【フードバンクにゅ~す】2023年1月6日

フードバンク

公開日 2023年1月6日

10日ぶりの、2023年初の、そして、通算21回目の「フードバンクにゅ~す」(フードバンクニュース)です。

目次
  1. 「『もったいない』を『ありがとう』に変える『フードボックス』 静岡県内各地に設置」(2023年1月4日)
  2. 新潟市と新潟国際情報大学「フレッシュフードシェアリング」を実施(開催日:2022年12月7日、8日)
  3. 「大みそかの食料配布に644人 支援団体『物価高騰で拍車』」(2023年1月1日)
  4. 「生活困窮者に年越し支援 フードバンクとくしま」(2022年12月31日)
  5. 東京外語大学「東京外語会からの支援によるTUFSフードパントリーを開催」(2022年12月26日)
  6. 「大学生の生活保護『慎重な検討を』 認めない方針継続 厚労省審議会」(2022年12月20日)
  7. 「生活困窮世帯の支援に フードパントリーで八街少年院が野菜配布」(2022年12月11日)
  8. 「2023年初頭に7000品目以上の食品が再び値上げ 缶詰、飲料、スナック菓子など価格の上昇続く」(2022年12月26日)
  9. 渡辺努東大教授「価格を抑えるのではなく、賃金を上げるという方向に持っていくべき」(2022年12月10日)
  10. 「『裕福な家庭でないと難しい』現実。留学先でフードバンク利用も…円安アメリカ留学の今」(2022年12月16日)
  11. 「イギリス全土に広がる『ウォームバンク』 厳しい冬を支え合って乗り切る取り組みとは」(2022年12月19日)
  12. 日本でもライフラインが停止してしまった人が目立っています(2022年12月26日)
  13. フードバンク仙台「年末にライフラインの停止/滞納という問題を抱えた方に緊急支援を行います!」(2022年12月26日)

「『もったいない』を『ありがとう』に変える『フードボックス』 静岡県内各地に設置」(2023年1月4日)

「もったいない」を「ありがとう」に変える。家庭で余っている食品などを回収する「フードボックス」が4日から静岡県内各地に設置された。

この活動は「認定NPO法人フードバンクふじのくに」が行っているもので、市場で流通できなくなった食品や家庭で余っている食品を「フードボックス」で受け付け、食べ物の支援が必要な人やこども食堂などに配布するもの。4日から31日まで県内約320か所に「フードボックス」が設置され、このうち浜松市役所では早速、お菓子などが届けられた。

(浜松市職員)
「レトルト食品など温めれば食べられるものが喜ばれる。回収に来るといっぱいになっていることもある。消費できないものとか余ったものがあればぜひご協力いただきたい」

出所:静岡第一テレビ公式Webサイト、「『もったいない』を『ありがとう』に変える『フードボックス』 静岡県内各地に設置 浜松市役所には菓子類が届く…」(2023年1月4日)、https://www.tv-sdt.co.jp/news/news112esev5dodyocmuu3i、2023年1月5日閲覧
画像出所:静岡第一テレビ公式Webサイト、「『もったいない』を『ありがとう』に変える『フードボックス』 静岡県内各地に設置 浜松市役所には菓子類が届く…」(2023年1月4日)、https://www.tv-sdt.co.jp/news/news112esev5dodyocmuu3i
画像出所:静岡第一テレビ公式Webサイト、「『もったいない』を『ありがとう』に変える『フードボックス』 静岡県内各地に設置 浜松市役所には菓子類が届く…」(2023年1月4日)、https://www.tv-sdt.co.jp/news/news112esev5dodyocmuu3i

市川市で活動するフードバンク、「いちかわフードバンクbyフリスタ」(私たち、NPO法人フリースタイル市川が手掛けているフードバンク事業)でも、「フードバンクふじのくに」さんが言うところの「フードボックス」を市川市内の2箇所(①鬼高のSHOPSにある「コープ市川店」様の売場、②南八幡の京葉ガス様の施設「KeiyoGAS Community Terrace “てらす”)に設定しています(2023年1月6日現在)

いちかわフードバンクbyフリスタの「フードドライブ」について
https://fs-ichikawa.org/about_drive/

新潟市と新潟国際情報大学「フレッシュフードシェアリング」を実施(開催日:2022年12月7日、8日)

