【フードバンクにゅ~す】2022年9月29日

フードバンク

4日ぶり11回目の「フードバンクにゅ~す」です。

前回の公開から日が浅いため、今回はピックアップしているニュースの数は少ないのですが、興味深い取り組みがあるので、特に気になるものは、引用元の記事をチェックしていただければ幸いです。

※冒頭の扉画像は、本稿で紹介している、NPO法人シェア・マインド様の「チャリティースープSTANDBY」のWebサイトからの引用です。https://standby.base.shop/about

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府中市のNPO法人シェア・マインド「困窮者温めるスープ」(2022年9月7日)

府中市のNPO法人「シェア・マインド」が、生活困窮者の支援を目的としたレトルトスープなどの製造・販売に乗り出した。スープが売れると、同じ数のスープが支援対象者の元に届くチャリティー商品で、活動資金の確保や食品ロスの削減につなげる狙いもある。(長内克彦)

■規格外食材活用 
(中略)
困窮が深い人ほど、肉体的・精神的ストレスにさいなまれやすいと感じていた代表理事の松本靖子さん(41)は、体調が悪いときでも簡単に調理ができ、提供を受ける規格外の肉や野菜を無駄にすることなく使える栄養価の高いレトルトスープを作ることを思いついた。

■試供品好評
(中略)
松本さんは8月、第2府中保育園(府中市日新町)が運営する子ども食堂「にっころ食堂」のフードパントリー(配布会)で、鶏肉や白菜などを使った韓国スープ・サムゲタンの試供品を参加者約30人に配った。
参加者たちにも好評で、中学生の息子と2人暮らしというシングルマザーの女性(34)は「レトルトだと気軽に食べられるし、日持ちするのもいいですね」と喜び、同保育園の目時寿美子園長(54)は「食品を無駄にせず、支え合うことができる。とてもいい企画だと思います」と期待していた。

■おためしセット
同NPOは今月から、スープ2種類とレトルトカレーが2パックずつ入った「おためしセット」(送料込み3520円)の販売をインターネット上で始めた。ほかのフードバンクなどとも連携し、売り上げた数と同じ数のスープが、支援対象者に届く仕組みになっている。
事業名は「スタンバイ」とし、「いざというときに役立つ」という願いを込めた。軌道に乗れば、製造や納品などの作業を困窮者に協力してもらい、仕事を生み出すことも目指していくという。
松本さんは「同じモノを食べることで、寄付者と支援対象者の距離も近くなるし、規格外の食品を有効活用し、持続可能な活動につなげたい」と話している。

出所:読売新聞オンライン、「困窮者温めるスープ」(2022年9月7日)、https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20220906-OYTNT50176/、2022年9月29日閲覧(太字は筆者)

チャリティスープSTANDBY(スタンバイ)公式Webサイト
https://standby.base.shop/

STANDBYを企画するNPO法人シェア・マインド公式Webサイト
https://www.sharemindjp.com/

「フードバンクや環境 活動に理解を 市民団体と学生が千歳で交流」(2022年9月27日)

フードバンクや環境問題に取り組む市民団体と、その活動に関心を持つ学生らが意見交換するイベント「千歳市民団体とU25おしゃべり会」が24日、JR千歳駅東口のまちライブラリー@ちとせで開かれ、質疑を通じて参加者同士が活動への理解を深めた。

出所:北海道新聞電子版、「フードバンクや環境 活動に理解を 市民団体と学生が千歳で交流」(2022年9月27日)、https://www.hokkaido-np.co.jp/article/736588、2022年9月28日閲覧

青森県立五所川原農林高等学校「フードバンクが全国大会で特別賞」(2022年9月28日)

「青森りんごを活用したフードバンクプロジェクト」に取り組む五所川原農林高校生物生産科の6次産業研究室が、高校生ボランティア・アワード2022(公益財団法人・風に立つライオン基金主催)で特別賞のマイナビ賞を受賞した。生徒たちは受賞を弾みに、さらに活動を頑張りたい−と意欲を高めている。

