【フードバンクにゅ~す】2023年10月31日

フードバンク

※冒頭の画像はNHK NEWS WEB (新潟 NEWS WEB)「燕市にフードバンクが複合型支援施設 商店街の空き物件活用」(2023年10月20日、https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20231020/1030026864.html)の動画キャプチャです。

2023年8月22日以来、70日ぶり、31回目の「フードバンクにゅ~す」です。2か月以上、間隔インターヴァルが空いてしまいました。

「子ども食堂・フードバンク支援へ ニーズ調査や設備導入に助成 農水省」(2023年10月12日)

 農水省は、生活困窮者や買い物弱者に食料を安定的に届けるため、子ども食堂やフードバンクへの支援に乗り出す。子ども食堂などの新規立ち上げや、食品の提供数を増やす団体に対し、参入地域のニーズ調査や必要な調理設備の導入などに助成する方針だ。食品の調達など、地域ぐるみでの課題解決も後押しする。

 子ども食堂やフードバンクは、生活困窮者や買い物弱者が食品を確保するために頼る“とりで”として機能している。一方で、これらの運営は主にボランティアで成り立つ。必要な資金や設備の確保、人材育成などで多くの課題を抱える。

 食料・農業・農村基本法の見直しでは、食料を安定的に供給するため、フードバンク支援や物流効率化など「食品アクセスの改善」を課題に挙げる。同省は、2024年度概算要求で、23年度当初予算比43億円増となる44億円の食品アクセス関連予算を盛り込み、対策を検討している。

 このうち「食品アクセス支援団体活動支援事業」には10億円を要求した。子ども食堂を新たに立ち上げたり、フードバンクで食品の取扱量を増やしたりする際にかかる経費を支援する。

出所:日本農業新聞「子ども食堂・フードバンク支援へ ニーズ調査や設備導入に助成 農水省」(2023年10月12日)https://www.agrinews.co.jp/news/index/188982、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

農林水産省の「食品アクセス支援団体活動支援事業」に関する資料を見ると、この事業は、各地域における食品アクセスの強化を図るため、地域での食料の提供等を担う食品アクセス支援団体(地域の食品アクセス困難者向けに無償で食料の提供又は配布を行う法人等※)を新たに立ち上げる場合や、既存の食品アクセス支援団体が食品取扱量の拡大を図るのに必要な取組に要する経費を支援するもの、ということが書かれています。
※フードバンク、こども食堂、農業協同組合、生活協同組合、社会福祉協議会など

上のような活動主体の、以下のような活動を支援することで、食品アクセス確保に取り組む団体が増えたり、食品取扱量が増え、結果として、食料の提供が可能な人数や回数の増加につながることが期待されます。
・地域における食品アクセス困難者の居住状況、未利用食品等の賦存量や品目、寄附の意向、集配ルート等の調査
・新規雇用のための求人、実践研修等の実施
・集配・保蔵用施設・設備、加工・調理用機械・設備等の導入・改修

「廃棄前の食品をフードバンクへ寄付 東京都が輸送費を補助」(2023年8月26日)

東京都は食品ロスを減らそうと、廃棄前の食品をフードバンクへ寄付するための輸送費を補助する取り組みを始めました。

都が4年前に行った調査によりますと、本来食べられるものが廃棄される都内の「食品ロス」は年間44.5万トンにのぼり、そのうち7.5万トンがスーパーなど中小の小売店で賞味期限が近くなったり、陳列棚の入れ替えで店頭に置けなくなったりした商品です。
都は、この食品ロスを減らそうと、廃棄前の商品を、生活困窮者に食料を提供する「フードバンク」に寄付するよう呼びかけていて、ことし6月からその輸送費を補助する取り組みを始めました。
補助を受ける対象は、資本金が5000万円以下か、従業員が50人以下の会社などで都内のフードバンクの運営者に寄付した場合、年度内で14万4000円を上限に輸送費が補助されます。
都の担当者は、「食料品の高騰が続いていてフードバンクの需要が高まっている。廃棄にも費用がかかるので、多くの小売店に協力してもらい、食品ロスを減らしていきたい」と話していました。

出所:NHK 首都圏 NEWS WEB「廃棄前の食品をフードバンクへ寄付 東京都が輸送費を補助」(2023年8月26日)https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230826/1000096305.html、2023年10月26日閲覧