この度、本学と新潟市は、実証事業として「フレッシュフードシェアリング」を以下の期間にて実施することとなりました。これは、小売店や農家さん、家庭菜園で余っている野菜などの寄付を本学で以下の期間に受け付け、これを新潟市内のこども食堂へ提供するという取り組みになります。

(中略)

・規格外野菜持込 受付日時 令和4年12月7日(水)・8日(木)
・こども食堂への配布日時 令和4年12月9日(金) 

(中略)

フレッシュフードシェアリングの活動の一つに、これまで活用されていなかった規格外野菜や余っている野菜等を廃棄してしまうのではなく、それをこども食堂で活用してもらう、というのがあります。この循環を生み出すための活動、それはまさに、SDGsの活動です。

本学のキャッチコピーは、「つなぐ つなげる つながる」です。フレッシュフードシェアリングの取り組みは、まさにこれと合致するものです。今回の実証事業を通して、農家さん等とこども食堂への橋渡し役として、”人と人とのつながり”が生まれることを期待しています。

出所:新潟国際情報大学公式Webサイト、「食品ロス削減に向けて、本学と新潟市は実証事業を共同で実施します。」(2022年12月ごろ?)、https://www.nuis.ac.jp/25362-2/、2023年1月5日

新潟市のWebサイトでは、〈7日、8日の2日間で、JA・地域農家・家庭菜園の皆様から、総重量約800キロの食品が寄付されました〉と報告されていました(出所:https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/gomi/recycle/shokuhinrosu/freshfoodshare.html)。「フレッシュフードシェアリング」がなかったら、大半は廃棄されていたであろう野菜などが、今回の実証事業を通じて集められ、必要としているところに届けられることは、社会のひずみを小さくする効果があります。効果を検証した上で、この事業が新潟市に定着することを願っています。

「大みそかの食料配布に644人 支援団体『物価高騰で拍車』」(2023年1月1日)

コロナ禍と物価高が続く中、認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都)が31日、新宿区の都庁前で、仕事や住まいを失うなどして生活に困る人たちに食料品を無料配布した。大みそかのこの日は、もやいの配布としては前月下旬と同じく過去最多の644人が並んだ。

もやいは新型コロナの感染が拡大し始めた2020年4月から、毎週土曜に都庁前で食料品を配布。31日はスタッフたちが果物や米、ビスケットなどが入った袋を手渡していった。理事長の大西連さん(35)は「コロナ禍で支援を必要とする人は増えていたが、10月以降は物価高騰で拍車がかかっている」と語る。

出所:朝日新聞デジタル、「大みそかの食料配布に644人 支援団体『物価高騰で拍車』」(2023年1月1日)、https://www.asahi.com/articles/ASQD06JTRQD0OXIE002.html、2023年1月5日閲覧

「生活困窮者に年越し支援 フードバンクとくしま」(2022年12月31日)

NPO法人「フードバンクとくしま」は29日、「生活困窮者越年支援」と題した催しを徳島市昭和町3丁目の県労働福祉会館別館で開き、食べ物や日用品を手に入れることが難しい人たちに支援物資を配った。

今回で10回目となる年の瀬の恒例行事。会場には予約をしていた約400人が集まり、レトルト食品や缶詰、マスクなどの衛生用品、農業大学校や農家から提供された野菜などを受け取った。80代の女性は「日持ちするレンジ食品があれば安心して年末年始を過ごせる」と話した。働く母親に代わって来場したという男子高校生は「物価高で家計が厳しいので、特にお米をもらえたのがありがたい」と喜んでいた。

NPOの清田麻利子理事長(69)は「コロナ禍や物価高で物資を提供してくれる人や団体は減り、ほしい人は増えていて、例年になく在庫が厳しかった」と話していた。会場での配布とは別に、福祉団体などを通じて約400人に物資を届けたという。

出所:朝日新聞デジタル、「生活困窮者に年越し支援 フードバンクとくしま」(2022年12月31日)、https://www.as
ahi.com/articles/ASQDZ7TZHQDYPTLC002.html、2023年1月5日閲覧

年末年始を無事に乗り越え、年越しを迎えることの「重み」は、屋根のある家に住み、温かくて清潔な布団に包まれて眠ることができる者には、わかりづらいことかもしれません。

「自立生活サポートセンター・もやい」による大晦日の食料品無料配布には、過去最多の利用者が集まったということです。生活が苦しくなっている人が増えている可能性が高いですね。

