【フードバンクにゅ~す】2022年8月24日

フードバンク

12日ぶり8回目となる「フードバンクにゅ~す」をお届けします。フードバンクや、その周辺領域の事象に関する最近の報道を紹介します。

※冒頭の画像は『両手にトカレフ』(著/ブレイディみかこ)の書影で、ポプラ社のWebサイトからの引用です。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008387.html

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北九州市にある浄土真宗本願寺派永明寺「お盆の納骨堂のお供えをフードバンクに提供」(2022年8月22日)

お盆の納骨堂のお供えをフードバンクに提供してきました。今回は総重量120kgでした。記録更新です!
永明寺では納骨堂加入の皆さんにあらかじめフードバンクへの食品提供を伝えてあります。今まで渋いお菓子が多かったのですが子どもたちが喜びそうなものにとお願いしたところ色々考えてくださるようになりました。
お供えにカップ麺やパスタがあがる珍しい納骨堂だと思います。

出所:松崎智海さん(浄土真宗本願寺派永明寺住職、@matsuzakichikai)のTwitter投稿(2022年8月22日、https://twitter.com/matsuzakichikai/status/1561721959938867200)(2022年8月23日、https://twitter.com/matsuzakichikai/status/1561900885915054080)

「丸和運輸機関/埼玉りそな銀行と協力し、余剰食品をさいたま市へ」(2022年8月18日)

丸和運輸機関は8月18日、埼玉りそな銀行と協力して、さいたま市に余剰食品を寄贈すると発表した。

埼玉りそな銀行と丸和運輸機関は食品ロスに係る講習会を従業員向けに開催し、さいたま市より食品ロス削減に係る講習を、埼玉りそな銀行より子供の貧困問題に係る講習を実施した。

その後、両社はSDGsの取組みの一環として職場内にフードドライブを設置して、家庭や職場で余った食品やマスク等を持ち寄り、さいたま市へ寄贈するためにこのほど贈呈式を開催することになったもの。なお、寄贈された余剰食品等については、贈呈式後にさいたま市から特定非営利活動法人フードバンク埼玉へ引渡すことになっている。寄贈品は、食品やマスクなど段ボール約50箱分。

出所:LNEWS、「丸和運輸機関/埼玉りそな銀行と協力し、余剰食品をさいたま市へ」(2022年8月18日)、https://www.lnews.jp/2022/08/o0818310.html、2022年8月24日閲覧

「送迎ルート活用、食品募る 北水会がフードドライブ 茨城の4市町村 自社20事業所連携」(2022年8月18日)

医療や福祉サービスを展開する北水会グループは、デイサービスなどの送迎ルートを活用したフードドライブ「グリーンプロジェクト」を始めた。送迎時に利用者や周辺住民から「ついでに」家庭で余った食品の寄付を募る。茨城のひたちなか、東海、水戸、大洗4市町村にある同グループの約20事業所が参加し、未使用食品を持ち寄ってもらう予定だ。

フードドライブは、家庭で余っている食品を集め、地域の生活困窮者支援団体や子ども食堂、福祉施設などに寄付する活動。

グリーンプロジェクトは、高齢者福祉施設などの北勝園(茨城県ひたちなか市津田)の和賀育子施設長をはじめとする5人で立ち上げた。同園で子ども食堂を運営していることをきっかけに、地域で「お互いさま」といった助け合いの循環をつくろうと考えた。「ついでに」取り組むのは、運搬にかかるエネルギーを削減するのが目的。

寄付は、送迎車の乗車前に運転手の職員が受け付ける。賞味期限が2カ月以上の食品はNPO法人フードバンク茨城へ寄付し、2カ月未満の食品は近隣の社会福祉協議会を通じて地域で必要とする人に届ける。

同園と近隣施設の2カ所で1月、実験的に行ったフードドライブではインスタント食品や缶詰、コメなど2週間で計約45キロが集まった。和賀施設長は「眠っている食品があり、役立てられるなら寄付したいという人が多いことが分かった」と手応えをつかんだ。

出所:茨城新聞クロスアイ、「送迎ルート活用、食品募る 北水会がフードドライブ 茨城の4市町村 自社20事業所連携」(2022年8月18日)、 https://nordot.app/932836853854093312、2022年8月24日閲覧

