執筆日 2023年4月13日
公開日 2023年4月14日
冒頭の画像出所は京都タワー公式Twitterアカウントによる投稿からの引用です。https://twitter.com/kyototower_1228/status/1542416075077591042
皆さん、お待ちかね、クイズの時間です!
人の生きる証、人間の根源的な欲求
▼質問文
以下の1~7の文の空欄「 ① 」、「 ② 」に当てはまる語を、選択肢(い、ち、か、わ、し)の中から選んでください。
- 「 ① 」は、人として生きるあかしであり、創造的な営みの中で自己の可能性を追求する人間の根元的な欲求であります。
- 「 ① 」は、人々の心のつながりや相互に理解尊重しあう土壌を提供するものであり、心豊かなコミュニティを形成し、地域社会全体の心のよりどころとなるものです。
- 「 ① 」のあり方は、経済活動にも多大な影響を与え、知的集約産業として多くの雇用の創出が期待されています。
- 「 ① 」は、私たち一人ひとりの価値観や生活様式から経済活動まで、生き方や暮らし方の全てを含みます。それらの総体は、各地の様々な地域活動や都市環境等に投影され、「まちの『 ① 』」として表れています。
- 「 ① 」は、何もせずに育つものでなく、手を加えないと成立しないものであることから、振興の必要が求められています。
- 「 ② 」は、人々の創造性を育み、その表現力を高めるとともに、私たちの生活にゆとりや安らぎをもたらし、人生を豊かにします。
- 「 ② 」には、美術、音楽、文学、演劇、建築等、様々な分野がありますが、それらは「まちの『 ① 』」の中心をなし、「 ① 」振興を牽引する役割を担っています。
▼選択肢
い:学問
ち:教育
か:文化
わ:芸術
し:性格
わかりますか?
いきなり、ヘン・テコ・リンな質問しないでよ~、参っちゃうよ~、
そんな声が聴こえてきますよ。電波に乗って。
そんなこと言わないで、ここはちょっと、考えてみてほしいのです。ね、良いじゃないですか。たまには付き合ってくださいよ、クイズに!
答えはあとでお知らせしますね。オタノシBig!否、オタノシMini!
文化庁、京都に移転したってよ
ところで、2023年3月27日に、文化庁が京都に移転しました。首都機能の移転ということが、かなり前から議論されていましたが、今回の文化庁の京都移転は、その一環で行われたものです。第二次安倍政権の時代に、地方創生の掛け声のもと検討された中央省庁の移転の中では、唯一、全面移転と言われた文化庁移転ですが、実際には多くの部署が東京に残ります。庁内でのコミュニケーションや、他省庁との連携などが、しづらくなるような気もしますね。
なお、京都は、この移転を歓迎しているようですが、京都は元々「文化都市」ですので、移転による好影響はそれほど大きくないのではないでしょうか。
コロナ下、場所に捉われない働き方が、多くの領域で侵攻、浸透したことを考えると、今、このタイミングでの移転は、少々前時代的な香りがするのも事実です。ちなみに、このあたりの話は、2023年4月12日にTBSラジオ「アフター6ジャンクション」で語られた内容を参考に記しています。
参考番組:TBSラジオ「アフター6ジャンクション」2023年4月12日
カルチャートーク:橋爪勇介さん
https://open.spotify.com/episode/5i4g9ZXwIyBR8sUidJchGj
なぜ文化庁が京都に?という疑問を持つ方もいると思いますが、第1次安倍内閣で文部科学大臣だった伊吹文明が、自身の地盤である京都への移転を牽引した、ということが大きいと思われます(参考:美術手帳Webサイト、「首都から離れて。文化庁の京都移転は『是』なのか」(2023年3月27日)、https://bijutsutecho.com/magazine/insight/26909、2023年4月13日閲覧)。
国の文化が守れない?!んなワケ!!!!
文化庁の移転につかうお金はあるのに、国の文化財を守るお金はない?
まさか!んなワケ!!!!
