【市川ちょっと話】ツアー初日は市川市文化会館

コラム

シリーズ「市川ちょっと話」第5弾は、第4弾「市川市に関わりの深いミュージシャン」に続き、音楽にまつわる話をお届けします。

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2020年10月に始まった大規模改修を経て、今年(2022年)4月にリニューアル開館したばかりの市川市文化会館。市川市民にとっては、成人式※1の会場として馴染みがある会館です。また、有名な音楽家/ミュージシャンが公演を行うことでも知られています。

私事ですが、2019年1月11日に、市川市文化会館で開催された米米CLUB※2の「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019 ~おかわり~」※3、4という公演を鑑賞しました。公演名に「TOUR(ツアー)」とある通り、全国を旅しながら各地で公演する、いわゆるコンサート・ツアーのうちの1公演で、この日は「ツアー初日」でした。

初日は、ショウの完成度という意味では、ツアー後半と比べると今ひとつの場合もありますが、観客の立場としては、事前情報がない「真ッ新まっさら」な状態で、ミュージシャンの最新の姿をいち早く目にすることができる、貴重な公演です※5

米米のツアー初日公演に参加した私は、満足感に浸り、心地よい疲労を全身に感じて※6、徒歩で帰途に就きながら、「そういえば、昔、ゴマキ※7のツアー初日が市川市文化会館で行われたはず」と思い出したのでした。

それから2年以上の時を経た昨春、市川市文化会館が改修の真っ只中だったある日、ツアー初日の公演を市川市文化会館でおこなった音楽家/ミュージシャンを、何かをしながら片手間でインターネット検索してみました。すると、14組ものミュージシャンが初日公演を行っていることがわかりました。そして、長い改修期間を経て、リニューアル開館した今、改めて本腰を入れて、ツアー初日公演をおこなった/おこなう予定のミュージシャンを調べてみると、ヌ・アント※841組もいる※9ではありませんか!

早速、その顔触れをご紹介しましょう。

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市川市文化会館でコンサート・ツアー初日公演をおこなった/おこなう予定のミュージシャン

▼2020年の全面改修の前
後藤真希 (2003年4月13日)
CHAGE and ASKA(2007年3月23日)
藤井フミヤ (2008年10月4日,2010年11月13日)
宝塚歌劇団花組 (2009年5月2日)
宝塚歌劇団雪組 (2009年11月14日)
柴咲コウ (2011年9月23日)
ドリームモーニング娘。 (2011年9月25日)
山下達郎 (2011年11月6日, 2015年10月19日) ※10
冴木杏奈 (2012年9月23日)
布袋寅泰 (2013年3月15日)
ゴスペラーズ (2013年10月3日)
スピッツ (2013年11月1日)
aiko (2014年1月9日, 2016年5月21日)
ファンキー加藤 (2015年1月24日)
AK-69 (2015年2月6日)
クリープハイプ (2015年3月21日)
RIP SLYME (2015年10月30日)
斉藤和義 (2015年11月21日)
back number (2016年1月24日)
スキマスイッチ (2016年4月22日)
三浦大知 (2017年9月16日)
氣志團 (2017年11月9日)
及川光博 (2018年3月31日)
UNISON SQUARE GARDEN (2018年4月13日)
DOBERMAN INFINITY (2018年5月26日)
玉置浩二 (2018年8月17日)
南條愛乃 (2018年9月22日)
キム・ヒョンジュン (2018年9月27日)
Aimer (2018年10月31日,2019年10月31日)
米米CLUB (2019年1月11日) ※11
吉田拓郎 (2019年5月23日)
竹原ピストル (2019年9月2日)
ナオト・インティライミ (2019年9月27日)
Official髭男dism (2019年10月26日)
女王蜂 (2019年11月8日)
山本彩 (2020年2月22日)

▼2022年4月リニューアルオープン後(予定を含む)
さだまさし (2022年5月21日)
UNISON SQUARE GARDEN (2022年7月8日)
Uru (2022年7月30日)
w-inds. (2022年8月5日)
LOVE PSYCHEDELICO (2022年10月8日)

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調べてわかった範囲だけでも、これだけ多くのミュージシャンがツアー初日の公演を市川市文化会館でおこなっているのです。その理由が気になりますね。今のところ明確な理由はわからないのですが、推測することはできます。

