(ほぼ)市川市のローカル・メディアを、読者視点、視聴者視点でひたすら紹介する連載、「ローカルメディア漫遊記」の第10弾は、ローカルメディアの老舗、『浦安・行徳・妙典 東京湾岸千葉情報』さんです(以降では『浦行』と略します)。
実は、『浦行』の管理人さんは、『ローカルメディア漫遊記』を始めるきっかけとなったワークショップ(2021年5月15日に妙典のgate.で開催されました。ワークショップについて、この記事で触れています)に参加しており、その場でノスタルジー鈴木と対面しているのでした。『ローカルメディア漫遊記』がスタートした2022年2月の時点で、『浦行』さんを取り上げたいと思っていましたが、5か月が経った今日、満を持して本稿で紹介することができることをうれしく思っています。
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浦安・行徳・妙典 東京湾岸千葉情報
https://urayasu.gyotoku.org/
『浦行』さんは、以下のような主旨のもと、2005年(頃。私が確認できた最古に近いと思われる記事の日付によります)より、17年(以上)に渡り、Webサイトで情報を発信しています。
当サイトでは、サイト管理者及びスタッフ自らが利用した上で、「近隣住民の方のお役に立つ」と感じた浦安市、市川市南行徳・行徳・妙典のお店・施設をご紹介しています。
出所:浦安・行徳・妙典 東京湾岸千葉情報、「掲載について」、https://urayasu.gyotoku.org/about_entry.html、2022年7月27日閲覧
『浦行』さんは、この地域、つまり、北から
- 旧江戸川
- 東京メトロ東西線 & 江戸川(江戸川放水路)
- 国道357号
- JR京葉線
- 東京湾
という、河川や鉄道、道路、海岸線に挟まれた(あるいは囲まれた)地域を歩き回り、管理人さんやスタッフさんが実際に体験したことを綴っている、『浦安・行徳・妙典 体験記』と呼びうる、年代記です。
膨大な記事が、関東ローム層、あるいはチバニアンの地層の如く、折り重なっている『浦行』ワールド。どこを掘っても、真空パックされた体験談が、リアリティをもって眼前に現れます!
現在は、Twitter、Instagram、noteでも情報発信している『浦行』さん。読者はお好みにあわせてお好きなメディアをチョイスできます。私は主にTwitterをウォッチしつつ、母船たるWebサイトを定期的に訪問し、更新情報を読んでいます。
それでは、さっそく、私好みの記事を、Webサイトから紹介していきます!
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行徳から、ひとつの時代を駆け抜けた。(2012年10月21日)
2012年8月27日の公演を最後にAKB48を卒業した前田敦子さんに注目した(10年前の!)記事です。卒業直前に発売された写真集や、当時前田さんと同じAKB48に所属しており、中学時代に前田さんとクラスメイトだったこともある仲谷明香さんの著書にも言及しています。
この写真集(注:『前田敦子AKB48卒業記念フォトブック あっちゃん』)の撮影用に行徳降臨していたのには驚きました。七中の校門前でも撮影してるし。いつ現れたんだ?
