【森の入口】ようこそ、ここへ!遊ぼうよ!Paradise

コラム

森はお好きですか?

市川市国府台の緑地。「水と緑の回廊」として江戸川や里見公園へと続く遊歩道が整備され、散歩が気持ちよい

僕は森が大好きで、いつも大変お世話になっております。
休日の朝や、仕事の合間に、ちょっと自宅の前の森を歩くと、仕事の小さな悩みなどはどこかへ行ってしまいます。
一人でカメラを持って森に入ると、毎回いつもと違う表情をみせてくれます。

森好きが高じて、長男が生まれた時は、名前に何とか”森”の字を入れてみたくなってしまい、
森助(しんすけ)や 林道(りんどう)などという名前を考案してみたものの、
奥様に猛反対され、断念しました。

それでも諦めきれず、二女には 梅乃(うめの)と名付けました。
うちは苗字を村松というので、

村松梅乃

このように巧みに”森”を名前に入れる事に成功しました。
え?どこに森があるのかって?
木へんが3つ続くから”森”です。どうだ参ったか😄

* * * * *

さて、そんな大好きな森の素晴らしさを紹介し、「ぜひ私も森へ行ってみよう!」と思ってもらえるような記事を、投稿していこうと思います!
が、ちょっと待てよ。

そもそも自分はなぜ森が好きになったのだろう?
あまり深く考えたことがありませんでした。
そこでまず第一稿は、原点を探るところから始めてみようと思います。
と、タイピングする手を止め、天井を見上げ、目を閉じ、ゆっくりと遠い記憶をたぐり寄せてみると、、、

、、、遠くから聞こえてくるセミの合唱、木々のそよぎ、川のせせらぎ、木漏れ日の輝き。

虫取り網を持った少年時代の僕が、息せきながら川べりの林道を駆け抜けていく。
綿菓子のような入道雲が、いつの間にか怖い顔して青空を覆いつくし、稲光とともに雷雨を降らせた。
森で一番でかいクスノキの麓に身を隠した僕は、さっさとこの通り雨をやり過ごし、今日こそ念願のミヤマクワガタを捕獲するつもりだった。

スタジオジブリ「となりのトトロ」のクスノキ

当時、父は「山と渓谷」というアウトドア専門誌の編集部という、今にして思えばたいへんにうらやましい仕事をしており、シーズンになれば毎週末キャンプ仲間とどこかの山に連れていってくれた。首都圏(千葉県佐倉市)に住んでいた僕にとって、甲信越地方の深い森は、まるで別の惑星だった。

学校の校庭にある遊具にはとっくに飽きてしまったけど、ぐにゃぐにゃ曲がった木から木へ飛び移り、岩や木の根でデコボコの林道を忍者のように駆け巡り、川岸の巨大な岩によじ登って狼のように咆哮したりと、森のアスレチックは無限に続く。

キノコや山菜を採れるほどの知識は無かったが、アケビくらいは知っていた。
木々の合間からうす紫色のかわいい実を見つけると、狩猟民族時代のドーパミンがドバっと放出され、木の槍で撃ち落とす。そのかわいい見た目から似つかわしくないカエルの卵みたいなゼリー状の果実をちゅるっと吸い出すと、ほのかな甘みが身体全体に染み渡り、山旅の疲れを癒してくれる。
、、、ような気がした。

日が沈む前に薪を割り火を起こす。七輪の上で踊るエリンギ、飯盒炊飯の底についたお焦げ、肉を焼いて落ちた油の焦げた香り。。。
ここでハッキリ言っておきたい。森やキャンプで食べる飯がうまい理由は、錯覚やプラセボ効果ではない。いつか科学が解明するのだろうが、わかっている人は、もうとっくにわかっている。
それはもう10万年以上も繰り返してきたことなのだから。

夜、白いシーツに懐中電灯を当てておけば、見たこともない宇宙人のような何十種類もの昆虫たちがジャジャジャーン!!と登場する。タマムシ、オオミズアオ、ルリボシカミキリ・・・それらはどんな特撮アニメやゲームのモンスターよりも、僕の眼球に焼き付いた。

・・・以下略

森では、すべてが循環しているのに、何一つ予定調和がない。
山の天気はコロコロ変わり、常に危険と隣り合わせだが、思いがけないプレゼントを用意してくれる事もある。
ゆえに、否が応にも、目の前のことに向き合わさせられる。生をダイレクトに感じる事ができる。

子どもの頃は、そんな事を考えていたわけではなかったけれど、
確かな事は、先々の事ばかり悩んでいる現在よりも、あの頃は幸せだった。
森で過ごした時間は五感に刷り込まれていて、コンクリートに塗り固められたビジネス街を歩いている今でも、心に森があれば、充実した、満ち足りたあの感覚を呼び戻すことができる。

あの幸福感の秘密を解き明かしていきたい。

covid-19やリモートワークをきっかけにキャンプブームが来た。ウェルビーイングとかマインドフルネスとかいう言葉が当然のようにメディアに並ぶようになった。自然体験が子ども達の発育に与える影響についての研究が進んでいる。まだわかりやすく言語化はされていないが、何となくこっちの方に幸せのヒントがありそうだ、と多くの人が気づきはじめている。

学力や幸福度ランキングで上位に位置するフィンランドでは、焚き火やテントでの生活が小学校の必須科目

色々な文献や講習で得た情報、自然体験イベントなどでの実践をもとに、専門家でもなんでもない一般市民の主観だけれども、わかってきたこと、ぜひ多くの人に知ってもらたいことのあれこれを、これから少しづつ発信していこうと思います。

筆者 Jumps(ジュンプス)

1980年生まれ。市川市国府台の緑地にて、夫婦で子ども食堂「森でキッズ」を開催。NPO法人フリースタイル市川にてフードバンク事業を担当。食と遊びを媒介として地域のつながりを拡げ、都市近郊に残された自然が身近にある暮らしへと誘う「森の入口」プロジェクトを市内の森仲間と実践中。ドラマ「北の国から」の黒板五郎氏を人生の師と仰ぐ。そのくせ本業はIT企業の会社員。