「母子家庭の困窮 継続的な支援の拡充を」(2022年8月20日)

母子家庭の困窮が深刻だ。子育て支援に取り組むNPO法人が先月、今夏の食料支援を申し込んだ2千世帯余りを調査したところ、5割が新型コロナウイルスの感染拡大前と比べ収入が減ったと答えた。その中で母子家庭はコロナ禍以前から収入が低く、平均稼働所得は子どものいる全世帯の3分の1程度とする国の調査もあった。

(中略)

災害や病気、自殺で親を亡くしたり、障害で親が働けなくなったりした子どもを奨学金の貸与や給付などで支援する民間非営利団体「あしなが育英会」は4月から5月にかけ、奨学生の保護者約2千人にアンケートを実施。コロナ禍や値上げラッシュの影響を尋ねた。

「ここ2年は入浴も週に1度。食事は1日に食パン1枚とバナナ1本のみ」「母子手当とフードバンクで生活していて、私はほとんど食事をしない」「今までも節約していたが、もう、これ以上の節約は無理」。
悲痛な声があふれ、そのほとんどが、いわゆるシングルマザーからのものだ。

保護者の平均月収はコロナ禍前の2018年でも手取り12万円に満たず、今はさらに減っているとみられる。育英会は以前の調査に比べて食事に関する記述が増えたと説明。「過去半世紀で一番ひどい」としている。

出所:佐賀新聞Webサイト、「『母子家庭の困窮』継続的な支援の拡充を」(2022年8月20日)、https://www.saga-s.co.jp/articles/-/904627、2022年8月24日閲覧 (太字は筆者)

「クラダシと千葉市が連携協定を締結し、市内のさらなるフードロス削減を目指す」(2022年8月4日)

ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:関藤竜也)は、「千葉市におけるシェアリングエコノミーを活用した食品ロス削減に係る連携協定」を締結いたしました。

クラダシは、ミッションを「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」、ビジョンを「日本で最もフードロスを削減する会社」と掲げ、持続的に社会課題の解決に取り組むビジネスを展開しています。フードロス削減を目指し、賞味期限が切迫した食品や季節商品、パッケージの汚れやキズ・自然災害による被害などが要因で、消費可能でありながら通常の流通ルートでの販売が困難な商品を買い取り、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」で販売しています。また、その売上の一部を社会貢献活動団体に寄付しています。

クラダシと千葉市はフードシェアリングサービスの導入を促進することを目的に、2021年度より連携し、千葉市限定プロモーションや事業者・市民向けオンライン説明会などを実施してまいりました。このたび、さらなる取り組み強化を目指し、相互の資源を活かし、シェアリングエコノミーを活用した食品ロス削減に対する市民意識の向上、消費行動の変容を促すことを目的に連携協定を締結いたします。今後両者はイベントなど普及啓発での協働により、市内事業者、市民の方々に「Kuradashi」をご活用いただくことで市内のフードロス削減を目指します。

出所:PR TIMES、株式会社クラダシ「クラダシと千葉市が連携協定を締結し、市内のさらなるフードロス削減を目指す」(2022年8月4日)、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000325.000014485.html、2022年8月24日閲覧

「大好評!フードバンクと大学が共同で在学生や留学生の生活支援」(2022年8月24日)

一般社団法人食品ロス・リボーンセンター(本部:東京都千代田区代表理事山田英夫)とテンプル大学ジャパンキャンパス(東京都世田谷区/学長マシュー・J・ウィルソン)は協同で、同大学の学生(学位プログラム学生数約 1,600人)の生活支援に乗り出すことで合意しました。

具体的には食品ロス・リボーンセンターがテンプル大学ジャパンキャンパスに年に3~4回定期的に食料品を寄贈し、同大学では在学生や秋学期(8月末)から受け入れ予定のウクライナ人留学生の支援に充当します。

出所:PR TIMES、一般社団法人 食品ロス・リボーンセンター「大好評!フードバンクと大学が共同で在学生や留学生の生活支援」(2022年8月24日)、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000086534.html、2022年8月24日閲覧

「子育て応援で食品配布 伊勢のカフェで、政府備蓄米活用 三重」(2022年8月14日)

