【コラム】市川市のマスコットキャラクター「マナーマン」&「マナりん」に会いました

コラム

最近、目にする機会が多い市川市関連のキャラクターといえば、梨に宿ったカワウソの卵から生まれた妖精で、体はカワウソ、顔は梨の形をしていて、肩から梨のポシェットを提げている・・・何でしたっけ、「梨カワウソさん」?「からだカワウソかおナシ」?あ、思い出しました。市川商工会議所青年部が放つ――加藤のりこ氏によるデザインの―― 「いちかわうそ君」!この方か、それとも、市川市動植物園で誕生した後、大好物だという市川産の梨を過剰摂取したせいか、胸に、”梨のマークは突然に”出現したという、「市川梨丸」でしょうか。

この2名の登場頻度が高いのに対し、最近めっきり会うことが少なくなってしまった2名に、さきほど八幡で会いました(実物にではありませんが)!うれしくて思わず激写してしまいましたよ。

南八幡5丁目あたりにあるJR総武線高架下駐輪場の金網に掲出されていた「路上禁煙・美化推進地区」の案内。
マナーマン&マナりんのイラストが施されています。撮影:2024年3月16日、16時57分。
左:マナーマン(二頭身)
右:マナりん(二頭身)

この2名こそ――「市川市市民等の健康と安全で清潔な生活環境の保持に関する条例(通称:市民マナー条例)」のマスコットキャラクターとして知られる――「マナーマン&マナりん」です!

ご存知ですか?かつては市内で行われるイヴェントにも登場していましたが、今は契約の関係か何かでしょうか、あまりお目にかかりません。

マナーマンとマナりんのプロフィールを調べようと試みたものの、現在は、市川市公式ウェブサイトで探しづらい、見つけずらいので、「イメキャラブック」というウェブサイトに掲載されている情報を引用することにします。

まずは、マナーマンのプロフィールです。

市川市の健康と安全で清潔な生活環境を守るため、日夜マナー違反と戦う正義の戦士。
もともとはマナー星でマナーパトロールをしていたが、相棒兼ペットの「マナりん」が市川市に住みついてしまったため、連れ帰るべく市川市に舞い降りた。
しかし、彼もまた市川市の生活環境や居心地のよさに心奪われ、心機一転市川市を守ることを決意。
市民からのマナー違反通報があると現れる市川で活躍するローカルヒーローである。

出所:イメキャラブック「イメージキャラクター詳細情報・マナーマン」https://chara.yapy.jp/chara/manaman/、2024年3月16日閲覧

なお、この解説文を引用した「イメキャラブック」のウェブページには、二頭身ではない、下のようなイラストが掲載されていました。

出所:イメキャラブック「イメージキャラクター詳細情報・マナーマン」
https://chara.yapy.jp/chara/manaman/、2024年3月16日閲覧

続いて、マナーマンの愛犬「マナりん」を紹介します。

マナーマンのペット兼相棒のいわゆるマナー犬。
マナーパトロール中迷子となり、たまたま立ち寄った市川市の住みやすさ、居心地の良さが気に入り住みついてしまった。
そのするどい嗅覚で悪質なマナー違反者を見つけると、鈴を「りん」と鳴らしてマナーマンを呼び、注意してもらう。
名前が、地球の言葉では発音できなかったため、地球での名前を募集した結果、市川市がマナー違反のないクリーンな街になるようにとの想いから「マナりん」と命名された。
また、その可愛らしく呼びやすい愛称で、誰からも愛される市川市を代表するキャラクターになってほしいとの想いも込められている。
子どもが大好きで、ジャンケンが得意な市川市を代表するゆるいキャラである。

出所:イメキャラブック「イメージキャラクター詳細情報・マナりん」https://chara.yapy.jp/chara/manaman/、2024年3月16日閲覧

鈴を「りん」と鳴らすから、マナりん。

「ゆるいキャラ」というのは「ゆるキャラ」のことでしょうね。

「ジャンケンが得意」と書かれていますが、上で紹介したマナりんのイラストをよく見ると、「グー・チョキ・パー」の絵があしらわれた何か(服に縫い付けられたワッペンでしょうか)があるのがわかります。

マナりんのイラストの胴体部分を拡大したもの。
左から、グー、チョキ、パー。
実物は、マナーマンより愛犬マナりんの方が長身なのですね。

マナりんの体に描かれた3つの白い円の中に、赤い手があるのがわかりますか?これらは、下の図が示す、(左から右に)グー・チョキ・パー、すなわちジャンケンの3つの決まり手です。おそらく、「ジャンケンが得意」というのは、「犬のフンを持ち帰る、路上喫煙はしない、ポイ捨てはしない」ということなのだと思います。

出所:市川市資料

「グー・チョキ・パー」で始めようとは言いますが、グーは犬のフンを入れた(透明の?)袋を握りしめる拳(こぶし)を表している、つまり、フンを放置「しない」ので良いとして、チョキとパーは、路上喫煙を「する」、持っていたタバコやカン、チラシを手放してポイ捨てを「する」ことを表すイラストなので、腑に落ちる人は少ないと思います。

この、「グー・チョキ・パー」をあしらったイラストは、2010年4月1日にスタートした「改正市民マナー条例」にあわせて、市内で大々的に展開されました。私はさきほど矛盾らしきものを指摘しましたが、2010年5月にはあからさまに不満を表していたのです。まるで不機嫌な果実ですね。