埼玉県三郷市にまつわる事象を取り上げるローカルメディア『三郷ぐらし』で、〈三郷市文化会館がやたらと大物ミュージシャン達のコンサートツアーの初日に使われるのは何故か〉という話題を取り上げていました。

この記事の筆者は、直接、三郷市文化会館がツアー初日の会場となる理由を説明しているわけではなく、この会館によく似た戸田市文化会館がツアー初日に使われる理由として〈耳にした〉ことを記しています。

■戸田市文化会館がツアー初日に使われる理由として考えられること

・東京から近く、高速道路を降りてから比較的すぐの所にある
 来場者が確保しやすく、ツアースタッフや設備の移動が容易

・埼玉県の会場である
 東京都の会場と比べて会場使用料が安いと考えられる

・1,000席前後の中規模のホールである
 音楽公演専用の施設ではない大規模会場と比べ、音響環境が良い

・ゲネプロ会場に適している
 本番を行う直前に行われる最終リハーサルであるゲネプロでは、基本的には本番同様の内容を通しで行う。アクセスの良さ、使用料の安さが、ゲネプロ会場に適している。また、ゲネプロ実施の翌日に同じ会場で初日を迎えることは合理的。

情報出所:三郷ぐらし、「三郷市文化会館がやたらと大物ミュージシャン達のコンサートツアーの初日に使われるのは何故か?ツアー初日の双璧をなす戸田市文化会館との共通点」(2022年5月13日)、https://misato-gurashi.com/2022050904.html、2022年7月8日閲覧

考えられる理由として挙げられている4つの項目は、いずれも市川市文化会館に当てはまります(2つ目は「千葉県の会場である」となります)戸田市文化会館、三郷市文化会館、市川市文化会館、いずれも、上の条件を満たしているため、多くのミュージシャンがツアー初日公演をおこなうのだと推測できます。

考えられる3つ目の理由、「音響環境が良い」については、2010年12月9日、または10日に市川市文化会館でおこなわれた氷室京介さんのコンサート・ツアー「KYOSUKE HIMURO TOUR 2010-11 “BORDERLESS”」に参加したヒムロック※12のファンの方がブログに綴っていました。

とにかく音がいいです! 

ツアー初日の武道館にも行ってきましたが、映像・照明もちいさな会場いっぱいに照らされ、よく言われる武道館の一体感、それとは比べ物にならない本物の一体感でいっぱいでした!これには圧巻でした~♪ 

会場全てが大盛り上がり。双眼鏡越しに見たステージの氷室京介、素晴らしく悦に入っていました。一緒に行ったライブ回数では先輩の浦安組も、「今までにない最高のライブ」と絶賛しています!

出所:MEKA-2ブログ、「☆『氷室京介★2010-2011ツアーIN市川市文化会館』☆」(2010年12月10日)、https://ridersnet.jp/rdnblog/meka2/1372/%E9%9F%B3%E6%A5%BD-7/、2022年7月11日閲覧 (太字は筆者)

もちろん、ヒムロックのパフォーマンスが素晴らしかったこともあると思いますが、音響の素晴らしさがもたらした会場の雰囲気の良さも相まって、「最高のライブ」になったものと思われます。

ところで、ヒムロック級のミュージシャンともなると、市川市文化会館の大ホールは「ちいさな会場」になるのですね。そういえば、ヒムロックは、かつて(1986年7月2日)「ライブハウス武道館へようこそ!」とシャウトしたことでも有名です。

市川市文化会館の大ホールは、今回のリニューアルにより、さらに音響が良くなっているかもしれません。

なお、市川市文化会館の大ホールの席数は、リニューアル前は1,945人でしたが、リニューアル後は1,758人になりました※13。市川市の公式Webサイトによると、〈客席は広がり、ゆったりと観覧できるようにな〉ったそうです※14

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市川市文化会館は、リニューアルに際して、ロゴも一新されています。「広報いちかわ」2022年4月2日号に新しいロゴと、その制作者の声が掲載されていたので、紹介します。

市川市文化会館の入口に掲げられている新しいロゴです。「川」の中央の曲線と、「文」の▼の部分には意味が込められています。このロゴの出所は次の通りです。「広報いちかわ」Webサイト、2022年4月2日号、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/20220402/toku20220402.html