いや、その「まさか」が起こりそうなのです。
トーハクこと、「東京国立博物館」の財政が逼迫していることをご存知でしょうか。2023年1月9日に文藝春秋がそのことを報じたことで、多くの人に知られることになりました。国宝をはじめとする貴重な文化財を保存するために必要な光熱費や修繕費などが不足しているという事態に驚きます。
文藝オンライン 2023年1月9日
東京国立博物館の館長が緊急寄稿「このままでは国宝を守れない」
https://bunshun.jp/articles/-/59847
ちなみに、トーハクには、大量の美術作品と考古遺物が収蔵されており、〈その数は約12万件。なかには国宝89件と重要文化財649件(2023年4月現在)が含まれています〉(出所:東京国立博物館公式Webサイト、「よくある質問」、https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=156、2023年4月13日閲覧)。そんなトーハクの財政が極めて厳しいという報道にショックを受けました。
日本最高峰の博物館にして、この事態。他の文化施設では、更に厳しい状況であることは、想像に難くありません。
クイズの答え!
さて、話は冒頭のクイズに戻ります。答えは、下の箇条書き、1~7の、青太字と赤太字の箇所です。
- 文化は、人として生きるあかしであり、創造的な営みの中で自己の可能性を追求する人間の根元的な欲求であります。
- 文化は、人々の心のつながりや相互に理解尊重しあう土壌を提供するものであり、心豊かなコミュニティを形成し、地域社会全体の心のよりどころとなるものです。
- 文化のあり方は、経済活動にも多大な影響を与え、知的集約産業として多くの雇用の創出が期待されています。
- 文化は、私たち一人ひとりの価値観や生活様式から経済活動まで、生き方や暮らし方の全てを含みます。それらの総体は、各地の様々な地域活動や都市環境等に投影され、「まちの文化」として表れています。
- 文化は、何もせずに育つものでなく、手を加えないと成立しないものであることから、振興の必要が求められています。
- 芸術は、人々の創造性を育み、その表現力を高めるとともに、私たちの生活にゆとりや安らぎをもたらし、人生を豊かにします。
- 芸術には、美術、音楽、文学、演劇、建築等、様々な分野がありますが、それらは「まちの文化」の中心をなし、文化振興を牽引する役割を担っています。
と、いうわけで、答えは、
① か:文化
② わ:芸術
でした。正解した方、さすがです!不正解だった方、是非、この機に、文化とは何か、芸術とは何かを、考えていただければ幸いです。
私も、考えます。
市川市文化振興ビジョン
ところで、このクイズですが、一体全体なんなの?と思ったかもしれませんね。
これはですね、実はですね、「市川市文化振興ビジョン」(市川市 文化国際部 文化芸術課)の記載内容なのです。「振興」というのは、物事を盛んにすることを意味します。「ビジョン」は、将来のあるべき姿、目指す将来像です。
市川市 文化国際部 文化芸術課
市川市文化振興ビジョン 全文 (2019年2月18日更新)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/1221000007.html
市民の文化活動を促進することと、「文化都市」にふさわしいまちづくりを計画的かつ体系的に進めていくことが求められている、という前提のもと、市民と事業者と市川市が協働で取り組む、文化振興の目標や基本方針などを明らかにするために策定されたのが、「市川市文化振興ビジョン」です。
このビジョンは、2025年度(2026年の3月末まで)を目標年次としているそうです。
色々なことが書かれた、このビジョン、その目次は、次の通りです。
第1章 文化振興ビジョンの趣旨
1-1 ビジョン策定の背景と目的
1-2 ビジョンの性格第2章 文化振興の基本的な考え方と目標
2-1 文化に関する基本的な考え方
2-2 文化振興の基本的な課題
2-3 文化振興の基本的な視点
2-4 文化振興の目標第3章 文化振興の基本方針と基本方策
3-1 地域を彩る文化資源の保全・活用
3-2 文化活動の拠点と回遊ルートの整備
3-3 豊かな心を育む文化活動の支援