三重県伊勢市辻久留のカフェ「コノ花咲クヤ」でこのほど、子育て世帯を対象としたコメや食品の配布が行われた。親子連れ約50人が訪れ、配布時間前から行列ができるほどの盛況ぶり。コメを受け取った母親らは「ありがたい」「育ち盛りの子どもがいるので助かる」と喜んでいた。

企業や個人などから寄付された食品を必要としている福祉施設や団体、困窮世帯、学生らに無償提供する活動に取り組む「フードバンクISE」(宮井威代表)が主催。今回は政府備蓄米100キロを活用した。

カフェ店主で自身も子育て中の久保美波さん(29)は、子ども服やおもちゃのリユースコーナー開設、寄付を呼びかけて集めた食品の無償提供を行うなど、子育てを頑張る母親を応援する店づくりに取り組んでいて、その活動を知った宮井代表(38)も賛同し、フードバンクの物資を提供してきたという。

出所:伊勢新聞Webサイト、「子育て応援で食品配布 伊勢のカフェで、政府備蓄米活用 三重」(2022年8月14日)、https://www.isenp.co.jp/2022/08/14/79509/、2022年8月24日閲覧

「フランスの食品ロス削減を加速させるアップサイクルフード」(2022年8月20日)

フランス政府は2025年までに食品ロスを半減することを目標に掲げており、世界でいち早く2016年に「食品廃棄禁止法」が成立。その後、店舗で廃棄予定の食品を予約販売するアプリの普及など、サステナブル(持続可能性)を意識した動きが国でも民間でも進んでいる。

こうした中、「アップサイクルフード」が広まりつつある。アップサイクル(upcycle)とは、本来廃棄されるものをそのまま再利用するのではなく、加工することによって付加価値を高めること。衣類やアクセサリーなどファッション業界にも取組みが広まっている概念だ。

例えば、フランスのオーガニック専門店にはビール製造の廃棄物からつくられたインスタント麺が並んでいる。これまでごみとして捨てられていたビール醸造後の「使用済み穀物」を再利用した麺だ。

フランスのスタートアップ「Ramen tes drêches」は、ビール醸造工房で発生する大量の廃棄大麦が再利用できる可能性に着目。試行錯誤を繰り返しインスタント麺の開発に成功した。パッケージには「約2000Lのビール製造時に出る300kgの大麦が2200食のラーメンの麺に」という説明が書かれている。栄養価を見ると、1食当たり20gと非常に多くの食物繊維を含むだけでなく、使用済み穀物に豆類と小麦粉を組み合わせることで高タンパク質・ミネラル豊富となり、ベジタリアン・ビーガンなど動物性食材不使用の食事を求める消費者の期待に応えることも考えられているようだ。

出所:日本食糧新聞、「ビール製造の廃棄大麦からインスタント麺も フランスの食品ロス削減を加速させるアップサイクルフード」(2022年8月20日)、https://news.nissyoku.co.jp/column/takashiro20220820、2022年8月24日閲覧

おまけ:ブレイディみかこ×バービーの対談より(2022年8月16日)

バービー 『両手にトカレフ』も、フィクションだけど、現実と地続きの作品ですもんね。作中に、1ポンドで食べられるディナー・ビュッフェを週に2回、提供するカフェが登場するじゃないですか。そこにさえ行けばミアもおなかいっぱいごはんが食べられる。あれを日本でもやれないかなあ、って思いました。フードバンクをやるにしても、条件がすごく厳しいんですよね。生ものが余ってるんだけど、誰かに食べてもらえないかな、と思ったときにどういうシステムを構築すると、困っている人たちにもいきわたるんだろうとか、今、いろいろ考えていて。

ブレイディみかこ ああ、すごくいいですね。日本にも子ども食堂はあるけれど、本当に困っている人ほど行きづらかったりしますし、大人は行っちゃいけないのかと躊躇してしまう。カフェ、って名がついたほうがフランクだし、無料は確かに助かるけど、百円でもお金を払った方が、垣根が低くなることってあるんですよね。たくさん払える人は払ってくれていいわけだし。

バービー 私、地元創生に関わっているんですけれど、子ども食堂の創設を提案したら「貧乏だと思われたくないから来ないと思います」と言われました。かわいそうだと思われたくない、とミアも思っていたけれど、上から目線で誰かを助けようというのではなくて、おっしゃるように、もっとフランクに人と人とが繋がって支えあうことのできるしくみを、つくれないかな……と、この小説を読んでますます考えるようになりました。そういう意味でも、一人でも多くの人に、この小説を読んでもらいたいですね。

