【コラム】パネル・写真展『日本とトルコ クルド難民の今』を見て

コラム

市川市には100を超える国の人々が住んでいます。多文化共生社会そのもので、市は自らを「国際都市」と称してもいます。私は「市川市は小さな地球」だと主張しています。

そんな市川市には、危険から逃れるため、母国から日本にやってきている人たちがいます。そのことについては、こちらのコラムに記したので、是非読んでみてください。

ここのところ、入管法の改正をめぐって様々な報道が飛び交っていることは、ここを訪れてくださる皆さんもご存知のことでしょう。それって市川市と関係あるんだっけ?と思う方もいると思いますが、関係あるのです。――ということを、こちらの記事に綴りました。

さて、私は(これを書いている今日6/26を起点とした時の)昨日6/25、『市本・みんなの読書会』に参加しました。昨日の会は第3回で(ここは、昨日の回と書くべきでしょうか?)、第1回と第2回にも私は参加しております。第1回(復活しての初回)に参加した時のことは、こちらに書いているので、興味のある人は読んでみてください。

ちなみに、読書会の主催者の方、そして運営を手掛けている方々を、7月1日(土)の『第25回いちカイギ~笹の葉ラプソディ~』にお招きしており、読書会を立ち上げた経緯や、今後の展開などを大いに語っていただく予定です。多くの方にお話を聞いてほしいと思っています!

話を少し戻しまして、えー、あ、そうそう、昨日は夕方から夜にかけて、『市本・みんなの読書会』に参加したのですが、その前はどこで何をしていたかと言うと、本の町、神保町にいました。昨日訪れた書店は「PASSAGEパサージュ by ALL REVIEWS」という、たくさんの棚主さんがそれぞれ選んだ本を自分の棚に陳列しているという、いわゆるシェア書店です。非常に魅力的な場所なので、この空間について今すぐにでも筆を走らせたいのですが、今日はそれをぐっとこらえて、撮影した写真の掲載と、Webサイトの紹介に留めます。

PASSAGE by ALL REVIEWS の外観(2023年6月25日撮影)

PASSAGE by ALL REVIEWSに出店している個性豊かな棚主の皆さん
https://passage.allreviews.jp/store

昨日、ここに行く前、私は坊と共に、近くの「日本教育会館1階 一ツ橋画廊」にいました。そこでは、あるパネル展・写真展が催されており、昨日が最終日だったのです。

先週、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」を聴いていたら、番組内でパーソナリティ宇多丸さんが紹介していたのが、この展示会で、これは是非行きたい!と思い、どうにかこうにか最終日に行くことができました。

パネル・写真展
「日本とトルコ クルド難民の今 ―入管法改悪、トルコ大震災の惨禍―」

パネル展・写真展「日本とトルコ クルド難民の今 ―入管法改悪、トルコ大震災の惨禍―」チラシ画像

展示会場は大きく二分されていました。向かって左手の空間には、日本で生活するクルドの方など、外国から逃れてきた人の様子をとらえた写真が何枚も展示されていました。

その中には、入管施設に収容されている人の写真に、そこでの生活に絶望して自殺を何度も試みたという説明文が添えられているものもありました。

日本人の配偶者と再会して抱擁する人の写真もありました。

入管や入管施設という言葉を報道で良く耳目にしますが、外国の方々が収容される施設が、どのような外観をしているか、意外と知らない人も多いのではないかと思います。

東京出入国在留管理局(東京入国管理局、東京都品川区)や東日本入国管理センター(茨城県牛久市)を外からとらえた写真は、それらの施設の中で、どのような人が、どのような生活をしているかを知らずに見たら、何の変哲もない、よくある建築物に見えます。

しかし、私には、恐ろしい場所に見えました。入管施設は恐ろしい場所という先入観を持ってしまっているので。

パネル・写真展「日本とトルコ クルド難民の今 ―入管法改悪、トルコ大震災の惨禍―」会場の様子(2023年6月25日撮影)
写真などの接写は不可で、離れたところからの撮影は許可されていました。

会場の向かって右側には、トルコ国内で今年の2月6日に発生した大地震の被害を受けた人々の様子や、崩壊した建物を捉えた写真が展示されていました。

冬の寒い時期で、積もった雪があるような地域で、テントにもありつけずに野外で寝なくてはならない家族が、清潔な飲み水を得ることも難しく、雪を溶かして飲んでしのいだという説明文が添えられた写真もありました。

パネル・写真展「日本とトルコ クルド難民の今 ―入管法改悪、トルコ大震災の惨禍―」会場の様子(2023年6月25日撮影)

その他、トルコ国内で軍に命を狙われた人たちを映した衝撃的な映像もありました。私が見た映像は、数名で身を潜めながら道路を渡ろうとしたところ、軍に見つかって銃撃される現場を、撃たれる立場で撮影し続けたものでした。パン!パン!と乾いた銃声がし、襲われた人たちの悲鳴が上がる――弾が直撃したのでしょう、手持ちカメラ(スマホでしょうか)がぐらりと横になり、叫びが何度も上がり、やがてその声が止まると、映し出されていた地面をおびただしい量の血液が流れていきました。

殺されそうになりながら、なんとかトルコを脱出し、日本に来ている人たちを、元いた国に強制送還するということは、殺される場所に戻れと言うことを意味します。

日本は国連の難民条約を批准しています。

難民条約には、難民の権利や義務についての規定があります。その中でも特に保障されているものとして

1.難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない(難民条約第33条、「ノン・ルフールマン原則」)
2.庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない(難民条約第31条)

という決まり事があります。どちらも難民に保護を保障し、生命の安全を確保するための大切な決まりです。

出所:UNHCR(日本)「難民条約について」、https://www.unhcr.org/jp/refugee-treaty、2023年6月26日閲覧

私自身、少し前までは難民(あるいは移民)のことを何も知りませんでした。今でも、あまり詳しく知っているわけではありません。しかし、たくさんの報道に触れ、興味が湧き、たまにフリースタイル市川のWebサイトに文章を書くなどしているうちに、もっと知りたいという思いが強くなってきました。

たまたま、先週、ラジオ番組で紹介されていたことで、展示会の存在を知り、見に行くことができて、本当に良かったです。

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日本で暮らすクルド人を描いた映画があります。日本の埼玉県川口市で生活する高校生の視点で描かれる、映画『マイスモールランド』です。この映画を見て本当に良かったと思っています。

映画『マイスモールランド』

埼玉に住む17歳のクルド人サーリャ。
すこし前までは同世代の日本人と変わらない、ごく普通の高校生活を送っていた。
あるきっかけで在留資格を失い、当たり前の生活が奪われてしまう。
彼女が、日本に居たいと望むことは“罪”なのだろうか――?

出所:映画『マイスモールランド』公式Webサイトの紹介文

この映画を見る、たしか少し前だったと思いますが、私は坊と、東京都北区赤羽から、荒川に架る橋を歩いて渡り、対岸にある埼玉県川口市に行きました。

この映画を見た後では、橋を渡るということが持つ意味の大きさ、重さ、というか、それ(橋を渡ることの重要性を変えてしまうこと)を、日本人が決めてしまえるという事実を、「おかしい」と言いたくなります。

それで、時々こんな文章を刻んでいるのかもしれません。

また、いつか、この題材で文章を書くと思います。

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執筆日 2023年6月26日
公開日 2023年6月28日