このロゴを制作したのは、市川市在住の彫刻家、武荒 信顕(たけあら のぶあき)さんです。ロゴのデザインにこめた想いを次のように語っています。

文化会館とは、文化を楽しむ場所であり、文化を発信しつつ育てる所でもあります。市を流れる江戸川の優美な曲線と、「感性の楔(くさび)」を表す、鋭い三角形をデザインに取り入れて表現しました。時代を経ても新しさを保ち続ける、文化会館にふさわしい文字として構成しました。

出所:広報いちかわ2020年4月2日号、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/20220402/toku20220402.html、2022年7月11日閲覧。(太字は筆者)
市川市文化会館のエントランスには、武荒信顕さん制作による新しいロゴが掲げられています。画像出所:広報いちかわ2020年4月2日号、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/20220402/toku20220402.html、2022年7月11日閲覧
市川市文化会館の大ホールの客席の様子です。画像出所:広報いちかわ2020年4月2日号、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/20220402/toku20220402.html、2022年7月11日閲覧

私はまだ市川市文化会館リニューアル後に、ホールで音楽の演奏を鑑賞していませんが、この記事を書きながら、早く「てこなホール」こと、市川市文化会館でエンターテイメント・ショウを堪能したいという気持ちが高ぶっています。

市川市文化会館には「てこなホール」という愛称があります。積極的に使っていきましょう! 画像の出所は次の通りです。市川市公式Webサイト、「市川市文化会館」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/1111000073.html、2022年7月11日閲覧

本稿では、多くのミュージシャンがコンサート・ツアーの初日の公演を、われらが市川市文化会館でおこなうという事実を確認し、その理由として考えられる事項を挙げました。

初日に限らず、多くのミュージシャンが公演を会館がある本八幡の地には、ミュージシャン御一行様はもちろん、たくさんの観客も訪れます。大ホール1,758席のチケットが完売したとして、当日参加しない人が2%だとすると、1,723人の観客が会場にやって来る計算になります。大ホールで年間に何回の公演がおこなわれるか調べていませんが、週1回だとすると年間52週なので、年52回ですね。年52回の公演がおこなわれると仮定すると、89,596人がやって来ることになります(∵1,723×52=89,596)。この計算は適当ですが、少なく見積もっても年間に4~5万人は、市川市文化会館で行われるイヴェントのために本八幡にやって来ると思われます。

開演直前に本八幡に到着し、終演後はすぐに本八幡を後にする人もいるとは思いますが、公演前後に近隣の飲食店で食事をする人も多いでしょう。あるいは、せっかく本八幡に足を運ぶのだから、ということで、「ついでに」他の場所を訪問する人もいると思います。

本八幡エリアの、あるいは、本八幡から徒歩や公共交通機関で足を伸ばせる場所にある、飲食店や観光スポットを、市川市文化会館にやって来る人たち向けに強く訴求すれば、市川市の経済活性化にもつながりますし、好きなミュージシャンの公演を見るためにたまたま訪れた人が、市川市の魅力に気が付くかもしれません。公演の開催がなくても、定期的に来街するようになり、いずれは転居してくる、そんな人もいるかもしれません。

今、太字で書いたことは、以前から私がひとりで勝手に熱弁をふるっていることなのですが、リニューアルを機に、市川市の中でも高い集客力※15を誇る市川市文化会館を軸とした地域活性化の仕掛け、工夫を講じてみてほしい――と、他力本願な私なのでした。

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〈注釈〉

※1:市川市では、現在、成人式ではなく「二十歳の集い」という名称で呼んでいます。2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、この集会は今後も20歳の人を対象に行われるそうです。