学生さんやサラリーマンの方々のように東西線乗って通勤していたアイドル、想像するだけでそそられます。フォトブックには幼少時からのインタビューも掲載されています。ベッドタウンとしての行徳で育った、おとなしい女の子のお話です。
そしてAKBといえばこの方もはずしてはなりません。前田のあっちゃんと七中で同級生だった、なかやんこと仲谷明香ちゃん。中1のときは同じクラスだったそうですよ。そのなかやんが今春に刊行した著書が「非選抜アイドル」。アイドルなのに新書ですよ新書。
干されと呼ばれる不人気メンバーのなかやん。眼鏡っ娘な容姿も性格もアイドル向きではないと自覚しつつ、子供の頃からの夢である声優に一歩近づくため、同級生のあっちゃんのいるAKBに加入したものの全然芽が出ない。しかし自ら置かれた立場の中での生き残り戦略を考え(当時まだ10代後半だったというから凄い)、AKB内での実績と信頼を重ね、徐々に声優の道へと近づいていく…という、組織における生き方指南書とも呼べる一冊です。
出所:「行徳から、ひとつの時代を駆け抜けた。」(2012年10月21日)、https://urayasu.gyotoku.org/gyotoku/cat8/post_89.html、2022年7月27日閲覧
仲谷明香さんの著作『非選抜アイドル』が発売された当時(しつこいですが10年前です!)、話題になっていたことを覚えています。
なお、前田敦子さんのことは、先日公開した『【市川ちょっと話】市川市に関わりの深いミュージシャン』で取り上げているので、本稿を読み終え、『浦行』さんを訪問した後にでも、読んでみてください。
ご当地シリーズ行徳編(7)マンガの世界にも行徳が(2010年2月18日)
更に時を遡流して、12年前に行ってみましょう。
『ご当地シリーズ行徳編』の第7弾、2010年2月の「マンガの世界にも行徳が」という記事を紹介します。懐かしい書店も登場しますよ。
まずは最近行徳駅前の書店で平積みになっていたものから。
タイトルはずばり「行徳駅下車」(小学館)。
唐突すぎてほとんどの方はわけわからないと思われます。この作品の作者は菊池直恵さん。
21世紀の鉄道ブーム(?)を創り出したマンガ「鉄子の旅」の作者さんです。
デビュー間もない頃(1997年)に「行徳駅下車」という話を短期連載していたのは知っていましたが(すいません鉄子信者なんで)、まさか単行本化されるとは思っていませんでした。内容はというと、地方から上京してきた大学新入生が、アパートが見つかるまでの短い間、行徳に住むおじのマンションに居候させてもらう話です。
ところがおじさん家族はどうもワケありのようで・・・。作中には東西線05系車両や行徳駅ホームが登場しますが、行徳の街の描写は???
そこは読んだ方の判断におまかせします。
だけどなんで行徳なんでしょうね?作者のキクチさんは千葉県出身ということなので、行徳に住んだことがあるのかもしれませんね。2/15(月)の時点で、駅前の山下書店には2冊残っていました。一週間前はもっと積まれていたから、そこそこ売れ行きありそうですね。
出所:「ご当地シリーズ行徳編(7)マンガの世界にも行徳が」(2010年2月18日)、https://urayasu.gyotoku.org/gyotoku/014/7.html、2022年7月27日閲覧
マンガ『鉄子の旅』で知られる菊池直恵さんが、1997年(宇多田ヒカルがデビューする前年)に連載していた作品、『行徳駅下車』を含む短編集を紹介した記事です。引用した文中に登場する「山下書店」さんは、行徳駅の改札を出て左手、高架下で営業していた細長い本屋さんで、私も妙典在住時には、しばしば本を購入したものです。残念ながら、ちょうど2年前、2020年7月28日に、駅前再開発に伴って閉店してしまいました。
なお、書店の閉店について、少し前に記事を公開しているので、市川市における急激な書店の減少という驚くべき(そして深く悲しむべき)現象に興味のある方は、読書の合間にでも読んでみてください。
フリースタイルにてくてく歩くよ寺のまち回遊展|妙典(2016年3月26日)
お寺や古い建築が多く残り、歴史散歩を楽しめる行徳や妙典では、個人が散策を楽しむほか、地域のイヴェントも多く行われています。『浦行』さんでも、これまでに数多くの歴史を楽しむ地域イヴェントに参加した際の体験記を公開していますが、今回は、フリースタイル市川としてはスルーできないタイトルの記事を紹介します。
『浦行』さん、引用箇所が多くてすみません!
