『ローカルメディア漫遊記』の第11弾、今回取り上げるローカルメディアは、市川市の自然を紹介するWeb連載です。
市川市の自然といえば、過去に、「ローカルメディア漫遊記」では、『鳥爺残日録』を取り上げました。反響の大きさに、市川市の鳥、自然に興味のある人が多いことを実感したものです。
今日取り上げるのは、『自然環境政策専門員の観察日記』です。
自然環境政策専門員の観察日記(2022年度)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/0000402871.html
URLを見てお気づきかもしれませんが、この『観察日記』は、「市川市公式Webサイト」内の連載記事です。また、記事名に2022年度とある通り、年度ごとに独立したURLになっています。
市川市公式Webサイトのトップページからは、以下の順に辿れば記事に到達します。
ホーム https://www.city.ichikawa.lg.jp/index.html
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> 自然環境政策専門員の観察日記(2022年度)
どのような内容なのかというと、
生活環境整備課の鈴木専門員が、市内の自然で見つけた生きものたちを皆さまへご紹介するコーナーです。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記(2022年度)」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/0000402871.html
野鳥や昆虫、植物など、たくさんの生きものをピックアップしていきます。
皆さまの身近にも、様々な自然が広がっているかもしれません。
ぜひお楽しみください。
とある通り、「生活環境課の鈴木専門員」の目で見た、市川市内の自然の紹介です。
それでは、さっそく、鈴木専門員による『自然環境政策専門員の観察日記』より、幾つかの記事を紹介しましょう。なお、写真は『観察日記』掲載のものではなく、フリー画像Pixabay(https://pixabay.com/ja/)のものを使用しています。
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身の回りの生き物たち
2021年7月30日 谷津のトンボ
大町自然観察園で、ひらひらと飛ぶハグロトンボに出会いました。翅は黒く、雄の体は緑色に輝く可憐なトンボです。個体数は少ないですが、ここではよく見かけます。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/0000365187.html
日本最大のトンボであるオニヤンマは、多くの個体を観察することが出来ます。特に午前中は、羽化直後のオニヤンマを観察するチャンスです。
両種とも生息には、ゆるやかな流れと林が隣接した谷津のような環境が必要です。
2021年6月30日 ツミ
街中の小さいタカ
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/0000365187.html
かつて“幻のタカ”ともいわれたタカが近年、街中で繁殖する例が増えています。ハトよりも小さい日本最小のタカ、ツミです。かつては目撃例が少なく、その生態も謎が多かったため“幻のタカ”と呼ばれていました。
市北東部の団地のケヤキの木で、子育てする姿が見られました。巣にはヒナが4羽いて、親がせっせと小鳥を運び、ちぎって与えていました。何故、ツミが都会暮らしを始めたかは謎です。
幼いころは子ども向けの鳥類図鑑を熟読する程度には、鳥に関心を持っていた私ですが、ツミという名のタカは知りませんでした。ツミとはどのような鳥かというと、
小さくても形はタカそのもので、同じくらいの大きさのヒヨドリも仕留めるハンターだ。日本にはツバメと同じ夏鳥として、繁殖のためにはるばる中国南部や東南アジアからやってくる。
出所:BUNA、「ハトより小さいタカ「ツミ」とは? 〜 街での子育て事情と鳥見のマナー 〜」(2019年9月19日)、https://buna.info/article/3014/、2022年8月1日閲覧 (太字は筆者)
ツミは幻の鳥とも呼ばれ、滅多にお目にかかれない鳥──だったのは昔の話。なんと近年、関東限定で都市公園や街路樹などで繁殖していることがわかっている。
ということで、ヒヨドリと同程度の大きさながら、ヒヨドリを仕留めるとは、驚きです!市内の団地敷地内の樹上で子育てをしていたそうなので、観察するチャンスがあるかもしれません。
2021年3月24日 タヌキ
市内のタヌキは70年位前に絶滅したと考えられていましたが、30年位前から再度、目撃されるようになりました。現在では市内全域に、広く生息が確認されています。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000061.html
先日、江戸川沿いの斜面林で二匹のタヌキに出会いました。夜行性ですが、昼間でも出会うことがあります。市街地に出没することもありますが、静かに見守ってあげましょう。
私は、少年時代に南大野のストリートでイタチ(?)を見たことはありますし、最近、外来種のハクビシン(幼獣のかわいさたるや!)と出会いましたが、市川市内で野生のタヌキに会ったことはありません。
2020年12月21日 キジ
生物多様性モニタリングの調査員の方から、江戸川河川敷に羽根が散乱しているとの報告がありました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000061.html (太字は筆者)
現地に行ってみると茶色いシックな羽根がたくさん落ちていました。羽根の模様や大きさからキジの雌、状況からオオタカの餌食になったと思われました。
