【フリスタ文芸倶楽部】千葉ルー短歌を詠む!即興で!

コラム

「これが好きな俺カッケー」「中二病」それを貫け飽きるほどまで

饒舌な俺俺語り『千葉ルー』を読んでぶっ飛べコルトンの空

めくるめくスピード感に酔いしれろ!これは活字のジェットコースター

はじめから不利な要素に囲まれていたとしたとてやらぬわけなし

前例はないがやれるさ前例にとらわれる心配はないから

外国の幾千人に「友達になってください」とのメッセージ

ほとんどない手がかりはないほとんどないけれどないわけじゃない手がかり

子ども時代原木中山駅そばの書店で『女性自身』買ってた

雑食で乱読速読図書館の本食べるようにして読んでる

背負ってるハンディキャップが重くとも好きな気持ちの強さ勝った

* * * * *

詠みました、十首。

「フリスタ文芸倶楽部」の第3回です。

2か月以上のインターポール、否、インターバルが空いてしまいましたが、文芸倶楽部を解散したわけでも、活動休止したわけでもありません!

今回は、話題の書『千葉ルー』こと、『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』、および、この本の著者である、済東鉄腸さいとうてっちょうさんにまつわる短歌を詠みました。

以下で、さっそく自作解説します。

* * * * *

〈セルフライナーノーツ〉

「これが好きな俺カッケー」「中二病」それを貫け飽きるほどまで

済東鉄腸さんは、日本未公開映画を見て、ネットにレビューを書き、ルーマニア語を学び、小説を書いています。マイナーな作品を鑑賞し、論評し、文章を書き、マイナーな外国語をマスターし、その言葉でフィクションを書く、そんな自分はカッコいいと思う、その、中二病的なメンタリティを、卑屈になったり恥じたりするのではなく、堂々と本気でそう思っているのだと言うべきだ、と、鉄腸さんは言います。変に大人になって中二病を克服しちゃうんじゃなくて、大人になっても青いままでいることの強さ、美しさ、尊さ!

饒舌な俺俺語り『千葉ルー』を読んでぶっ飛べコルトンの空

鉄腸さんはコルトンプラザや市川市中央図書館で普段執筆をしていると公言しています。一人称「俺」で語られる『千葉ルー』を読むと、ぶっ飛びますよ!コルトン上空の青空に吸い込まれるほど高く!ハイに!

めくるめくスピード感に酔いしれろ!これは活字のジェットコースター

リズミカルでハイテンション、ハイスピードな『千葉ルー』の文章に身を委ねてほしいです。

はじめから不利な要素に囲まれていたとしたとてやらぬわけなし

「囲まれていたとしたとて」は、「囲まれていたとして(も)」の意味です。正確な表現ではない気もします。「囲まれていたとして」ではなく、「囲まれていたとしたとして」、この最後の「として」が、「とて」という表現になるのかな、と思いましたが、表現の正しさよりも、過剰さを優先しました。鉄腸さんは、抱えておられた(おられる)不利な状況の前に、行動を起こさずにいるのではなく、そりゃそうかもしないけれど、やる以外の選択はないのだ、という感じで動いていたのだろうと想像します。

前例はないがやれるさ前例にとらわれる心配はないから

今までに例をみないやり方でルーマニア語で小説を書き、ルーマニア語の文芸誌に作品が掲載された鉄腸さんの、そこに至るまでの経緯が『千葉ルー』に綴られているのですが、それがすこぶる面白く、熱く、エキサイティングで、読み手には参考になる前例、先駆者がいなくたってやれるのだという勇気を与えてくれます。

外国の幾千人に「友達になってください」とのメッセージ

『千葉ルー』本編または帯を読んだ人ならわかるでしょう。

ほとんどない手がかりはないほとんどないけれどないわけじゃない手がかり

これも、前例がない状況であっても、このインターネット時代、やりようはあるよ、ってことです。

子ども時代原木中山駅そばの書店で『女性自身』買ってた

コルトンプラザの有隣堂さんで行われたトークショーで鉄腸さんご本人が語っていたことです。

雑食で乱読速読図書館の本食べるようにして読んでる

鉄腸さんは図書館で何冊も同時に本を借りて、高速でそれらを読んでいるそうです。カッケー!

背負ってるハンディキャップが重くとも好きな気持ちの強さ勝った

「勝った」は「まさった」。ひきこもりや難病など、ハンディキャップと認識されるようなことが鉄腸さんには色々とあった/あるのですが、だからといって好きなことをしないであきらめるのではなく、好きだと思う気持ちの強さが、ハンディキャップがあろうとなかろうと(あるのですが)そんなことは関係なく、文章を書きまくるという行動に、鉄腸さんを突き動かしたのです!

* * * * *

2023年8月6日(日)の済東鉄腸さんのトークショー&サイン会は、既に受付人数分の申し込みがあったとのことですが、先日のコルトンプラザ有隣堂さんでのトークショーに続き、2大執筆場所のもうひとつ、市川市中央図書館の地下で行われるということで、凱旋という意味合いもありますね。

鉄腸さんの『千葉ルー』は、私に短歌を十首詠ませました。熱が伝わった結果だと言えましょう。今回の短歌は、説明短歌と言う感じで、奥深さは感じられないかもしれませんが、しかし、状況を説明する短歌というのもあってよいと思いますよ、私は。

それでは、次回の『フリスタ文芸俱楽部』をお楽しみに!

* * * * *

執筆日 2023年107月24日
公開日 2023年107月26日