【コラム】調査データから考えるまちづくり

コラム

こんにちは。ノスタルジー鈴木です。突然ですが、今回はコラムと称して、雑文を綴りたいと思います。少々お付き合いいただければ幸いです。

* * * *

市川市は、「市川市総合計画 I&I プラン 21」の基本構想(平成13年度~概ね25年)に示されている将来都市像「ともに築く 自然とやさしさがあふれる 文化のまち いちかわ」を実現するため、第一次基本計画(平成13~22年度(2001~2010年度))の結果などを踏まえ、平成23年度(2011 年度)に第二次基本計画を策定し、安心で、快適な、活力のあるまちづくりを進めるため、基本計画の45の施策分野それぞれに、10 の視点を意識した「いちかわらしい」施策を展開しました。実施した第二次基本計画に関して、令和2年度(2020年度)に、市民意向調査を実施しており、調査対象者に、施策に対する市の取り組みの評価をしてもらっています。

本稿で紹介するデータは、『I&Iプラン21 市川市第二次基本計画(2011~2020年度)総合評価書』に掲載されているもので、掲載しているグラフは、掲載データを用いて筆者が作成したものです。
この総合評価書は、こちらで閲覧できます(pdfファイルが開きます)。 https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/pla01/file/0000373747.pdf

総合評価書には、多くの項目に関する調査結果が掲載されていますが、本稿では、次の3つの質問に対する回答の集計結果を紹介します。

A. 地域の中で役割を持ち、誰かに必要とされている実感を持てたと思う
B. 地域のコミュニティ活動が活発になったと思う
C. ボランティアやNPOなどの市民活動が活発になったと思う

回答者は、各質問について、「そう思う」、「ややそう思う」、「どちらとも言えない」、「ややそう思わない」、「そう思わない」の5つの選択肢から最も当てはまるものを1つ選択する方式で回答しています。ここでは、「そう思う」と「ややそう思う」の回答割合の合計値について、2011年度の計画値と、2020年度に実施した調査結果を比較します。

A. 地域の中で役割を持ち、誰かに必要とされている実感を持てたと思う
2011年度の計画値と比べ、2020年度では約3ポイント低下して10.1%となっています(2020年度の調査対象者は669人)。市民の多くが、地域の中で役割を持っていると思えない、誰かに必要とされているという実感を持てていない、という実態がわかります。

2011年度の計画値は12.9%、9年後の2020年度は10.1%と2.8ポイント低下しています。

B. 地域のコミュニティ活動が活発になったと思う
2011年度の計画値と比べ、2020年度では約6ポイント低下して16.2%となっています(2020年度の調査対象者は728人)。市民の多くがコミュニティ活動が活発になったとは思っていないことがわかりますね。

2011年度の計画値は22.0%、9年後の2020年度は16.2%と5.8ポイント低下しています。

C. ボランティアやNPOなどの市民活動が活発になったと思う
2011年度の計画値と比べ、2020年度では約10ポイント低下して14.6%となっています(2020年度の調査対象者は728人)。 上で紹介したB.とも通ずるデータですね。

2011年度の計画値は24.5%、9年後の2020年度は14.6%と9.9ポイント低下しています。

以上、2020年度に市川市が実施した市民意向調査の結果から、フリースタイル市川の活動との関連が強い3つの質問に対する回答データを確認しました。

「地域の中で役割を持ち、誰かに必要とされている実感を持てたと思う」割合は低く、「地域のコミュニティ活動が活発になったと思う」割合も低く、「ボランティアやNPOなどの市民活動が活発になったと思う」割合も低いのが、市川市民の地域活動などに対する意識の実態です。

* * * *

これまでNPO法人フリースタイル市川は、人々が地域に自分の居場所を持ち、役割を得ることが、地域福祉の諸課題の解消につながるという信念のもと、人々が地域社会の一員として関わる機会を生み出すための活動をしてきました。今年(2021年)、年初には想像もしていなかったフードバンク事業に取り組むことになりましたが、この活動を通じて、市川市に関わる人たちに、様々な役割があることを知っていただき、数多くの出番があることを示すことで、たくさんの協力をいただけるようになりました。

私たちは、様々な活動をひっくるめて、「まちづくり」と呼んでいますが、今後もその領域は広がることが想定されます。フリースタイル市川の活動が、「地域の中で役割を持ち、誰かに必要とされている実感を持てたと思う」 ことにつながるように、これからも、皆さんと一緒に知恵を絞り、ユニークなアイデアを出して、汗をかいていきたいと思っています。