公開日 2023年3月15日
「夫は外で働き、妻は家を守る方がよい」という考えについて、あなたはどうお考えですか。
唐突に質問を投げかけてしまいました(素直にI’m Sorry)。
これは、内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」で調査対象者に聞いている質問で、個人の考え方、意識を問うものです。いかがですか?次の選択肢から、最も近いものを1つだけ選んでみてください。
- 賛成
- どちらかといえば賛成
- どちらかといえば反対
- 反対
- わからない
もっとも当てはまるものを、1つだけ選んでくださいね。
日本全体では、どの選択肢を選ぶ人が多いでしょうか?また、過去と現在を比べると、回答結果はどのように変化しているでしょうか?
男女共同参画白書 令和4年版
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/pdf/r04_genjo.pdf
この白書の136ページ(28枚目)に「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する意識の変化が掲載されています。興味のある人は白書をご覧ください。日本国内における、「性別役割分担意識」に対する賛成者と反対者の割合が、どのように変化しているかを確認できます。
実は、市川市のe-モニター制度(eモニ制度)の登録者のうち、回答者を市川市民に限定して毎年実施している「男女共同参画に関するアンケート」でも、同じ質問をしています。最新の調査結果が先日公開されたので、本稿では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する市川市民の意識がどのように変化してきたか、近年の調査結果を見て、確認してみます。
なお、この調査の当該質問の有効回答者数は毎回1,000人超です。また、調査実施時期は毎年1~2月頃です。
それでは、過去7年間の意識の変化を確認しましょう。
「どちらかといえば賛成」が減少し、「どちらかといえば反対」と「反対」が増加していることがわかります。2023年の調査(有効回答者数は1,039人)では、この3つの回答者割合がいずれも25%前後でした。
2017年と2023年の数値を比較すると、変化と増減(単位:ppt=パーセントポイント)は、以下のようになっています。
「反対」 16.1%→25.5% +9.5ppt
「どちらかといえば反対」 24.6%→29.4% +4.8ppt
「どちらかといえば賛成」 36.5%→24.2% -12.4ppt
「賛成」 5.7%→4.8% -0.9ppt
2017年の調査では、「どちらかといえば賛成」が36.5%という高い水準だったのですが、6年後の2023年の調査では、10ppt以上も低下しています。
続いて、「賛成」と「どちらかといえば賛成」、「反対」と「どちらかといえば反対」を合算して、意識の変化をクリアに見てみます。
こうしてみると、意識の変化が一目瞭然ですね。
「反対(計)」 42.2%→54.9% +14.2ppt
「賛成(計)」 40.6%→29.0% -13.3ppt
「賛成(計)」が、2017年の4割超から、2023年には3割を切るまでに低下しています。「反対(計)」は、2017年には約4割でしたが、2023年には約5.5割となっています。
市川市は、男女共同参画を推進する中で、この質問で「反対(計)」の数値を高くすることを目指しており、2023年の調査結果の54.9%は、目標値の49%を6ppt上回っていました。よかったですね!
市川市においても、性別役割分担意識に反対する人が確実に増えています。
ちなみに、「市川市男女共同参画基本計画 第7次実施計画(令和2年度~令和4年度)」には、以下のような記載があります。
事業名 10.発行物における表現の配慮に関する情報の発信
事業概要 市の発行物において、性別役割分担意識が改善されより多様で適切な表現に配慮されるよう、男女共同参画の視点を取り入れた表現に関する情報を発信します。
出所:市川市(令和2年3月)、「市川市男女共同参画基本計画 第7次実施計画(令和2年度~令和4年度)」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000332001.pdf、2023年3月14日閲覧 太字は筆者
所管課 多様性社会推進課
事業名 20.男性の家事参画の推進に向けた講座の実施
事業概要 性別役割分担意識の解消と男性の家事参画を推進するため、男性向けの料理教室を、男女共同参画センター使用団体等と連携し実施します。
出所:市川市(令和2年3月)、「市川市男女共同参画基本計画 第7次実施計画(令和2年度~令和4年度)」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000332001.pdf、2023年3月14日閲覧 太字は筆者
所管課 多様性社会推進課
市川市では、上記のように、積極的に性別役割分担意識の解消を目指した事業を実施しています。ご存知でしたか?
