【フードバンクにゅ~す】2023年3月4日

フードバンク

公開日 2023年3月4日

冒頭の画像の出所は、FNNプライムオンライン「駄菓子屋さん出張サービス開始 おしゃべりしながら子供のSOSキャッチ【静岡発】」(2023年3月1日)、https://www.fnn.jp/articles/-/491970 です。

1月31日以来、30日ぶり、24回目となる「フードバンクにゅ~す」でございます。2月は「フードバンクにゅ~す」を公開できませんでした。

フードバンクうつのみや「一人一人の“困っている”を聞き、生活立て直しを一緒に考えるフードバンク 食べ物+『なぜ困っているか』を聞くのが特徴」(2023年3月1日)

 ラジオの前にNPO法人フードバンクうつのみやの相談業務を見学させていただいた。相談者はさまざまな事情で食べ物に困り、食べ物をもらいに来ている。その様子を見て衝撃を受けた。今まで私は食べ物に困ったことはなく、また身近にそのような状態に陥った人を見たことがなかったからだ。目に見えていないだけで生活に困っている人は当たり前にいると実感した。相談者には高齢者や失業中の求職者、一人親家庭が多いと想像していたが、若者や普通の家族もいる。コロナ禍で相談者も増えたそうだ。今食べ物に困っていなくても、「将来、自分にも…」と思った。

 「困窮状態から、どうすれば抜け出せるかを一緒に考えている」と牧岡さんは言う。「困っている」と手を伸ばせば受け入れてくれる場所が身近にあることに、少し私も安心した。

 現在フードバンクでは相談件数が増加しており、食品が不足している。賞味期限が1か月以上あり、常温保存可能な食品であれば、1つから寄付が可能とのことだ。

出所:とちぎボランティアネットワーク公式Webサイト、「一人一人の“困っている”を聞き、生活立て直しを一緒に考えるフードバンク 食べ物+『なぜ困っているか』を聞くのが特徴」(2023年3月1日)、https://www.tochigivnet.com/foodbank/、2023年3月2日閲覧 太字は筆者

「【増える生活困窮者】苦境に立つフードバンク 原材料高騰で寄付減少」(2023年1月31日)

紙袋に入った食料品が次々と配られています。
札幌市中央区で開かれたフードバンクです。
この日は節分を前に恵方巻も特別配布。
事前登録した生活保護受給者や障がい者、シングルマザーなど、およそ50人が訪れました。

(利用者)「お菓子系がいいです。お菓子が自分は楽しみ。コロナの影響で仕事自体がストップになってしまって。仕事がない状態なので、生活保護という手段でいまも生活しているんですけど、食材とかをフードバンクでもらって1か月しのいでいるっていうのが現状」

(利用者)「普段杖を使っているので仕事もできないし、ありがたいし、ものもらえるのが企業からも少ないって言っていたから、そういうのも含めてこの場所がなくなったら困る」

インスタント食品やお菓子など、賞味期限が近い食品を企業から寄付してもらい、月に1度、生活困窮者に無料で配布しています。
企業側にとっては食品ロスを減らす取り組みでもありますが、去年から徐々に寄付が少なくなってきたといいます。

(フードバンクセンター 釜澤剛璽代表)「昨年に比べて大体半分くらいに寄付は減っています。原材料とか仕入れ値が上がっているので、企業側も非常に経営が大変になってきて、経営努力で生産調整に入っている」

その反面、長引く物価高や光熱費の高騰が直撃している影響で、利用者は1年前から1.5倍に増加。
一人あたりに配布する食品は減らさざるを得ないといいます。

出所:STV公式Webサイト、「【増える生活困窮者】苦境に立つフードバンク 原材料高騰で寄付減少」(2023年1月31日)※2023年1月31日放送「どさんこワイド179」の内容、https://www.stv.jp/news/stvnews/cs3pdu000000hhmj.html、2023年2月1日閲覧

「東京で『食べるに困る子』が増えている明確な証拠」(2023年2月8日)

東京子ども子育て応援団は、フードパントリーとして現在都内を中心に約450世帯に1回10~15キログラムの食材を届けている。本部だけでは配り切れないため練馬以外の周辺地域においても有志の協力を得て、いくつかの教会などを食材が配布できるサテライト拠点としている。独自に食品関連企業や農家などから食材を調達することもあるという。

