【フードバンク】居酒屋常設の子ども食堂とジョン・ボン・ジョビ夫妻の無料食堂”Soul Kitchen”

フードバンク

公開日 2023年2月9日
冒頭の画像は JBJ Soul Kitchen の外観写真です(Facebookより引用)

「いちかわフードバンクbyフリスタ」では、皆さんに寄贈していただいた食品を、子ども食堂や福祉団体などに提供しています。

「NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ」によれば、こども食堂(NPOの名称に合わせて、ここでは「こども」としています)は増加を続けており、2022年時点で全国に7,331箇所あるということです(出所:NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ プレスリリース、「2022年度 こども食堂全国箇所数発表(2022年12月 速報値)」(2022年12月15日)https://musubie.org/news/6022/)。

市川市でも、新たに子ども食堂を始めたいという人がいるなど、今後も増加する可能性が高いと思います。

子ども食堂の担い手は、多くの場合、自治会やNPO法人であり、場所や人材の確保が課題となるケースが少なくありません。その点、以下で紹介する事例のように、飲食店であれば、本業をおこなうかたわら、常設のこども食堂を開くことも可能です。

というわけで、はじめに、日経MJ(2023年1月28日)で紹介されていた事例を紹介します。その後、あのスーパースターの取り組みと、以前にも紹介したコミュニティカフェを紹介します。

「焼鳥とあて巻き 居酒屋 大悟」に常設された子ども食堂

東京都西国分寺市の「焼鳥とあて巻き 居酒屋 大悟」は、子ども食堂も営んでいます。

記事によれば、子ども食堂は居酒屋と席もメニューも同じで、隔たりを感じさせないとのことです。

居酒屋のお客さんが支援に加わりたくなるような仕掛けがあり、店舗営業の中に無理なく社会貢献活動を組み込んでいます。次のような流れができているとか。

  1. 居酒屋に来たお客さんが、子ども食堂券を1枚300円で購入する
  2. 子どもへのメッセージと名前を書いて券を店に置く
  3. 子ども食堂を利用する子どもは、券を使って無料で食事をする
  4. 食事をした子どもが券の購入者にメッセージを書く
  5. 自分が購入した券を使った子どもからのメッセージを楽しみに来店する人もいる

1か月で30枚から40枚の子ども食堂券が売れるそうです。それ以上の人数が子ども食堂を利用しても良いように、食事券とは別の財源として、居酒屋大悟を営むファイブグループ約90店舗で導入しているチャリティー・メニューがあり、表示価格のうち20~50円が子ども食堂の活動費に充てられています。2022年には、チャリティー・メニューの販売によって100万円超が集まったそうです!

子ども食堂を営むことで、ファイブグループには、社会貢献活動に共感した、との理由で入社を希望する学生が増えたということで、この活動が本業にもプラスに働いています。とても良い循環ですね。

市川市にこんな居酒屋があったら、通いたくなりますね!

ジョン・ボン・ジョヴィ夫妻の”無料食堂”「JBJ Soul Kitchen」

まずは、この短い動画をご覧ください。

ジョン・ボン・ジョビといえば、ロックバンド「BON JOVI」を率いるカリスマ的なミュージシャンですね。そんなスーパースターの彼が、妻さん(奥さんではなく意図的に妻さんと書いています。坂本裕二方式です)と共に、無料の食堂を営んでいるというのです。

画像出所:「ジョン・ボン・ジョヴィ JBJソウルキッチン【和訳】」https://www.youtube.com/watch?v=nMfkEjmx7tU のキャプチャ

Forbes Japan.com
「ロックスターから皿洗いへ ジョン・ボン・ジョヴィ夫妻の『無料食堂』」
https://forbesjapan.com/articles/detail/60423

ドロシア:私たちがやりたかったのは、食材や運営費用を寄付で賄う店ではありません。お金に困っている人は、食事代を払わなくてもいい。その代わり、ボランティアとして店の仕事を手伝ってもらいます。一方で、食事代が払える人には、自分が食事をしたついでに、恩送りのかたちで他の誰かのお代をもってもらうのです。

