気が付けば、本八幡駅北口には、high-rise condominium がたくさんできていました。
そう感じませんか?
high-rise condominium と言われても、ピンとこないかもしれません。ならば、これならどうでしょう。
気が付けば、本八幡駅北口には、タワーマンション がたくさんできていました。
最初の文と意味は同じです。high-rise condominium を日本ではタワーマンション(略称はタワマン)と呼ぶようになったようですね。一般には、地上60m以上の高さの場合に、タワーマンションと呼んでいるようです。
冒頭の画像は、本八幡駅北口の高層建築の高さをイメージしやすいように表したものです。右の色の薄い2つの建物は、2023年11月現在、まだ存在はしていません。計画段階にある建物です。
2023年11月の時点で、本八幡駅北口には4つのタワーマンションが存在しており、今後、計画されている通りに建設が進んだとすれば、何年か後には、この地に計6つのタワーマンションが屹立することになります。
計画中の建物については、市川にゅ~すさんの記事が端的に伝えてくれています。
市川にゅ~す(2023年7月13日)
【本八幡駅北口再開発の詳細が明らかに】パティオからスクランブル交差点までの間に2棟のタワマン建設計画
https://ichi-24.jp/archives/36261
パティオから国道14号線の手前、つまり、スクランブル交差点までの地区に、2棟のタワマンが建設されかもしれません。
2棟のうち、南側に立つ予定のマンションは、本八幡地区で最も高い、地上160mの建物になる見込みで、JR総武線の線路に近い場所、つまり、パティオがあるあたりに建設されようとしています。そして、現在の八幡一番街を挟んだ北側に、地下でつながったもう1棟が建設される計画になっています。
5か月ほど前に公開したこちらの記事で、「アイリンク級」という表現を用いて、駅前再開発事業についてコメントしています。
また、1年ほど前には、市川市が2018年度に作成した本八幡北口再開発の基本構想を確認した記事を書きました。
さて、新たに再開発が計画されている地区を含むのは、八幡2丁目です。
八幡2丁目は商業地の印象が強いですが、住んでいる人の数(人口)はどの程度いるかというと、2023年9月末時点で、1,855人でした。また、過去10年の人口の推移を見てみると(下図)、2014年から2019年までの期間は、2017年を除き、増加しており、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年には前年を下回りましたが、2021年以降は再び増加に転じていることがわかります。
では、年代別の人口はどうなっているでしょうか。これが、実に興味深い動きをしているのです。
9年前の2014年に最も人口が多かった年代は40代でしたが、減少幅が最も大きく、今年、2023年には4位になりました。そして、2014年に人口が4位だった20代は、急激に増加し、2023年の年代別人口は1位になりました。50代も大幅に増加し、3位から2位になりました。一方、20代の増加が目覚ましい八幡2丁目ですが、シニア層である70代と80代の増加幅も大きいという特徴があります。
40代が減って50代が増えたのは、加齢により年代が1区分上になったということが主だとは思いますが、転出した人もいるでしょうね。
20代が増加し、30代は減って増えて元に戻ったという感じの動きですが、0~9歳と10代の人口は減っています。
今、新たに計画されている2棟のマンションですが、計画戸数は870ということです。現在、八幡2丁目に住んでいる人が、新しく建てられるタワーマンションに転居するケースもあるため、再開発が行われた後にどのくらい人口が増えるのかを予想するのは容易ではありませんが、再開発に伴って、八幡2丁目から転出する世帯が100、残ってタワマンに住む世帯が100(他に、残ってタワマンではない家に住む世帯が20だとした場合、その時に転出する世帯も20あるので、ここはプラスマイナス・ゼロ)と仮定し、1世帯平均の人員を2.5とするならば、八幡2丁目の人口が250人減少して、タワマンへの転居が250人(100戸)となります。タワマンの残り戸数は770戸で、そのすべてに入居者がいて、1世帯平均の人員を2.2とすれば、1,694人増加します。先の250人の転出と合わせると、1,444人増加する、ということになります。
非常に大雑把な予想で、当たるわけがないと思いますが、1,200~1,500人ほどの人口増が見込めそうですね。八幡2丁目という決して広くないこの地区において。