もし、市川市内で、この人は路上生活者かもしれないな、行政や然るべき組織からの支援を受けていないかもしれない、と思えるような人を見かけた場合、下記の団体(①ガンバの会、②そら)に連絡をしてみてください。

①ホームレス自立支援「ガンバの会」
https://npogamba.wixsite.com/ichikawa2

ガンバの会は、路上生活をせざるを得ない「ホームレス」の方々の命と尊厳を守り、自立支援を行うために活動を開始しました。

ガンバの会では、ホームレスの人たちが抱えている問題は、
〈家、食料、衣類という物質的(ハウス:House)な貧困をよりも、自分が所属する社会や共同体が貧弱であること、すなわち社会性(ホーム:Home)の貧困が本質であると考えています。〉
とのことです。

また、
〈私たちは物質的・精神的支援に限らず「社会性の回復」を重要視し、路上生活者がアパートへ入居した後も、就労の機会の提供、趣味などの生きがいを見つけるための定期訪問や交流会・サロンなど〉
も行っているそうです。

※〈~~〉は、ガンバの会Webサイト(https://npogamba.wixsite.com/ichikawa2/about)より引用

②自立相談支援機関窓口「市川市生活サポートセンターそら」
詳しくはパンフレット(下記pdfファイル、または2枚の画像)をご覧ください。

電話 047-704-0010
メール so-ra2015soudan●mist.dti.ne.jp (●は@)

市川市のWebサイトでの説明
https://www.city.ichikawa.lg.jp/wel07/1111000045.html

そらパンフレット(Pdf)
https://city.ichikawa.lg.jp/common/wel07/file/0000404759.pdf

特定非営利活動法人フリースタイル市川公式Webサイト、「【連絡先】路上生活をしているかも?と思ったら」(2022年12月23日公開、2022年12月30日更新)、https://fs-ichikawa.org/gamba_sora_ichikawa/、2023年1月5日閲覧

東京外語大学「東京外語会からの支援によるTUFSフードパントリーを開催」(2022年12月26日)

2022年12月23日(金)、本学の学生を対象に、TUFSフードパントリーを開催しました。

今回のフードパントリーは、同窓会組織である東京外語会から食料支援のための寄附をいただき、コロナ禍の影響により依然として先行きが不透明な状況において困っている学生を少しでも支えたいというご厚意により開催することができました。

当日は、200名の学生にお餅やインスタント麺、缶詰等の食料品を手渡ししました。留学生には、留学生支援の会からも食料支援をいただきました。

出所:東京外語大学公式Webサイト、「東京外語会からの支援によるTUFSフードパントリーを開催」(2022年12月26日)、http://www.tufs.ac.jp/NEWS/trend/221226_3.html、2023年1月5日閲覧 ※TUFSは東京外国語大学の略称。

困窮する大学生は少なくないと思いますが、同窓会組織(卒業生、つまり大学の先輩たちから成る組織)からの支援があるというのは、現役学生にとって、心強いことでしょう。

大学生の支援について、少し前にこんなニュースがありました。

「大学生の生活保護『慎重な検討を』 認めない方針継続 厚労省審議会」(2022年12月20日)

生活保護の見直しを検討してきた厚生労働省の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会は20日、「中間まとめ」を公表した。約60年前から続く、生活保護を受けながら大学に進学することを認めないルールの変更は「慎重に検討する必要がある」として、見送られることになった。

現在の国のルールでは、生活保護を利用しながら大学や短大などに通うことを原則認めていない。旧厚生省が1963年に出した通知が根拠になっている。

出所:朝日新聞デジタル、「大学生の生活保護『慎重な検討を』 認めない方針継続 厚労省審議会」(2022年12月20日)、https://www.asahi.com/articles/ASQDN5HWKQDNUTFL00V.html、2023年1月5日閲覧

「生活困窮世帯の支援に フードパントリーで八街少年院が野菜配布」(2022年12月11日)

千葉県八街市で10日、生活に困窮する子育て世帯に食料を無料で配布する「フードパントリー」があった。市社会福祉協議会が開催し、八街少年院で作った野菜も初めて配られた。

コロナ禍での生活支援として始まり、8回目の今回は9団体が参加した。クリスマスシーズンに合わせ、サンタクロースやトナカイの衣装を着た団体関係者が、野菜やクリスマスケーキ、生理用品などを配った。