小売店などがフードバンクの倉庫に食品を届ける場合、輸送にかかる費用(燃料代や人件費など)ですがネックになります。これを補助することで、食べられるにもかかわらず、仕方なく廃棄してきた食品を、フードバンクを通じて必要としている人々に届けやすくなりますね。

「物価高の影響? フードバンク、おかず足りず NPOが寄贈呼びかけ」(2023年9月3日)

 NPO法人「フードバンクふじのくに」(静岡市)は8月いっぱい、家庭で余っている食品などを寄贈してもらう「フードドライブ」を開催した。県内の約300カ所に食品回収ボックスを置き、「フードバンクが腹ペコだ!」と寄贈を呼びかけた。

 ふじのくには2014年度に活動を始めた。企業・団体や一般家庭から寄贈された食料品を、県内の自治体、支援団体、社会福祉協議会などを通じて生活に困っている人たちに提供している。

 事務局によると、提供した食料品の出庫重量は、14年度の約14トンからコロナ禍の20年度には約90トンに増え、22年度も約80トンあった。寄贈された重量も増え、20年度は約107トン、22年度は約90トンだった。

 しかし、今年は寄贈の動きが鈍いという。フードドライブは毎年夏と冬に開いてきたが、生協の店舗に置いた回収ボックスの状況を途中で確認したところ、例年は40~50箱の寄贈があるのに、今年は20箱ほどしか集まっていなかったという。「寄贈する人も物価高の影響を受けているのではないか」と望月健次事務局長は話す。

 とりわけ深刻なのが、レトルト食品のようなおかずになる「副食」だ。1世帯あたり2週間分の食料品として10~20キロほどを提供するうち、主食(コメやパンなど)が半分、副食(レトルト食品や缶詰などのおかず)が3割、しこう品(お菓子や調味料など)が2割ほどになる。ところが、寄贈される食料品は主食やしこう品がそれぞれ4~5割を占め、副食は1~2割ほどしかないという。

 背景には、カレーのレトルトや缶詰などは賞味期限が長かったり保存がきいたりするため、食品メーカーやスーパーなどで余りが出にくい事情がある。一般家庭でも保存食として取り置きができる。また、物価高で食料品が値上がりし、一般の人もレトルト食品などを簡単に寄贈しにくい環境になっているという。

出所:朝日新聞デジタル「物価高の影響? フードバンク、おかず足りず NPOが寄贈呼びかけ」(2023年9月3日)https://www.asahi.com/articles/ASR927JN5R8XUTPB00X.html、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

フードバンクへの食品の寄贈(フードドライブ)の品の量が減っているという話は本当によく聞きます。特に、おかずになるようなものが足りないという話を。私たち、いちかわフードバンクbyフリスタも例外ではありません。

おかずになるレトルト食品や、フライパンや電子レンジなどで簡単につくれる簡便調理食品、缶詰といった食品の在庫が不足している状況が続いています。ご飯にかけるタイプの調理済みの食品(カレー、親子丼の素など)などは非常に重宝します。また、意外と(?)と言っては何ですが、ふりかけも需要があります。

このような、おかずになるものや、ご飯に添えるものが不足しがちなので(もちろん、それ以外の品物も大歓迎です)、ご寄贈いただける方は、市内にあるフードドライブ用のボックスにお持ちください。よろしくお願いします。

食品の寄贈(フードドライブ)について
https://fs-ichikawa.org/about_drive/

「『子どものために食事を我慢』物価高でフードバンク頼る人が増加も、食品の寄付は激減」(2023年9月29日)

9月中旬の午後7時過ぎ。名古屋市中区の広場で行われていたのは、生活困窮者の支援団体が定期的に開く炊き出しです。バナナにお菓子、それに水餃子の入った温かいスープ。約150人分が1時間程でなくなりました。

しかし支援活動を続ける中で、1つの懸念点が生まれていました。

ボランティアオアシス 向井 紀裕さん:
「フードバンクに来る食品が激減していて、これからどんどん減っていくかもしれません。ほかに提供してくれるところを探すなど考える必要があると思いました」

配る食品の確保先の1つが「フードバンク」です。フードバンクは企業や個人などから余った食品の寄付を受け、支援団体などに提供しています。今、この寄付が減少しているといいます。

(略)