3-4 文化情報の発信と文化交流の促進
3-5 魅力を高め交流を深める街づくりの推進第4章 文化振興の推進体制の整備
4-1 市民と事業者と市の協働体制の整備
4-2 文化行政の推進体制の整備
4-3 市川市文化振興財団の機能の拡充リーディングプログラム~「街かどミュージアム都市づくり」の展開
出所:市川市公式Webサイト、「市川文化振興ビジョン全文」(2019年2月18日更新)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/1221000007.html、2023年4月13日閲覧
(1)民間の「街かどミュージアム」の登録の推進
(2)「街回遊展」の全市的な展開
(3)地域の「(仮称)文化の街かど・まちづくり計画」策定の推進
(4)「街かどミュージアム」の拠点と情報ネットワークの整備
街かどミュージアム
「市川市文化振興ビジョン」の目次(前出)を見てお分かりかと思いますが、市川市は、リーディングプログラムの「街かどミュージアム都市づくり」に力を入れているようです。
市川市の皆さん、ご存知ですか?市が力を入れている「街かどミュージアム」を。私は知りませんでした。言葉は耳目にしたことがあるはずですが、その内容については全く知りません。
これは、以下のようなものです。
民間の「街かどミュージアム」の登録の推進
・市民の文化活動に寄与し、市民に対する公開又は市民の利用が可能な民間施設等を把握し、「街かどミュージアム」の登録を積極的に進めます。
・そのため、登録制度を整備するとともに、登録内容のデータベースの作成、公開、共有を図ります。「街回遊展」の全市的な展開
・「街回遊展」については、地域のまちづくりとの連携を強化し、市内各地における開催を進めます。
・「街回遊展」の開催にあたっては、市民が全体となり、事業者及び市との協働の実行体制を整備すとともに、 期間限定のイベントから日常的なまちづくり活動への展開を図ります。地域の「(仮称)文化の街かど・まちづくり計画」策定の推進
・地域における「街かどミュージアム」の登録促進、活用管理、情報ネットワークの形成及び文化的な街づくりを進めるために、それらに係わる地域の「(仮称)文化の街かど・まちづくり計画」の策定を図ります。
・計画の策定にあたっては、地域住民等による協議会が主体となり、市はその活動を支援します。また、「街回遊展」を開催した地域をモデル地区をして計画の策定を進めます。「街かどミュージアム」の拠点と情報ネットワークの整備
出所:市川市公式Webサイト、「リーディングプログラム」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/cul01/1211000007.html、2023年4月13日閲覧
・市に寄贈された民家等を活用した「街かどミュージアム」については、地域の文化活動の拠点として、住民参加の管理運営体制を整えるとともに、周辺を含めた環境整備を進めます。
・市所有の美術品や歴史資料をはじめとした文化的資料のデジタル化を進めるとともに、民間施設を含めた「街かどミュージアム」の文化情報をデジタル化し、 「デジタルミュージアム」の整備を進めます。
「市川市 街かどミュージアム」でWeb検索すると、このWebページが見つかったので、紹介します。
市川市公式Webサイト
街かどミュージアム
https://www.city.ichikawa.lg.jp/catpage/cat_00000139.html
このWebページには、「街かどミュージアム」とは何であるかの説明は掲載されていません(下の画像参照)。
「案内・ガイドマップ」というWebページに飛び、そこから各地域のページに更にジャンプすると、色々と名所の類が載っています。どんな感じ?こんな感じ!というわけで、ざっとご紹介します。
国府台・堀之内界隈(更新日: 2021年1月22日)
地域のあらまし
里見公園
市川関所跡
国府神社
下総総社跡
国府台の辻切り
法皇塚古墳
総寧寺
じゅんさい池緑地
国府台寺町
文化の街かど回遊マップ
近代文学のみち
国府台~堀之内界隈発見マップ
国府台・矢切回遊マップ
その他の情報
国分・稲越界隈(更新日: 2018年11月1日)
国分・稲越界隈発見マップ
文化の街かど回遊マップ