河野さんの話を聞いて驚いたのは、食材配布対象の世帯数が「この2年で倍増し、ここへきてグッと増えている」ということだった。「約7割がひとり親世帯、残り約3割の半分強が障害者・障害児のご家庭で、この比率はだいたい一定です」と河野さんは話してくれた。

(中略)

「2020年には延べ約2万5000人に食材を配布していましたが、2022年には延べ約3万5000人に増えました。コロナ前から日本において食の支援が必要な人は少なくとも200万人いたと推計されるのですが、コロナでさらに増えたと思います」。セカンドハーベスト・ジャパンの政策提言担当マネージャー、芝田雄司さんはこう話す。

背景には、コロナ禍により接客・サービス業を中心として仕事が大幅に減ったり、なくなったりしたうえに、昨年2月に始まったウクライナ戦争に端を発した世界的な物価高が相まったことがある。「食べることに困る」ほど追い込まれているのは所得水準が高くなく、身分が不安定な非正規雇用者が大黒柱になっているような世帯。世界的に所得・資産格差が広がっていく中、もともと経済的に裕福ではない人たちに雇用難・物価高がシワ寄せされているのだ。

大きな問題はこうした「食べることに困る」貧困の状況が、端からはなかなか見えにくいうえに、セーフティーネットが十分でなく、当事者に情報が入って来にくいということである。

都会の貧困世帯の人は整った服装をしていて、見た目からは貧困だと判断がつきにくいと言われる。良くも悪くも地域の人間関係がウェットな地方ならば、「あの家庭は食べることに困っているらしい」という話が地域で共有され、助け合うこともあるかもしれない。

ところが、昔ながらの下町を別にすると、隣人との関係がドライな都会では、誰が生活に困っているかということに関心もなければ、そもそも情報が入ってこず、地域で助け合おうという動きにもなりにくい。

出所:東洋経済オンライン、「東京で『食べるに困る子』が増えている明確な証拠」(2023年2月8日)、https://toyokeizai.net/articles/-/650891、2023年3月2日閲覧 太字は筆者

「シール集めて“ガチャ”もして… スーパーマーケットで始まった『食品ロスを減らす』プロジェクトとは?」(2023年2月22日)

新発田市のスーパー『ウオロク』コモ店では、消費期限や賞味期限の迫った商品に、“特別なシール”が貼られています。

【ウオロク営業企画部 佐藤直樹部長】「こういった、ひき肉・精肉などの早く買っていただきたい商品に『ハピタベ』のシールを貼ってあります」

『ハピタベ』シールは、値引きシールではありません。

実はこのシールこそが、食品ロスを減らすスーパーウオロクの新たな仕掛け。

呼びかけたのは、フードロス問題を手がけている濵田岳さんです。

濱田さんは高知県のスーパーマーケットで21年間勤務した際に、大量の惣菜や弁当が廃棄される現実を目の当たりにし、スーパーが抱えるフードロス問題の解決や経営改善をする会社を起こしました。

【ミライデザインGX 濵田岳社長】「お惣菜とか生鮮食品が値引きされたもの、最終的に半額まで下げたものが買われずに残ってしまうと、次の日全部廃棄じゃないですか。そういうものを買ってもらえればいいですよね」

(中略)

【ミライデザインGX 濵田岳社長】「お客さんは後ろから取るのが基本じゃないですか。なのでこの”手前どり”をやってくださいとどれだけいっても、スーパーで働いている時の数値では全く変化がない、何の効果もない」

そこで、濵田さんが考えたプロジェクトが『ハピタベ』です。

『ハピタベ』とは幸せの”ハピネス”と”食べる”をもじったもので、消費期限や賞味期限が迫った商品にハピタベシールを貼り、シールを10枚集めるとガチャを1回まわせるという仕組みです。

【ミライデザインGX 濵田岳社長】「手前から取りましょうみたいな運動や啓蒙って強制的な感じで抵抗していたのが、ガチャなどでは“楽しいからやる”と変わってきます」

ガチャで当たる賞品は、キッチンペーパーなどの生活用品や菓子など。

これまでも静岡県や大阪府などのスーパーで導入していており、中にはおよそ4割の食品ロス削減につながった例もあるということです。

食品ロス削減への取り組みを強化したいウオロクでは、新潟県内43店舗のうち、新発田市内の5店舗で6日から、『ハピタベプロジェクト』を始めました。

【ウオロク 営業企画部 山城香織さん】「サービスカウンター横のガチャが引けたり、ポスターに貼って地域に1枚1円の寄付をするなどに、シールを使えるものとなっています」