初参加の八街少年院は、少年たちが作ったニンジンと、サツマイモ「シルクスイート」を用意した。院には職業指導の一環で農園芸をするコースがあり、約3ヘクタールの畑で季節ごとに無農薬野菜を育てている。

山内啓路・首席専門官によると、参加の背景には、昨今の制度改正があるという。選挙権年齢や民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18、19歳は「責任ある主体として社会に参加することが期待される立場」(法務省)となった。山内さんは「野菜を寄付することで地域社会の役に立てれば」と語る。

出所:朝日新聞デジタル、「生活困窮世帯の支援に フードパントリーで八街少年院が野菜配布」(2022年12月11日)、https://www.asahi.com/articles/ASQDB7QKJQDBUDCB005.html、2023年1月5日閲覧

「2023年初頭に7000品目以上の食品が再び値上げ 缶詰、飲料、スナック菓子など価格の上昇続く」(2022年12月26日)

日本のインフレは一向に収まらない。ユニクロやファミリーマートのフライドチキン、そして電車の運賃までが値上がりするというニュースがあったが、次の値上げは2023年初頭に7000以上の食品を襲う。

帝国データバンクの調査によると、2023年1月から4月の間に7152品目の食品が値上げされる予定だ。中には50%もの値上げになるものもあるが、平均値上げ幅は18%である。

ほとんどは、冷凍品や缶詰などの加工食品を直撃する。ソフトドリンクとアルコールも2023年の最初の数カ月間、値上げの対象だ。

中には、製品のサイズを小さくして同じ価格で売るという形もある。時事通信によると、山崎製パンはミニパンシリーズのパンの数を5個から4個に減らし、キットカットミニのパックは13個から12個になるようだ。

出所:TimeOut、「2023年初頭に7000品目以上の食品が再び値上げ 缶詰、飲料、スナック菓子など価格の上昇続く」(2022年12月26日)、https://www.timeout.jp/tokyo/ja/news/tokyo-to-see-another-food-price-hike-in-early-2023-122622、2023年1月5日閲覧

日本よりもはるかに物価の上昇率が高いイギリスのような国もありますが、日本では賃金が上がらず物価が上がっているため、生活が苦しいと感じている人は多いでしょう。第65回(2022年度) 日経・経済図書文化賞を受賞した東京大学の渡辺努教授が、先月出演したテレビ番組で、経済対策について以下のように考えを述べていました。

渡辺努東大教授「価格を抑えるのではなく、賃金を上げるという方向に持っていくべき」(2022年12月10日)

――もうすでに電気、ガスも入れると約12兆円の補助金を出している。総合経済対策で「賃上げを促す生産向上など支援」は7800億円しかない。

東京大学 渡辺努教授:
価格を抑えるのではなく、賃金を上げるという方向に持っていくべきだと思います。今でもやっていますが、賃上げをする企業に税制面で優遇するというのは非常にいいと思いますが、中小企業に対してもう少し上手な優遇をやる必要があるでしょう。

――物価高の影響を受ける世帯には所得税減税をやった方がいいし、政府と日銀の共同声明にも物価の目標だけではなく賃金の目標を入れるということも考えた方がいいということか。

東京大学 渡辺努教授:
はい。2013年に共同声明が出ていますが、その中では物価2%だけがうたわれていて、現状はそこはクリアしつつあります。賃金が最後のハードルになっているので、そこを政府と日銀がもう1回共同声明を出し直せば、社会に大きなインパクトを持ちますので、当たり前が崩れていくと思います。

――10年に及ぶ異次元緩和、アベノミクスという歴史に残る異例の政策をとっても物価が上がらなかった。それが今、目の前で3%も上がっている。このチャンスを 生かした方がいいのか。

東京大学 渡辺努教授:
今の物価上昇は海外から来ているわけですが、ウイルスがもたらしてくれたラッキーな部分が日本に来ていると思った方がいいと思います。この機会を利用して今まで人間の力、政府の力ではできなかった物価と賃金の好循環を作るということを戦略的に考えた方がいいのではないかと思います。
10年実現できなかった普通の経済に戻れるかどうか、今まさに瀬戸際に立っている。その意味では、今回の春闘は非常に大事だ。

出所:BS-TBS『Bizスクエア』12月10日放送。テキスト出所:TBS NEWS DIG、「日本経済『失われた30年』を解き明かす~物価と賃金の第一人者、渡辺努東大教授~【Bizスクエア】」(2022年12月17日)、https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/231304?page=4、2023年1月5日閲覧

