【閉店】「ときわ書房本八幡店」へのメッセージを募集します

活動紹介

JR本八幡駅の北口を出てロータリーの右手にそびえる商業ビル「パティオ」の5階で営業中の「ときわ書房本八幡店」さんが、本当に残念なことなのですが、2022年5月31日に閉店することになりました。

深く長く愛されてきた「ときわ書房本八幡店」さんが2022年5月31日に閉店します。本当に残念です!

昭和55年(西暦1980年)※1に開店して以来、42年間という長い歳月、営業を続けてきたお店が、その歴史を終えようとしています。

チェーン店ということもあり、第一印象は、「よくある書店」かもしれません。しかし、通路を歩いて本棚を眺めてみると、独自の品ぞろえ、迫力のある売場づくり、気になる言葉が躍るPOP、コミック売場の大量の販促ポスター、壁や柱に飾られた貴重な漫画の原画、大人でもページを開きたくなる絵本、たくさんのサイン色紙などで構成された店内全体から、店員さんの熱い想いがほとばしっていることに気が付くはずです。店員さんの書籍にそそぐ愛情が、棚や平台から溢れ出しており、質問をすれば手厚く説明してくれる、そんな「唯一無二の素晴らしいお店」が、「ときわ書房本八幡店」さんです。

遠方にもその噂が轟くほどにマニアックな品ぞろえを誇るコミック売場、しっかりと揃えた海外文学やミステリ、詩集などの売場、塾通いの学生にとって心の支えとなった参考書売場、子どもがいつまでも離れたくないような絵本や児童書が並ぶ売場、近隣の他店で取り扱っていないものも売っている雑誌売場…

私(フリースタイル市川のノスタルジー鈴木)が、2022年4月1日にお店で閉店を知らせる貼り紙を見つけた際に、ショックのあまり(Twitterで)大声で叫んだところ、多くの反響がありました。

※上のツイートの画像では(月)となっていますが、実際の最終営業日は5月31日(火)です。

Twitterで皆さんの反応を読んでいると、たくさんの方から愛され、信頼され、心のよりどころになっていたお店なのだな、と実感します。

書店でも、飲み屋や喫茶店などの飲食店でも、映画館でも、好きだったお店、思い入れのあるお店が閉店すると知った時は、残念だと思い、悲しくなります。いつもの私ならば、多分それで終わりでした。

しかし、少し前に、フリースタイル市川が企画を担当した「アトリエ029」※2で実施したワークショップの内容や内覧会で交わした会話を通じて、街が姿かたちを変えていくことは止められないとしても、今ここに何があり、どのような人のどのような行動や感情が生まれているのか、あるいは、かつて何があって、どのような人が何をしてのか、感じたのか、ということを、記録し、残すことは、そこで過ごした人にとっても、これからその街で過ごす人にとっても、意義のあることだと思うようになりました※3

そのようなこともあり、「ときわ書房本八幡店」に対するメッセージを集め、お店の方々(代表して店長さん)にお届けしたいと考えました。お寄せいただいた言葉は、責任を持ってお店にお届けします。また、お店に許可を得た上で売場の様子を撮影し、後日、フリースタイル市川のWebサイト(当サイト)に掲載する予定です。当サイトには、お店に届ける皆様の言葉(ご快諾いただいた方の言葉のみ。匿名での掲載も可)も掲載し、アーカイヴとして残します。

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「ときわ書房本八幡店」さんへの感謝の言葉や、個人的な経験、鮮烈な記憶、淡い想い出、優しい店員さんとの心温まるエピソード、どのようなことでも構いません。お店への想いがある方であれば、お客さんとして買い物をしたことがある方はもちろん、出版関係の方、作家の方など、広くお店へのメッセージを募集しています。

「ときわ書房本八幡店」さんへのメッセージ投稿フォームこちらです。

「ときわ書房本八幡店」さんへのメッセージ投稿フォームのイメージです。

なお、今回のプロジェクト(通称「ときわ書房本八幡店ありがとう」プロジェクト※4)は、Twitterアカウント「本八幡bot」の中の人こと、本八幡botさん※5に全面的にご協力いただいています。本八幡botさんも長らく「ときわ書房本八幡店」さんにお世話になり、思い入れが強いということでした。

現在(本日は2022年4月30日です)、お店の柱の周りには、下の画像のように、漫画家さんのサイン&イラスト色紙がたくさん飾られています。さながら展覧会です。大変豪華な顔ぶれです。是非、閉店前に色紙を見にお店に足を運んでみてください。そして、是非お買い物をして、店員さんに言葉を掛けていただきたいと思います。

柱には漫画家さんのサイン&イラスト色紙がたくさん!

