【コラム】市川市内でも投票率にバラツキあり

コラム

一昨日の日曜日、2022年7月10日に、参議院議員選挙の投開票がおこなわれました。

市川市民にとっては、3か月ほど前に市川市長選挙と市川市議会議員補欠選挙があったばかりなので、「また選挙か」※1と思った人も多いのではないでしょうか。国政選挙(国会議員を選ぶ選挙)は、2021年10月31日の衆議院議員選挙以来、約8か月ぶりでした。今回の参院選の後、3年間は国勢調査が行われません(衆議院解散の場合を除く)が、来年4月には、統一地方選挙※2があります。

ところで、選挙権を有している人は、先日の参院選でその選挙権を行使しましたか?

市川市は、選挙における投票率が低い自治体です。「え?それ(投票率が低いこと)の何が問題なの?」と思うかもしれません。先日、「投票率」をテーマにしたコラム「投票率が低いことは何が問題なのか」を公開したので、興味のある人は是非読んでみてください。

市川市の投票率が低いということを書きましたが、今回の参院選の選挙区の投票率は、全国でみると、52.05%で、3年前の参院選のそれを3.25ポイント上回りました。ただし、前回を上回ったとはいえ、全26回中、4番目の低さです。昭和最後の参院選では投票率が71.36%と高い水準でしたが、平成元年に65.02%を記録した後は、50%台や時には40%台に落ち込むなど、低水準が続いています。

参考:国政選挙における投票率の推移
https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/ritu/index.html

本稿の冒頭に掲載した縦棒グラフは、市川市における、千葉県知事選挙、市川市長選挙、衆院選挙(選挙区)、参院選挙(選挙区)の、最新とその前における投票率(%)を表していますです。このグラフの数値は下表のとおりです。

これを見ると、低水準ではあるものの、市川市における選挙の投票率は高くなってきていることがわかります。投票率を上げようという運動・活動がおこなわれていることも、奏功しているのかもしれません。

上の表は、平成29年(2017年。今から5年前)から今年(2022年)7月までに市川市で行われた選挙の投票率を時系列で並べたものです。地方選挙よりも国政選挙の方が投票率が高いことがわかります。メディアで報じられる情報量が、地方選挙は国政選挙に劣りますし、地方議会について報じられる機会は国会と比べて少ない(ように感じる?)こともあり、人々の地方政治に対する関心は相対的に低く、その結果として地方選挙の投票率が国政選挙と比べて低くなるのだと考えられます。

注釈※2に記載していますが、統一地方選挙というかたちをとることには、〈地方選挙への有権者の関心を高め、投票率を引き上げるねらい〉があります。来年の地方選挙では投票率が高くなるでしょうか。

さて、7月10日に行われた参議院議員選挙の投票率の話に戻りましょう。

市川市の各「投票所」の投票率が市川市公式Webサイトで公開されています。

データ出所:市川市公式Webサイト、「第26回参議院議員通常選挙 投票速報」
https://www.city.ichikawa.lg.jp/ele01/t20220710.html

千葉選挙区選出議員の選挙と比例代表選出議員の選挙が行われましたが、ここでは前者を対象とします。市川市内には78か所の投票所があります(期日前投票については各投票所のいずれかに紐づけられます)。全体平均50.1%(実際には小数第2位までの数値が公表されていますが、ここでは小数第1位に丸めた数値で話を進めます)との差を求め、投票所を投票率が高い順に並べます。

全体+3ppt以上の投票所(1位~26位)は、下表の通りです。全体+5ppt以上の投票所(1位~16位)の網掛けの色を濃くしています。この表に登場しているのは、特に投票率が高い投票所です。「市川地域ふれあい館」は78か所の中で唯一の60%超で、全体を10ppt以上も上回っています。他の顔ぶれをみると、所在地が市川市の北部や中心部のものが多いですね。

出所:市川市公式Webサイト、「第26回参議院議員通常選挙 投票速報(千葉選挙区)」より作成、https://www.city.ichikawa.lg.jp/ele01/t20220710.html、2022年7月12日閲覧

続いて、投票率が全体-3ppt~+3pptの投票所(27位~56位)を下表で確認します。▲という記号はマイナスの意味です(例:▲0.1=-0.1)。これら30の投票所は、投票率が50%前後で、市川市内では、特別高くもなく、低くもありません。

出所:市川市公式Webサイト、「第26回参議院議員通常選挙 投票速報(千葉選挙区)」より作成、https://www.city.ichikawa.lg.jp/ele01/t20220710.html、2022年7月12日閲覧

最後に、下表で投票率が全体-3ppt以下の投票所、22か所(57~78位)を確認します。全体-5ppt以下の投票所(65~78位)の網掛けを濃くしています。行徳など、市川市でも南部にある投票所が多く含まれることがわかります。

出所:市川市公式Webサイト、「第26回参議院議員通常選挙 投票速報(千葉選挙区)」より作成、https://www.city.ichikawa.lg.jp/ele01/t20220710.html、2022年7月12日閲覧

投票率が特に低い(全体-5ppt以下、65位以下の)投票所の顔ぶれをみると、東京メトロ東西線沿線エリアにある投票所(「幸小学校」、「南行徳公民館」、「福栄中学校」、「信篤市民体育館」、「行徳支所」、「南行徳小学校」、「新井地域ふれあい館」、「香取地域ふれあい館」、「押切自治会館」、「博夫防災公園管理棟」、「富美浜地域ふれあい館」)が多いことがわかります。

