【コラム】選挙結果を受けて議会はどう変わるか?

コラム

執筆日 2023年4月24日、4月25日

公開日 2023年4月28日

2023年4月23日(日)に、市川市議会議員一般選挙の投開票が行われ、65名の立候補者のうち、42名が当選、23名が落選、という結果になりました。

注目された投票率がどうだったか、ということについては、

この結果を受けて、議会はどのように変わるでしょうか。

冒頭の画像は、今回の選挙で当選した42名の議員の年代別人数と構成比です。とはいえ、これを見ても、はぁ、そうですか、という言葉しか出ないかもしれませんね。そこで、選挙前の議会状況と比較してみます。

出所:市川市公式Webサイト掲載データおよびNHKのWebサイト掲載データを基に作成
出所:市川市公式Webサイト掲載データおよびNHKのWebサイト掲載データを基に作成

上の2つのグラフを見ていただければお分かりの通り、議員の年齢は若返りました。とはいえ、49歳以下の議員数は不変です(つまり、50歳以上の議員数も不変です)。

・・・と、このグラフを作成し、元データもあわせて色々と眺めては、ふむふむ、平均年齢は59.7歳から3.9歳若返って55.8歳になって、年齢の中央値は同じく62歳から5.5歳下がって56.5歳か、などと確認をしていた時、2003年から2009年まで市川市議会議員を務め、市川市長選にも2度チャレンジしたことで知られる一人の市川市民から、「当選時の年齢で比べた方がよいかも」という意見をいただきました。

確かに!

上のデータは間違っているわけではなく、今回の選挙によって議員の顔ぶれが変わったので、年代構成も変わりますよね、ということを確認する上で意味はあります。

他方、市民が選挙で選ぶ人たちの年代はどうなのか、以前よりも若い候補者が選ばれる傾向が強まっているのか、それとも?ということを見るには、当選時の年齢データを用いて前回と今回の当選者比較をすることが望ましいですよね。貴重な意見をくださった人、ありがとうございます!

出所:市川市公式Webサイト掲載データおよびNHKのWebサイト掲載データを基に

50代で当選した人が、前回、2019年は、8名でした。今回は4名増えて12名になっています。

20代の当選者は前回も今回もおらず、30代は前回5名(32、33、34、37、38、39歳の当選者が1人ずつ)で、今回は3名(36歳が2名、38歳が1名)と、2名の減少です。

60代が14名も当選したのが前回で、今回は12名と、2名減少しました。

ちなみに、2023年2月28日時点の住民基本台帳データより、年齢1歳区分(100歳以上はひとまとめ)の男女の人口を確認すると、下図のようになります。

この記事にも書きましたが、「市川市には、アラフィフ(50歳前後の人)がいっぱい」いるのです。

議員構成としては60代がもう少し少なく、40代以下が多いことが望ましいと思います。20代の議員がいないのも寂しいですね。いや、寂しいなどという感情をここで吐露してもしょうがなく、被選挙権のある25歳以上(この引き下げを求める声を昨今よく耳目にします)29歳以下の若い議員が増えてほしいです。議会の活性化(活性化とは何か)のためにも。

続いて、男女の議員数、構成比を見てみます。

出所:市川市公式Webサイト掲載データより作成。
出所:市川市公式Webサイト掲載データより作成。

男性が2名減り、女性が2名増えました。しかし、それでもまだ女性は2割です。少なすぎます。私は以前、「まずは25%を目指してほしい」と書きました。

* * * * *

まだまだ行きますよ!

続いては・・・

現職か、新人か、そして、所属する政党があるのか、無所属なのか、という観点から、立候補者の当選率を確認してみます。なお、元議員は新人に含めています。

出所:市川市公式Webサイト掲載データおよびNHKのWebサイト掲載データを基に作成

まず、全体でみると、当選率は64.6%です。7割を切っています。

現職と新人で比較すると、現職が圧倒的に有利だということがわかります。

政党所属か無所属かを比較すると、党所属が圧倒的に有利です。

図中の右の4本の青い棒グラフを見てください。みなさんも良く聞く言葉であろう、「無所属・新人」の候補者は、他に大きく引き離されていますね、当選率を。図には載せていませんが、「”無所属・新人”以外」の当選率は78.7%でした。

「無所属・新人」に厳しい選挙。後ろ盾がないと立候補することも難しいでしょうし、ましてや当選するのは至難の業。でも、これは、投票率が低いこととも大いに関係している、と考えられるのです。

