【コラム】ICHIKAWA COMPANY、それは、かつて存在した市川市の仮想会社

コラム

執筆者 2023年4月19日
公開日 2023年4月22日
冒頭の画像は、ICHIKAWA COMPANY 公式noteの2020年3月26日の投稿記事(https://note.com/ichikawacompany/n/n499ac5710d15)からの引用です。

覚えていますか?

何を?

ICHIKAWA COMPANY を!

――と、いうわけで、本稿では(今や誰も話題にすることのない)ICHIKAWA COMPANY を取り上げます。

ICHIKAWA COMPANY とは。

いちかわ未来創造会議が主体となり推進する
「市川市における都市の課題を解決するための仮想会社。」

市川市民、専門性を有する民間パートナー、行政が一体になって、
先進的な取り組みを継続的に生み出し、
生活満足度の向上と市民の誇りの醸成を目指していくプロジェクトです。

出所:市川市公式Webサイト、「ICHIKAWA COMPANY」(2022年6月24日更新)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/1111000279.html、2023年4月19日閲覧

こう言っちゃなんですが、仮想会社 ICHIKAWA COMPANY が目指すものが、「生活満足度の向上」と「市民の誇りの醸成」というのは、少々拍子抜けですね。仮想会社というからには、目指すものは、壮大で、夢があって、挑戦的で、大胆なものであっても良いと思います。

ICHIKAWA COMPANY とは何か?を説明する別の文章を紹介します。

画像出所:市川市公式Webサイト、「ICHIKAWA COMPANY」(2022年6月24日更新)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/1111000279.html、2023年4月19日閲覧

わかりますか?

私はなんだかわかりませんでした。多分、関係者以外では私が世界で一番多くこの文章を読んでいると思うのですが、何度読んでもわかりません。

画像出所:市川市公式Webサイト、「ICHIKAWA COMPANY」(2022年6月24日更新)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/1111000279.html、2023年4月19日閲覧

よくわからないなどと書きましたが、別のところには、「ICHIKAWA COMPANYの8つの目標」が記載されていたので、それを確認することにします。

別のところというのは、市川市公式Webサイト内ではない、という意味で、ここでは、ブログのプラットフォームであるnoteを指します。

ICHIKAWA COMPANY 公式note(https://note.com/ichikawacompany/n/n499ac5710d15)には、以下の8つの目標が書かれています。

  1. 都市生活をスマートにしよう
  2. シェアリングで発想しよう
  3. 健康な毎日を送ろう
  4. 子どもの想像力を豊かにしよう
  5. これからの働き方を実践しよう
  6. 自然を暮らしに取り入れよう
  7. 多様性ある文化をつくろう
  8. 市川への愛と誇りを育てよう

意欲的な目標ということもできそうですが、色々時になる点もあります。

「多様性のある文化」とは何でしょうか。そして、それを「つくる」とは?

また、郷土愛の醸成を目標にしていますが(上でみた「市民の誇りの醸成」に近いですね)、それは結果的にそうなれば良いかもしれないものの、それ自体を ICHIKAWA COMPANY の目標とすることには違和感を覚えます。都市の課題を解決するための仮想会社が、郷土愛の強化を目的にする?変じゃないですか?

ところで、この公式noteに、こんな説明が記されていました。

『社会実証実験レポート/ICHIKAWA COMPANY』は、いちかわ未来創造会議による社会実証実験レポートをお伝えしていくマガジンです。都市問題の解決に向けて市川市民、そして専門性の高い民間パートナーと共に、取り組む様子をお届けします。

出所:ICHIKAWA COMAPNY 公式 note、「『ICHIKAWA COMPANY』公式noteをスタートしました」(2020年3月26日)、https://note.com/ichikawacompany/n/n499ac5710d15、2023年4月19日閲覧

マガジンというのはnoteの記事の種類のことです。実際に、マガジンには、上の説明が記載された1つ目の投稿(2020年3月26日 14:08)を含め、計13本の記事がありますが、実は、5日間という極めて短い期間に集中的に投稿されているのです(最後の投稿は2020年3月30日 13:04)。短期集中!まるで、短期集中講座のよう!

