公開日 2023年2月17日
少し前に、市川市が運営しているe-モニター制度(通称:eモニ制度)で実施したアンケート調査の結果を見ながら、あれこれ語り(実際には「綴り」)ました。未読の方は、本稿と併せて、是非読んでみてください。ちなみに冒頭の画像は市川市のeモニ公式サイト掲載画像を加工したものです。
今回もeモニの調査結果を見てみます。今年(2023年)実施された、鮮度の高い調査結果ですよ。本稿では、こんな質問に対する回答を確認します。
- この1年間に何らかの地域活動に参加しましたか。
- 1日30分以上かつ週2回以上の運動を、1年以上にわたり継続していますか。
- 環境問題、貧困問題、エネルギー資源問題などについて考え行動を起こそうと思っていますか。
- 社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。
- 地域でのつきあいについて、あなたの普段の行動に最も近いものを教えてください。
地域活動への参加、運動の習慣
はじめに、1.と2.の質問に対する回答を確認します。これらは、2023年1月19日~2023年2月1日に行われた「市民の健康に関するアンケート (市内在住者限定)」内の質問なので、まずはこの調査の対象者(有効回答者数は1,126人)の年代構成比を確認しておきます。
下図の左側が調査対象者の年代構成、右側が市民の年代構成を表しています。調査対象者40~70代、特に50代の構成比が相対的に大きいですね。一方で20代と30代の構成比が小さいです。10代に至っては0%です(0人ではなく3人ですが)。
市川市は若年層の比率が高い自治体なのですが、この調査結果には(というかeモニ調査には)若年層の回答がほとんど反映されていないと言えます。この点にはご留意ください。
それでは、質問に対する回答をみてみましょう。
質問1:あなたは、この1年間に何らかの地域活動※に参加しましたか。
※地域活動とは、地域で行われる何らかの活動で、お祭り等の催し物やボランティア活動、趣味の会やスポーツ(ゲートボール等)のことをさします。
参加した人は約3割、不参加は約7割でした。不参加者のうち約15%(10÷68)は、参加したかった、ということで、潜在的な参加者と言えるかもしれませんね。
ちなみに、先日公開した記事で紹介したeモニ調査結果によると、市川市に住んでいる人の多くは地域に愛着を持っているということがわかっています。愛着を持つ人が多くても、地域活動に参加しようとは思わなかった、と回答した人が約6割もいるのですね。参加したくなるような地域活動がないのでしょうね。あるいは、とても楽しい地域活動があるのだけれど、そのことを知らない人が多いのかもしれません。
「~~を知らない人が多い」というのは、市川市に関する調査結果をみていて、しばしば頭に浮かぶ言葉です。
市川市民に関する仮説(2022年8月8日、フリースタイル市川)
・市川市に豊かな自然があることを知らない市川市民が多い
・市川市に歴史ある観光資源があることを知らない市川市民が多い
この2つの仮説を導出した過程は、この記事に記載しています。
質問2:あなたは、1日30分以上かつ週2回以上の運動を、1年以上にわたり継続していますか。
(ウオーキング、ストレッチのような、軽く汗をかく運動も含みます)
条件を満たすか否かを別にして、運動をしている人は39%+34%=73%、約7割となっています。運動している人のうちの半数強が条件を満たす運動をしているということですね。全体の2割弱は、運動をしたいけれどできていないということです。運動をする気がない人を含めると、3割弱が運動をしていないことになります。
市川市の田中甲市長は、「健康寿命」にこだわりをお持ちのようです。日常的な運動習慣は、健康寿命の延伸に正の効果がありそうですね(どんな運動が健康寿命延伸に正の効果をもたらす、という研究はあるのでしょうか?)。
質問1と質問2から、地域活動に参加したいけれどできなかった人、運動したいができていない人がそれなりの割合、存在していることがわかります。忙しすぎて未実施だったのか、きっかけがなかったのか。
こうした人たちには、今、市川市で注目を集めている「プロギング」がピッタリかもしれません。ご存知ですか?プロギングを。
プロギングは、ゴミ拾いをしながらジョギングをする、あるいは、ジョギングをしながらゴミ拾いをすることを指します。軽い運動になり、地域の人との交流もあるので地域活動への参加にもなり、地域にとって善きことでもあります。
市川プロギング
企画・実行する「ゆ~ちゃん」さんTwitter
https://twitter.com/yuymh651
こちらは、市川プロギングに参加したフリースタイル市川の野口さんのTwitter投稿です。
社会問題に取り組むことへの意識、社会貢献に対する意識、地域づきあい
続いて、5つの質問のうちの後半3つ、3.、4.、5.をみてみます。2023年1月12日~2023年1月25日に行われた「市川の教育に関するアンケート」(有効回答者数は1,284人)内の質問なので、この調査の対象者の年代構成比を実際の住民の構成比と比べると、40~70代の各年代の構成比が相対的に大きく、中でも50代の構成比が大きいです。これは先ほど見た調査と同じです。