北名古屋市のフードバンク愛知では「2022年の4月~9月は174の企業から寄付をもらっていたが、2023年は74と数が減っている」と話します。

寄付が減る一方で、支援を求める声は増えています。この日フードバンク愛知を訪れたのは、稲沢市で子ども食堂を運営している男性です。

子ども食堂を運営 千葉 格さん:
「大変なお母さんたちの手助けができれば。今物価が上がっているじゃないですか。そういったことを考えると、皆さん喜ばれますよね」

団体は2023年5月と8月に利用者を対象にしたアンケート調査を行いました。その結果、支援を申し出た理由に「物価高騰」を挙げた人は89.2%にも上りました。

フードバンク愛知 花井 里美さん:
調味料やお米が高くて買えないので、母親自身が我慢して子どもに食べさせているけど、母親が食べられていないので支援を必要としています。さらに家電がそろっておらず、冷蔵庫がない状況で、レトルト品の支援がほしいとのことで、ご連絡いただきました」

寄付の減少と支援を求める人の増加。物価高の影響でフードバンクの運営は厳しさを増しています。

フードバンク愛知 加藤 智子さん:
「企業の方に文書を送って、防災備蓄品とか季節ものなどの寄付をもらえないかとダイレクトメールを送ったり、電話したり、訪問させてもらったり」

――成果は実りましたか?

加藤さん:
「いえ、ほとんどゼロに近いです。私たちのやり方が悪いのか、企業の方にも事情があるのか。まだまだ模索中です」

フードバンクへの寄付は個人でも行えます。余った食品があるという人は、個人で寄付するのも1つの解決策になるかもしれません。

出所:テレビ愛知「『子どものために食事を我慢』物価高でフードバンク頼る人が増加も、食品の寄付は激減」(2023年9月29日)https://news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=3043、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

フードバンク愛知の利用者さんの約9割が、物価高騰を理由として支援を望んでいるということですが、昨今の物価上昇(悪いインフレ)は約40年ぶりという値上げ幅であり、多くの人が困(ってい)るのは当然だと思います。悪いインフレと書きましたが、それについては過日公開した、こちらの記事の後半で説明しています。

奈良県「フードバンク広がる」(2023年10月25日)

 生活に困っている人に無償で食品を届けるフードバンクの活動が県内でも広がっている。食べられるのに廃棄される食品ロスの削減にもつながり、食品を集めてバンクに贈る「フードドライブ」も盛んになっている。バンクの運営団体によると、コロナ禍や物価高の影響で支援を必要としている人が増えているという。

コロナ禍、物価高 ニーズ増
 カレーや米、菓子……。9月下旬、NPO法人「フードバンク奈良」(奈良市)は、奉仕団体「奈良ロータリークラブ」(同)から、同クラブ会員50人が持ち寄った食品約245キロ分の寄付を受け取った。

 昨年度は50トンの食品を集め、今年度は9月末時点では32・5トンに上る。寄贈者は企業や自治会、学校など多様で、近年増えているという。集まった食品は、県内の子ども食堂や障害者施設、社会福祉協議会などに提供している。

 同法人代表理事の平川理恵さん(55)は「コロナ禍や物価高で、年々食品を必要としている人は増えている。量があればあるほど、助かる状況だ」と明かす。

 県内では同法人が2017年に設立されて以降、22年に一般社団法人「フードバンク大和高田」、同法人「フードバンクエンジェル」(橿原市)、「フードバンク天理」の3団体が相次いで活動を始めた。8月には「フードバンク大和郡山」も開始した。

 フードバンク大和高田は、子ども食堂の運営に関わる人たちが要望のあった家庭に直接食材を配布したことをきっかけに設立。今年の夏休み前には142世帯(子ども315人)に食料を配布し、代表の松田善夫さん(38)は「子ども食堂をはしごして空腹を満たす子どもがいる。困っている世帯へのアプローチを確実にしていきたい」と意気込む。

出所:読売新聞オンライン(奈良>ニュース)「フードバンク広がる」(2023年10月25日)https://www.yomiuri.co.jp/local/nara/news/20231024-OYTNT50247/、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

子ども食堂をはしごする子どもがいるのです。

大人として、曲がりなりにもこの社会をつくる側に居続けてきた者として、本当に胸が痛みます。

「24時間利用可能のフードバンク 11月から出雲で開始」(2023年10月20日)