同研究室は2021年度から、学校の農園で育てたリンゴのうち、市場出荷基準からあふれた規格外のものを、子ども食堂を運営するボランティア団体に提供する事業に取り組んでいる。
同アワード全国大会は8月16、17日に東京で開かれた。研究室15人のうち5人が、事前に作成したポスター2枚を使い活動内容を発表。子どもの貧困問題と農作物ロスの両方の問題の解決を目指し、地域の福祉向上に貢献している−と高評価を受け、参加98団体のうち23団体に贈られる特別賞に輝いた。

成田彩音(あやね)さん(3年)は「コロナ禍の中で活動が制限されていたので大変だった」と振り返り「規格外の農産物でもっといろんな商品を作っていきたい」と意欲をのぞかせた。代表の安田煌汰(きらと)さん(3年)は「ほかの県にも活動を知ってもらい、(自分たちが作った)農産物を食べてもらえたら」と話した。

出所:d menu ニュース(東奥日報)、「五農のフードバンクが全国大会で特別賞」(2022年9月28日)、https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/toon/region/toon-20220928153200、2022年9月29日閲覧

上2つのニュース記事は、北海道と青森県の学生が関連したものです。フードバンク関連のニュースを検索していると、小学生から大学生までの生徒・学生が関与しているものに数多く接します。

現代の若者は社会問題への関心が高いという調査結果もありますが、2年前に行われた調査※1では、若年層におけるフードバンク、フードドライブ、子ども食堂の認知度は相対的に低いという結果が示されていました。学内外でフードバンクなどに学生が主体的に関わり、それについて友人と議論をしたり、SNSなどで発信したり、あるいは上の記事のように報道されることで、若者が、貧困の問題について(なぜ発生するのか、行政による公助、セーフティネットの現状はどうなっているか等)考えるきっかけになれば良いと思います。若者自身が困窮しているケースも少なくないですし、他人ごとと言い切れる人は多くないと思います。

「国葬の足元、困窮者が列 『政治家は現場を見て』」(2022年9月26日)

安倍晋三元首相の国葬が27日に行われる東京。会場となる北の丸公園の日本武道館から5キロほど離れた公園では9月下旬、ボランティアの弁当配布を待つ路上生活者らの列ができていた。その日の食事に窮する人たちがいる中、国葬に費やされる経費は約16億6千万円に上る。支援団体は「国葬の足元で炊き出しに並んでいる人がいる。政治家にはこの現場を見に来てほしい」と訴える。

新型コロナウイルスによる景気悪化や物価高が影響してか、炊き出しに集まる人が減る様子はない。てのはしの清野賢司事務局長は「政治家に見てもらいたい。その上で政策を考えてほしい」と話した。

出所:nordot(共同通信社)、「国葬の足元、困窮者が列 『政治家は現場を見て』」(2022年9月26日)、https://nordot.app/947034825948184576、2022年9月28日閲覧(太字は筆者)

「神戸市の団体 生活困窮の女性たちに 住まい新たに開設へ」(2022年9月26日)

経済的に困窮しているシングルマザーやDV被害を受けている女性たちを支援しようと、神戸市の団体が安心して暮らせる住まいを新たにつくることになりました。

この取り組みは、神戸市のNPO、「女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ」と「神戸学生青年センター」が共同で行うものです。

計画では、国からの補助金も活用しながらおよそ1億7600万円をかけて、神戸市灘区にある「コープこうべ」の寮を改修する予定です。あわせて40世帯分の部屋や、共用のリビング、それに、キッズスペースなど、住民どうしが交流できる場所を設け、2024年春の開設を目指します。また、支援員が常駐して入居者の心理的なケアや就労支援のサポートなどにあたることにしています。

NPOによりますと、シングルマザーやDV被害を受けている女性などは所持金が少なかったり、保証人がいなかったりするケースが多く、契約できる住まいも限られているということです。NPOの正井禮子代表理事は「ここにしか住めないのではなくて、ここに住みたいと思えるような住まいにしたい。住まいがあってこそ安心ができ、働く意欲もわいてくると思う。ステップアップを応援したい」と話しています。

出所:NHK NEWS WEB(関西 NEWS WEB)、「神戸市の団体 生活困窮の女性たちに 住まい新たに開設へ」(2022年9月26日)、https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220926/2000066720.html、2022年9月28日閲覧

富山県高岡市「不登校、引きこもり、DV被害…悩みや相談“話せる古本屋” 孤立をなくし人とつながる場所に」(2022年9月25日)