投票率が低いと、現職が当選しやすいなど、議会が現状維持(良い方向に変わらない)力が働く、と考えておくと良いと思います。

投票率が低いことで私たちがどのような不利益をこうむるか、については、こちらの記事の後半にたっぷりと掲載しているので、興味のある方は、読んでみてください。

* * * * *

記事のタイトルを、「選挙結果を受けて議会はどう変わるか?」としましたが、どう変わるでしょうか。

選挙の前後を比較すると、70代以上の議員が減り(80代の議員はいなくなり)、50代の議員が倍増しました。この影響はあると思います。いわゆる現役世代の議員が多くなることで(現役世代ではない議員も、議員としては現役ですが)、自身の働き方や子育てなどに関する地域課題を、自分ごととして捉える議員が増え、議会でも活発に議論されることが期待できます(期待していますよ!)。

新人議員は議会にフレッシュな風を吹かせてほしいと思いますが、政党に所属している議員は、多かれ少なかれ政党の方針に沿った活動をするでしょうから、議会を、市政を、市川市を変えることを最も期待できるのは、「無所属・新人」だと思います。

改めて、当選した42名について、所属政党の有無、現職か新人か、ということで、分類してみます。

出所:市川市公式Webサイト掲載データおよびNHKのWebサイト掲載データを基に作成
  • 現職は29名、新人は13名
  • 党所属は27名、無所属は15名
  • 党所属・現職が19名、無所属・現職が10名、党所属・新人が8名、無所属新人は5名

また、男女別、現職新人の別に打ち合分けをみると、

  • 男性・現職は24名(構成比57.1%)・・・平均 56.5歳
  • 男性・新人は9名(21.4%)・・・平均 51.9歳
  • 女性・現職は5名(11.9%)・・・平均 64.2歳
  • 女性・新人は4名(9.5%)・・・平均 50.3歳

となりました。

個人の属性をただ集計しただけといえばそれまでです。私も、すみません、このあたりは、ただ確認しただけ、というようなところです。

先程、無所属がどうのこうのと書きました。市川市民の多くは、市議会がどのような党派構成になっているかをほとんど知らないと思います。私も知りません。そういうものが、どの程度、市政運営に影響するのか、どのように影響するのか、しないのか・・・。よくわかりません。

50万人弱の市川市民の代表に選ばれた42名の皆さんが、(だけ)のためにではなく、また、自分の支持母体(だけ)のために、でもなく、ご自身には投票をしなかった人を含む、市民全体のことを、よく考えて、行動してくださることを願って止みません。

* * * * *

政治家の皆さんには「説明することの労を惜しまない」でいただきたいと思っています。

政治家と言う立場上、色々と批判を受けることが、政治家ではなかった頃よりも増えると思いますが、なるべく丁寧に説明をしてほしいのです。市川市のこれまでの政治家の方々を見ていて、説明をしなくても理解してもらえると思い込んでいる節がある、そんな印象を受けることがありました。市民はないがしろにされていると思い、残念に思いました。それを何度も繰り返されるうちに、怒りの感情も芽生えました。

思い出すだけで、腹立たしさを覚えます。

どんどん説明し、情報を発信し、顔の見せる活動をしてほしいですね。

そういえば、私が知っている範囲で、高頻度で、データを交えた情報を発信していた現職の男性議員がいましたが、残念ながら落選していました。また、新人で立候補していた男性の方も、熱心に情報発信していたのですが、落選でした。他方で、SNSで市民からの質問に丁寧に答えるどころか、まるで、「そんなことを言われる筋合いはない」とでも言いたげな反応をした候補者が当選していました。

いやはや、選挙って、難しいですね。

議員の皆さんに、「議会では寝ません」という宣言を出してほしいですね。それは酷なことでしょうか?そんなことありませんよね。

すみません、ダラダラと書いてしまいました(それはいつものことだろう、ですって?はい、その通りです)。素直にI’m Sorry。

政治のことを気軽な気持ちで話せるフォーラム、サロン、そんな場があればよいですよね。

市政を「道楽」として楽しんでも良いのではないかとさえ思います。

最近、TBSラジオのポッドキャストで「セイジドウラク」なる番組が始まりました。

セイジドウラク
https://www.tbsradio.jp/sd/

TBSラジオ記者澤田大樹と選挙ライター宮原ジェフリーがお送りする「政治を道楽として楽しむ」番組。

「なんとかしてもう少し国民に元気を付けて、そうして政治の趣味を付けることが急務である。」
ーーーーーーーこれは内閣総理大臣を務めた大隈重信の言葉だ。

特撮好きが特撮を語るように、K-POP好きがK-POPを語るように、必ずしもタメになるわけではないけどおもしろい、趣味・道楽としての政治(あるいは世事)をマニア的な視点に取材・リサーチの成果を織り交ぜて語ります。

出所:TBSラジオ公式Webサイト、ポッドキャスト「セイジドウラク」、https://www.tbsradio.jp/sd/、2023年4月25日閲覧、太字は筆者

この番組で語られるように、市政を語れる場があっても良いですよね。良いですよね、というか、自分で(多分それはフリスタ内ではなく、フリスタとは別のどこかになるともいますが)作ろうかな、とも思っています。

それでは、また。ごきげんよう!!!!