食料品や日用品を、時間や人目を気にせず、24時間いつでも、無料で受け取れる
山陰初のフードバンクが、11月から出雲市で始まります。

NPO法人・しまね子ども支援プロジェクトが、出雲市で始める24時間利用可能なフードバンク「コミュニティフリッジ」

出雲市民に限らず、1人親で、児童扶養手当受給世帯の人であれば、個人や企業から提供される食品や日用品を、オートロック付きの無人施設で、時間や人目を気にせず、いつでも受け取れます。

(略)

出雲市大社町の喫茶店だった場所を改装し、11月中に、利用者の登録、サービスの提供を始めることにしています。

出所:TBS NEWS DIG「24時間利用可能のフードバンク 11月から出雲で開始」(2023年10月20日)https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/790946、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

「『公共冷蔵庫』自由に使って 困窮子育て世帯を支援、新潟・燕に登場」(2023年10月26日)

 生活に困っている子育て世帯が食品や日用品を自由に持ち帰れる施設「新潟コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)」が、新潟県内で初めて燕市仲町に完成した。24時間無人で運営され、時間帯によっては周囲の目も気にせず利用できる。長引く物価高の影響で生活に厳しさが増すなか、支援が行き届くよう目指す取り組みだ。

 運営するのは、困窮する人たちに無償で食品を配る活動をしているNPO法人「フードバンクつばめ」(燕市小池)。新たに開所する子ども支援施設「TSUBAME(つばめ) BASE(ベース)」に併設して出入り口を別に設け、業務用の冷蔵庫と冷凍庫のほか、常温保存の食品や日用品を置く棚を設置した。物資は主に企業から寄付を受け、数量や消費期限などをデータベース化して管理するという。

 利用できるのは、18歳未満の子どもがいて、生活保護や児童扶養手当を受給するなどしている県内在住の世帯。利用登録をすると渡される電子キーを使って中に入り、必要な物資を持ち帰る。持ち帰る物資はバーコードを機器で読み取って記録する仕組みという。

(略)

 つばめベースには子どもの遊び場や駄菓子コーナーなどをつくった。近くの燕市宮町で開業する「宮町食堂」では週1回子ども食堂を開く。どちらも商店街の空き物件を改装したもので、子どもの居場所づくりにとどまらず、地域の活性化にもつなげたい考えだ。11月1日のオープンを予定する。

出所:朝日新聞デジタル「『公共冷蔵庫』自由に使って 困窮子育て世帯を支援、新潟・燕に登場」(2023年10月26日)https://www.asahi.com/articles/ASRBT7S4GRBRUOHB005.html、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

冒頭の画像は上の引用元(朝日新聞デジタル)とは異なりますが、新潟県燕市に誕生した「新潟コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)」に関する NHK NEWS WEB の記事(動画)からの引用です。

上の記事には「商店街の空き物件を改装した」とありますが、すなわち「リノベーション」を行ったわけですね。そして、子どもの遊び場もつくったということで、NHK NEWS WEB の動画には、少年ジャンプがたくさんならんでいる棚が映っていましたよ!楽しそう!

大阪府泉佐野市「フードバンクより使いやすい 広がる『コミュニティーフリッジ』」(2023年9月23日)

 一人親や低所得などで困難を抱える家庭が24時間食品を取りに行ける「コミュニティーフリッジ(公共の冷蔵庫)」が広がりつつある。企業などから寄付された食品を団体や個人に無償で提供するフードバンクが全国で普及する中、当事者が、より利用しやすい支援として注目されている。

 「子どもたちにおなかいっぱいになってもらい、大きな夢を抱ける助けにしたい」。大阪府泉佐野市の社会福祉センター(同市中庄)の敷地内に9月、「コミュニティフリッジ泉佐野」が開設され、運営するNPO法人「キリンこども応援団」(同市鶴原)の水取博隆代表(41)はこう語った。同法人によると、コミュニティーフリッジの開設は全国10例目。府内では寝屋川市、堺市に続き3例目で、都道府県単位では全国最多となった。

出所:毎日新聞 「フードバンクより使いやすい 広がる『コミュニティーフリッジ』」(2023年9月23日)https://mainichi.jp/articles/20230923/k00/00m/040/108000c、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