せっかくなので行徳にちなんだメニューで腹ごしらえ。
まずは三番瀬のホンビノス貝※1と、しげつの行徳焼※2。
行徳とは無関係とは思われますが、日頃食する機会もなさそうな鹿鍋。
見た目は豚汁ですが鹿肉のようです。そしてイベント限定メニューの笹屋うどん。
行徳の漁業と蓮田の歴史にちなみ、トッピングはあさりとレンコンの天ぷら。
ネーミングの由来は旧道沿いに現存する、江戸時代の繁盛店笹屋うどん跡から。
当時これと同じものが提供されていたわけではなさそうですが。(中略)
常夜灯公園の東屋には行徳の歴史を記した資料が閲覧できるようになっていました。
明治後期から大正期の街並み地図をみると、塩や船に関わる店だけでなく旅館や休憩処も点在し、宿場町として繁栄していたことがうかがわれます。
成田詣へいく方法は江戸から陸路で向かうルートの他に、行徳まで船で行き合流するルートもあったとか。
行徳船は塩も人もさかんに運んでいたのですね。旧道へ戻り100年ものの木造家屋へ。
まずは現在も住居兼ギャラリーとして使われている田中邸。
塩場師(しょばし)で初代行徳町長を輩出した旧家の建物は明治10年頃築の木造2階建。
当時のままの小さな格子戸をくぐると土間とたたきが広がる街道造りです。(中略)
千葉県内では大変珍しい妙覚寺のキリシタン灯篭。
出所:「フリースタイルにてくてく歩くよ寺のまち回遊展|妙典」(2016年3月26日)、https://urayasu.gyotoku.org/myoden/011/post_86.html、2022年7月27日閲覧
中央部に舟形の窪み彫りが施され、靴を履いたバテレン(神父)を下部に模しているのですが(靴部分は今も地中に埋まっています)、この部分はキリシタン禁制のカムフラージュにより地中深くに埋め込まれていたそうです。
住職にもただの灯篭だと思われていたこの灯篭の正体が明るみに出たのは第二次世界大戦後。
神のお告げに導かれたというキリスト教信者が灯篭を拝み、その10年ほど後寺を訪れた学生により指摘され、その後の研究によりキリシタン灯篭と認定されました。
寺院の中に潜んでいた隠れキリシタン信仰。
信仰の自由が保障された多文化共生の現世では、本堂でウクレレコンサート。
イヴェント限定の笹屋うどん、もし出会ったら絶対に食したい一品です!かつて、源頼朝が食べたともいわれる笹屋うどんを食し、江戸川を行き交う船を待つ旅人にでもなった気分に浸りたいものです。
『浦行』さんのどの記事にもいえますが、散策モノは特に記事を実際に読んでいただきたいです。行徳などのストリートを歩いた過去の瞬間が閉じ込められた写真がとても魅力的です。キリシタン灯篭とはどんなものなのか?上の引用文で気になった方は、是非、実際の記事で写真をチェックしてください!
妙典橋と行徳橋をサイクリングしてみた(2020年5月9日)
かつては陸続きだったものの、江戸川(放水路)により隔てられた、行徳・妙典と、高谷・田尻・稲荷木ですが、妙典橋(2019年3月開通)と、架け替えられた行徳橋(2020年3月開通)により、行き来しやすくなりました。
行徳橋が開通してすぐに、妙典橋と行徳橋を自転車で渡り堤防の上を疾走する、リバーサイド・ライドを決行した『浦行』さん、さすがです!身体性を伴う豊かな記述と、32枚の写真で、RSR(リバーサイド・ライド)を追体験してください!
ここでは、2文だけ引用します。
新しく架け替えられた行徳橋の走りやすさは感動ものでした!
出所:「妙典橋と行徳橋をサイクリングしてみた【江戸川放水路沿いのサイクリングルート新規開拓】」(2020年5月9日)、http://urayasu.gyotoku.org/myoden/051/post_120.html、2022年7月27日閲覧
もう身の危険を感じずに徒歩や自転車で渡れますね。
下図は『浦行』さん作成による「妙典橋~行徳橋サイクリングルート」です。
コロナで遠出できないから行徳ふれあい周回路を一周してきた(2021年5月21日)
1つ上で紹介した、できたてほやほやの新しい橋を渡って地域を1周した2020年5月の記事の約1年後には、もう1つの「1周コース」の記事が公開されました。2年目を迎えていたコロナ禍の真っ只中で、遠出しづらい時期に『浦行』さんが試みたのは…
感染予防のためとはいえ、自宅に引きこもってばかりではストレス溜まるいっぽう。
出所:「コロナで遠出できないから行徳ふれあい周回路を一周してきた【地元でお出かけ】」(2021年5月21日)、http://urayasu.gyotoku.org/gyotoku/cat12/post_435.html、2022年7月27日閲覧
せっかくの爽やかな季節ですもの、時には近場を散策して気分転換しないとやってられません。
ということで、地元でお手軽アウトドアのご提案。今回は行徳界隈の各所で見かける看板「行徳ふれあい周回路」に何があるのかを明かすべく、徒歩による一周踏破を遂行いたしました!
