公開日 2023年2月13日
※冒頭の画像は、市川市の平成18年度選定「いちかわ景観100選マップ」(英語版)からの引用です
ヒニヒニヒが長くなっていきますね。
すみません、変換が正しくありませんでした。正しくはこうです。
日に日に日が長くなっていきますね。
冷気に包まれて、白い息を吐きながら、柔らかい光を浴びると、確実に春が接近していることを実感します。
ところで、次にあげる11の場所やイヴェントは、いずれも市川市に関係するものですが、これらに共通することが何だかわかりますか?
- 市民プール
- I-linkタウンいちかわ
- 本八幡駅周辺
- ニッケコルトンプラザ周辺
- 広尾防災公園
- ハイタウン塩浜
- 江戸川第二終末処理場
- 八幡やぶしらず
- 市民納涼花火大会
- 国分川鯉のぼりフェティバル
- 芳澤ガーデンギャラリー
わかりましたか?
これらに共通するのは、「いちかわ景観100選」(平成26年度)に選定されている、ということです。
「なるほど」と思えるもの、「意外だな」と思うようなもの、人それぞれ感じ方は異なることでしょう。「江戸川第二終末処理場」と言われても、「なぜ、これが景観100選に?」と思うかもしれません。
市川市の公式Webサイトで見つけた「いちかわ景観100選」のファイルには、「江戸川第二終末処理場」の概要として、次のように書かれていました。
広大な敷地にスポーツ施設、散策路が整備され、芝桜、バラなど四季折々の花が楽しめる。場内で活動している行徳芝桜の会は都市景観大賞特別賞受賞。(Pあり)
出所:市川市オープンデータカタログサイト(https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/opendata.html)にアップロードされている「いちかわ景観100選」のcsvファイル(江戸川第二終末処理場の概要)
名称が「終末処理場」となっているので、一瞬、「え?」と思いますが、処理場の上にある福栄スポーツ広場などを指しているのですね。行徳芝桜の会が都市景観大賞特別賞を受賞しているとか。
この、「いちかわ景観100選」というものは、市民公募によって市川市内の景観資源を選んだもので、100箇所の場所を記載したマップも作られています。
いちかわ景観100選マップ
https://www.city.ichikawa.lg.jp/cit01/1111000011.html
このマップを持って、市川市内の良好な景観を自転車で巡るツアーを決行するのも良いですね。「てんてんけん」(a.k.a.自転車天国研究会)が、自転車散歩を企画してくれることを期待しましょう!
てんてんけん a.k.a. 自転車天国研究会 公式Webサイト
https://www.tentensuisui.com/
ところで、これまで何度も登場している「景観」という語ですが、これはどのような意味なのでしょうか。
景観とは、色々な種類の建物、木々や川などに加え、視覚以外でとらえた音や匂いなど、様々な要素からなる空間(「景」)を、私たちが目にし、感じる(「観る」)ことでとらえるまちや地域の表情のことです。
出所:平成26年度選定「いちかわ景観100選マップ」(日本語版)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit02/file/0000377437.pdf
まちや地域の表情…抽象的でわかりづらいですね。あえて抽象的な表現にしているのかもしれません。
ここで、一挙に「いちかわ景観100選」を紹介します。好きな景観はありますか?