コロナ禍となり、家庭や学校の環境が変わり、若い世代の不登校や自殺が過去最多となる中、孤立をなくして人とつながる場所を作りたいと、富山・高岡市で古本屋を営む男性がいる。男性が目指すのは、「話せる古本屋」だ。
午前11時前、高岡市の小さな古本屋に明かりがともる。
「古本なるや」の店主・堀田晶さん(48)は、サラリーマンとして働いていた頃、出張先で訪れた古本屋の空気感にひかれ、2018年に憧れだった古本屋を開いた。

(中略)
同僚や後輩から悩み相談を受けた経験から、人の役に立ちたいと、堀田さんは生活困窮者の自立を支援する仕事もしている。(現在もNPO法人で週3回、電話相談で生活困窮者の支援に取り組む)
コロナ禍となり、不登校や引きこもり、DVの被害に苦しむ人など、なるやに相談に訪れる人は増えたという。

「古本なるや」店主・堀田晶さん:
今まで感じなかったストレスが、暴力に進んでみたり、子どもに向けられたり。家庭内での話が増えた。話してもらうところから始めなければ、当事者はしんどくなる一方

(中略)
堀田さんは、SNSや電話でも相談に乗り、必要な支援とつなぐケースもある。

(中略)
射水市の障がい者就労支援施設の職員や利用者とも、仕事を依頼したことをきっかけに交流が生まれている。

(中略)
1人で悩みを抱え込まず、話をしに来てほしいと、毎月「自殺について考える会」も開いていて、詳しくは「古本なるや」のウェブサイトに掲載されている。

出所:FNNプライムオンライン、「不登校、引きこもり、DV被害…悩みや相談“話せる古本屋” 孤立をなくし人とつながる場所に【富山発】」(2022年9月25日)、https://www.fnn.jp/articles/-/419780、2022年9月28日閲覧

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一番最初に紹介した、シェア・マインドが企画したチャリティスープSTANDBY(スタンバイ)は、大変興味深い取り組みだと感じました。

少し前に、TBSラジオの「人権TODAY」という番組(毎週土曜日の「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で朝8時22分頃から放送されている、いわゆる箱番組)で、シェア・マインドのスープを取材した様子が放送されていました。

「いただいた食品のマネジメント、倉庫代がかかったり、会場に運搬するお金だとか、手間、時間がかかっていて、それをボランティアの持ち出しで常に行っているんですけれども、それではいつか活動の終わりが来てしまうということで、チャリティーを始めました。スープをレトルト化して、それを購入していただく。その購入されたものと同じ一品、全く同じ物がお困りの方に届くという企画です。」(NPO法人シェア・マインド 代表理事・松本靖子さん)

出所:TBSラジオ公式Webサイト(人権TODAY)、「生活困窮者にレトルトスープを。府中市のNPOの食糧支援」(2022年9月24日)、https://www.tbsradio.jp/articles/59816/、2022年9月29日閲覧

いちかわフードバンクbyフリスタは、2021年6月に活動をスタートして以来、取り組み内容に共感して下さる個人・企業などの支えてくださる仲間が増え、おかげさまで、たくさんの食品を寄贈していただけるようになってきました(しかし、供給量以上に、需要が多いのが実情です)

取り扱う食品の量が増加することに伴い、運搬費が増大してます。また、シェア・マインドの松本さんの言葉にもありますが、私たちの活動も、フリースタイル市川のメンバーを含めたボランティアが担っており、人手、時間、お金が足りなくなるのも時間の問題です…(10月1日の『いち★てらす~であう・ひらめく・つながる~』では、これまでの活動の紹介に加え、現在直面している課題、今後の展望や未来構想をお話します)

チャリティスープを販売し、購入されたものが必要としているところに届く、というアイディアは、おもわず人に話したくなるユニークなもので、ストーリー性もありますね!模倣したくなります!

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〈注釈〉
※1:インテージリサーチが、2020年7月31日(金)~8月3日(月)に、全国16歳以上79歳までの男女個人(10,802人)を対象として実施したインターネット調査。
「子ども食堂」の認知度は8割で高止まり?~コロナ禍で注目の「フードパントリー」、認知はこれから~
https://www.intage-research.co.jp/lab/report/20201112.html