『ハピタベシール』はガチャだけではなく、1枚1円としてフードバンクの寄付にも使えます。

【買い物客】「子どもも喜ぶ。シールを探すのも、子どもにとってはすごく良いことみたいで、さっきも『あ!』って言ってくれたので…。一緒に探すのも楽しいし、『これ、あるね!』って。そしたら『やってみようか』となると思います」

【買い物客】「大人も楽しめると思いますよ、こういうのは。私、よくガチャやるので、なにが当たるか…。そういう楽しみがあるというのは、人生にあって良いと思う」

(中略)

18日までの2週間で、5店舗合わせてガチャは約4000回、ポスターには1500枚のシールが貼られたということです。

また、ベーカリーコーナーでは、『ハピタベ』を導入する前と導入した後の1週間を比べると、捨てられるパンの量がおよそ5割も削減されたというのです。

(中略)

【ウオロク小舟店 徳永倫理店長】「今回のプロジェクトを行うことによって、最終的に地域貢献や世界平和に繋がっていくということをよく理解してもらえれば、徐々に“手前どり”も浸透されていくのかなと」

出所:BSN新潟放送公式Webサイト、「シール集めて“ガチャ”もして… スーパーマーケットで始まった『食品ロスを減らす』プロジェクトとは?」(2023年2月22日)、https://newsdig.tbs.co.jp/articles/bsn/341532、2023年3月2日閲覧 太字は筆者
画像出所:BSN新潟放送公式Webサイト、「シール集めて“ガチャ”もして… スーパーマーケットで始まった『食品ロスを減らす』プロジェクトとは?」(2023年2月22日)、https://newsdig.tbs.co.jp/articles/bsn/341532

この取り組みはとってもユニークで、効果がありそうですね!既に大阪などの店舗にこの仕組みは導入されているそうですが、全国の食品小売業に広がってほしいです。ちなみに、ウオロクさんは新潟県に本社を置く小売業で、スーパーマーケットを43店舗(2022年3月時点)展開しています。

ガチャといえば、市川市のご当地ガチャ、「市川まちガチャ」のことは、もうご存知ですよね?このガチャ、回して市川市の個性的な町のことを知って好きになることを目指しているのですが、それに加えて、売上の一部を「いちかわフードバンクbyフリスタ」に寄付して下さっているなど、地域内で経済の好循環が生まれる仕組みになっているのです!詳しくはこちらの記事をお読みください。

「駄菓子屋さん出張サービス開始 おしゃべりしながら子供のSOSキャッチ【静岡発】」(2023年3月1日)

駿東郡長泉町に登場した1台の移動販売車。その名も「移動する駄菓子屋さん」。

運営するのは、三島市などで活動する一般社団法人「おたまちゃん食堂」だ。

(中略)

2022年に一般社団法人となり、月に4回の「こども食堂」に加えて、フードバンクや学習支援も行っている。

「こども食堂に来られない子供たちにも支援を届けたい」と思いついたのが 、「移動する駄菓子屋さん」だ。

おたまちゃん食堂 代表・押田 智子さん:

いつも公民館などで子供たちを待っていますが、その時間帯にお母さんがまだ仕事から帰ってなくて、来られない子供たちもいる。私たちの方から子供たちに会いに行こうと

「移動する駄菓子屋さん」の企画は、県が進める「子供の居場所づくりプロジェクト」に選ばれ、資金200万円は、クラウドファンディング型のふるさと納税でまかなわれた。

(中略)

お菓子のそばには、メッセージを書くチラシとポストが置かれている。

チラシをひとりひとりに配り、子供たちに悩みを書いてもらうつもりだ。親がいないところでもSOSが出せるようにした。

おたまちゃん食堂 代表・押田 智子さん:

(親に)殴られたりしても、親がいると言えないので

Wi-Fiも完備し、車の周辺では料金を気にせずにスマホが使えるようにした。

おたまちゃん食堂 代表・押田 智子さん:

Wi-Fiが通っていれば私とのLINEもできるし、つながれる。しゃべれなかったり、大人としゃべるのが怖かったり、お母さんが近くにいるかもしれないからそこでは話ができないという子が、ちょっと離れた位置から私に連絡をくれたり、そういう時にWi-Fiをつないでずっと話ができるように