先ほど、〈日本よりもはるかに物価の上昇率が高いイギリスのような国もあります〉と書きました。これに関連して、海外の状況を確認してみます。まずはアメリカ、次いでイギリスです。

「『裕福な家庭でないと難しい』現実。留学先でフードバンク利用も…円安アメリカ留学の今」(2022年12月16日)

長期留学となると、円安によって受ける影響はさらに大きい。

ワシントン州にあるシアトルセントラルカレッジで寮生活をしているかおりさん(大学2年生・仮名)は、9月から1年間の長期留学をスタートさせた。

円安の影響について聞くと、
「渡米前に支払う授業料や1年分の寮費などのまとまったお金が想定より100万以上は増えてしまったと思います。家族は『円安はもう仕方ない』と応援してくれました」
と、当初想定していたよりもかなり金銭的負担が大きくなったと語る。

現地での生活費の一部は日本にいる家族から毎月振り込んでもらっているというが、振り込みは「円ベース」。そのため、月々によって仕送りの「価値」が変わる。

「円高になったときには、『ドルに替えておいたほうがいいかな?』などと、いつも考えてしまいます」(かおりさん)

寮生活では食事を自分で用意する必要があるが、前述した通り一般的な食材でもそれなりに値が張る状況だ。

そこでかおりさんが頼ったのが「フードバンク」だった。フードバンクとは、スーパーなどで売れ残った食品を誰でも(住所を証明すれば)無料で手に入れることができる施設。

かおりさんは、留学生活を開始した直後こそスーパーなどで食品を購入していたというが、同じように円安に悩んでいる留学生同士のネットワークで、地域にあるフードバンクの存在を知ったという。いまではそのおかげでほとんど食費がかからない状況だという。

「調味料のようなものはフードバンクには置いていませんし、フードバンクでもらえるものは限られます。それでも、そこまで食費にお金をかけられないので、かなり助かっています」(かおりさん)

編集部注:フードバンクは食品ロス削減が源流にあることもあり、利用者はさまざま。アメリカでは、生活困窮者の利用割合が多いものの、スポット的に幅広い世帯で利用されている。学生向けに大学にもフードバンクが開設されている場合もある。

出所:BUSINESS INSIDER、「『裕福な家庭でないと難しい』現実。留学先でフードバンク利用も…円安アメリカ留学の今」(2022年12月16日)、https://www.businessinsider.jp/post-263234、2023年1月5日閲覧

「イギリス全土に広がる『ウォームバンク』 厳しい冬を支え合って乗り切る取り組みとは」(2022年12月19日)

本格的な冬を迎え、英国では今、自治体や民間団体が暖かい場所を提供する「ウォームバンク」の取り組みが広がっている。ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けたエネルギー価格の高騰で、暖房代の支払いに苦しむ国民が急増。加えて記録的なインフレが生活を圧迫する中、人々は支え合いで厳しい冬を乗り切ろうとしている。

「ウォームバンク」は今年、英国の著名節約アドバイザーのマーチン・ルイス氏が用いて広がった言葉。食品を無償提供する「フードバンク」のように、暖かい場所を無償で提供するサービスを指す。地域の図書館やコミュニティーセンター、教会などで実施され、現在は全英3000カ所以上に拡大。英語辞書の出版社が毎年選ぶ「今年の言葉」の最終候補にも選ばれた。

 名探偵シャーロック・ホームズゆかりのロンドン・ベイカー街に近い一角にある聖ポール教会。毎週水曜夜には、40〜50人の行列ができる。以前から週1回、無料の食事を提供してきたが、この冬はウォームバンクとしても地域に開放を始めた。人々は暖を取りながら温かい食事を食べ、携帯電話を充電し、節約の情報交換をするなど、貴重な交流の場となっている。

毎週、バスで訪れるという70代男性のアダムさんは年金生活で一人暮らし。「アパートは地下の部屋で非常に寒いが、光熱費が2倍の130ポンド(約2万2000円)に上がったので、暖房は極力つけないようにしている」と説明。「果物もチーズも値上がりし、食費もままならない。政治家はウクライナ戦争のせいにするが、僕は政治の失策だと思う。ここは暖かく、情報交換もできるので助かる。毎日、同様の場所を探して移動している」という。

(中略)

ウォームバンクの運営で考慮するのは、「貧しい人が行く場所」というレッテルを貼られないようにすることだという。全ての住民に開放していることを強調し、名称も「ウォームスペース」「ウォームウエルカム」などの表現を使って明るい印象を心掛けている。

