【フードバンク】フードバンク支援や食品ロス削減に資する活動を世の中にアピールしよう!(と農水省が言っています)

フードバンク

公開日 2023年1月7日

※冒頭の画像は、農林水産省の広報誌「aff(あふ)」2020年10月号に掲載されている、市川市で誕生した山崎製パン株式会社の食品ロス削減の取り組みからの引用です。
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_02.html

約3か月前の2022年9月29日に、農林水産省は、「物価高騰の中での期限内食品の有効活用に関する意見交換会」を開催しました。

この意見交換会は、フードバンク全国団体等及び食品企業の関係者間での意識と課題の共有をするために行われたものです。

公益財団法人日本フードバンク連盟のWebサイト(https://foodbanking.or.jp/news/738/)によると、同連盟は、脆弱な状況にある人々にも行き届くスキーム構築を、農林水産省やフードバンク、食品企業が一体となって行うことで、すべての国民が栄養のある食品にアクセスできる「真の食料安全保障の重要性」を発言したということです。

また、会において、日本フードバンク連盟と全国フードバンク推進協議会による共同声明の中で、下記のような「展望と要望」が語られました。

  • 膨大な食品ロスが発生している一方で、食の支援を必要とする困窮世帯がコロナ禍において増加し続けている
  • アメリカやヨーロッパ各国の政府では、フードバンクを通じて、食の支援を必要とする人々に余剰食品・農産物を届けるための効果的な施策が実施されている
  • 農林水産省は、フードバンクを通じて食品ロスを削減するだけでなく、困窮世帯に食品を届けるという重要な役割を果たすことができる
  • 食べることに事欠く人々が200万人近く存在する我が国の状況を鑑み、農林水産省として政府備蓄米のさらなる提供や余剰農産物の活用など、コロナ禍・物価高騰の中において、フードバンクを通じた国民への積極的な支援をお願いしたい
  • 私たちは、農林水産省および食品企業、全国のフードバンク団体と一体となって取組み、全ての国民が栄養のある食品にアクセスできる真の食料安全保障を実現していくことを望んでいる

情報出所:農林水産省「物価高騰の中での期限内食品の有効活用に関する意見交換会」(2022年9月29日)で提供された日本フードバンク連盟と全国フードバンク推進協議会による資料、https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/kigyo_fb_ikenkoukan-8.pdf(赤色太字は筆者による強調)

日本フードバンク連盟と全国フードバンク推進協議会は、農林水産省にフードバンク団体に対する支援を厚くしてほしいと考えていることがわかります。

一報、同じ会の中で、野村哲郎農林水産大臣から、食品製造や食品流通に従事する人に向けて、「期限内食品はすべて消費者へ」と題されたメッセージが発出されました。

食品原材料価格が高騰する中、コストの削減と値上げ幅の緩和を図っていくためには、期限内食品を消費者に売り切っていくこと、またあわせて、それでも発生する期限内食品を生活困窮者に寄附していくことが社会全体で強く求められています。これらはいずれも食品ロスの削減にも貢献するものであります。
これを進めるためには、「期限内食品はすべて消費者に届ける」との思いの下、川上から川下までの関係者が、共に取り組んでいくことが不可欠です。

出所:農林水産省「物価高騰の中での期限内食品の有効活用に関する意見交換会」(2022年9月29日)における食品製造流通事業者への大臣名メッセージ、https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/kigyo_fb_ikenkoukan-5.pdf、2023年1月5日閲覧

野村大臣はこのメッセージ内で、「全ての食品製造流通事業者の皆様へ」として、次のように呼びかけています。

  • 期限内であるにもかかわらず消費者への販売に至らない食品は、フードバンクや子ども食堂に寄附してください。提供に要する費用は損金算入もできます。
  • 有価証券報告書・統合報告書において、フードバンクへの寄附等食品ロス削減に関するそれぞれの取組を世の中に向けて発信してください。

出所:農林水産省「物価高騰の中での期限内食品の有効活用に関する意見交換会」(2022年9月29日)における食品製造流通事業者への大臣名メッセージ、https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/kigyo_fb_ikenkoukan-5.pdf、2023年1月5日閲覧(太字は筆者)

