今は2023年6月で、この記事が世に出るのは、27日、火曜日です。と、いうことは、6月9日から開かれていた市川市議会の6月定例会は、昨日、26日、月曜日が、最終日だった、ということですね。
え?定例会?やってたっけ、そんなの。
と、お思いの方は、是非、この記事を読んでください!
市川市議会の仕組みについて、そんなに難しくなく綴っています。4月の選挙で当選して議席を得た42名の議員の顔ぶれを紹介してもいます。
え?でも、地方政治ってよくわからないよ。地元の大事なことを話し合って決めているっていうけれど、悪いことをしたりもしているんじゃないの?
と、お思いの方、なかなか鋭いですよ!
えへへ、そう?鋭いかな?
えぇ、鋭いです、本当に。どんなことをしている(していた、あるいは、していたのではないかと疑われた)か、について、この記事で扱っています。覚悟してご覧ください。
市川市議会議員の性別構成、年代構成について、勝手気ままに数字遊びをしたこともあります。議員の高齢化が進んでいるのかいないのか、女性議員は多いのか少ないのか、などに、興味がある方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
夫、否、おっと、話が逸れました。
本稿では、議員定数なるものについて考えたいと思います。
4月に行われた市川市議会議員選挙の際、議員定数の削減を訴えた候補者がいたことをご存知でしょうか。
その良し悪し(つまり、議員定数を減らすことによるメリット、デメリット)を考えるのは、別の機会に回すことにして(あくまでも勘ですが、遠くない将来、議員定数を減らすことによるメリットとデメリットについて、どこかに綴るような気がしています)、本稿では、現在の市川市の議員定数は妥当なのか、多すぎるのか、少なすぎるのか、といったことを、確認していきます。
あの、議員定数は、議員数のことですが、たまに欠員が出て定数よりも少ない人数の議員しかいないことがあるので、この議員定数は、最大議員数と同じ意味を持ちます。
市川市の議員定数は42人です。市川市の総人口(選挙権がない人、被選挙権がない人も含みます)を、ざっくり50万人とすると、議員定数の42人と言うのは、50万人の0.0084%に相当する数字です。これは、多すぎるのかどうか。
先に挙げた、議員定数の削減(減少)を主張した候補者(その方は当選したので、現在は現職の市議会議員です)は、42人から4人削減して、38人にすることが望ましいと言っていました。4名削減すべきということの根拠、それによるメリットを知りたいと思いますが、それはさておき、42人と38人、どちらが妥当であるかを、ある方法で確認していきます。
ある方法とは、こんな方法です。
すなわち、自治体における議員定数は、その自治体の人口に応じた人数であるべき、という考えに立ち、市川市と概ね同規模の人口を抱える自治体の議員定数をチェックしてみる、という方法。
なお、本稿で使用するデータは少々古いものであるということについては、ご承知おきください。以下、使用するデータは、「都道府県・市区町村ランキングサイト 日本☆地域番付」http://area-info.jpn.org/RKSentNumAll.html 掲載のものを使用しています。
まず、市川市と人口が比較的近い自治体を確認します。13年前、2010年時点の人口なので、古いです。その点には、ご注意を。
市川市の人口が50万人弱なので、その前後(上下?)、人口が45万人から55万人までの自治体をピックアップしてみます。と、思ったのですが、少し幅を広げ、40万人から60万人の自治体を確認しておきます。
自治体名(都道府県名)人口[万人]
という順に記します。
- 八王子市(東京都)58.0
- 杉並区(東京都)55.0
- 姫路市(兵庫県)53.6
- 板橋区(東京都)53.6
- 松山市(愛媛県)51.7
- 宇都宮市(栃木県)51.2
- 東大阪市(大阪府)51.0
- 川口市(埼玉県)50.1
- 松戸市(千葉県)48.4
- 西宮市(兵庫県)48.3
- 倉敷市(岡山県)47.6
- 大分市(大分県)47.4
- 市川市(千葉県)47.4
- 金沢市(石川県)46.2
- 福山市(広島県)46.1
- 江東区(東京都)46.1