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ところで、先日、性別役割分担意識に関連した記事を読みました。
職場での不平等な処遇は、女性が被るものと思われがちだ。しかし、南日本新聞が実施した県内の民間で働く約2000人のアンケートでは、3割を超える男性が性別による不平等を感じていた。
「女性は県外への転勤や長期出張が少ない」(霧島市50代男性)、「転勤は男性ばかり」(鹿児島市40代男性)など転勤の偏りを訴える回答が相次いだ。「女性を早く帰し、男性が残って仕事しなければならない」(同市50代男性)と過重な労務負担への不満も目立った。
「男性は評価を気にして有給休暇の取得をためらう」(同市50代男性)という現状もあるようだ。いずれも「男性は仕事、女性は家庭」という固定的な性別役割分担意識が背後に透けて見える。
出所:南日本新聞 373news.com、「職場での不平等 男性も感じている…『一家の大黒柱』は重圧 転勤の偏り、過重な労務負担 ジェンダーに縛られた働き方に問題」(2023年3月12日)、https://373news.com/_news/storyid/172005/、2023年3月14日閲覧 太字は筆者
「男性は男性らしく」、「女性は女性らしく」、など、「らしさ」を、他者から、社会から、押し付けられるのは、御免です。自分も、他者に「らしさ」を押し付けていないか(例えば、自分の子どもに「子供らしさ」を押し付けていやしないか)、気を付けねばと思っています。
ラッパーの宇多丸さんが、「らしさ」の「ダメさ」を語っている記事を紹介します。
――性別関係なく、今の世の中が不均衡なことに気づいていない人達は多いと思っています。そういう人たちの中で、生きづらさを感じている人たちにメッセージをください。
宇多丸: あらゆる意味で、「らしさ」からの解放っていうのが、人生を楽しく生きる第一歩ではないかなと。その意味では、僕が育った時代の教育現場ではとにかく、「らしく」っていうことを言い過ぎてましたよね。
子供らしくしろ。女らしくしろ。男らしくしろ。あるいは、ラッパーらしくしろ……今でも言われてる(笑)。
でもね、僕はこれ、断言しますけど、「らしく」とか言ってくる人は、例外なくバカですから。
だから、なるほど私はこの面の「らしく圧力」が息苦しいんだとか、分析して、自覚するところがスタートかもしれませんね。――なかなか痛みを自覚するのは難しかったりもします。
宇多丸: 自分は何を息苦しく感じるのか、自分が何を嫌だと思ったのかという、心の中の小さなササクレを思い出してみてください。あ、私、こういうこと言われると不愉快だったんだ、とか。
長年生きていると、そういうことを流すようにもなってきちゃうけど、きちんと自分の心の声に耳を傾ける。――「○○ちゃんて、××だよね〜」と言われた時に、感じた違和感を大事にするという感じですね。
宇多丸: そうですね。
そうやって人からレッテルを貼られること自体は、他者と関わりながら生きている限りは、ずっと続く。そこからは逃げられないわけですけど。――貼られたレッテルに対して、自分が嫌だと思ったらどうしたらいいでしょう?
宇多丸: 貼られたレッテルを内面化しないこと。人が押し付けてくるルールを内面化しないことが大事なんじゃないですかね。それがなかなか難しいんだけど。
出所:telling, 「行こうぜ!性別の向こうへ ライムスター宇多丸『○○らしくしなさい!というヤツは全員バカ』」(2019年3月24日)、https://telling.asahi.com/article/12225981、2023年3月14日閲覧
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なお、先日、3月8日は「国際女性デー」でした。これに関連して、2023年3月10日に「【コラム】国際女性デーに炎上した広告から学ぼう(男たちが)」という記事を公開しています。
また、2022年12月23日には、「【コラム】ジェンダー平等に関する市川市民の意識」と題した記事を公開しています。
2023年2月8日には、「【コラム】LGBTQ+/SOGIEに関する理解促進のための講座を受けました」という記事も公開しているので、多様な性のありかたについて関心のある方は(自分には関係がないと思っている方にもすべからく関係するものです)是非ご覧ください。
それでは、また、お会いしましょう。ノスタルジー鈴木(フリースタイル市川)でした。