質(同じ味)であることが求められます。もし、各店舗の料理人が腕によりをかけて調理をするということになると、平均を大きく上回る美味しい料理を提供するお店もあれば、平均に満たない味の料理を提供してしまうお店もあるなど、店舗間の品質のバラツキが大きくなります。チェーンストアでは、店舗間の差を小さくする、なくすことが、お客様の、お店、ひいては企業に対する信頼を醸成すると思います。
そこで、調理の工程のうち、店内で行う部分は極力少なくし、下ごしらえなど、多くの工程は、工場で行うことにしています。いわゆる、セントラルキッチン方式ですね。工場で、なるべく人手を介さず、機械によって製造されるものの品質は安定します。各店舗では、簡単な処理だけをし、ガスレンジもフライヤーも包丁もないと言います。こうすることで、提供する料理の質の安定を図れています。
サイゼリヤは店では包丁を使わないのは有名な話。全て下処理済みの材料が店に届いて、キッチンではパスタをゆでたりグリルで温めたり、カットされたサラダを盛り付けるといった作業だけになっています。だから、キッチンを1人か2人で回せるし、料理が未経験でも短時間の研修でキッチンに立てるという合理的なシステムです。
出所:PRESIDENT Online、レストランラッセ・オーナーシェフ村山太一「45歳の凄腕シェフが『サイゼリヤは飲食業界の理想郷』と断言するワケ」(2020年8月28日)、https://president.jp/articles/-/38138?page=1、2023年9月2日閲覧
ちなみに、料理をつくる工程のほとんどを済ませた状態のものが店に届くため、店舗での処理は少なく済む、ということは、料理をお客様に提供する時間が短く済むことにもつながっています。また、キッチンとフロア(テーブルのある場所)の総面積のうち、キッチンの面積が占める割合を低くできるので、総面積が同程度の他のレストランと比べ、サイゼリヤでは、より多くの座席を配置でき、1店舗当たりの来店客数が多く、そして、1店舗当たり売上高が大きくなる、というわけです。
製造直販モデルを確立し、精度の高い需要予測と、それに基づく計画生産をおこなう
なお、提供する料理の量を安定させること、つまり、需要に対する供給の適正化(供給が多すぎず、少なすぎないようにすること。欠品による機会ロス、供給過多による廃棄ロスをいずれも発生させない)も重要ですが、サイゼリヤでは、この、量の安定化も図れています。これは、店舗での需要を正確に予測できていることによって可能になっていることです。そもそも、需要予測の精度を高められているのは、サプライチェーンの上流である生産、製造から、下流である店舗での最終消費者たるお客様への販売までを、なるべく自社でてがけるようにしている、製造直販モデルを磨いているためで、これは、ファーストリテイリングなどで知られる製造小売業(SPA)のビジネスモデルとほぼ同じですね。
店舗を運営する私たちのメリットは、店舗でいつ・どのくらい商品の販売があるか、1週間先~数カ月~数年先まで予測が立てられることです。そして、その予測に基づいて、産地も工場も先々の生産計画を立てることができます。
出所:株式会社サイゼリヤ公式Webサイト「お値打ち品のための取り組み――キーワードは『計画生産』」https://www.saizeriya.co.jp/corporate/effort/direct/keyword.html、2023年9月2日閲覧
サイゼリヤは自ら産地に赴き、素材の開発、素材の採り方、保管の仕方、加工の仕方、輸送の仕方に至るまで、すべての工程に踏み入り、品質の向上とムダの削減に取り組んでいます。
出所:株式会社サイゼリヤ公式Webサイト「お値打ち品のための取り組み――製造直販とは」https://www.saizeriya.co.jp/corporate/effort/direct/、2023年9月2日閲覧
サイゼリヤ農場での種や土壌・栽培方法の開発研究、ソースやハンバーグ加工の自社工場の運営、自社工場からの毎日配送など、まだ道半ばではありますが、レストランの運営に留まらず、素材開発から加工製造機能を自社で持つことにより、外食業の真の産業化を目指しています。
合理的に、論理的に、ビジネスを組み立てる
美味しい料理をリーズナブルな価格で提供するには、コストはなるべくかけたくありません。そこで、無駄を極力減らすため、業務を合理化しまくっています。上で引用した、PRESIDENT Online の記事によると、「ツールの置き場所や料理をスムーズに提供する動線など計算されつくしていて、仕組みやマネジメントのレベルが群を抜いている」(村山太一さんの言葉より)のだそうです。かなり前に私が感嘆したのは、当時サイゼリヤでは、「テーブルの拭き掃除」を、テーブルのこの向きに布巾を何往復する、というように定義しているということでした。また、床掃除についても同様で、記憶は曖昧ですが、床をモップで拭く場合、通路幅とモップの幅の2倍だか3倍にする、というようにしていて、無駄をなくしているわけです。
創業者で現会長の正垣泰彦さんが、東京理科大学理学部物理学科を卒業しており、物事を合理的に、論理的に考えることが得意だったことが、サイゼリヤの合理性を重んじる経営を生んだのかもしれませんね。
再開発でサイゼリヤ1号店跡地(記念館)はどうなってしまうのか?
サイゼリヤの経営上の特徴を見てきましたが、1号店の跡地、現在の記念館が、今後どうなってしまうのか?という懸念を抱いている市川パースンが少なくないことをご存知でしょうか。え?そうなの?聞き捨てならないよ!と思った人がいるかもしれません。
どういうことかというと、記念館のあるエリア、本八幡駅北口のロータリーの右手、つまり、東側の、パティオがあるあたりとその背後に広がる一帯が、再開発対象地区になっており、ここにタワーマンションが建てられるのではないか、との話が駆け巡っているのです。
上の2つの記事でも、本八幡駅北口駅前地区の再開発について取り上げています。また、タワーマンションが建てられるという計画を知った人が、こんな動画(未来予想図)を制作しています。
これまで、有志の方々が頑張って残してきた、サイゼリヤ1号店の跡地が、再開発によって失われてしまう可能性があります。再開発事業が実施されたら、この場所だけでなく、街並みそのものが完全に消え失せてしまうでしょう。
まちづくりを行うNPOとして活動しているフリースタイル市川としては、本八幡駅前の街並みが失われることを、ただ眺めているというわけにはいかないと思っています。
2023年7月23日には、「本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業に伴う都市計画原案等の説明会」に参加し、会場の参加者から質問を聞くコーナーでは、誰よりも早く挙手し、質問をしました。その時の様子は、こちらの記事に綴っています。
「本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業」に関心がある方、一緒に、八幡一番街商店会を歩いてみませんか?街並みを目に焼き付け、路地裏で写真を撮りませんか?再開発について、パティオのサイゼイヤで語り合いませんか?
お気軽にお声がけください。また、当記事や他の記事への感想やご意見も、どうぞお気軽にお寄せください。
ご意見・お問い合わせ・連絡
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe6QD16CS0hZXt0E2O7Fh6_W4fVSI6v84phEYMvGWoFM5dsaQ/viewform
* * * * *
執筆日 2023年9月2日
公開日 2023年9月2日
更新日 2023年9月4日