【コラム】地球温暖化から気候変動、そして気候危機へ

コラム

5日前の2022年12月6日、英BBC放送は、社会に影響を与えた「100人の女性」の2022年版を公表しました。この100人の中に、市川市にお住いの日本人女性がいらっしゃることをご存知でしょうか?

BBC公式サイトに掲載された紹介文と、その和訳を紹介します。

Kimiko Hirata, Japan
Climate campaigner

A fierce opponent of coal power, Kimiko Hirata has spent nearly half her life fighting to wean Japan off its dependence on fossil fuels – by far the largest contributors to climate change. Her grassroots campaign resulted in the cancellation of 17 planned coal power plants. She is the first Japanese woman to win the Goldman Environmental Prize.

Hirata quit her job at a publishing house to become a climate activist in the 1990s after reading Al Gore’s book Earth in the Balance. She’s now executive director of the independent organisation Climate Integrate, established in January 2022, which is tackling decarbonisation.

出所:BBC公式Webサイト、”BBC 100 Women 2022: Who is on the list this year?”,6 December 2022, https://www.bbc.co.uk/news/resources/idt-75af095e-21f7-41b0-9c5f-a96a5e0615c1,2022年12月10日閲覧

平田さんは、気候変動の最大の原因である化石燃料の依存から日本を脱却させるために、人生の半分近くを費やしてきました。彼女の草の根運動は、17の石炭火力発電所の新規計画を中止させることにつながり、ゴールドマン環境賞を受賞した最初の日本人女性となりました。

1990年代にアル・ゴアの著書『アース・イン・ザ・バランス(地球の掟)』を読み、出版社を退職して気候変動活動家に転身。現在は2022年1月に設立された独立系の非営利組織「Climate Integrate(クライメート・インテグレート)」の代表理事として、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。

出所:PR TIMES(BBCグローバルニュースジャパン株式会社)、「BBCが選ぶ『100 Women(100人の女性)』 2022年版で、脱炭素社会の実現に取り組む平田仁子さんを選出」(2022年12月6日)、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000051177.html、2022年12月11日閲覧

BBC「100人の女性」に選ばれたのは、脱炭素に取り組む平田仁子(ひらた きみこ)さんです。今年、Climate Integrate という新しい組織を立ち上げた平田さんは、市川市にお住まいで、これまで長い間、気候変動の問題に関わってきたということです。

平田さん、「100人の女性」への選出、おめでとうござます!

Climate Integrate 公式Webサイト(「100人の女性」選出に関する記事)
https://climateintegrate.org/archives/1459

平田さんは、7月13日に市川市長と会い、市川市が掲げるカーボンニュートラルを、具体的にどのように推進していけるかを話したそうです。

BBCの紹介文でも言及されていますが、平田さんは、2021年6月15日に、環境分野で活躍した方に与えられる国際賞で、「環境分野のノーベル賞」とも呼ばれている「ゴールドマン環境賞」を受賞しています。

ゴールドマン環境賞 平田仁子さんの紹介Webページ
https://www.goldmanprize.org/recipient/kimiko-hirata/#recipient-bio

環境問題に関連するのですが、市川市は、2022年2月22日に「カーボンニュートラルシティ」を表明しています(ご存知でしたか?)。

「環境に責任をもつまち」として市の環境を守り未来に向けて育んでいくために、カーボンニュートラルシティ表明をし、2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロ達成に向けて挑戦していきます。

出所:市川市公式Webサイト「カーボンニュートラルシティを表明しました!」
https://www.city.ichikawa.lg.jp/env01/0000391648.html、2022年12月11日閲覧(太字は筆者)

平田さんは、市川市がカーボンニュートラルシティの表明を行ったタイミングで、村越前市長と意見交換を行っています。そこでは、このようなことをおっしゃっていました。

市内の購入電力を再生可能エネルギーにすれば2030年に家庭や事業者からの二酸化炭素排出量を5割削減することが可能です。また、住宅の屋根などに太陽光設備の設置を積極的に進めることで市内電力の約6分の1を供給することが可能となります。こうした取り組みをしっかり積み重ねていくことで、市川市でカーボンニュートラルの具体的な絵を描けると思います。さまざまな知見を集めながら、地元である市川のお手伝いをしたいです

出所:『広報いちかわ3月19日号』(2022年3月19日)、平田仁子さんの言葉(太字は筆者)

平田さんは、地元・市川市が取り組むカーボンニュートラルのための活動に、協力したいとおっしゃっています。大変心強いですね。

でも、そもそもカーボンニュートラルって何?カーボンニュートラルシティって?という疑問もあるので、稿を改めて、このあたりのことを書いてみようと思います。わたしたち一個人にできること、意識すべきことなども、その際に考えてみます。

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ところで、本コラムのタイトルを覚えていますか?