この地区の人口が大幅に増加することにより、周辺の飲食店や小売店にとっては、需要獲得機会が生まれます。タワマンに住む人は周辺の店ばかりを使うわけではなく、コルトンプラザなどを利用することも多そうですから、本八幡駅から数km圏内の店舗が、再開発による人口増の恩恵を受ける可能性があるでしょう。
市にとっては、住民税収が増え、予算規模が大きくなるという影響があります。もちろん、それにともなって行政サービスの質の向上も求められますが。
人口が急激に増加することにより懸念されることもあります。保育園、幼稚園、小学校などの数が不足するのではないか、飲食店や小売店の数も不足するかもしれない、病院(小児科など)の数、勤務する医療従事者の数が不足するかもしれず、すぐに診療、治療を受けたい人が待たされるケース・件数が増えるかもしれない…
また、タワマン居住者の多くがJR本八幡駅や都営新宿線本八幡駅、京成八幡駅を利用して都内に勤めに出るのだとすると、朝の通勤時間帯に駅のプラットフォーム(プラットホームとも表記)上がごった返し、危険な状態が生まれたり、電車内が満員になる確率が上がったりするかもしれないですね。
2023年7月に行われた、本八幡駅北口再開発事業の説明会では、タワーマンション建設計画に対する懸念が何人もの参加者から市の職員の皆さんに対して提示されました。それについて、この記事で少し触れています。
過日、市川市中央図書館で借りた書籍に、こんなことが書かれていました。
人口減少や高齢化で悩む郊外ニュータウンの今後の再生方法は、単に吉祥寺風にするとか自由が丘風にするとか、まして駅前にタワーマンションを建てるということではない。
出所:三浦展『娯楽する郊外』(柏書房、2019年5月10日発行)、太字は筆者
そうではない独自の個性を持った街をつくっていくためには、地域の歴史を知ることが大事だ。都心(urban)の付属物(sub)としての郊外(suburban)ではなく、固有の歴史と価値を持つ自立した地域として見直し、魅力をアップしていけば、それぞれの郊外が”住みたい街”になれるのではないかと思った。
再開発事業の計画段階で、なるべく多くの市民が、ビル(タワーマンション)が建設されることで、街並みがどのように変わるのか、新たに創出される空間は、どのようなイメージなのかを知っておくことが必要だと思います。
市川駅南口の再開発のケースでは、計画段階の資料に掲載されていた「ペデストリアンデッキ(イメージ)」と、そこに添えられた文によれば、市川駅南口の空間は「緑豊か」で「自然との出会い」がある、というものにする計画だったようです。
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000013926.pdf
豊富な緑によって、市川市のグリーンネットワークの拠点になっているでしょうか。
このイラストはあくまでもイメージで、予算もあるし、やりたいこと(やりたかったこと)と、実際にできること(できたこと)に、乖離が生じるのはやむをえないよ、という見方もあるでしょう。たとえそのような立場をとるにせよ、計画段階で、どのような空間をつくろうとしているかを、知っておくことが重要だと思うのです。
ちなみに、
本八幡駅北口再開発基本構想~歴史と未来をつなぐ行政・文化中心地の創造~(2018年度、市川市)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000315113.pdf
を見ると、下図のイメージに目が留まります。
八幡一番街に、歌舞伎の舞台小屋のような建物があります。良く見ると、「中村勘三郎」という文字が見えるような気もします。このような一番街を形成しようとしているのでしょうか。
確かに「歴史」を感じはしますが、八幡の地にこのような歴史(人々が歌舞伎を楽しんできた歴史)があったのでしょうか。そうではないのだとすると、なぜ、歌舞伎なのでしょうか。
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…すみません、少々ヒートアップしてしまいました。正直な話をすれば、今しがた、歌舞伎について書きながら、私の頭の中には、歌舞伎役者ではなく、カブキロックスの氏神一番さんの姿が浮かんでいました。
私が、キジが棲む緑地に隣接した市川市内の中学校の生徒だったころ、尾崎豊とBUCK-TICKを愛聴していたクラスメイトの男子が所持していたカブキロックスのデビューアルバムを借りたことを、いきなりリメンバー。
力みまくって筆を振るったため、少し疲れました。今日はこの辺で、筆を、想像上の筆を、想像上の硯に、そっと置きます。また、お目にかかりましょう。一番街で、愛魔性。
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執筆日 2023年11月28日
公開日 2023年12月1日