日付と、その日に公開された記事の本数は、以下の通りです。

3月26日(木) 4本
3月27日(金) 3本
3月28日(土) 2本
3月29日(日) 1本
3月30日(月) 3本
―――――――
計5日間 13本

うがった見方をすれば、年度内に、ICHIKAWA COMPANY の実績をちゃんと市民に向けて発信しなければならない、ということで、慌てて3月末の(土、日を含む)5日間で記事をとりまとめて、どさっと公開した、という印象を受けます。

ちなみに、社会実証実験を公募したところ、応募件数は24件で、書類審査の結果、13件が選ばれました。下表の白抜き文字の2、4、8は、特に優秀な提案をしたものとして賞賜金50万円が授与されたそうです。ちなみに、私が確認した範囲では、公式noteに、13件のうち、3を除く12のプロジェクトの実施報告が掲載されていました。

出所:市川市公式Webサイト、「【ICHIKAWA COMPANY】社会実証実験の公募の結果発表!13のユニークなプロジェクトを認定!」(更新日2020年12月26日)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/1111000271.html 掲載表をもとに作成。2023年4月19日閲覧

これらのプロジェクトは、上掲の8つの目標のどれの達成に資するものなのでしょうか。それを真剣に考える余裕が今の私にはありません。

さて、ここで、ICHIKAWA COMPANY の推進主体だった「いちかわ未来創造会議」とは何だったのか、確認しておきましょう。

いちかわ未来創造会議は、産学官の連携を通じ、先進的技術や斬新な発想に基づく既存技術の組み合わせ等の活用により、便利で暮らしやすいまちの実現を図ることを目的として設置された組織体です。2019年4月11日に設置されました。そして、ほぼ1年前、2022年4月21日に解散しました。それに伴い、仮想会社 ICHIKAWA COMPANY も終了したのです。

ちなみに、いちかわ未来創造会議は、「ICHIKAWA COMPANYの社員のひとり」でもあったそうです。ちょっとこんがらがってきました。会議が先にあって、COMPANYが生まれたはずですが、会議はそのCOMPANYの社員でもある。不思議ですね。

通算で7回開催された代表会議の議事概要は、こちらのWebページで閲覧できるので、興味がある人はチェックしてみてください。

市川市公式Webサイト
いちかわ未来創造会議
https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/1111000260.html

本稿では色々と確認しましたが、市民目線で都市の課題を解決することを謳っていた ICHIKAWA COMPANY には、ほとんど市民の目線が入る余地はなかったように思えます。

強いて言えば、去年の1月、活動終了の3か月前に、こんなことをおこなっており、それが、市民の目線を意識した数少ない活動だったのかな、とは思います。

2022年1月15日に、「わたしたちが未来を変えていくためには」という議題に基づいて、市川市内の中学生2名、高校生2名が、自身のアイディアを発表し、それをもとに代表会員6名と議論したことがありました。生徒たちの発表と、その後の議論を含めて、わずか60分間という時間の中で。

参考までに、生徒4名の発表タイトルを挙げます。

  • 「AIを活用した高齢者向け就労マッチング」国府台女子学院高等部
  • 「健康な街『いちかわ』を目指して」市川中学校
  • 「自分たちが住みたいまち」国府台高等学校
  • 「より温かみと繋がりのあるいちかわ」 第二中学校

この4名の発表内容の詳細について知りたいと思いましたが(2022年4月21日最終更新のWebページには後日掲載すると明記されていますが)、2023年4月19日現在、まだ掲載されていないようです。

キリンくらい首を長くして待とうと思います。

私は、1992年にニッポン放送「上柳昌彦のベストヒットサンデー」に送ったリクエストハガキが読まれた際に、ノベルティグッズの時計をもらえることになったのですが、待てど暮らせど、今に至るまで送られてきません。番組はかなり前に終了しているので、もう届く見込みはないかもしれません。ちなみに、リクエストした曲は、以下の2曲です。

  • Honesty / Billy Joel
  • 嫁津波 / 山田実とトップゴージャス

それでは、またお会いしましょう!

・・・・・誠実って、何て寂しい言葉なのでしょうか。