2010年5月3日、私は、

市川市のマナー条例とやら。歩道に何ヵ所も何ヵ所もベタベタとマナーを守りましょうというメッセージをイラストで表示。そもそもマナーが悪いとは思えないし路面にセンスのよくないイラストをでかでかと示す効果に大きな疑問を有しますよ私ゃ。

と、そして、同年同月16日に、私は、

市川市「改正市民マナー条例」が2010年4月1日にスタートし、市内の路面に「未来の楽しい市民生活『グー・チョキ・パー』で始めよう」=「犬のフンは持ち帰ろう、やめよう路上喫煙、ポイ捨て禁止」のメッセージが貼り付けられています。私はこの条例のメッセージを路面に貼り付けてほしくない!

と、SNSに投稿しました。

この思いは消えることなく数年間はくすぶり続け、2012年2月に、思わず市川市に対して意見を申し伝えたほどです。

参考までに、2012年2月に私が市川市に対して質問した内容(文意が変わらない範囲で文言を修正したものを赤色太字で)、および、市川市からの回答を(メールを通じて文章でいただいた回答を箇条書きにして、青色太字で)掲載します。

私から市川市への質問(2012年2月)

市川市では環境マナー条例がスタートして数年になります。
駅周辺など人通りの多い箇所を指定した上で、グーチョキパーでマナーを守ろう(正確ではありません)といったイラスト入りの標語を、車道や歩道の舗装面上などに特殊インキか何かの塗料で描いております。
私の住んでいる妙典地区に限っても、極めて近い位置に複数存在しており、このサインがむしろ景観を悪化させているのではないか、と決して優れているとは言いがたい美的感覚で、ではありますが、そう感じている次第です。
車道の幅員が数メートルの生活道路でさえ、いたるところで見受けます。
人目につく場所に、伝えたいメッセージを掲出することで訴求力を高めたいという目論みは、必ずしも数打ちゃあたるわけではありません。
塗料による舗装面上のサインは、どこに幾つ存在しており、いつ保守をしたのか、といった記録は取得されていますでしょうか。
最近では風雨に曝されて色が剥げ落ちるなど見栄えが悪くなっているのが気になっています。

市川市市民部 地域振興課 市民マナー条例担当室からの回答(2012年2月)

  • 路面上の市民マナー向上に関する文言・イラスト等は、特殊インキや塗料で描いたものではなく、それらが描かれているシートを路面に貼ったもの(以下、路面シート)
  • 路面シートは、市内全域で約6,000か所に設置している
    •  行政の判断により設置したものが約4,300か所
    •  市民からの要望で市民立会いの下で設置したものが約1,700か所
  • 路面シートは随時、点検・貼り替えをしているが、市民からの設置要望が増加しており、十分とは言えない
  • 今後、新規に路面シートを設置する場合は間隔・枚数等、景観にも配慮していきたい

私は路上シートが多すぎると訴えたのですが、市は「設置要望が増加しており、十分とは言えない」と答えています。総量が不足しているという意味なのか、貼り替えニーズに対する対応が不足しているということか、わかりかねますが、しかし、「設置要望」への対応のことを説明しているので、数が足りていないという市の認識なのですね。

数多けりゃ良いってもんじゃないと私は伝えたのですがねぇ。

美化推進のための施策が、街の景観を害しているという皮肉。矛盾。

今はもう「グー・チョキ・パー」の展開は――街中で看板などを見かけることはあるものの――していないのかもしれません。となると、ジャンケンを得意とするマナりんの出番がないのも仕方がないですね。

ところで、市川市には「スズムシくん」というキャラクターもいることをご存知ですか?

1976年(昭和51年)の10月に、公募によって、市民の鳥に「ウグイス」、市民の虫に「スズムシ」が決まったことを覚えている人は、あまりいないかもしれませんね。ちなみに、1976年10月は、中島みゆきさんのセカンド・アルバム『みんな去ってしまった』が発売された月として知られています。

話が逸れましたが、市川市には、新旧様々なキャラクターがいるという事実を思い出していただければ幸いです。そして、最近あのキャラクターを見かけないけれど、元気だろうか?と思いを馳せてもらえたなら、なおうれしいです。

最後に、2021年9月8日の市川市議会定例会、緑風会第1の代表質問において、マナーマンへの言及があったので、それを紹介して本稿を締めくくりたいと思います。

 次に、多種多様なカラーマンホールの設置なんですが、(2)の質問で初回のほうにも言いましたが、版権物のマンホールを置いてほしいんですよ。やっぱり市川市にもマナーマンがいたりいろんなキャラクターがいたりするんですが、そういった市川市のオリジナルキャラクターばっかりだと、ちょっと市民の方になじみがないんじゃないのかなって。版権物だったら、例えば「北斗の拳」であったりとか、先ほど申し上げた「サラリーマン金太郎」であったり様々なものが使えると思うんですが、いかがでしょうか。

出所:市川市公式Webサイト、市川市議会の会議録、2021年9月8日の緑風会第1の代表質問、https://www.city.ichikawa.lg.jp/cou01/kaigiroku0000382630.html、2024年3月16日閲覧

なぜ、「北斗の拳」?なぜ、「サラリーマン金太郎」?

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執筆日 2024年3月16日
公開日 2024年3月16日