「コミュニティフリッジ(公共の冷蔵庫)」に関する記事が3本続きました。利用する人にとっての利便性が高く、食品を提供する立場の人にとっても、受け渡しが(フードパントリーと比べると)格段に楽なので、今後、増えるでしょうね。

ただし、「フードパントリー」や「子ども食堂(こども食堂)」では、利用者さんとスタッフが顔見知りになり、「最近調子はどう?」というような会話が生まれたりもしますので、人とのつながりをつくったり(知り合い、友達をつくったり)できるという点、あるいは、継続的に利用している人の調子が良さそう、悪そうといったことにスタッフが気付きやすいという点で、「コミュニティフリッジ」にはない機能、役割があるとも言えます。

「<つながる子育て>親子がホッとできる場に 川崎市宮前区のボランティア団体 食事付きで保護者同士の交流も」(2023年10月24日)

 「こんにちはー!」「おなかすいた。きょうのご飯はなに?」。今月12日、夕闇が迫る午後4時半過ぎ、川崎市宮前区の「蔵敷自治会館」に、子どもたちが続々と集まってきた。会館の中は、食事を待ちながら遊ぶ子どもたちの声で、あっという間ににぎやかになった。

 ここは、ボランティア団体「ホッとスペース・和」が開く近所の親子向けの食事の場。団体は2年前から、子どもたちに無償で食事を提供している。

 「もうちょっと待ってね」。ボランティアの女性たちと一緒に食事の用意をする山田千鶴代表(62)は、一人ひとりの名前を呼びながら声を掛けていく。「よく来たね。来てくれてありがとう」。山田さんが「ありがとう」と言うのは、「ここに来たいって思ってもらえたことが何よりうれしい」と感じているからだ。
 この日のメニューは、ハンバーグとマカロニサラダ、ナスとピーマンの素揚げにご飯とおみそ汁。デザートにはクリのロールケーキが出た。大人と希望する子には空心菜の炒め物とクリの渋皮煮も。野菜や果物はすべて、地域の人たちからの寄付だという。テイクアウトしたい人の分も含め、90食分を用意した。
 区こども文化センター(児童館)の職員で学童保育のリーダーを務めていた山田さんが、こうした食事付きの居場所をつくろうと思い立ったのは、2021年の初め。新型コロナの感染拡大のただ中だったが、「だからこそ、家族の孤立化を避けるための場所が必要だと思った」。今は区内の二つの自治会館で月1回ずつ開いている。

(略)

 市内の子ども食堂の数は年々増えており、子ども食堂をサポートする中間支援団体「かわさきこども食堂ネットワーク」によると、今年10月には83カ所と2018年の25カ所から3倍以上に増えた。同ネットワークの佐藤由加里代表(58)は、「子ども食堂が身近になったことで、利用する家庭が増えている」と話す。
 佐藤さんも高津区で子ども食堂「菜の花ダイニング」を運営している。コロナの感染拡大で、テイクアウトに切り替えた時期は、それまで食べに来られなかった父親や、部活動をしている中学生など新たな利用者が増えたという。コロナ前は、多いときでも1回の開催で出す食事は80食ほどだったが、今は120食で高止まりしているという。

出所:読売新聞オンライン「<つながる子育て>親子がホッとできる場に 川崎市宮前区のボランティア団体 食事付きで保護者同士の交流も」(2023年10月24日)https://www.tokyo-np.co.jp/article/285587、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

こども食堂(子ども食堂)が増え、人々が報道などで耳目にする機会が増えていることもあって、利用する人が増えているのですね。市川市にもたくさんのこども食堂がありますよ。

市川こども食堂ネットワーク加入拠点
https://ichikawa-kodomosyokudounw.jimdofree.com/%E6%8B%A0%E7%82%B9%E7%B4%B9%E4%BB%8B/

「イオンの『北見店』『室蘭店』『苫小牧店』でもフードドライブ開始」(2023年10月26日)

 イオン北海道(本社・札幌市白石区)は、2023年11月5日(日)から「イオン北見店」(北見市)、「イオン室蘭店」(室蘭市)、「イオン苫小牧店」(苫小牧市)で「フードドライブ」を開始する。

 同社は、2021年度に策定した中期経営計画で持続可能な開発目標「SDGs」の達成に向けた取り組みの一環として、食品廃棄物削減に取り組んでいる。フードドライブは、家庭で消費されずに残っている未開封かつ賞味期限内の加工食品を店舗に持ってきてもらい、その後に必要とされている団体に届けることによって、食品廃棄物削減に繋げる取り組みの一つ。