お菓子を売るだけでなく、生活用品や食品などの支援物資も届ける。支援を必要とする子供や親が見つかった場合、必要があれば市町や関係機関と連携して対応する。

生活の困窮だけではなく、DVやヤングケアラーなど、埋もれてしまっている様々なSOSの掘り起こしにつながりそうだ。

(中略)

押田さんによると、「支援しますので困っている人は来てください」という呼び掛けでは、恥ずかしさや申し訳ないという気持が先に立って、支援が必要な人は、なかなか手を上げられないという。

こども食堂のように「支援を求めていない人も、誰でも来ていいよ」という場を作り、そこに集まった人の中から、支援を必要としている人を見つけ出すつもりだ。

出所:FNNプライムオンライン、「駄菓子屋さん出張サービス開始 おしゃべりしながら子供のSOSキャッチ【静岡発】」(2023年3月1日)、https://www.fnn.jp/articles/-/491970、2023年3月2日閲覧 太字は筆者

桐生市「ミニきりゅう市長、子ども食堂に食材寄贈 ゆいで贈呈式」(2023年2月22日)

 桐生、みどり両市の小学生が仮想のまちをつくって運営する社会体験イベント「ミニきりゅう2022」で集めた食材が、両市の子ども食堂に贈られた。食材の贈呈式がこのほど、JR桐生駅構内にある桐生市民活動推進センターゆいで開かれ、ミニきりゅうの市長を務めた齋藤はなさん(みどり市立笠懸北小6年)が子ども食堂の運営者らに目録を手渡した。

 同イベントは、桐生青年会議所(JC)が21年に初開催したのに続き、JCを同年卒業した有志らによる実行委員会の主催で昨年11月5、6日に桐生市青年の家で開かれた。両市の小学生延べ600人が参加し、さまざまな仕事をして給料をもらい、買い物や遊びに消費し、納税する活動を通して社会の仕組みを体験した。

 子ども食堂への食材寄付は、子どもたちによる市長選で当選した齋藤さんが公約した「フードバンク事業」の一つで、イベントに参加した子どもたちから募集。ジュース28本、缶詰113個、乾麺31袋、菓子31個、インスタント食品、調味料など合計150品目384個が集まり、両市の子ども食堂に分けることにした。

 齋藤さんは「市長になってフードバンクを行うことで、より多くの人たちに子ども食堂を知ってもらいたいと思った」と話す。

出所:桐生タイムス公式Webサイト、「ミニきりゅう市長、子ども食堂に食材寄贈 ゆいで贈呈式」(2023年2月22日)、https://kiryutimes.jp/article/O27pa4Q-、2023年3月2日閲覧 太字は筆者

子どもがつくるまち ミニきりゅう
https://www.minikiryu.com/minikiryu

子どもがつくるまち ミニいちかわ に長くかかわってきた渡慶次康子さんの活動の原点を辿るインタヴュー記事「源流 Vol.5」は、こちらです。

「ヤングケアラー相談支援センターは食料の無料配布など新たな取り組み(熊本)」(2023年2月8日)

本来、大人が担うべき家事や家族の世話を日常的に行っている子どもたち、いわゆるヤングケアラー。こういった子どもたちを見つけ、支援しようというのが目的です。県ヤングケアラー相談支援センターは食料の無料配布など新たな取り組みを始めました。

【県ヤングケアラー相談支援センター 岡本 耕平さん】
「コロナ禍で生活があまりよくない状況にある若者であったり家庭を、少しサポートできることがあればなと」

食料の配布は、県の委託を受けて相談支援センターを運営する玉名市の松本学園で行われました。

8日は地域のフードバンクから提供されたコメやインスタント食品、日用雑貨などおよそ20種類が準備されました。

近くには大学や専門学校、高校などがあり、立ち寄った学生らが一つ二つと選んで持ち帰っていました。

また、食料配布にあわせて、隣りには気軽に立ち寄ってスタッフと話すことができる”居場所”を設けました。

ヤングケアラーは本人も気づいていないケースも多くあることから表面化しにくく、実際に相談支援センターに寄せられる相談のほとんどは本人からのものではありません。

【県ヤングケアラー相談支援センター岡本 耕平さん】
「(センターなどで)相談をするということ自体が当事者に求めるのは、なかなか難しいなと。気軽な場に来た中で、ポロっと自身の『つらいんだ』という話ができるような場を作ると当事者の声が拾えるのかな」