「行徳ふれあい周回路」の看板は行徳のいたるところにあるのでしょうか?江戸川放水路のあちら側(行徳側から見て)が主な活動エリアである私は見たことがないのですが、どうやらそこらじゅうに存在するようですね。「行徳ふれあい周回路」には一体何があるのか?「徒歩による一周踏破」の体験記を是非お読みください!
地元ゆかりのお酒で家呑みチャレンジ(2021年8月13日)
去年の夏(2021年8月)、緊急事態宣言が出されていた時期に公開されたのが、地元に関連のあるお酒で家呑みチャレンジをするというこの記事です。
緊急事態宣言の再発令によりまたしても外呑みできなくなってしまった千葉県内。
出所:「【妙典・行徳・市川市・舞浜】地元ゆかりのお酒で家呑みチャレンジ」(2021年8月13日)、http://urayasu.gyotoku.org/myoden/071/post_128.html、2022年7月27日閲覧
飲兵衛としては家呑み充実させるしかありません。
好きな銘柄を極めるのもよし、全国各地あるいは世界各国の未経験のお酒にチャレンジしてみるのもよしですが、地元のお店で地元のお酒を購入して家呑みするのはいかがでしょう。
紹介されているお酒は以下の通りです。
- 妙典桜:名古屋の東春酒造。妙典のリカージャック富浜店さん
- 行徳物語:名古屋の東春酒造。行徳の原田屋行徳店さん
- ニューワールドセゾン:ありのみブルワリーのクラフトビール。セブンイレブン市川末広一丁目店さん
- ハーベストムーン:舞浜地ビール工房のピルスナー。イクスピアリ、楽天イクスピアリショップ
行徳大人のまちたんけんへレッツゴー!(2018年8月20日&9月7日)
取材編
http://urayasu.gyotoku.org/gyotoku/cat12/post_379.html
地図制作編
http://urayasu.gyotoku.org/gyotoku/cat12/post_380.html
今年の夏も猛烈な暑さですが、4年前、2018年の夏も相当暑かったようです。そんな暑さが少し和らいできた時期に、「ゼンリンまちたんけんキット」というおもしろキットを使い、『浦行』さんは一体どんな遊びをしたのでしょうか?
まずは取材編から引用します。
過去最大の猛暑で心身ともにどうなることかと思った2018年夏。
そうはいってもお盆を過ぎて、少しずつですが夏の終わりが感じられるようになりつつあります。
学生の皆さんは夏休みの宿題の進み具合が気になる頃だと思います。
子供だったのはとうの昔な私にはもはや無縁なのですが、夏のはじめにこんなアイテムを見つけてしまい、提出するあてもない自由研究にいそしむこととなりました。
今回使用するのがこちらのゼンリンまちたんけんキット。
ダンボール素材の画板や紐、地図に貼るシールや取扱説明書などが含まれています。(中略)
準備完了したところで、早速まちたんけんキットを携えて出発!
今回は神輿の街行徳の定番観光スポットを探検。…とその前に早くも寄り道し、地図の範囲外ですが通りがかりの押切稲荷神社へ寄り道。お稲荷さんだから狛犬代わりにいるのは狐。
出所:「行徳大人のまちたんけんへレッツゴー!【取材編】」(2018年8月20日)、http://urayasu.gyotoku.org/gyotoku/cat12/post_379.html、2022年7月27日閲覧
「まちたんけんキット」を持って、行徳エリアを歩き回る『浦行』さんの様子は、是非、本文でお読みください。
続いて、地図制作編から引用します。
ダウンロードした地図を元手に大人のまちたんけんMAPを作ってみることにいたしましょう。
結局夏休みの宿題には間に合いませんでしたが、大人だからいいんです学生でもないし。
今回は特設サイトよりダウンロードした白地図を4枚組み合わせて制作いたします。
まちたんけんでは画板に地図を固定させ、首にぶらさげて歩き回ることになるのですが、そのいでたちでうろうろする勇気はなく取材中は常にバッグの中へ。
大人だからこれでもいいんです。(中略)
ただの散歩よりも知的好奇心が刺激される大人のまちたんけん。
出所:「行徳大人のまちたんけんへレッツゴー!【地図制作編】」(2018年9月7日)、http://urayasu.gyotoku.org/gyotoku/cat12/post_380.html、2022年7月27日閲覧
予めテーマを絞って探索するのもよし、散策中に発見したことをテーマにしてもよし、他の人が気付かなさそうなニッチなものごとをテーマにしてもよし。
まちたんけんのネタは無限大だと思いますよ。
敢えて肝心の「大人のまちたんけんMAP」の制作過程は省略しました。是非、本文で、どのようなマップが出来上がるのかを確認してみてください!