かつては市内の多くの場所に生息していたキジですが、現在では江戸川河川敷など数か所でしか観察されません。畑や田んぼ、草原などキジの棲む環境が少なくなったことが主な原因です。
ちなみにキジは国のシンボルとして選ばれた「国鳥」です。
1990年ごろ、季節は忘れましたが、下貝塚中学校の裏庭と1階の保健室をつなぐ階段に座っていた私の目の前を、突然、中学校の敷地の隣の梨畑(だったと記憶していますが、やや曖昧です)から飛び出してきたキジが低く飛び、保健室の窓ガラスに激突した後、飛び去って行った――という経験をしました。市川市内で野生のキジを目撃したのは、これが唯一ですが、あれから30年以上を経た今、キジについて記事に書けること/記事にキジのことを書けることは感慨深いです。
2019年2月15日 葦原とオオジュリン
冬の枯れた葦原に依存して生活する鳥がいます。冬鳥のオオジュリンです。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000039.html (太字は筆者)
南大野にある「こざと公園」では、冬の間も枯れた葦を一部刈らずに残してあります。狭い面積ですがオオジュリンが8羽が飛来して、葦の皮をくちばしで取り除いて、中に潜む虫を探していました。他にもスズメ・メジロ・シジュウカラが見られ、冬枯れの葦原は賑わっていました。
枯れた葦原も鳥たちにとっては大切な環境です。
こざと公園に繁茂する葦が、冬になると刈られているのは知っていましたし、一部を残していることも把握していました。しかし、残された枯れた葦が、冬の鳥たちにとって貴重な餌を捕獲する場になっているとは知りませんでした。今は真夏ですが、冬になったらこざと公園の枯れた葦原を見に行こうと思います。
2018年10月16日 フジバカマとアサギマダラ
大町自然観察園でアサギマダラに出会いました。アサギマダラは大型の美しい蝶で、渡りをすることで有名です。春には南から北へ、秋は北から南へと移動し、千数百kmもの距離を飛んでいきます。秋の移動の時期には、秋の七草の一つでもあるフジバカマの花が咲いていて、吸蜜に訪れます。江戸川河川敷にはフジバカマの貴重な群落があり、アサギマダラが訪れます。大町自然観察園のフジバカマは江戸川河川敷由来のものです。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000015.html (太字は筆者)
2017年6月6日 ナナフシ(ナナフシモドキ)
里見公園を歩いていたら、葉が虫食い状になっているサクラを見つけました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000089.html
犯人は?
じっくり観察して見ました。
うごめく毛虫などはいませんが、怪しい枝のような物体が!
犯人はナナフシ(ナナフシモドキ)でした。
ナナフシはサクラの葉が大好物です。
木を丸坊主にするような大発生はしませんので安心です。
虫食いの葉を見かけたら、犯人探しも楽しいものです。
「犯人探しも楽しい」とは、鈴木さんはさながら「自然の刑事」ですね
2016年9月1日 夕暮れの川辺で
夕方、大柏川の川辺を歩いていると、ヒラヒラと不規則に飛び回る生き物に出会いました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000017.html (太字は筆者)
正体はアブラコウモリ。
昼間は建物などの隙間にいて、夕方になると河川などの水面上や畑・駐車場など開けた場所を飛び回ります。
カやユスリカなどの昆虫を捕食する益獣でもあります。アブラコウモリの市内での分布を調査中です。
見かけたら是非、お知らせください。
アブラコウモリは私の活動地域でもよく見かけます。そして、夕方にコウモリを見かけると、このソングを想い出すのです。
目覚めてすぐのコウモリが
飛びはじめる夕暮れに
バレないように連れ出すから
カギはあけておいてよ君の記憶の片隅に
スピッツ「涙がキラリ☆」(作詞:草野正宗、作曲:草野正宗)
居座ることを今決めたから
弱気なままのまなざしで
夜が明けるまで見つめているよ
スピッツ / 涙がキラリ☆
2015年9月1日 江戸川の秋 見つけた
里見公園下の江戸川河川敷では、秋の七草の一つ、フジバカマが咲き始めました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000006.html (太字は筆者)
まだ一分咲きですが、9月の中旬~下旬には見頃になると思います。同じ場所では、クレマチスの仲間のセンニンソウも白い可憐な花をたくさん付けています。
他にもシロバナサクラタデやキンミズヒキなど、在来の野草がいろいろ楽しめます。
これらの遺伝子が絶えないように、大切にしたいものです。
2015年8月4日 エノキ(榎)の木陰
里見公園下の江戸川河川敷にエノキが2本あり、素晴らしい木陰をつくりだしています。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000006.html (太字は筆者)
昔、一里塚には榎などの木が植えられ、木陰で旅人が休息を取れるように配慮されていました。
横に広がる樹形をした、落葉樹のエノキを選んだ先人の知恵に敬服します。
エノキの木陰でじっとしていたら、スズメ位の大きさの小さなキツツキのコゲラがやってきました。
2015年8月4日 森の落とし物
里見公園はクスノキやタブノキなどの大木があり、豊かな森となっています。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000006.html (太字は筆者)
森にはいろいろな生き物が棲んでいます。
枯葉の上をピョンピョンと跳ねるニホンアマガエルに出会いました。
そして、地面に怪しげな羽が!