- 江戸川
- 江戸川からの眺め
- 江戸川に架かる橋からの眺め
- 市民納涼花火大会
- 江戸川沿いの桜並木
- 大町周辺の森
- 大町梨街道
- 梨畑と梨作りの風景
- 大町自然観察園
- 動植物園
- 市川霊園とイチョウ並木
- 歴史博物館
- 小塚山公園
- 国分川鯉のぼりフェティバル
- じゅん菜池緑地
- 弁天池公園
- 万葉植物園
- 里見公園
- 里見公園からの東京・江戸川の眺め
- 国府台斜面緑地
- 和洋学園のラウンジからの眺め
- 下総国分寺周辺
- 曽谷の高台からの眺め
- 曽谷小学校前の桜並木
- 曽谷貝塚
- 春日神社と周辺の街並み
- こざと公園周辺
- 市川パークハイツと周辺の緑
- 南大野1丁目の街並み
- 姥山貝塚公園
- 大柏川と桜並木
- 市民プール
- 大柏川第一調節池緑地
- 北方小学校からの眺め
- 子之神社
- 東山魁夷記念館
- 中山法華経寺
- 中山参道と商店街
- 花の道オアシス(若宮)周辺
- 高圓寺と藤まつり
- 白幡神社と高台からの眺め
- 真間川と桜並木
- 昭和学院のオープンスペース
- 白幡天神社と湯の花祭り
- クロマツと街並み
- 平田緑地
- 文学の道(桜土手公園)
- 郭沫若記念館
- 芳澤ガーデンギャラリー
- 須和田公園
- 木内ギャラリー
- 真間山
- 弘法寺と伏姫桜
- 手児奈霊神堂とまつり
- 大門通り
- 国道14号のバラ
- 市川駅周辺
- I-linkタウンいちかわ
- パークシティ市川のオープンスペース
- 大洲防災公園
- 葛飾八幡宮と千本イチョウ
- 本八幡駅周辺
- 八幡やぶしらず
- ニッケコルトンプラザ周辺
- メディアパーク・現代産業科学館周辺
- 文化会館前とプロムナード
- 原木山妙行寺
- 行徳橋(行徳可動堰)
- 江戸川妙典堤防
- 徳願寺
- 行徳寺町通り周辺の街並み
- 行徳の歴史・文化史ある建築物
- 権現道
- 八幡神社と桜
- 行徳みこしとまつり
- 常夜灯(公園)
- 旧行徳街道
- 旧江戸川
- 行徳小学校周辺
- 妙典駅周辺
- 妙典公園
- イオン市川妙典店周辺
- 妙典中央通りのけやき並木
- クリーンスパ市川からの眺め
- 江戸川放水路
- 中江川の桜並木(中江川緑道)
- 行徳駅前と商店街の街並み
- 行徳駅前公園
- 今井橋
- 広尾防災公園
- 南行徳公園(えんぴつ公園)
- 丸浜川と遊歩道
- 江戸川第二終末処理場
- 行徳近郊緑地と野鳥観察舎
- 宮内庁新浜鴨場
- 塩浜橋
- ハイタウン塩浜
- 塩浜護岸からの眺め
- 海の見える風景
- 東京湾三番瀬
※番号は、市川市オープンデータカタログサイト(https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/opendata.html)にアップロードされている「いちかわ景観100選」のcsvファイルに記載されているものです。
100選の概要は注釈に掲載します※1が、私が好きな景観も含まれているので、それについて少しだけ触れてみたいと思います。
「62.本八幡駅周辺」は、何といってもJR駅北口のロータリーのハタビルの独特なフォルムが良いですよね。パティオとハタビル、この2つのビルは永遠にそこにあり続けてほしいです。
100選に「3.江戸川に架かる橋からの眺め」がありますが、私が好きなのは、「真間川に架る鬼高歩道橋からの眺め」です。また、京成線の鬼越駅から西に少し歩いたところ、真間川の近くに踏切があるのですが、春になると染井吉野の花が咲き誇ります。桜の花の向こう側を走り抜ける京成の電車――通称「桜の踏切」も、私が好きな景観です。
「市川市の尾瀬」こと、「9.大町自然観察園」の豊かな自然環境は市川市の宝(地名ではなく、トレジャーの方の宝)だと思います。うっとりするような素晴らしい自然ですが、草が繁茂すると湿地は埋まり、斜面林を放置すると常緑樹が増えて暗い林になってしまいます。長田谷津と呼ばれる独特な地形の自然を、当初の姿に近い状態に保つために、人が草刈りなどをしているのです。
「38.中山参道と商店街」のことを、ある人は「市川市の小京都」と呼んでいました。この景観は、地域の皆様をはじめ、事業者、行政が協力して、まちづくりを行うことで維持されています(詳しくは市川市公式Webサイトの「中山参道景観重点地区の指定について」をご覧ください)。
いちかわ景観100選マップ
ところで、景観とはどういうものか、あるいは、景観には何が期待されているのかを知りたいと思い、調べていたら、「景観法」なる法律の存在に行き当たりました。
「景観法」の第二条(基本理念)には、次のようなことが書かれています(カッコ内は私が補足のために加筆したものです)。
- 良好な景観は、美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠なものである
- (良好な景観を)国民共通の資産として、現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう、その整備及び保全が図られなければならない