下総国分寺
大町・大野町界隈(更新日: 2021年5月28日)
大町・大野町界隈 発見マップ
大野町回遊マップ
大野城跡と将門さま(弁天祠)
天満宮(御門)
長屋門(板橋総本家)
迎米三社宮
石井早生(梨原木)
茅葺き農家
弁天さまとタナヤ
いぼとり地蔵
庚申塔と馬頭観音
本将寺
迎米公民館
大野ゆかりの文化人
城山周辺民話マップ
曽谷・宮久保界隈(更新日: 2022年3月4日)
曽谷・宮久保界隈発見マップ
曽谷地区デジタル街案内
東菅野・本北方界隈(更新日: 2018年10月26日)
東菅野・本北方隈発見マップ
八幡・菅野界隈(更新日: 2021年9月2日)
八幡・菅野界隈発見マップ
葛飾八幡宮
八幡不知森
中央公民館
川上善六翁遺徳碑
東昌寺
十二社神社
市川市役所
招き猫
近代文学のみち
市川の散策道(八幡・曽谷・大野)
市川・真間界隈(更新日: 2022年6月13日)
文学の散歩道
真間山弘法寺
亀井院
手児奈霊神堂
真間の継ぎ橋
手児奈橋
大門通り
文学の道
文化の街かど・回遊マップ
まんよう
散策がいど瓦版
万葉のみち
近代文学のみち
市川の散策道(真間・国府台・国分)
信篤・二俣界隈(更新日: 2016年12月28日)
名前の由来
回遊マップ
原木山妙行寺
日枝神社
海岸山安養寺
大鷲神社
海中山了極寺
高光山常明寺
行徳・南行徳界隈(更新日: 2022年6月13日)
歴史的街並みの散歩道
主な年中行事
権現みち寺めぐり
行徳 伝統の技
田中邸
常夜灯
笹屋うどんと中山こんにゃく
文化の街かど回遊マップと『ぎょうとく』
行徳回遊マップ
行徳塩浜のみちを歩く
市川の散策道(行徳・南行徳)
花の見どころ(更新日: 2021年5月28日)
花の見どころ発見マップ
江戸川沿川(更新日: 2017年1月13日)
江戸川沿川 街の発見マップ
――という感じです。
わかりましたか?「街かどミュージアム」とは何か。
これを書いている私自身、あまりわかっていません。「街かどミュージアム」について、日を改めて調べるなどして、もう少し理解できるよう努めます。何か有用な情報を得たら、当サイトで報告しますね。オタノシBig!否、オタノシMini!
日本は文化にお金をかけていない(もっとかけても良いのでは?)
さて、話はまたしても遠くに飛びますが(大谷翔平選手が打った白球のように)、日本と他国を比較してみます。何を?政府が文化にどのくらいお金を出しているか、ということを。
参考にした情報は、一般社団法人 芸術と創造「諸外国における文化政策等の比較調査研究事業 報告書」(2021年3月)です。これは、令和2年度「文化行政調査研究」において実施された事業の報告書です(https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/pdf/93146001_01.pdf)。
イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、韓国と比較してみます。
日本、少なっ!(私、このような表現を人生で初めて使いました)
文化にいくらかけているのかを1人当たりに換算すると、フランスと韓国が圧倒的に大きな金額を支出していることがわかります(上図の棒グラフ)。韓国は日本の約7.3倍!
政府予算全体に占める文化支出の割合でいえば(上図の折れ線グラフ)、韓国は日本の約10倍!
ところで、日本を含む6か国の文化支出額は、増加傾向になるのか、それとも減少傾向にあるのでしょうか。同資料によれば、2010年の文化支出額を100として、2020年の額をみてみると、韓国は229、ドイツは158でした。この2つの国は、大幅に増加しています。日本は114で、6か国の中では3番目です。10年間で14%増加してはいますが、元の支出額が少ないので、金額の増加は相対的にはさほどでもないと言えましょう。
* * * * *
と、いうわけで、今日は文化についてアーダ・コーダと綴りました。たぶん、読みづらかったと思います。リーダビリティ、低っ!(普段、この表現は使いません)
当サイトでは、あまり文化について扱うことはありませんでしたが、市川市が「文化都市」になることを目標としているということなので、今後は市川市の文化振興の動向をウォッチし、コラムなどで取り上げたいと思います。