ジョン:自分の食事代のほかに、テーブルに20ドル札を1枚置いていってくれれば、困っている誰かの食事代を払ったことになるんですよ。困っているといっても、映画に出てくるような生活困窮者のイメージは捨ててほしい。彼らはどこにいてもおかしくない隣人であり、我々のコミュニティの一員です。コロナ以前は、飲食店の店員やバスの運転手だったかもしれない。

(中略)

ドロシア:困っている人にタダで食事を提供することはできますが、それだけではダメなんです。炊き出しの列に並ぶ人たちに食事を提供するなら、同時に、炊き出しの列そのものを短くする必要があるのです。そのために私たちができることは、困っている人たちが行動を起こし、自ら努力して次の段階に進めるようになるために、力になることです。

──おふたりの活動は、10年後にはどうなっていると思いますか? 目標は?

ドロシア:廃業していたいわね。

ジョン:そうなっていたら最高だね!

出所:Forbes Japan.com、「ロックスターから皿洗いへ ジョン・ボン・ジョヴィ夫妻の『無料食堂』」(2023年1月27日)、https://forbesjapan.com/articles/detail/60423、2023年1月28日閲覧 太字は筆者による強調

素晴らしいですね。

  • お金を払えない人:払わなくても良い。その代わりに見せの仕事をボランティアとして手伝う
  • お金を払える人:自分の分の支払いに加えて、他の誰かの分も支払う

ジョンの妻ドロシアさんが、10年後には廃業していたいと言っています。これは、その頃にはこのお店が必要ない状態になっていることを望んでいる、ということでしょう。この事業を立ち上げた際に考えていた課題が、活動を通じて解消されたならば、よろこんで廃業しよう、そんな気概を感じます。

ブライトンのコミュニティ・カフェ「ガーデナー」

ところで、JBJ Soul Kitchen のことを考えていたら、先日、公開した記事で取り上げた、イギリスのブライトンにある「ガーデナー」というコミュニティカフェのことを思い出しました。

ガーデーナーには面白い特徴が色々あります。

  • ユニークなのは、値段を買い手各自が決める「Pay as you feel」(あなたが感じたままに支払う)というシステムを取っている点
  • 人々を分断させないために「Pay as you feel」システムを採用しているのだという
  • 貧富の差を理由に「あなたは支払わなくていい」と誰かを除外するのではなく、たとえほんのわずかであっても負担できる額を払うことで、ひとりひとりを尊重して平等とするという考え方に基づいている
  • ランチを作るために必要なお金(寄付された食材を集めるための車の維持費やガソリン代、店舗の家賃や調理の光熱費)に充てるために、そして、カフェで働くボランティアたちの労力に敬意を示すために、人々は自分たちの懐具合に合わせた金額を払っている

情報出所:madame FIGRO.jp、「世界は愉快 フードロス編 from イギリス フードロスに一石を投じる、イギリスのカフェの挑戦。」(2021年10月7日)、https://madamefigaro.jp/series/yukai/211007-gardener.html、2023年1月8日閲覧

こちらは、少しでも良いので払ってもらう、というルールで運営しています。このルールを設定しているところに、貧富に差はあっても、それが理由で人々が分断されてしまうことは良くないのだ、という強い意思を感じます。

(うまくまとめようとしていない)まとめ

日本の子ども食堂の中には、子どもには無料で料理を提供するところもあれば、例えば300円の支払いを求めるところもあります。色々な運営方法があり、それぞれに理想があって、解消したい課題もあるのが、この種のコミュニティカフェ、子ども食堂、無料食堂のような場なのだろうと思います。

先日、子どもの居場所に関するコラムを書きました。

対象は子どもだけではないですが、子ども食堂のような場は、利用する人にとって、大切な場所になりうると思います。それこそ、サードプレイスたりうるかもしれません。

現在(2023年2月9日)、あなたにとっての大切な場所、サードプレイスをお聞きするアンケートを実施しています。是非、お気に入りの場所を教えてください。

あなたのサードプレイスを教えてください!」
アンケートフォーム

当サイトでは、今後も、気になる取り組みをおこなっている事例を取り上げ、少しだけコメントを添えて、このような記事として発信していきます。