- 良好な景観は、地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動等との調和により形成されるものである
- 良好な景観は、地域の固有の特性と密接に関連するものである
- 地域住民の意向を踏まえ、それぞれの地域の個性及び特色の伸長に資するよう、その(=良好な景観の)多様な形成が図られなければならない
- 良好な景観は、観光その他の地域間の交流の促進に大きな役割を担うものである
- (良好な景観が)地域の活性化に資するよう、地方公共団体、事業者及び住民により、その形成に向けて一体的な取組がなされなければならない
- 良好な景観の形成は、現にある良好な景観を保全することのみならず、新たに良好な景観を創出することを含むものであることを旨として、行われなければならない
法律なので、硬い書き方がされているのは当然だとは思うのですが、「図られなければならない」、「取組がなされなければならない」、「行われなければならない」という表現が続くと、怯んでしまいます。
ところで、先日、「【コラム】市川市の『暮らしやすさの客観指標』と『Well-Beingアンケート先行調査』の結果を見てみました」を公開しました。
この記事で取り上げたのですが、市川市の「暮らしやすさの客観指標」(偏差値。他の自治体との比較による相対的な位置づけ)をみると、
- 「都市景観」の偏差値が「68.9」
- 「自然景観」の偏差値が「41.6」
となっています。
また、「Well-Beingアンケート先行調査」の結果をみており、市川市と、近隣自治体である船橋市、松戸市、浦安市、そして、最近、若い人が転入するなど、人口が増加し続けている流山市の比較をしているのですが、市川市は多くの項目で、他市よりも住民の評価が低くなっています。
本稿の主題である、「景観」とは、少しずれるところもありますが、市川市に住む人が自分の市で生活していて、自然を感じるかどうかということを、どのように評価しているかをみておきます。
中でも、「自然の体感 (45.8)」を構成する3つの項目の偏差値の低さが際立っています。
- 身近に自然を感じる (45.4)
- 自然と向き合う喜び (46.4)
- 空気や水は澄んでいてきれい (45.7)
市川市は南北に長く、局地的に見れば豊かな自然が残っていることは、皆さんご存知だと思います。大町には野生のヘイケボタルいますし、斜面林にノウサギが今でもいることが確認されました。オオタカもいます。アンケート調査に回答した169名の方の多くが「大都会本八幡」にお住まいだったのかもしれません。などと、仮説を立ててもよいのですが、「身近に自然を感じる」の偏差値が低いことを重く受け止めた方が良いと思います。市川市の自然環境保護の活動を考える上で、「身近に自然を感じる人が増えること」を目標にしてはどうか、と思います。
出所:特定非営利活動法人フリースタイル市川公式Webサイト、「【コラム】市川市の『暮らしやすさの客観指標』と『Well-Beingアンケート先行調査』の結果を見てみました」(2023年1月28日公開、2023年2月1日更新)、https://fs-ichikawa.org/liveable_well_being_city_indicator/、2023年2月1日閲覧
この偏差値の低さは、自然が少ないことを意味しているわけではありません。そうではなく、仮に多いのだとしても、その自然と触れ合う(見る、感じる)機会が少ない市民が多いという実情を反映した数値なのです。
「景観」や「自然」もそうですが、「文化」、「歴史」など、他のジャンルについても、市川市は、既にそこにあるもの(あり続けるもの)をもっと大切にすべきだと思います。
大切にする、というのは、劣化しないように適切に維持管理することを含みますが、それだけではありません。積極的に市内外の人にその存在を認知してもらうようにアピールし、価値の高さを伝えようとすべきだと思うのです。特に、市川市に住んでいる人を始め、住まいは市川市外であっても、市川市で働いている人、市川市の学校などで学んでいる人、市川市の飲み屋に通ってくる人や、市川市の文化施設や商業施設を訪れる人、あるいは、かつて市川市に住んでいた人(元・市川市民)という、私が言うところの「市川パースン」に向けて、認知度向上を図るべきなのです。
すみません、少々力んでしまいました。失礼しました(BGM:チェッカーズ「素直に I’m Sorry」)。
最後に、短歌を一つ紹介します。
「日に日に日が長くなりてうれしんぼチャリで行こうか春を探しに」
* * * * *
〈注釈〉
※1:「いちかわ景観100選」の名称、概要、種別は以下の通りです(順不同、出所:市川市オープンデータカタログサイト(https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla01/opendata.html)にアップロードされている「いちかわ景観100選」のcsvファイル掲載情報より作成)。