【コラム】男らしさ、女らしさを否定することなく/専業主婦を否定することなく/育児における父性と母性の役割を大切に…市川市

コラム

執筆日 2023年5月19日
公開日 2023年5月22日
冒頭の画像は、OpenClipart-Vectorsさん、ならびにIsa KARAKUSさんによるPixabay掲載画像を加工したものです。画像提供者さんに感謝いたします。

少し前に、「【コラム】『市川市男女平等基本条例』と『市川市男女共同参画社会基本条例』の違い」と題した記事を公開しました。

え?市川市には、『市川市男女平等基本条例』と『市川市男女共同参画社会基本条例』という似たような名前の条例があるの?と思ったかもしれませんが、そうではありません。一方は、かつて存在し、廃止されたもので、他方は、それに代わって制定され、今もなお現行の条例として有効なものです。

  • 市川市男女平等基本条例
  • 市川市男女共同参画社会基本条例

この2つの条例、どちらが古く、どちらが新しい(そして現行の)条例だと思いますか?その答えは、こちらの記事に書いてあるので、読んでみてください。

これは、新旧2つの条例を比較した、このWebページの情報を踏まえて書いた記事です。

男女平等基本条例改正案新旧対照
http://www2u.biglobe.ne.jp/~takayo/topics/danjyo/img/4.pdf

旧条例は2002年に市川市で初の(と市議会の会議録では述べられていました)議員立法として、しかも全会一致で成立したものです。4年後の2006年に、この条例には問題があると主張する議員たちが別の案をつくり、激しい議論の末、旧条例の廃止と新条例の成立が決まりました(2007年4月から施行され、2023年5月現在も有効で、施行されてから16年が経過しました)。

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現行の条例、と、その名を呼ばないで筆を進めるのもスッキリしないので、条例名を出しますが、「市川市男女共同参画社会基本条例」は、たびたび議会や委員会でも言及されています。

2021年6月25日に、市川市議会で、中村よしお議員が現行の条例の特色について質問し、これに対して植草耕一総務部長が回答していました。植草総務部長の発言の一部を紹介します。

近隣市の同様の条例と比較いたしますと、男女の性別による差別を否定している点で共通している一方、近隣市の条例では、男女の性別による固定的な役割分担を否定する文言が多く見られるところであります。一方、本市の条例では、「男らしさ、女らしさを否定することなく」や、「専業主婦を否定することなく」、あるいは「育児における父性と母性の役割を大切にし」などの他市の条例には見られない文言が使われておりますが、男女の性差や特性の相違を認めた上で、互いの人権を尊重し、両性が対等の立場で協力し合うことを規定している点に特色があると認識をしているところであります。

出所:市川市公式Webサイト「市川市議会会議録」(2021年6月25日、植草耕一総務部長の発言)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/cou01/kaigiroku0000373182.html、2023年5月19日閲覧、赤色及び黒色の太字は筆者による強調

市川市の条例の特徴を赤文字で表しました。

  • 男らしさ、女らしさを否定することなく
  • 専業主婦を否定することなく
  • 育児における父性と母性の役割を大切にし

と、こういった点が他市の条例には見られない、市川市の条例の独特なところだというわけです。

2021年7月16日に行われた、「令和3年度 第1回市川市男女共同参画推進審議会」では、門倉委員がこんな発言をしていました。

市川市男女共同参画基本条例の中で、男性、女性と性別による役割分担を認める箇所がいくつか見うけられるので、条例見直しということを考えていただきたいということ。それから、市川市男女共同参画基本計画が非常に長いスパンのものです。他の市と比べてみても古い。国などが先に進んでいることで、ここに出てくる基本の項目との整合性が取れていない、このあたりの見直しも是非考えていただきたいと思います。

出所:「令和3年度 第1回市川市男女共同参画推進審議会」(開催日2021年7月16日)、会議録、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/gen05/file/0000376223.pdf、2023年5月19日閲覧

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他の自治体では、性別役割分担意識などについて、どのような捉え方をしているか見てみましょう。といっても、私が把握している自治体の動きは、限りなくゼロに近いのですが。

神奈川県相模原市が発行しているリーフレット「性別で決めつけをしていませんか」(https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0531/documents/yokosukaseibetu2022.pdf)を紹介します。その一部を。

画像出所:神奈川県横須賀市リーフレットより
画像出所:神奈川県横須賀市リーフレットより

横須賀市:「女らしさ・男らしさ」より「その人らしさ」を大切に
市川市:男らしさ、女らしさを否定することなく

横須賀市と市川市の男女共同参画の捉え方がまるで異なりますね。ちなみに、市川市の現行条例が成立される前の旧条例では、基本理念の1つとして、次のことを挙げていました。

市川市(廃止された市川市男女平等基本条例): 男女が自立した個人として、多様な生き方を選択することができる社会

これ、上記、横須賀市が掲げる「その人らしさ」が大事だというメッセージに近い感じがしませんか?私は近いと思います。そして、こちらの方が(現行の市川市の条例よりも)良いと感じます。

このテーマの記事は、今後もことあるごとに書く予定です。興味をお持ちの方はもちろん、そうではない方も、お付き合いいただければ幸いです。

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参考記事

NHK みんなでプラス
「女らしさ・男らしさ」の押しつけ みなさんの声(2022年6月10日)
https://www.nhk.or.jp/minplus/0029/topic078.html

telling,あなただけに言うね
ライムスター宇多丸「○○らしくしなさい!というヤツは全員バカ」(2019年3月24日)
https://telling.asahi.com/article/12225981