地球温暖化から気候変動、そして気候危機へ

というタイトルを冠しています。これらの語について、少し古い記事ですが、こちらの文章でわかりやすく説明していたので、紹介します。

日本でよく用いられる地球温暖化という言葉からは、地球が徐々に温まるというニュアンスが汲み取れるが、気候変動という言葉からは昨今の異常気象が想起されるのではないだろうか。2019年12月に開催された国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)の会場では、さらに一歩進み、気候変動(climate change)ではなく気候危機(climate crisis)や気候緊急事態(climate emergency)という言葉が数多く用いられた。

出所:沖村理史「気候変動から気候緊急事態へ――地球環境対策をめぐる最前線」『HIROSHIMA RESEARCH NEWS』第22巻2号(通巻58号)2020年3月(広島市立大学広島平和研究所)

使う語を変更するということは、伝えたいメッセージが変わったことを意味することが多いと思いますが、「気候危機」、「気候緊急事態」という語からは、もはや悠長にはしていられない、今すぐ対応をすべきだ、そんなメッセージが伝わってきます。

ボヤボヤしていられない、早く対応を!

そんな状況にありながら、先月エジプトで開催されたCOP27の期間中に、日本は不名誉な「化石賞」を受賞してしまいました。この賞は、〈気候変動に取り組む世界130か国の1800を超えるNGOのネットーワーク「CANインターナショナル」が、その日の交渉において気候変動対策を後退させる言動を行った国に与える〉(出所:WWFジャパン公式Webサイト、「【COP27】日本が化石賞を受賞しました」(2022年11月10日)、https://www.wwf.or.jp/staffblog/activity/5177.html、2022年12月11日閲覧)もので、日本が受賞した理由は、次の通りです。

日本の受賞理由は、化石燃料に対する世界最大の公的資金拠出国であること。
アメリカのNGO、オイル・チャンジ・インターナショナルが、各国が化石燃料への公的支援を調査する報告書を発表し、日本は世界で最も多く化石燃料に対する公的支援を拠出していることを明らかにしたのです。

報告書によれば、日本が2019年から2021年のあいだに、拠出した化石燃料への公的支援は平均で年間約106億ドル(1兆5,900億円)、3年間の総額で318億ドル(4兆7,700億円)にのぼります。この金額は2位以下を大きく引き離し、世界最大でした。

気候資金は、緩和にも適応にも増額が必要です。そのうえCOP27では「損失と損害」への資金支援という新たな資金問題の解決が求められています。このような状況の中で、日本が巨額の公的資金を、気候を守るためにではなく、気候を壊すために使っていることに対して、世界の市民社会は厳しい判断を下したのです。

出所:WWFジャパン公式Webサイト、「【COP27】日本が化石賞を受賞しました」(2022年11月10日)、https://www.wwf.or.jp/staffblog/activity/5177.html、2022年12月11日閲覧(太字は筆者)

日本は、化石燃料への公的支援の金額が、圧倒的に多く、世界最大ということですが、では、再生エネルギーに対して公的資金はどのくらい拠出されているのかが気になりますよね。調べようと思ったのですが、そろそろ風呂に入って寝なければならないので、これについては後日、機を見て調べ、そして書きます。

今回紹介した、市川市民である平田仁子さんのように、地元市川市に関わりのある人が脚光を浴びたことがきっかけとなって、ある分野に関心を持ち、調べてみたい、学んでみたいと思うことが私にはあります。

気候変動に何となく興味はあっても、問題のスケールの大きさに圧倒されてしまい、何を知ればよいのか、何をすればよいのか、調べたり考える前に動けなくなってしまう向きもあろうかと思います。が、例えば、今後、平田さんの活動や発言に注目してみよう、というところからでも、この問題に接する機会が増えれば、自ら調べたり行動したりするようになれるような気がします。

少なくとも、この記事を読んでくださった読者の皆さんは、地球温暖化、気候変動、気候危機といった語が持つニュアンスが異なるということは、お分かりいただけたと思います。

この続きとなるであろうコラムでは、カーボンニュートラルとは何なのかを調べた結果をまとめて書く構えです。お楽しみに!

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〈注釈〉

※1:冒頭の画像は、『広報いちかわ3月19日号』(2022年3月19日)https://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/20220319/koho20220319.html に掲載されていた画像を加工して作成したものです。

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