【コラム】デジタル地域通貨「ICHICO」 来期は1年に渡って5エリアで実施予定

コラム

2022年の市長選挙で当選して市長となった田中市長は(ここまでの23字の中に「市長」が3回も登場しています)、2022年6月の所信表明演説で「デジタル地域通貨」の導入に意欲を見せ、同年11月には、導入が正式に決まりました。そして、2023年5月下旬から約4か月、「ICHICO」と名付けられたデジタル地域通貨(私が事前に予想した名称は「いちコイン」でした)の実証実験が行われ、2024年2月6日に、実証実験の検証結果が公表されました(記者会見資料に掲載)。
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/new01/file/0000447280.pdf

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令和5年度(2023年度)の実証実験の概要と結果の一部を紹介します。情報出所は上記の記者会見資料です。

デジタル地域通貨ICHICO 令和5年度 実証実験
・期間  2023年5月22日~2023年9月30日
・場所  本八幡駅周辺
・参加者 市民15,000人
・加盟店 212店(飲食106店、物販78店、美容院・整骨院等28店)

利用実績(利用金額の割合)
・大企業が経営する店舗 約73%
・中小企業や個人事業主が経営する店舗 約27%

事業効果
・市内店舗の利用促進、消費の喚起、経済波及効果の誘発等の効果が認められた
・経済効果は推定3.1億円となり、事業費(実質負担経費)1.7億円を上回った
・行政ポイントの付与は、参加者が健康づくりやボランティア活動に取り組む動機付けとなった
・約4か月の実証実験期間において、一部の事業では、参加者が増加した
・地元への関心や愛着を高める効果が認められた。

まとめ
・デジタル地域通貨は地域経済と市民活動の活性化に有効
 特に行政ポイントの活用により、施策・事業の推進、地域コミュニティの醸成、市民満足度の向上が期待できる
・明らかになった課題に対して、「利便性のさらなる向上」、「商店会との連携強化」、「中小企業や個人事業主が経営する加盟店における消費の後押し」等の対応を行い、令和6年(2024年)度はエリア拡大して事業を実施する

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続いて、同資料から、令和6年(2024年)度の事業案を紹介します。

デジタル地域通貨ICHICO 令和6年度 事業案

目的
・市内の資金循環により、消費を喚起して、地域経済を活性化
・地域に寄与する行動にインセンティブとしてポイントを付与して市民活動を活性化

令和6年度のコンセプト
・事業規模の拡大により、地域経済と市民活動の活性化を推進
・商店会と連携を図り、中小企業や個人事業主の店舗における消費を喚起
・市制施行90周年キャンペーン等を行って、ICHICOの利用を促進

事業計画案
・事業期間 通年:2024年4月1日~2025年3月31日
・加盟店 400店舗以上
・利用者 25,000人以上(市内在住者とは消費傾向が異なる在勤・在学者等に対象を広げ、関係人口による消費を喚起)
・事業地区 本八幡駅、市川駅、行徳駅、南行徳駅、市川大野駅周辺(これら以外の場所でも、参加を希望する店舗は登録)
・行政ポイント 健康ポイント事業Aruco等の既存事業を継続、自治会活動に協力した大学生ボランティアへのポイント付与、エコボポイント制度との連携等の新規事業を拡大

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――ということで、今年度(令和5年度、2023年度)と、来年度(令和6年度、2024年度)の案を比べてみると、こんな感じです。

  • 事業期間 約4か月 → 12か月(約3倍)
  • 加盟店数 212店舗 → 400店舗以上(約2倍)
  • 利用者  市民15,000人 → 市民+市内在勤・在学者等25,000人以上(約1.7倍)
  • 事業地区 本八幡駅周辺(1エリア) → 本八幡駅、市川駅、行徳駅、南行徳駅、市川大野駅の周辺(5エリア。エリア数5倍)

今年度の実証実験が本八幡エリアのみだったことに不満を感じる市民がいたのもモットモですし、実証実験が成功するか失敗するかわからない状態では1エリアで小さくやってみるのが妥当だとする行政の判断もモットモです(モットモと書くと、モルモットを想起しちゃいます)。

来期は5エリアで使えるようになる(というのは現時点での案ですが)ので、多くの市民が、そして、市に通勤や通学でやって来る人が、利用できる状況になり、地域経済の活性化につながることが期待されます。

デジタル地域通貨の導入効果の1つとして、中小企業が運営する店や個人店を利用する人が増える(多くなる)ことがありますが、今年度の実証実験では、これらの店で使われた金額のは総額の3割弱ということでした。デジタル地域通貨を使えるお店が増加すれば(中小企業が運営する店や個人店が増えれば)、自ずと(幟を立てたりポスターを掲出する必要はありますが)使われる金額も増加するでしょうから、商店会と連携して(と資料には書かれています)、使える店を増やしていってほしいですね。

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ところで、私が2023年12月8日にTOHOシネマズ日本橋で鑑賞した映画のタイトルは『市子』といいます。「いちこ」と読みます。ICHICOの読み方と同じですね。できれば、TOHOシネマズ市川コルトンプラザで鑑賞したかったのですが(そしてチケット購入をICHICOでしたかったのですが)、それは叶いませんでした。でも、この作品はとても良かったです。杉咲花さんの演技の凄まじさたるや。演劇『川辺市子のために』がベースになった作品です。

出所:eiga.com「市子」より

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執筆日 2024年2月10日、11日
公開日 2024年2月11日