- 尼崎市(兵庫県)45.4
- 長崎市(長崎県)44.4
- 葛飾区(東京都)44.3
- 町田市(東京都)42.7
- 富山市(富山県)42.2
- 豊田市(愛知県)42.1
- 高松市(香川県)41.9
- 横須賀市(神奈川県)41.8
- 岐阜市(岐阜県)41.3
- 藤沢市(神奈川県)41.0
- 枚方市(大阪府)40.8
- 柏市(千葉県)40.4
- 宮崎市(宮崎県)40.1
自治体数は29あります。30弱の自治体が、人口40~60万人の間にひしめき合っているわけです。
冒頭のグラフのうち、縦棒グラフ(左軸)は、今挙げた自治体の人口を表しています。そして、このグラフの折れ線グラフ(右軸)は、各自治体の議員定数を表しています。議員定数は2015年8月時点の数字です。
冒頭のグラフでは、「人口」と「議員定数」の関係が今ひとつわかりづらいかもしれません。というわけで、冒頭のグラフと同じデータから、別のグラフを作成してみます。散布図です。
横軸に人口、縦軸に議員定数をとっています。なお、人口は40万人から60万人の範囲、議員定数は30人から50人の範囲にしており、29自治体がこの平面の中に散らばっています。
散布図の中に2本の点線がありますが、これは、近似直線です。角度がゆるやかなオレンジの方は29自治体の人口と議員定数の関係を近似直線で表現したものです。一方、角度がやや急な水色の点線は、かなり外れた位置にある八王子市を除いた28自治体の人口と議員定数の関係を近似直線で表現したものです。
この右上がりの直線よりも、上にあるか、下にあるか、それとも、ほぼ直線上に乗っているのか。
杉並区、姫路市、宇都宮市、松戸市、大分市、江東区、尼崎市、豊田市、横須賀市、宮崎市といった自治体は、2本の直線より上に位置しています。これらの自治体は、人口に対して議員定数が多めだと言えましょう。
八王子市、東大阪市、西宮市、金沢市、福山市、町田市、藤沢市、柏市、枚方市は、2本の直線よりも下にあります。人口に対して議員定数が少ない自治体です。
市川市、そして、長崎市、葛飾区は、2本の直線の上に乗っている自治体と言っても差し支えないでしょう。議員定数が人口相応と言っても差し支えないでしょう。多分、そうでしょう。ズバリ、そうでしょう。
チナ・ミニ、29自治体の、「人口に占める議員定数の割合」を算出してみると、こんなふうになります。
先程の散布図に近似直線を引いたもの、あの図で、線より上にプロットされていた自治体(人口に対する議員定数が相対的に多い)は、この横棒グラフが長く、上の方に位置しています(豊田市、宮崎市、横須賀市、江東区、松戸市など)。線の下にあった自治体(人口の割に議員定数が少ない)は、こちらの棒グラフは短い、つまり、下の方にあります(八王子市、東大阪市など)。市川市はほぼ中間に位置していますね。ほぼほぼ。たまに、ほぼほぼ、と言いたがる人がいますよね。
ところで、市川市の議員定数を4人減らすとすると、どうなるかと言うと、こうなります。
現状(■42人)が、上で確認したように、この人口規模に対して妥当であろう(多くもなく少なくもないと言って差し支えないであろう)議員定数なのだとすると、4人削減した場合(●38人)、これは人口が同規模の自治体と比べて、少なすぎる人数になってしまうと思います。
定数削減を訴える議員さんには何らかの根拠があるのだと思いますが、人口規模に対する定数がどのようであるか、という、本稿で見た方法では、市川市の議員定数は妥当、実に妥当、そう言えるのではないかと思います。
今の散布図、市川市の周辺を拡大してみましょうか。ぐぐっと、ズームアップ!
市川市より人口が少ない市や区(江東区、金沢市、福山市、尼崎市)よりも議員定数が少なくなります。人口45万人以上50万人未満の9自治体の中で、議員定数が最少になるわけです。
議員定数削減によるメリットが、それによるデメリットを補って余りあるほどに大きいのかどうか。
それについてはいつかまた考えてみることにします。
今日はこの辺で、筆をおきますね。また、お会いしましょう!
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執筆日 2023年6月25日
公開日 2023年6月27日