先日、こんな記事を書きました。
市川市といえば「梨」、梨といえば「市川市」、これは、市川市の、特に北部に住む人にとっては当たり前のことですが、都内に住む私の友人などは、「スーパーで千葉県の梨が売られているのを見たことがない」と言い放つ始末。ウッソ?Really?シンジランナイッ!と思わずシャウトしちゃいたいところですが、ぐっとこらえて、上のような記事を書いたわけです。この記事の最後に、私は、次のように書きました。
- 梨の消費支出金額(2人以上世帯)は年々減少しており、生鮮果物全体と比べても減少率が大きい
- 千葉県は全国1位の梨の生産地
- 市川市は千葉県2位の梨の生産地
という3点はしっかり押さえておきましょう。「梨検定」で出題されますよ。もし、そういったものが存在するのであれば。
――と。
市川市の人にとっては大変馴染みのあるフレッシュ・フルーツ、それが、梨(洋梨もあるので、あえて和梨という表記をすることもあります)です。
市川市で生産されている梨の品種のうち、主なものは、「幸水」「豊水」「新高」「あきづき」です。が、上の記事でも紹介したように、梨の結果樹面積(2022年)の2位から8位の県の顔ぶれは、茨城県、福島県、栃木県、長野県、鳥取県、熊本県、新潟県と、産地が全国に散らばっています(1位はもちろん千葉県――ですが、そのことを知る人は少ないと言わざるを得ないのが現状)。そして、各地で様々な品種が生産されています。
私たち、市川パースンがその名を知らない梨もきっとあるはず!
というわけで、今回は、日経MJの2023年9月20日(水)3面に掲載されていた、「バイヤー調査【和梨】」という記事より、7~8月にかけて日経MJが、スーパーや百貨店で和梨の仕入れを担当しているバイヤーに対して実施したアンケート調査の結果(回答者は106人)を紹介します。
市川市の人にはあまりなじみがない品種も登場しますよ。全部知っていたら、あなたは梨博士だ!
では、さっそく順位を見ていきましょう。
和梨の総合評価が高い方から順に、このようになっていました(情報出所:日経MJ、2023年9月20日「バイヤー調査【和梨】 『豊水』梨汁たっぷりなっしー」)。
1 豊水
2 幸水
3 あきづき
4 南水
5 新高
6 新甘泉
7 二十世紀
8 新興
9 にっこり
10 愛宕
11 王秋
12 晩三吉
13 愛甘水
14 ゴールド二十世紀
15 加賀しずく
16 新水
17 平塚16号(香梨/かおり)
18 彩玉
19 恵水
19 長十郎
※赤色太字は市川市で多く栽培されている品種。
ベスト5のうち、4品種は市川市で収穫されるものですね。
9位の「にっこり」は異彩を放っています。食べたら思わず、にっこりと微笑んでしまう程、おいしいとうことでしょうか。
ちなみに、17位、「平塚16号」は、通称「かおり」です。市川市内の梨農園でも栽培しているところがありますね。
なお、日経MJが調査時にバイヤーに対して提示したのは、上の20品種でしたが、これら以外にも和梨の品種があります。農研機構が育成している和梨のうち、21世紀に入ってから公表された品種は、以下の10品種です(情報出所:農研機構公式Webサイト、https://www.naro.go.jp/laboratory/nifts/kih/hinshu/pear_nut/index.html)。
王秋(おうしゅう)
あきあかり
秋麗(しゅうれい)
なし中間母本農1号
なつしずく
甘太(かんた)
凜夏(りんか)
はつまる
ほしあかり
なるみ
瑞月
こちらが、新世紀の和梨たちです。
「甘太」と書いて、「かんた」と読む品種が最も気になりました。甘いのでしょうね!九州一の和梨の産地・熊本県では、「甘太」を今後の有望品種と見る向きもあるようです。
‘甘太’は,今後熊本県のナシ栽培の一角を担う有望な晩生品種として期待でき,安定生産技術の開発が求められている.
出所:岩谷章生・藤丸 治・平本恵・宮田良二・北村光康(2020). ニホンナシ‘甘太’はパラフィン処理した遮光率 30%程度の果実袋を早期に被袋することにより糖度が上昇する 熊本県農業研究センター研究報告,第27号,https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/102592.pdf, 2023年9月23日閲覧(太字は筆者による強調)
と、記事を書いていて、ん?ちょっと待ってくださいよ‥‥何か見逃していやしませんか?
もう1度、日経MJのランキングを見てみましょう。
変わった名前を持つ品種があるじゃありませんか。なんだか、とても速そうな。
6位、「新甘泉」!
スーパーエクスプレス?!鳥取県の新たな人気品種らしいですよ。食べたことはありますか?私はないです。お店で見かけたら買ってみたいですね※1。
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そんわけで、市川パースンにも、きっと知らない梨がある!ということで、面白い名前の梨を紹介しました。
「甘太」と書いて、「かんた」。
「新甘泉」と書いて、「しんかんせん」。
覚えておいて損はないでしょう。得もないかもしれませんが。
それでは、最後に、2023年9月22日に市川市役所の2階にある「いちカフェ」で購入して食した、市川の梨を使用したデザートを紹介して、本稿を締めくくりたいと思います。
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〈注釈〉
※0:表題『市川パースンのあなたにも、きっと知らない梨がある。』は、有名ブログ『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』を少しだけ意識して名付けました。
※1:でも、市川市内の青果店やスーパーなどでは、市川市など千葉県の梨の扱いがメインで、他県産だと、茨城県など、近隣県で収穫されたものがあるくらいですよね。熊本県や鳥取県の新品種をわざわざ仕入れる市川市の店舗はないかもしれません。
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執筆日 2023年9月23日
公開日 2023年9月25日