また、このお店は、「亀のいる本屋さん」としても知られています。閉店した後の行き先が気になりますね。

児童書・絵本売場にいる亀さん。名前は「アキちゃん」と言います。子亀時代からこのお店にいる、みんなのアイドル!たまに日向ぼっこのために、いつもの売場から離れていることがあるのですが、そんな時、売場を訪れたお子さんが、「亀さん、いなくなっちゃったの?!」と勘違いすることもあるそうです。

これらは、2022年4月X日に、「ときわ書房本八幡店」さんを長年使っているという、ある人物が同時購買した5冊です。
これらは、2022年4月Y日に、「ときわ書房本八幡店」さんを長年使っているという、ある人物が同時購買した6冊です。

「ときわ書房本八幡店」さんに思い入れがある方、お世話になったなと感じている方、極私的なエピソードをお持ちの方、閉店してしまうことが惜しい、悲しい、つらいという方などは、是非、メッセージをお寄せください。責任を持ってお店にお届けします。メッセージ投稿フォームこちらです。

続報は、フリースタイル市川のWebサイト上でご報告します。引き続き、よろしくお願いいたします。

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2022年5月17日追記
皆さんより寄せていただいたメッセージ、想い出、エピソードと、Twitter投稿を、こちらに掲載しました。随時追記しています。


公開日:2022年4月30日
更新日:2022年5月17日

〈注釈〉
※1:「ときわ書房本八幡店」さんが開店した昭和55年(西暦1980年)は、どんな年だったのでしょうか?いろいろな出来事がありましたが、例えば、こんなことがあった1年でした。

▼今から42年前、「ときわ書房本八幡店」さんがオープンした昭和55年(1980年)の出来事
イラン・イラク戦争が勃発し、日本がモスクワオリンピックをボイコットした年。
ポール・マッカートニーが成田空港で逮捕され、ジョン・レノンがニューヨークで射殺された年。
長嶋茂雄が監督を辞任し、王貞治が現役を引退した年。
張本勲が3000本安打を達成し、野村克也が3000試合出場を達成した年。
早稲田実業が1年生の荒木大輔の活躍で甲子園で準優勝となり、松坂大輔が生まれた年。
山口百恵が引退し、松田聖子がデビューした年。
『すすめ!!パイレーツ』の連載が終わり、『Dr.スランプ』や『めぞん一刻』が連載を開始した年。
黒澤明監督『影武者』がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、ドラえもん映画シリーズ第1作『ドラえもん のび太の恐竜』が公開された年。
ジャン=ポール・サルトルやアルフレッド・ヒッチコック、ビル・エヴァンスが亡くなり、大野智、岡田准一、小島よしおが生まれた年。

※2:「アトリエ029」は、国府台共栄会という商店会で営業していた精肉店「肉のこばやし」が閉店した後、空き家となっていた建物を、古いながらも味のある部分はなるべく残した上で、これから生活し、使用することを考えて、必要な部分は新しくするという、リノベーション工事によって、今春、オープンした、ギャラリー併設の女性クリエイター向けシェアハウスです。管理と運営を有限会社京葉不動産が、企画をフリースタイル市川が担当しました。

※3:「アトリエ029」がオープンする直前の2022年4月7日には、「肉のこばやし」時代をよくご存じの近隣の方にお越しいただき、お店で買い物をした時の想い出をお話しいただいたり、お店が営業していた当時は周辺にどのような店舗があったかを思い出していただいて、地図に書き込んでいくワークショップを行いました。4月16日の内覧会にご参加されていた和洋女子大学の小澤京子先生に教えていただいたメソッドに「日常記憶地図」というものがあり、ワークショップで実施した、記憶を頼りに往年の店などを地図に書き込む行為は、この「日常記憶地図」と似ていると思いました。「日常記憶地図」とは、〈個人のある時期の日常を地図にプロットすることで、普段意識することのない場所の記憶や風景を立ち上げるメソッドです。親や祖父母、パートナーの記憶や風景を”共有”することや、同じエリアで重ね合わせることで、土地の特性や時間の流れを見出すこともできます〉(出所:日常記憶地図Webサイト https://my-lifemap.net/)。また、小澤先生との会話から、当事者から話を聞き、記録として取りまとめる「オーラルヒストリー」も、街の歴史を記憶し、継承する上では有効な手法だと思いました。今回、「ときわ書房本八幡店」さんに届けるメッセージには、お店への感謝などの他、個人的な体験(エピソード)も含まれると思います。こうした個人から出てくる言葉を集め、アーカイブとして残すことは、フリースタイル市川が行うような「まちづくり」においても重要であると考えています。

※4:当初、お店へのメッセージを記入していただくフォームは作成しておらず、Twitter上で 「#ときわ書房本八幡店ありがとう」というハッシュタグを添えて投稿していただいたメッセージを集めてお店に届ける予定でした。

※5:本八幡botさんについては、2022年4月6日に公開した「源流」の〈前編〉〈後編〉で、私がロング・インタビューを敢行したものを公開しているので、是非、お読みください。