出所:FNNプライムオンライン、「ヤングケアラー相談支援センターは食料の無料配布など新たな取り組み(熊本)」(2023年2月8日)、https://www.fnn.jp/articles/-/483338、2023年3月2日閲覧 太字は筆者

「手を伸ばし 子育てを“孤育て”にしない【広がる子ども食堂】2」(2023年2月26日)

米5キロと食品、洗剤などの詰め合わせを各世帯1箱ずつ無料配布するフードパントリーが1月末、牛久市の三日月橋生涯学習センターの一室で開催され、予約した30世帯に手渡された。毎月1回配布している。食品ロス削減のため規格外品などを引き取るフードバンクや、支援団体NPO全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京都新宿区)などからの物品、企業や個人が寄付したものが配布される。この日受け取った女性は「特にお米が助かる。自分では買わない物も入っていて面白い」と話した。会場は牛久市が無料で開放し、活動を支援している。

主催しているのはNPOきらきらスペース(牛久市牛久町、諏訪浩子代表)だ。2016年8月から活動を始め、7年目になる。元々は50人ほどが利用するビュッフェ形式の子ども食堂を開催していたが、コロナ禍で食品を持ち帰ってもらうフードパントリーの形式に変えた。

子育て世帯だけでなく、だれでも利用することができる。「お米や野菜など寄付が集まって活動できている。来る人は大体決まっているので、月1回顔を見て、元気かどうかの安否確認という意味もある」と諏訪さん(53)。

この日参加したボランティアの女性4人は、「子どもに何が欲しいのと聞くと飲み物を欲しがる。お菓子もあるといい。生活のうるおいが大事。子どもは楽しいことがないといけない」、「男親だけ、女親だけの子がここに来て父親、母親代わりのスタッフと疑似体験をしている。自分もおばあさんとして役に立っているのかな」と口々に話し、他愛ない雑談の中で、感想や情報を共有していく。

(中略)

活動を通して得た情報を牛久市につなぎ、実際に行政の支援につながったケースも多数ある。逆に行政から、食料の支援や古着の制服の提供、不登校の子の居場所の提供、お風呂に入っていない子の入浴支援などを依頼されるケースもある。ママ友同士のつながりで、困っている家庭の紹介を受け、支援につなげたケースもあった。

どこまで支援の手を広げるか、コロナ禍での活動のあり方が課題だという。「きらきらスペースのフードパントリーや子ども食堂は誰でも利用できるが、あまり広げてしまうと本当に困窮している人に支援が行き渡らない恐れが出てくる。困窮者だけに支援と限定すると、来なくなる人もいる。今度コロナが感染症法の5類になると聞く。そうするとまた活動の仕方を変えていかないといけないのか、それとも今までどおりなのか」と諏訪さん。活動の在り方を模索している。

子ども食堂サポートセンターいばらき(水戸市)の大野覚さんによると、外に手を伸ばし、さまざまな組織と連携して、子ども食堂やフードパントリーなどに来られない人にも支援を広げるきらきらスペースの活動は、福祉の分野で「アウトリーチ」と呼ばれる活動だ。県内の子ども食堂を対象に実態調査などを実施してきた大野さんによると、アウトリーチに取り組む子ども食堂はまだ少ない。実態調査では「個人情報保護の壁が高く、支援を一番必要としているところに手が届かないことに歯がゆさを感じている」などの声が寄せられた。大野さんは「アウトリーチは、さまざまな組織とつながりがつくれているかどうか」がかぎになっていると話す。

出所:NPO法人NEWSつくば公式Webサイト、「手を伸ばし 子育てを“孤育て”にしない【広がる子ども食堂】2」(2023年2月26日)、https://newstsukuba.jp/43495/26/02/、2023年3月2日閲覧 太字は筆者

2023年1月の消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.3となり(2020年=100)、前年同月比で4.2%の上昇です。ずっとデフレが続いていた日本経済ですが、昨年から急激なインフレに転じています。インフレ自体は悪いことではなく、物価が上がり、消費者の収入が増えていくことが望ましいわけですが、現在の日本では、物価だけが高くなり、収入は変わらない状況なので、生活が苦しいと感じている人がかなり多いように思います。