農林水産大臣は、フードチェーン、サプライチェーンのあらゆるステークホルダー、関係者が、連携や協働をすることで、食品ロス削減、生活困窮者支援を成しえると主張していますね。また、企業等に対しては、フードバンク支援や食品ロス削減に資する活動をした場合、広く発信していってほしいとも。

試しに、プレスリリース発信Webサイトの「PR TIMES」で、食品の寄付を集める行為である「フードドライブ」という語を含む記事を検索したところ、先月(2022年12月)、いくつかの企業が情報発信をしていました。

画像出所:PR TIMES より(4法人のPRはいずれも2022年12月に発信されていました)

他にも、「子ども食堂」(こども食堂)という語を含むプレスリリースを出している企業が多いことも確認できました。当サイトでは、国内外のフードバンク関連の報道を収集して、簡単なコメントを添えた記事を「フードバンクにゅ~す」として不定期に公開していますが、取り上げる事例の何割かは、法人の公式情報というプレスリリースのかたちで発信されたものです。もっとも、何割か、と言いましたが、それほど高い割合ではないと思われるので、法人の方には、フードバンク支援などの活動について、今以上にプレスリリース、ニュースリリースを出していただきたいですね。

ところで、今、この記事を読んでいる少なくない人が、余っている食品を集めて必要なところに届ける、フードバンク活動や、食品ロスの削減、子ども食堂などのコミュニティ形成、生活困窮者の支援などに関心をお持ちだと思います。そこでお聞きしたいのですが、「物価高騰の中での期限内食品の有効活用に関する意見交換会」なるものが開催されていたことをご存知でしたか?

私は恥ずかしながら存じ上げませんでした。企業などに向けて、どんどんアピっちゃってよ!※1と促している農林水産省ですが、ご自身もどんどん情報発信をしてほしいですね。もちろんフードバンク活動の担い手である私たちも、「今以上、それ以上」※2に、情報を発信する構えです!

また、農水省には、資金面でフードバンクをサポートすることに加え、各地でフードバンク事業の担い手が活動しやすいように、有益な情報を収集したり提供していくことも期待されます。既に知見は多く集まっており、過去にも成功事例を広めようとしてきたと思いますが、現在のフードバンクに関する情報ポータル的な以下のWebページが、より使い勝手が良いものになれば良いなとは思います。

農林水産省
フードバンク活動に関する情報をまとめたWebページ
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/foodbank.html
農林水産省ホーム>新事業・食品産業>リサイクル食品ロス>食品リサイクル・食品ロス>フードバンク

ちなみに、このWebページには、昨年の10月末時点で農林水産省が活動を把握しているフードバンク215団体についてまとめた情報が掲載されています。

農林水産省
フードバンク活動団体の活動概要
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/foodbank-27.pdf

これは、「フードバンクちば」さんの活動概要です。

出所:農林水産省「各フードバンク活動団体の活動概要(215 団体:令和4年 10 月 31 日時点)」、https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/foodbank-27.pdf、2023年1月5日閲覧

さあ、果たして農林水産省「各フードバンク活動団体の活動概要(215 団体:令和4年10月31日時点)」には、「いちかわフードバンクbyフリスタ」は掲載されているのでしょうか?気になる人は今すぐKiss me! ※3否、今すぐチェック!

ご参考:「寄付をいただきました」
記事一覧
※いちかわフードバンクbyフリスタに法人(など)としてご寄付・寄贈をしていただいた場合に記事を作成し、公開しています。

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〈注釈〉

※1:「アピっちゃってよ!」とは、「アピールしちゃってよ!」の意味です。

※2:「今以上、それ以上」は、北海道出身のバンド、安全地帯の4枚目のシングル曲「ワインレッドの心」の歌詞からの引用です。この曲の作詞は井上陽水さん、作曲は玉置浩二さん(安全地帯)で、1983年11月25日に発売されました。

※3:「今すぐKissMe」はLINDBERGが放った通算2枚目のシングルで、1990年2月7日に発売されました。歌詞が素晴らしいのですが、特に好きなのはこの部分です。

スピン気味のセリフに
ブレーキは No thank you
身に付けた変化球も
今日は Bye Bye

出所:LINDBERG「今すぐKiss Me」(作詞:朝野深雪)