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『浦行』さんの紹介 まとめ
ものすごい分量の記事がある『浦行』さん、正式名称『浦安・行徳・妙典 東京湾岸千葉情報』さんのWebサイトから、ごく一部にすぎない7本ないし8本の記事の中から抜粋した部分を紹介しました。私の引用では、記事本文の魅力が伝わりきらないかもしれません。
長い歴史を誇る『浦行』さんですが、マンネリなんて何のその、常に新鮮な気持ちで地域に注いでいます。何を?熱視線を!※3
最新記事をチェックするという見方はもちろん、「その時の最新情報」を後世を生きる立場から見るのも、『浦行』さんの楽しみ方のひとつです。
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【おまけ】「川の駅 あづま駅」を目指し妙典の街をふらり旅(2022年2月14日)
最後に、『浦行』さんの記事ではなく、『浦行』さんが、Twitterで思わず「うわぁとんでもなく濃い」とつぶやいた、デイリーポータルZの記事を紹介します。反則ですが、素直に I’m sorry※4。
この記事の冒頭を引用します。市川市民にとっては新鮮に感じる、率直な感想が「酒の穴」のふたり(パリッコさん&スズキナオさん)※6から語られています。
今、「市川市民にとっては」と書きましたが、例えば、大野や大町、真間、国分といった地域に住んでいる人にとっても、「妙典駅周辺」や「江戸川&旧江戸川」などはあまり馴染みがないかもしれませんね。
川沿いや広い公園の池のほとりに、たまにぽつんとあるような茶屋を日々求めて歩く、パリッコとスズキナオの飲酒ユニット「酒の穴」。
千葉県市川市の旧江戸川沿いに良い茶屋があるという噂を確かめに、最寄駅である「妙典」の街を散策しながら向かった。
パリ:千葉県市川市の旧江戸川沿いの河川敷に、「川の駅 あづま家」という、我々好みの川茶屋があるという噂は以前から耳にしていたんです。ずっとそこに行ってみたくて。
ナオ:うんうん。パリッコさんがその情報を見つけてきて、お話としては過去に聞いていた気がします。
パリ:ただ、WEB上にあまり情報がなくて、オフィシャルのFacebookページもあるんだけど、2年前とかでぴたっと更新が止まってて。コロナのこともあるし、どうなってるかまったくわからない。
ナオ:特に今は、お店の営業情報が不確かなことも多いですもんね。
パリ:加えて、どうも酒類は置いていないようで、いわゆる「天国酒場」なんて言って、そういうシチュエーションでお酒が飲める店をめぐっている僕としては、ちょっと後回しにしてしまっていた。
ナオ:酒の穴ですから。
パリ:ただこういうご時世だし、酒どうこうよりも、風通しの良い場所に行きたいなと思ったんですよね。それで、こないだナオさんが仕事の都合で大阪から東京に来ていて1日空きがあった日、「ちょっと確かめに行ってみません?」と。
ナオ:そういう日でした。これまたタイミングよく、すごく暖かな1日でね。ちなみにその翌日は雪だったんで、本当にいい機会でした。
パリ:そうそう。で、ネットで調べたところ、千葉県にある妙典という駅が最寄りで、そもそも妙典自体が我々にとって未知の街なので、せっかくだから街を散策しつつ向かってみようかと。天気もいいし、いきなり正解がわかっちゃってもなんだし。
ナオ:そういう散歩、好きだし! 妙典駅って、私は初めて降りたかもしれない。
パリ:僕もです。「みょうでん」でいいんですね? それもいまいちわかってなかった。千葉県市川市にある、東京メトロ東西線の駅。
出所:デイリーポータルZ、「『川の駅 あづま駅』を目指し妙典の街をふらり旅」(2022年2月14日)、https://dailyportalz.jp/kiji/kawa_no_eki-azuma_ya、2022年7月27日閲覧
