【コラム】「健康寿命日本一」を目指す市川市の「平均自立期間」は 千葉県54自治体中 男性33位 女性26位

コラム

市川市は日本一を目指しています。何の日本一かというと、「健康寿命」の、です。

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、市川市は、これを日本で一番長くしたいと考えているわけですね。

上のコラムで、2011年における市川市の健康寿命を紹介していますが(男性が81.87年で、千葉県の82.16より0.29年短く、女性が84.80年で、千葉県の84.88より0.08年短い)、最近の情報は見当たりません。

千葉県の公式Webサイトには、県内各自治体における、男女の「平均自立期間」の情報が掲載されていました。市区町村レベルは、「健康寿命」の掲載がなく、それに代わる指標として「平均自立期間」が載っているわけです。「平均自立期間」は、「平均余命」から「平均要介護期間」を引いた残りの期間です。

千葉県公式Webサイト
(健康情報ナビ)健康寿命ほか、健康施策の推進をサポートする各種統計情報
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenzu/seikatsushuukan/kennkoujyouhounabi.html

この「健康情報ナビ」からダウンロードできるエクセルファイルに、65歳時点の平均自立期間が掲載されているので、65にその期間を加算した数字を、ここでは「平均自立期間」と呼ぶこととし、以下で確認してみます。市川市の「平均自立期間」は、長いの?短いの?

まず、現時点で確認できる最新のデータは、2019年のものなので、これを確認します。市川市の「平均自立期間」は、男性が82.76、女性が85.89でした。千葉県の54自治体の中での順位は、表の右側の数字で、市川市は男性が33位、女性が26位でした。

健康寿命が長いということは、この「平均自立期間」も長いはずですよね。

健康寿命日本一を目指す市川市、まずは千葉県でトップ10入り(表の順位のセルが紅色の自治体)を目指したいです!

ちなみに、酒々井町は「平均自立期間」が男性1位、女性2位でした。酒々井町では何か取り組みを行っているのでしょうか。

続いて、男女の「平均自立期間」について、千葉県内で1位の自治体と、千葉県全体、そして市川市の数値を見てみます。

まず、男性のグラフを見てみると、2016~2019年にかけて、1位との差が拡大していることがわかります。この間、順位は上昇しているにも関わらず、トップランナーの背中は遠ざかっているのですね。

続いて、女性のグラフを見ます。2015年以降、市川市の「平均自立期間」は、千葉県とデッドヒートを繰り広げており、2017~2019年の3年間は、20位台で、1位との差もかなり縮まっています。

いかがでしょうか。

「平均自立期間」を見てみると、千葉県全体で見ても、市川市を見ても、右肩上がりで延伸していることがわかります。喜ばしいことですね。

しかし、市川市は、「健康寿命日本一」という高みを目指しているわけですから、千葉県内で(平均自立期間が)中位に甘んじていてはいけないと思います。

「健康寿命日本一」を達成するために、どのような施策を講じていくのか、大いに期待して注視したいと思います。

画像出所:広報いちかわ 2023年(令和5年)6月3日 No.1713 (7面)

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2025年5月10日 追記

市川市公式ウェブサイトの「いちかわを『健康寿命日本一のまち』に!」と題されたページ(更新日:2024年3月28日、閲覧日:2025年5月10日)には、以下のような記述があります。

市川市は「健康寿命日本一のまち」をスローガンに、市民の誰もが健康上の問題で日常生活が制限されることなく、ハツラツと元気に暮らし、心の健康と体の健康のバランスがとれた、活力あふれる生涯を送ることができるまちを、あるべき姿として目指しています。

https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla12/0000442911.html

このウェブページには、〈「健康寿命」とは健康で暮らせる年数の指標であり、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく自立して生活できる期間」と定義されています。平均寿命から日常的に介護を必要とする期間を差し引いた、元気で過ごすことのできる期間の平均を示したもの〉と書かれています。

また、同ページによると、国や県単位の健康寿命は、3年に1回実施されている国民生活基礎調査で得られたデータによって算出され、公表されているものの、市町村単位では、同じ方法の算出結果は公表されていないということ、そのため、市川市は、補完的な指標として、「日常生活動作が自立している期間の平均」として、介護保険の「要介護2」になるまでの平均期間を算定しているということです。

ところで、市川市が考える「健康寿命日本一のまち」というのは、どのようなものなのでしょうか。

同ページには、このように書かれています。

市川市が掲げる「健康寿命日本一」は、国内ランキング1位を目指したり、他の自治体と比べて1歳でも長くを目指したりするものではありません。重要なのは市川市民の誰もが健康上の問題で日常生活が制限されることなく、ハツラツと元気に暮らし、心の健康と体の健康のバランスがとれた、活力あふれる生涯をおくることができるまちであること、と考えています。

https://www.city.ichikawa.lg.jp/pla12/0000442911.html (太字は筆者による強調)

決して、1位であることにこだわっているわけではないということはよくわかります。が、であれば、「日本一(を目指す)」とは言わない方がよい、言うべきではないと思います。

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執筆日 2023年6月6日
公開日 2023年6月9日
更新日 2025年5月10日
執筆者 鈴木雄高(特定非営利活動法人フリースタイル市川)