粗い仮説ですが、次のような事情も、これらの投票所で投票率が低い理由になっているかもしれません。

  • 人口の定着率が相対的に低く(転出する人口が多い)、地域への帰属意識が低い人の割合が高い
  • 市川市の中心部(本八幡駅周辺など)に対する関与が低く、市川市への帰属意識が低い人の割合が高い

昨日、「若者とママの投票率向上委員会in市川」のメンバーと会話していたところ、行徳エリアの30代以下の男性(投票率が特に低いそうです)が、政治や選挙に興味を持てるようなきっかけづくりをしたいと話していました。

ご参考:若者とママの投票率向上委員会in市川
〈私たちは、政党・イデオロギー・思想に関係なく、「選挙に興味を持ってもらう」また「投票率をあげる」ために、選挙や立候補予定者・立候補者の方の情報を、若者とママが分かり易い言葉と提示方法で、公平に発信するグループです〉(Facebookページより引用)
※若者とママの投票率向上委員会in市川の皆さんは、立候補予定者・立候補者への質問と回答をわかりやすく伝えて下さっています。
Facebookページ
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本稿のタイトルは「市川市内でも投票率にバラツキあり」でした。市川市の投票所78か所における投票率が最高の「市川地域ふれあい館」(60.5%)と、最低の「富美浜地域ふれあい館」(40.3%)では、20.2pptもの差があります。

投票率が低い地域には、何か共通した理由があるのかどうか(例えば上で挙げた仮説など)、そして、投票率を高くするためには、どのような取り組みが効果的なのか、すでに他所で大いに議論され、対策が講じられていることですが、市川市において、特に東西線沿線エリアにおいては、この議論がとても重要だと、改めて思います。

政治が生活に直結していること、政治が未来の社会の在り様をある程度定めるということを、多くの人が意識し、気軽な会話の中で政治の話をすることがタブー視されなくなることで、自ずと投票率が高くなるとも思います。私たちの代理人である政治家の仕事ぶりを監視し、評価し、家族や友人と議論することがタブーだというのは、おかしなことです(親しい人が自分と異なる政党を支持していることがわかると気まずい雰囲気になる、それを避けたいので、政治の話はしない方が無難――という考え方をする人は多いと思います。しかし、政治の話をすることで、むしろ人間関係が改善するようなこともあるとは思います。それがどんな話題かはわかりませんが。政治の話といっても、多様な話題があるので…)

さて、市川パースン※3の皆様には、是非、下の記事を読んでいただきたいと思います。どのような内容かというと、2022年3月の市川市長選挙で当選した新市長、田中甲さんが、6月の所信表明で語った内容です。今後、市川市政がどのような方向に向かいそうであるかを読み取れます。

少し前に、音楽にまつわるコラムを公開したからというわけではありませんが、この記事を書きながら、頭の中で鳴り響いていたソングがあります。最後に、そのソングの歌詞の一部とミュージック・ヴィディオを紹介します。

選挙の日ってウチじゃなぜか

投票行って外食するんだ

出所:モーニング娘。『ザ☆ピ~ス!』、作詞:つんく

モーニング娘。の『ザ☆ピ~ス!』※5です。『市川にゅ~す』を想起するようなタイトルですね。アイドル・ソングとしては、かなりユニークな歌詞ですが、曲調も破天荒です。ご覧ください。

* * * * *

〈注釈〉
※1:「やれやれ、また選挙か」と、村上春樹さんの小説の主人公なら思うかもしれません(参考:「やれやれ、またドイツか、と僕は思った」出所:村上春樹『ノルウェイの森』)。
※2:「統一地方選挙」とは、〈地方公共団体の首長や議員の選挙日を可能な範囲で全国的に統一して行う選挙。選挙作業にあたる職員の人件費などの経費を節減すると同時に、地方選挙への有権者の関心を高め、投票率を引き上げるねらいがある。日本では、1947年(昭和22)に新しい地方自治制度が始まって以降、4年ごとに、3~5月(年によっては3~6月)に任期満了を迎える首長と議員の選挙を4月に集中的に実施している。(中略)通常、4月前半に知事、政令指定都市長、道府県議会議員、政令指定都市議会議員、4月後半に一般市区町村長、市区町村議会議員と、前後半の二度に分けて行う。平日に選挙を行った年もあったが、1971年以降は日曜日に統一されている。〉出所:日本大百科全書(ニッポニカ)「統一地方選挙」
※3:市川パースンとは、市川市民だけでなく、元・市川市民、市川市で働いている人、市川市の学校で学んでいる人、市川市が好きで頻繁に訪問しては飲食店を漫遊してエンジョイしている人※4などを含む、市川市に関わりのある人(パースン)を指す語です。
※4:市川市が好きで頻繁に訪問しては飲食店を漫遊してエンジョイしている人としては、週末八幡botさんがよく知られています。
※5:「ザ☆ピ〜ス!」は、〈モーニング娘。の12枚目のシングル。2001年7月25日に発売された。本楽曲の発売日が第19回参議院議員通常選挙の最中で、つんく♂も「選挙」という言葉を意識して作詞した〉(Wikipediaより)とのことです。先日の参院選が第26回で、この曲が発売された21年前(!)の7月25日は7回前にあたる第19回の参院選当日だったのですね。