※2:「米米CLUB」がデビューに至る経緯は次の通りです。
〈1981年秋のある夜、大久保(BON)と小野田の2人は「米米クラブ」という架空のパロディバンドがあると仮定し、その時のノリで「私こしひかり」「奥さん米屋です」「夜泣き米屋」といったオリジナルソング10曲を作り、テープに録音する。しかし、それはほんの軽い遊びであり、以降は2人の記憶から消えていった。1982年3月には、文化学院を卒業。大久保は進学、小野田は就職、石井は街頭パフォーマンスなどをして過ごしていた。だが、1982年10月頃に、大久保と小野田がすっかり忘れていた「米米クラブ」の話を石井がどこからか聞きつけ、「”米米クラブ”ってバンドやろうぜ」としつこく言い出し、大久保のバイト先にも石井から電話があり大久保がバイトから帰って来ると大久保の家に石井がいて夕飯を食べていたり等、[行動がエスカレートしたため、(筆者加筆)]しぶしぶ大久保がリーダーとなり、昔の音楽仲間を集め、何とかバンドとしての体裁を整えたのが始まりである。1982年11月23日に、慶應義塾大学三田祭[のオシャレなステージ(筆者加筆)]でオリジナル曲8曲と山本リンダの「狂わせたいの」を披露。その場限りのおふざけバンドのつもりが、観客の好評を得た。メンバーも、ライブに空間的総合芸術の光を感じ、以後ライブハウスで活動を重ね「謎のパフォーマンス集団」などと呼ばれテレビや雑誌にも登場して話題となり、1985年10月21日にシングル『I・CAN・BE』、アルバム『シャリ・シャリズム』で、CBSソニー(現 ソニー・ミュージックレコーズ)からデビュー。〉(Wikipediaより) 

※3:「K2C」とは、「KOME KOME CLUB」の略称で、1991年に発売された6枚目のアルバムの名称にもなっています。

※4:2019年1月11日に市川市文化会館で開催された米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019 ~おかわり~」における演奏曲目は次の通りです。

●第1部
NICE TO MEET YOU
KOME KOME WAR
あ!あぶない!
あたいのレディーキラー
DRY MAN
OH!
迷路
ROPPONGI – 雨
スタイリッシュ・ウーマン
I LOVE YOU
チョビットダンス
ジンジンさせて
かっちょいい!

●第2部
TIME STOP
Troubled Fish
KISSING BLUE
Simple Mind
どんまい
UHA UHA (BIG HORNS BEE)
大人物
君がいるだけで
浪漫飛行
愛 Know マジック
Shake Hip!

●アンコール
リッスン
ごきげんよう!PARTY NIGHT
また逢う日まで

※5:コンサート・ツアーでは、公演を重ねるうちにプレイする曲目が差し替えられることもあり、映像作品化されることの多いツアー後半日程の公演では披露されていない曲が、前半日程、特に初日には演奏されることもある、という意味では、初日には(後に)「幻の曲」として扱われることになる曲を聴ける可能性もあるのです。例えば、※4の米米CLUBツアー初日に披露された「迷路」や「リッスン」は、ツアー後半の公演では演奏されなかったようです。

※6:「心地よい疲労を全身に感じて」いたのは、客席でダンスしながらステージで繰り広げられるエンターテイメント・ショウを鑑賞していたためです。誰の?米米CLUBの。※7:「ゴマキ」とは、後藤真希さんの愛称です。

※8:「ヌ・アント」とは、驚嘆を表す「なんと」の意味です。

※9:「41組もいる!」は、宮藤官九郎さん脚本によるドラマ『11人もいる!』へのオマージュですが、『11人もいる!』というタイトルは、萩尾望都さんの漫画『11人いる!』のパロディです。『11人いる!』は、〈萩尾望都による日本の中篇SF漫画。漫画雑誌『別冊少女コミック』1975年9月号から11月号に連載された。宇宙大学の入学試験で宇宙船に閉じ込められた受験生たちを描いた密室劇で、SF作品であると同時に、ミステリー、友情、恋愛などの要素も盛り込んだ作者の代表作である。〉(Wikipediaより)

※10:山下達郎さんは、2011年11月6日、2015年10月19日の他、2019年6月6日にもツアー初日の公演を市川市文化会館で開催する予定でしたが、バンドのメンバーが病気を患い、公演が延期になっています。

※11:ノスタルジー鈴木も鑑賞した※4の公演です。

※12:「ヒムロック」とは、氷室京介さんの愛称。アクセントは「ロ」ではなく「ヒ」に置くようです。

※13:情報出所は次の通りです。LiveWalker、「市川市文化会館」、https://www.livewalker.com/web/detail/9890、2022年7月11日閲覧。

※14:情報出所は次の通りです。市川市公式Webサイト、「市川市文化会館」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/1111000073.html、2022年7月11日閲覧。

※15:例えばニッケコルトンプラザもたくさんのお客さんを集める商業施設ですが、自動車でやって来る人の割合が高く、そのような人たちはこの中で買い物や飲食などの目的を果たし、施設周辺を歩くことは少ないと思われます。

「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019 ~おかわり~」で披露された米米CLUBの代表曲「KOME KOME WAR」の映像です。
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