質問3:あなたは、環境問題、貧困問題、エネルギー資源問題などについて考え行動を起こそうと思っていますか。
(例:ゴミの分別・減量、再生可能エネルギーの導入、フードバンクへの寄附、地域ボランティアによる学習支援、省エネ家電・エコカーの導入、節電など)
質問4:あなたは、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。
3.と4.の回答をみると、市川市では多くの人が社会問題に対してアクションしたいという気持ちを持っており、社会のために役立ちたいとの想いを持っていることがわかります。
フリースタイル市川では、フードバンク事業を行っています(いちかわフードバンクbyフリスタ)が、この活動を私たち「まちづくりNPO」が行う理由の1つは、地域の、誰かの、あるいは社会の、役に立ちたいと考えている人たちに、役割と出番を提示したいから、です。是非、一緒にフードバンク活動を盛り上げていきましょう!色々なかたちの参加方法がありますよ!詳しくはフードバンクに関するWebページをご覧ください。
質問5:あなたは、地域でのつきあいについて、あなたの普段の行動に最も近いものを教えてください。
市川市には地域づきあいが希薄な人が多い、ということが見て取れます。若年層の構成比が低いこの調査の結果でさえ、こう(下図参照)なので、20代や30代の人たちの多くは地域づきあいをほとんどしていない可能性もあります。
地域でお祭りなどがあれば、そこで普段は挨拶しかしないような近所の人と話をして、立ち話をする関係になり、さらに生活面で関わりのある関係になっていくこともありそうですね。夏祭りのようなものも祭りですが、例えば、「市川まちガチャフェス」のようなイヴェントも広義のお祭りですね。
先ほども紹介したプロギングを、例えば「ゆ~ちゃん」さん主催の「市川プロギング」に参加して体験したら、参加者とのつながりが生まれ、(ご近所ではないかもしれませんが、市川市という)地域での人づきあいが生まれますし、この体験を生かして、ご自身で近所の人に参加を呼び掛けてプロギングをしてみるのも良いですよね(と書きながら、私がそれを実践してみようカナート※1思いました)!
また、2023年3月4日(土)に江戸川の河川敷、河津桜の木が連なり、花が咲き誇る辺りで行われる「水辺でチェアリング~河津桜2023~」に、ふらっと訪れてみるのも良いと思います。この日は、てこな音盤倶楽部さんによるレコードの再生もありますよ。のんびり、地域の人たちとゆる~く交流できます♪
他にも、市川市で自転車を使ったまちづくりをしていこうと活動している「自転車天国研究会(てんてけん)」が企画している、 2023年の春のチャリンコツアーに参加してみるのもよいですね!
- 江戸川・河津桜ライド 2023年2月26日(日)
- 菜の花&柴又ライド 2023年3月21日(祝)
- 桜ツアー 江戸川~国府台 2023年3月25日(土)
- 桜ツアー 大柏川~真間川 2023年4月2日(日)
詳しくは、自転車天国研究会(てんてんけん)公式Webサイトをご覧ください。
https://www.tentensuisui.com/
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今後も市川市が実施しているeモニ制度によるアンケート調査結果を紹介していきます。
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〈注釈〉
※1:「カナート(思いました)」は、「かな、と(思いました)」の意味です。「カナート」をご存知ですか?
横井戸による地下水道というのがカナートですが、なかなか想像しにくいものと思います。私が日本で説明するときは「カナートというのは地下鉄のようなものだ」と言っています。簡単に言えば、水のある山麓地帯に最初の深い第1井(この井戸を「母井:マダル・チャー」と呼びます)を掘り、そこの帯水層から取った水を暗渠で導水し、灌漑地の近くで地表に出すのがカナートです。暗渠で導水するのに、地下から一直線に横に掘ることができないため、多数の竪抗の井戸を続けて掘って、それらをつないでいくわけです。
ただ、この技術や形態だけをカナートと言うのではなく、カナートに支えられている集落、農地、全体を考えた水利システムがカナートであると考えます。連続した竪坑の長い列、その先に位置する集落、さらにその先の畑への灌漑など、すべてが総合技術としての水利体系となっています。
カナートはイラン高原あたりが発生の地と言われていますが、世界中に広がっています。アフガニスタンでは「カレーズ」、アルジェリアでは「フォガラ」、オマーンでは「ファラジ」と呼んでいます。意味は同じですが、国によって深さや全長は異なります。
出所:ミツカン水の文化センター機関誌『水の文化』12号「水道(みずみち)の当然(あたりまえ) 見直される乾燥地帯の水利システム貴重な水を運ぶカナート」(国際連合大学上級学術顧問 元日本沙漠学会会長の小堀巌 さんによる解説)、https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no12/05.html、2023年2月7日閲覧(太字は筆者)