記者も実際、同区の図書館のウォームバンクを訪れたが、複数の利用者から回答を断られた。来ていることを知られたくないという思いを感じた。デリク区議は「利用するのが恥や不名誉だと思ってほしくない。ここは暖かく、Wi-Fiもあり、充電もできる。気軽に来て時間を過ごしてほしい」と力を込めた。

出所:東京新聞公式Webサイト、「イギリス全土に広がる『ウォームバンク』 厳しい冬を支え合って乗り切る取り組みとは」(2022年12月19日)、https://www.tokyo-np.co.jp/article/220544、2023年1月5日閲覧

※なお、冒頭の画像は東京新聞公式Webサイト、「イギリス全土に広がる『ウォームバンク』 厳しい冬を支え合って乗り切る取り組みとは」(2022年12月19日)からの引用です。左:ロンドン市内の教会のウォームバンクで11月末、利用者に持ち帰りの食料を渡すボランティアの女性、右上:リンゴやパンなども無償提供されているロンドン市内のウォームバンク、右下:ロンドンで11月末、教会が実施するウォームバンクで夜を過ごす人たち

先日公開した「【コラム】できることは私の足元にある」(公開日:2023年1月4日)で、イギリスにおいて生活苦を表す言葉として『ヒート・オア・イート』(暖房か食事か)が流行った、ということに触れました。

イギリスでは、歴史的な物価上昇、特に光熱費が高くなっていることで、食費と光熱費を天秤にかけざるえないなど、温かな(暖かな)場所を確保するのも容易ではない人が増えているのですね。

これはイギリスの出来事ではありますが、日本も似た状況になりつつあるのかもしれません。

日本でもライフラインが停止してしまった人が目立っています(2022年12月26日)

フードバンク仙台には、光熱費や食料品価格の高騰により以前にも増して生活が圧迫され、「ライフラインか食料か」という苦渋の選択を迫られた人々からの相談が多く寄せられています。電気・ガス・水道・携帯電話といったライフラインの代金を滞納している人の割合は相談者の2〜3割にものぼります。ライフラインが実際に停止してしまった相談者も少なくない状況です。

出所:フードバンク仙台公式Webサイト、「ライフラインについての仙台市の回答(12/23)を受けて、再度申し入れを行いました!」(2022年12月26日)、https://foodbanksendai.com/news/2022-12-26-lifeline/、2023年1月5日閲覧(太字は筆者)

フードバンク仙台さんへの相談者のうち、ライフライン費用を払えない人がかなりの割合にのぼるということです。これを読み、「いちかわフードバンクbyフリスタ」でも、フードパントリー利用者さんがライフライン費用を滞納していないかを、ヒアリングやアンケートを通じて把握しておきたいと思いました。

ライフライン費用を払えない人が多いという状況を受け、フードバンク仙台さんでは昨年末にライフラインの停止などで困っている人の支援を行いました。

フードバンク仙台「年末にライフラインの停止/滞納という問題を抱えた方に緊急支援を行います!」(2022年12月26日)

私たちフードバンク仙台には、多くの方からライフラインの停止/滞納に関する相談を受けてきています。年末には役所なども閉まってしまい、相談もすることが出来ない方もいると思われます。そこで、ライフラインの滞納が続いていていつ止まるか分からない、既に止まっていて生活が苦しいという方向けに、緊急の食料・水の配布支援を行います。

出所:フードバンク仙台公式Webサイト、「年末にライフラインの停止/滞納という問題を抱えた方に緊急支援を行います!」(2022年12月26日)、https://foodbanksendai.com/news/2022-12-26/、2023年1月5日閲覧

参考:ライフライン無償化プロジェクト
フードバンク仙台や仙台POSSEで活動するZ世代の若者が始めたプロジェクト
https://sendaiposseblog.wordpress.com/2022/09/07/free-lifeline-project-member/

フードバンク仙台さんは、余って廃棄される可能性のある食品を集め、それを、食品を購入できずに困っている人に届ける、という、中心的な活動を行う他、困っている人が実際にどのようなことで困っているかを、調査によって把握した上で、その困りごとを解消する手立てを検討し、実行している点が、素晴らしいですね。大変刺激になります。

というわけで、今年も、不定期でお送りする「フードバンクにゅ~す」、引き続きよろしくお願いいたします。