【コラム】全国の市の中で最も人口増加率が高かった「つくば市」。「市川市」は?

コラム

2023年7月26日に、読売新聞が「茨城・つくば市、人口増加率が全国1位に…子育て世帯の転入が押し上げる」と題した記事を公開しました。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230725-OYT1T50392/

これは、各自治体の住民基本台帳に登録された人口について、2022年1月1日と比べて、2023年1月1日が、何パーセント増加したか、という「人口増加率」が、つくば市は全国の市の中で最も高かった、という事実を取り上げたものです。

記事によれば、つくば市の人口増加率が高い主な要因は、つくばエクスプレス(TX)の駅周辺に子育て世帯が転入してきていることだとか。なるほど、納得できる理由ですね、それは。人口増加率(住民基本台帳ベース、2022年1月1日の人口に対する2023年1月1日の人口の変化率)が高い市を見てみましょう。ここでは、増加率が0.5%以上(人口が50万人だとすると、1年後に2,500人以上増加するということ)の市を確認します。

住民基本台帳ベースの人口データより作成。
2022年1月1日からみた2023年1月1日の人口の増加率。

1位のつくば市(茨城県)、2位の印西市(千葉県)、3位の流山市(千葉県)には、いずれもTXの駅がありますね。他にも、つくばみらい市、守谷市、柏市が上位に入っています。

それでは、市川市の人口増加率は?

気になりますよね。気になりませんか?

早速見ていきましょう。千葉県内の市の人口増加率です(町村および区は除く)

住民基本台帳ベースの人口データより作成。
2022年1月1日からみた2023年1月1日の人口の増加率。

市川市の人口増加率は0.15%でした。

冒頭のグラフは、住民基本台帳ベースの人口データから作成したウォーターフォール図です。ブルーが増加、オレンジが減少、一番右のグレイが純増を表しています。純増は734人、これが0.15%の実態です。

印西市と流山市の人口増加率は、全国の市でも2位、3位ですから、千葉県内の市の中で見ると、当然、群を抜いていますね。

市川市と周辺の市を比べると、柏市、浦安市はかなり高く、船橋市は市川市より少し高く、松戸市は市川市より低いものの、かろうじて人口は増加している、という状況ですね。鎌ケ谷市は人口が減少しています。

続いて、市川市と人口規模が近い市について、人口増減率を見たいと思います。

住民基本台帳ベースの人口データより作成。

2023年1月1日時点の住民基本台帳ベースの人口が40万人以上60万人以下の市は、23ありました。40万人台の市は多く、50万人台の市は少ないことがわかります。

これらの、市川市と人口規模が近い市について、人口増加率を見てみます。

減少している市が17、増加している市はわずか6でした。

市川市の人口は、増加にブレーキがかかりつつあるようですが、それでもこの1年で増加しており、健闘していると言って良さそうです。本八幡北口には新たにタワーマンションができると言われており、800戸以上が増えるという話もあります。単純に人口増加ということだけ考えると、タワーマンションの建設による効果はかなり大きいですよね。単純に人口増加だけを考えていれば良いのであれば。

さて、グラフに目を戻しましょう。

23市の中で最も人口増加率が高い柏市は、先述の通りTX駅周辺への人口移動があると思われます。

2位の藤沢市(神奈川県)の人口増加要因は何でしょうか。それは、湘南エリアへの転入者が多いことだと思われます。出生数を死亡数が上回るものの、転出者数を転入者数が大きく上回っており、結果としてかなりの人口増加がみられたそうです(情報出所:日本経済新聞「湘南エリア、人口増加目立つ 藤沢市は約2100人増」(2023年1月20日)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1958L0Z10C23A1000000/、2023年7月26日閲覧)

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各年の人口増減や増加率のランキングに一喜一憂することはあまり意味はありません。また、人口の増加は自治体の税収増加にもつながり、好影響がある一方で、特定の地区への急激な人口の増加は、生活インフラの量・処理能力などの不足を顕在化させることもあります。人口増加=良いこと、と言い切れないケースもあります。

タワーマンションの建設計画が持ち上がっている本八幡駅北口ですが、この地区での再開発に関する記事があるので、興味のある方は読んでみてください。

当Webサイトでは、たびたび市川市の人口を確認しながら、将来のことを考えたり、他市と比較してみたりしてきました。高齢化の現状や今後どうなりそうなのか、ということを見たりもしています。

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面白味はないかもしれませんが、データをじっくり見ることで浮かび上がる課題もありますし、「まちづくり」を行う上でのヒントも、このようなデータ・ウォッチングから得られることも、なきにしもあらずです(力強く書いている割に特に何かを言っているわけではないというズルい文章)

市川市の人口や世帯構成、高齢化、人口移動(流入・流出)、あるいは、そのようなこととも関係があると思われる、選挙における投票率について、語らいたいという人がいたら、いつでもお声がけください!お待ちしています。

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執筆日 2023年7月26日
公開日 2023年7月30日