それゆえ、フードバンク、子ども食堂といった支援先に頼る人が増えています。一方で、これはもう繰り返し述べていることですが、家庭や企業から、フードバンクや子ども食堂への食品の寄付量は減っています。

物価上昇はまだまだ続く可能性が指摘されています。

いちかわフードバンクbyフリスタでも、皆様からの食品の寄贈を受け付けています(フードドライブ)。詳細については、以下のWebページをご覧ください。

ちなみに、1月のCPIの上昇率は、41年4カ月ぶりの高さでした。41年4か月前は、第2次オイルショックの影響で物価が上昇していた1981年9月で、それ以来となる高い上昇率だったわけです。

この物価上昇の原因として考えられることは、円安や資源高の影響などで、食料品やエネルギーなど、生活に身近な品目が軒並み値上がっています。スーパーマーケットなどの小売業も、値上げをすると競合店舗に顧客を奪われる可能性があるため、値上げには慎重になる企業もあるでしょうが、仕入れ値の上昇分は販売価格に転嫁しないと、ただでさえ理業利益率が低いところ、利益を獲得できず、しかも光熱費も上昇しているため‥‥

参考までに、2023年1月の品目別のCPIが上昇した主なものを見ておきましょう(数字は前年同月比)。

生鮮除く食料 7.4%
食用油 31.7%
牛乳 10.0%
調理食品 7.7%
エネルギー 14.6%
都市ガス代 35.2%
電気代 20.2%

とんでもないですね。

そんな中、フードバンク仙台さんが抜群の行動力と発信力でアクションを起こしています。ここでは部分的な抜粋をするにとどめますが、是非全文をじっくり読んでください。

フードバンク仙台公式Webサイト
「エネルギー貧困と気候変動への対応を求めます」〜ライフライン無償化プロジェクトと取り組む世界気候アクション!
https://fffsendai.wixsite.com/official-site/post/climatestrike0303-takebackpower

「『エネルギー貧困と気候変動への対応を求めます』〜ライフライン無償化プロジェクトと取り組む世界気候アクション!」

 現在、エネルギー価格の高騰や物価高騰の影響で、貧困が拡大しています。ライフライン無償化プロジェクトの活動現場でもあるフードバンク仙台では、物価上昇やエネルギー料金の値上げの中、食料を購入できないだけでなく、電気・ガス・水道を利用できない人/滞納している人が、相談者の2~3割に上っています。

(中略)

 フードバンク仙台のもとには、

「電気料金の高騰により、真冬に家で暖房さえつけられず、上着を着ることでなんとかしのいでいる」
「電気代を含め、ライフラインの支払いをするために、食料や薬を諦めた」

といった相談が来ています。仙台においても、電気などのエネルギー料金を払いたくても払うことができない「エネルギー貧困」が拡大しているのです。

 一般的に「エネルギー貧困」とは、「家庭内において人びとが生活するうえで必要なエネルギーサービス(冷暖房、給湯、調理用設備など)を十分に享受できない状態」のことを指します。今後値上げが続けば、寒さや暑さに耐えることができずに、健康を損なう人や、命を落とす人も出てくるでしょう。

(中略)

 このような状況に対して、ライフライン無償化プロジェクトは、仙台市に対策を求めてきました。しかし、仙台市長は「忙しい」という理由で、仙台での貧困状況や、フードバンク仙台のもとに集まっている声に対して、聞く耳をもちませんでした。ライフライン無償化プロジェクトがこれまで求めてきた、価格高騰に対する市民の負担軽減等の要求は無視され、現在もまったく対策がとられていません。

(中略)

 私たちは、「個人の努力」に我慢を強いられるのをやめ、力を合わせて社会的な対応を求めます。そして、持続可能で、誰もが当たり前の生存を保障される社会を目指します。

出所:フードバンク仙台公式Webサイト、「『エネルギー貧困と気候変動への対応を求めます』〜ライフライン無償化プロジェクトと取り組む世界気候アクション!」、https://fffsendai.wixsite.com/official-site/post/climatestrike0303-takebackpower、2023年3月2日閲覧 太字は筆者

フードバンク仙台さんのアクションと関連する、気候変動、気候危機といったことについて、いくつか記事を書いているので、興味をお持ちの方は是非読んでください。