 2022年6月から「イオン」店舗を中心にスタートさせ、これまでに計29店舗で取り組みを実施している。今回、新たに3店舗で開始することによって、計32店舗での展開となる。回収した食品は、「イオン北見店」は北見市に、「イオン室蘭店」は室蘭市に、「イオン苫小牧店」は苫小牧市から紹介された「フードバンクとまこまい」へ寄贈。こうした、市や団体を通じて地域の子ども食堂、生活の支援を必要とする人たちに届けられる。

出所:リアルエコノミー「イオンの『北見店』『室蘭店』『苫小牧店』でもフードドライブ開始」(2023年10月26日)https://hre-net.com/keizai/ryutu/70816/、2023年10月26日閲覧

「売れ残ったパンを配って貧困を支援 フードバンクと群馬・太田市のベーカリーが連携」(2023年10月10日)

「タッタ」(群馬県伊勢崎市、山本信一社長)がフランチャイズで運営する「ベーカリーズキッチン オハナ太田内ケ島店」(太田市)は、子ども支援や貧困対策に取り組む「がじゅまる会」(同市、鹿山真雄会長)へ売れ残った商品を寄贈し、児童養護施設や貧困家庭に届ける活動を続けている。

 パンの寄付は昨年12月から始めた。鹿山会長が毎朝同店を訪れ、前日に売れ残ったパンを車に積み、同市や前橋、高崎の児童養護施設や母子寮など約15カ所に日替わりで配っている。

 鹿山会長が長年取り組むメンタルケア事業を通じ、出会ったシングルマザーの一般家庭なども1軒ずつ訪問。「パンはライフラインに関係なくすぐに食べられる。渡したそばから涙を流して食べる人もいる」と話す。

 同店は昨年6月に開店。常に豊富な商品をそろえるためにパンは一日中作り、その日に焼いた物だけを販売する。廃棄する商品が多い日もあることから、寄付することを検討した。

出所:上毛新聞「売れ残ったパンを配って貧困を支援 フードバンクと群馬・太田市のベーカリーが連携」(2023年10月10日) https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/355562、2023年10月26日閲覧、太字は筆者

パンは廃棄ロスが多く発生する食品のひとつですよね。せっかくつくったパンを無駄にせず、求める人に届ける活動、素晴らしいですね。

「『最悪の冬』を予想と英フードバンク、60万人以上が支援必要」(2023年10月18日)

全英1300カ所でフードバンクを運営する慈善団体トラッセル・トラストは18日、物価高が続く中で今冬は60万人以上が生活支援を必要とする公算が大きく、過去最悪の事態を予想していると警告した。

トラッセル・トラストは、今年12月から来年2月までに100万食を超える非常食を提供すると予想。前年の90万4000食を上回り、この期間としては過去最多となる。

出所:ロイター「『最悪の冬』を予想と英フードバンク、60万人以上が支援必要」(2023年10月18日)https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/NBMV4FFCD5MK5CIR7GISZLXYRY-2023-10-18/、2023年10月26日閲覧

最後に海外のニュースです。以前からインフレで生活苦となっている人が非常に多いことが報じられてきた英国ですが、食品価格の上昇に加え、ガスや電気、ガソリンなどのエネルギーの価格も上昇し、寒い英国で暖房代を払えない(暖房を使えない)人が大勢発生する可能性があります。

昨冬、英国では、‘Heat or Eat’(暖房か食事か)という言葉が流行しました。本来、ある程度快適な生活をするためには、‘Heat and Eat’が必要なのですが、‘Heat or Eat’は、どちらかを選択して、どちらかを選択しない(できない)という厳しい状況を言い表しています。また、昨冬、英国では、50万人以上が図書館などの‘warm rooms’(暖かい場所)を利用したということです※。今年はそれ以上の人が自宅で暖まれずに、‘warm rooms’を訪れる可能性がありますね。
※情報出所:Current Awareness Portal「冬の期間、英国で50万人以上が図書館を含む地域の『暖かい場所』を利用(記事紹介)」(2023年4月28日)https://current.ndl.go.jp/car/180947、2023年10月26日閲覧

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執筆日 2023年10月26日
公開日 2023年10月31日(第27回いちカイギの開催日)