【コラム】政治・行政とメディアの関係

コラム

先日、市川市の田中甲市長が、報道関係者が市川市役所内で活動しやすい状況、環境を作っていくことに意欲を示していました。

 また、報道関係者が市川市役所内で活動しづらいということを以前よりよく耳にします。市の事業でメディアが関心を持ったことを取材しやすい環境を作っていく必要があると感じています。この傾向は前任の市長が報道関係者からの取材を受けたがらない、また関係した職員も報道からの取材を拒否していたという体質から、新庁舎のセキュリティの中で報道陣に対して壁を作ってしまっていることが大きな問題だと思います。良いことをしようとしていることはメディアの力を借り、より多くの市民に伝えてもらいたいと思うからです。

出所:「広報いちかわ」2024年3月2日号、田中甲『市川にこうご期待[vol.42]』

政治や行政がしている「良いこと」は、メディアを通じて市民に伝えてもらいたい、というのが田中甲市長の考えです。このように考えるのは自然なことだと思います。前市長がメディアと距離を置いたことは、前市長の意思決定に関する理由が市民に対して説明されない状況を招き、説明責任を果たしていないという印象が強化されることにつながった――と、私は見ています。

ところで、メディアには、当然ながら、政治・行政を監視するという役割があります。たまに、メディアは政治や行政の批判ばかりしているという批判をする人(市民や政治家)がいますが、監視して、悪いことを指摘し、世に伝えるということをメディアがしなければ、市民が不利益を被ることが増えるでしょう。

最近、首長くびちょう(知事や市長のこと。プレシオサウルスやエラスモサウルスといった首長竜くびながりゅうを想起しそうな字面ですが、違います)記者会見や取材において、記者の質問を不当に制限する動きが立て続けに行っていることをご存知でしょうか。

① 2024年2月、徳島市の内藤佐和子市長の定例記者会見で、徳島市の広報担当者が徳島新聞記者に任期満了に伴う市長選挙に関する質問をしないよう伝えていた。

② 2024年2月、山梨県の長崎幸太郎知事の就任6年目のインタビュー取材に対して、山梨県の広報担当者が、報道各社に対して、政治資金収支報告書の不記載問題(代表を務める資金管理団体で不記載1,182万円が判明)について質問しないよう求め、要請に応じなかった放送局1社への取材を拒否した。

③ 2023年4月の北海道知事選挙で再選された鈴木直道知事は、当選確実となった際に、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の問題などを質問しようとした複数社のインタビューや番組出演を断った。

④ 2023年1月、石川県の馳浩知事は、地元・石川テレビ放送製作のドキュメンタリー映画『裸のムラ』を巡り、自身や県職員の肖像権の取り扱いを問題視、石川テレビ社長の定例記者会見への出席と議論を求めたが、拒否された。これを受け、同年3月以降、公約に掲げていた定例記者会見を開かず、自身の都合で行う随時開催のみを実施するようになった。

①~④は、ここ1年間くらいの間の出来事です。私に耳目に届いていないだけで、こうした例は全国で多く発生している可能性もあります。

日本新聞労働組合連合(新聞労連)は、2024年2月26日に、上記①②を受け、「地方自治体で相次ぐ『質問封じ』に抗議する」という声明を出していました。

市民の「知る権利」を代行する立場で首長を取材する記者の質問を封じることは、言論の自由を保障した憲法に違反する悪質な行為です。憲法擁護義務を課せられた自治体職員によって言論規制が行われたことに厳重に抗議し、すべての自治体関係者に再発防止を強く求めます。

出所:日本新聞労働組合連合 公式ウェブサイト「地方自治体で相次ぐ『質問封じ』に抗議する」(2024年2月26日)https://shimbunroren.or.jp/20240226seimei/、2024年3月3日閲覧

①②とも、首長が取材拒否するように市や県の職員に伝えたという事実は確認されていませんが、自治体職員が首長に忖度をしている状況がうかがえますね。冒頭で引用した市川市の田中甲市長の言葉にも、そのような忖度がある(あった)のではないかと取れるような書きぶりがありました。

政治家、特に首長は、市民に対してしっかりと説明責任を果たすことが極めて重要だと思います。市川市の場合、前市長(在任期間は、2018年4月~2022年4月)が、ユニークな施策を講じることが多かったものの、それらについて会見の場などで説明することを怠った(マスコミ不信によるものと想像しますが、首長たるもの、会見でしっかりと施策の理由を語り、貴社の質問に答えるべきでしょう)ことは、施策の善し悪し以上に大いに問題であった、と、思っています。

というわけで、田中市長には引き続き、情報発信、情報公開、定例会見、タウンミーティングなどでの市民との対話を継続してほしいと思います。市川市議会議員の皆さんも、なるべく(後援会の会員さん向けに、だけではなく)広く情報を発信してくださいね。

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本稿の趣旨からはズレますが、今、市川市議会議員という言葉が出たので、関連情報をお知らせします。

市川市議会議員の(全員ではなく、確認できた議員の)政策を確認しました。

また、この情報も皆さんに共有したいと思います

市川市公式ウェブサイト
議員42人 年頭にあたっての抱負(2024年1月1日)

https://www.city.ichikawa.lg.jp/cou01/0000444168.html

そして、市長の考え方に触れた最新記事はこちらです。

ちなみに、上の記事では取り上げ損ねた、かなり重要な市長の考えについては、こちらの記事で紹介しています。

というわけで、市川市では今後、報道機関と市長や市役所、議会の関係が、「改善」されると思われます。世の中に出てくる市川市にまつわる報道(グルメ情報や住みたい町などではない、政治や行政にまつわるもの)の数は多くなるでしょうね!楽しみにしています!

それでは、See Ya !!!

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執筆日 2024年3月3日
公開日 2024年3月4日

※冒頭の画像は Bing Image Creator で生成したものです。