出所:ダヴィンチWebサイト、「バービー『「私の価値を決めるのは私」にグッときた』×ブレイディみかこ『貧しいから、女の子だから、守ってあげたくなるなんて描き方には絶対したくなかった』」(2022年8月16日)、https://ddnavi.com/interview/1018707/a/、2022年8月24日閲覧(太字は筆者) ※14歳の少女の「世界」を描いた小説『両手にトカレフ』(ポプラ社)の著者ブレイディみかこ氏と、バービー氏の対談記事。 

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食品ロス・リボーンセンターがテンプル大学ジャパンキャンパスに食料品を寄贈し、在学生や秋学期から受け入れ予定のウクライナ人留学生の支援に充当する、とのプレスリリースがありました。

今日、2022年8月24日で、ロシアがウクライナに侵略を始めてから半年となります。侵略は言うまでもなく国連憲章に反しており、一刻も早く終わらせるべきものです。国連によれば、8月24日時点でウクライナから国外に延べ1,100万人が避難しているということで、上の報道にもある通り、日本にも(ここ市川市にも4人の)避難民がいます。

24日で半年のロシアによるウクライナ侵攻。千葉県によると、ウクライナからの県内への避難民は54世帯83人にのぼる。産経新聞の取材では、少なくとも9市が避難民を受け入れている。現地の状況が膠着し、避難民の滞在は長期化が見込まれる。暮らしへの大きな壁になっている日本語の習得のほか、就労や子供の進学など、受け入れにはなお課題が多い。

(中略)

産経新聞が県内54市町村に取材したところ、「県が公表していない」などとして回答を控えた2市を除いた52市町村のうち、千葉、船橋、市川、松戸、柏、市原、流山、八千代、君津の9市で受け入れていた。人数は千葉32人、船橋9人、柏7人、市川4人、八千代3人、君津2人-など。

出所:産経新聞Webサイト、「ウクライナ侵攻半年 千葉県の避難民は54世帯83人 少なくとも9市受け入れ」(2022年8月23日)、https://www.sankei.com/article/20220823-B2DGJQU755P47O5UTGEWCB5C4Y/、2022年8月24日閲覧

あしなが育英会が行った調査を紹介する記事の中には、育英会の「過去半世紀で一番ひどい」という衝撃的なコメントもありました。記事内で紹介されていた調査対象者の声を再掲します。

  • ここ2年は入浴も週に1度。食事は1日に食パン1枚とバナナ1本のみ
  • 母子手当とフードバンクで生活していて、私はほとんど食事をしない
  • 今までも節約していたが、もう、これ以上の節約は無理

北九州市の永明寺が納骨堂お供え物をフードバンクに寄付したというTwitter投稿には、多くの「いいね」がついていました(8月24日の19:25時点で「いいね」数は7,500超)。「故人を偲んでお供えされたものが生命を継なぐ為に生かされる…」(下駄の鼻緒さんのTwitter投稿より)とのコメントもありました。お寺、お墓、あるいは家庭内の仏壇にお供えされた食品が食べられることなく廃棄される(食品ロスとなる)ケースは非常に多いはずです。これを有効に活用することをもっと考えても良いと思わされるTwitter投稿でした。

医療福祉事業者が送迎車で利用者を迎えに行く際に、各利用者から食品を集めるという「ついでにやる」というやり方も有効ですね。多くのフードバンク団体が、運送(モノを移動させること)にかかる人手が足りないという課題を抱えていると思われますが、今後、全国各地のフードバンクの輸送問題の解消に、この「ついで」という方法で対応するケースが増えるかもしれません。

「おまけ」として引用した、ブレイディみかこさんとバービーさんの対談は、引用した箇所以外も興味深いので、是非読んでみてください。https://ddnavi.com/interview/1018707/a/

なお、ブレイディみかこさんが、ライターの武田砂鉄さんがパーソナリティをつとめるTBSラジオ『アシタノカレッジ』にゲスト出演した際に語った言葉を、以下の記事で紹介しています。子どもを取り巻く問題や貧困問題、これらに対する日英の行政対応の違いなどに言及されています。