【コラム】パブリックコメント(略してパブコメ)

コラム

先日、ひょんなことから、市川市のパブリックコメント(パブコメ)について調べてみようと思い立ちました。

パブリックコメント(市川市公式Webサイト)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/catpage/cat_00000452.html

さて、パブコメとは何か?ということですが、市川市公式Webサイトでは、次のように説明されています。

パブリックコメント手続とは、市が条例や計画などを策定するときに、案の段階で公表し、その案に対する意見などを募集し、寄せられた意見などを考慮しながら案を決定するとともに、意見などに対する市の考え方をあわせて公表する制度のことです。

出所:市川市公式Webサイト、「パブリックコメント(令和3年度)」(2022年5月20日)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/new01/0000363182.html、2022年11月30日閲覧(太字は筆者)

条例などを策定しようとするときに、案を開示し、市民から意見を募り、それを考慮する、という手続きですね。

パブリックコメントについて詳しく知りたい方は、「行政手続法」の「第六章 意見公募手続等」をチェックしてみてください。

  • (意見公募手続)第三十九条
  • (意見公募手続の特例)第四十条
  • (意見公募手続の周知等)第四十一条
  • (提出意見の考慮)第四十二条 
  • (結果の公示等)第四十三条

e-gov https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405AC0000000088

パブコメの手続きは下図の流れで進められます。

出所:市川市公式Webサイト、「パブリックコメント(令和3年度)」(https://www.city.ichikawa.lg.jp/new01/0000363182.html)に掲載の図を元に筆者が作成。

市川市では、毎年度、10前後の政策案についてパブコメを募っています。どんな案に対して、何件くらいの意見が寄せられるのでしょうか。ここでは、過去数年間の政策案と集まった意見の件数を確認します(情報出所:市川市公式Webサイト。表の番号は私が適当に付与したもので、意味はありません)

市川市における平成30年度のパブリックコメント意見提出件数(情報出所:市川市公式Webサイト。表の番号は私が適当に付与したもので、意味はありません)
市川市における令和元年度のパブリックコメント意見提出件数(情報出所:市川市公式Webサイト。表の番号は私が適当に付与したもので、意味はありません)
市川市における令和2年度のパブリックコメント意見提出件数(情報出所:市川市公式Webサイト。表の番号は私が適当に付与したもので、意味はありません)
市川市における令和3年度のパブリックコメント意見提出件数(情報出所:市川市公式Webサイト。表の番号は私が適当に付与したもので、意味はありません)

4年度(4年間)で34案が公開され、合計557件の意見が提出されました。

寄せられた意見が最多だったのは、令和元年度の「(仮称)市川市自治会等を応援する条例(案)について」で、173件でした。これに次ぐのが、令和2年度の「第三次市川市環境基本計画(案)について」の92件、3番目が令和元年度の「市川市公立保育園民営化ガイドライン(案)について」の59件でした。

反対に、寄せられた意見が最も少なかったのは、ヌ・アント!0件の政策案で、4年間に9つもありました。政策案34のうち、9案は1件も意見が寄せられなかったのです。全体の26%、1/4超という多さに驚かない人がいるでしょうか?意見の数が2件以下だった政策案は18で、全体の53%です。4年間に公開され、広く意見を募った34の政策案の、実に半数以上は、集まった意見が2件以下という寂しい事態です。

しばしば、市川市は選挙の際の投票率の低さが話題になります。

市川市民は政治への関心が低いから、投票率が低いのだ、という声を聴きます。

今回確認したように、市川市ではパブリックコメントで政策案への意見を募っても市民の反応が薄いことから、地域の将来がどのようになることが望ましいかを考えたり、市に声を届けたいと思う人が少ない、と言うこともできそうです(もちろん、市に対して意見と伝える方法は、パブコメ以外にもあります)

一方、投票率の低さ、パブコメの意見件数の少なさは、市民の意識の低さを反映しているということだけでなく、市による広報、周知のやり方に問題があり、改善の余地がある、ということも考えられます。

そんなわけで、本稿ではただ単に、市川市のパブコメに対してどのくらいの意見が集まっているのかを確認しただけですが、近い将来、「パブコメに意見を提出してみました」という記事を書ければよいな、とも思っています。

それでは、皆さん、12月にお会いしましょう!メリー・クリスマス!

2022年11月30日、22時35分、記す。

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〈注釈〉

※:冒頭の画像の出所は「市川市新庁舎建設基本設計図書」株式会社山下設計です。