「妙典」の読み方さえ、「いまいちわかってなかった」という訪問者が、未知の街の未知なる道を歩きながらお喋りをし、街の景観や料理、飲み物を前に、(すぐに!)幸せになる、何とも素敵な「妙典散策記」です。
『浦行』さんにも通じる、「そこに注目するんだ!」という、物の見方が新鮮なこの記事、おすすめです!『浦行』さんのWebサイトとあわせて読んでみてください。
というわけで、最後は予定外のところに到達してしまいましたが、本稿、「老舗なのにフレッシュな『浦安・行徳・妙典 東京湾岸千葉情報』」を読んだら、『浦行』さんのサイト内の地層に潜って、気になる記事を片っ端から読んでみてください。
普段、私は(行徳側から見ると)「川のあちら側」にいることが多いのですが、自転車で、行徳橋&妙典橋を渡って、ぐるっと1周してみたいと思います!
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〈注釈〉
※1:「三番瀬のホンビノス貝」の特徴は以下の通りです。〈東京湾北部の船橋、市川沖で10年ほど前から漁獲されるようになった、千葉県の新名物です。県内や首都圏のスーパーのほか、船橋市漁協直営「三番瀬みなとや」でも購入できます。粒が大きくて味が濃く、クラムチャウダーやバーベキューにお薦めです。〉(出所:千葉県「教えてちばの恵み 三番瀬ホンビノス貝(千葉ブランド水産物)」、https://www.pref.chiba.lg.jp/suisan/brand/ninteihin/honbinosu.html)
※2:「しげつの行徳焼」とは、「季彩菓庵しげつ」さんの名物のどら焼きです。〈宮内庁新浜鴨場にてお茶菓子に承った「行徳焼」(180円)は、完成まで20年掛かったという逸品です。材料の厳選から配合、餡と皮のバランス、焼き加減など試行錯誤を続けて完成したどら焼きは「とにかく口溶けにこだわりました」と店長。ボリューム感ある生地と共に、餡も口の中でしっとりほぐれ、またとない食感が味わえます。一番人気はもちろん粒餡ですが、ミルク餡、ケーキどら焼きを目当てに訪れる子どもたちも多いそう。〉(出所:SweetPlaza、「季彩菓庵 しげつ」、http://chiba.sweetsplaza.com/shop/%E5%AD%A3%E5%BD%A9%E8%8F%93%E5%BA%B5-%E3%81%97%E3%81%92%E3%81%A4)
※3:私がしばしば用いるこの表現の元ネタは、「見つけたぞ、何を?永遠を。それは太陽にとける海だ」です。アルチュール・ランボオ氏の詩を村上龍氏が訳したものです。
※4:軽くお詫びをする際に私が用いる『素直にI’m sorry』という一節(フレイズ)は、「日本最後のロックンロール・バンド」※5こと、チェッカーズの楽曲名で、1988年10月21日に発売されたかれらの18枚目のシングルです。同日発売のシングルには、以下のようなものがあります。中島みゆき『涙 -Made in tears-』(23枚目)、爆風スランプ『Runner』(13枚目)、プリンセス・プリンセス『GET CRAZY!』(6枚目)、谷村有美『Boy Friend』(3枚目)。
※5:スージー鈴木『チェッカーズとその時代』(ブックマン社)より。
※6:「酒の穴」は、パリッコさんとスズキナオさんからなるユニット。〈日常的な生活の中にぽっかりと現れる「今ここで乾杯できたらどんなに幸せだろう」と思うような場を探求するユニット。なんでもない空き地とか、川沿いの原っぱとか、公園の売店だとか、そういったところに極上の酒の場があるのではないかと活動中。〉(出所:https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/23)または、単に〈ただ酒を飲むだけのユニット〉。(出所:https://dailyportalz.jp/kiji/180426202710)