落とし主はフクロウのようです。上を見上げましたが、残念ながらフクロウは確認できませんでした。
絶滅の可能性がある生き物(と外来種)
記事の紹介の前に、用語の説明をしておきます。
レッドデータブック・レッドリストとは
レッドリストとは絶滅のおそれのある野生生物の種のリストです。これに対して、レッドデータブックとは、レッドリストの解説として掲載種の生息状況等をとりまとめ編纂した書籍です。レッドリスト及びレッドデータブックは、専門家による科学的・客観的評価により作成されています。レッドリストにより、絶滅のおそれのある野生生物を的確に把握することができ、また一般への理解を広げることができます。環境省では、これらの目的のためレッドリスト及びレッドデータブックを作成・公表しています。
出所:いきものログ、「はじめに―レッドデータブック・レッドリストの概要」、https://ikilog.biodic.go.jp/Rdb/、2022年8月1日閲覧
市川市で観察される生き物の中には、レッドリストで保護対象に指定されているものも少なくありません。『自然環境政策専門員の観察日記』から、絶滅のおそれのある生き物が登場する記事をいくつか紹介します。
2022年5月 キビタキの囀り
大町自然観察園でキビタキに出会いました。キビタキは日本に夏鳥として渡ってきます。スズメより小さく、雄は黄色と黒の美しい羽色で声も美しい鳥です。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/0000402871.html
以前は春と秋に市内を通過するだけでしたが、近年、緑が豊かな大町自然観察園や柏井青少年の森で、繁殖が確認されています。先日、大町では3個体の囀りを聴くことが出来ました。囀りは6月まで聴くことが出来ます。
県のレッドデータではAランク(最重要保護生物)に指定されています。
※「囀り」は「さえずり」と読みます。難読漢字ですね。
2020年9月28日 トビハゼ
江戸川放水路の干潟で、水辺の生き物を観察してきました。干潟では様々な生き物が生息していますが、今回はトビハゼを紹介します。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000061.html
魚でありながら発達した胸びれを利用して、泥の上をぴょんぴょんと跳ね回る様子は、とてもユーモラスです。干潮時に泥の上でゴカイなどを探して食べ、潮が満ちてくると岸辺の石や木などにはい上がります。環境省レッドリストでは準絶滅危惧種(NT)、千葉県レッドリストでは重要保護生物(B)に指定されています。
2019年6月27日 チョウのようなトンボ
大柏川第一調節池緑地で、ヒラヒラと優雅に飛ぶチョウトンボに出会いました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000039.html
発生最盛期なのか、全部で30匹ほどのチョウトンボが見られました。これほどの数のチョウトンボを市内で見たのは初めてでした。チョウトンボの幼虫(ヤゴ)は、水生植物が豊かな池などでなくては生息できません。本緑地の環境ならではのチョウトンボ群舞といったところです。チョウトンボは千葉県のレッドデータブックでは、一般保護生物(ランクD)に指定されています。
画像は都合により本稿には掲載していませんが、是非、チョウトンボの「紫藍色に輝く黒い翅」を、オリジナルのWebページ https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000039.html で見てください。
2018年8月24日 コガネグモ
江戸川の河畔に大きな網を張る二匹のコガネグモに出会いました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000015.html
コガネグモは真夏に見られる美しいクモです。最近数が減っていて、千葉県のレッドデータブックで要保護生物(ランクC)に指定されています。
コガネグモは草原性のクモで、生きもの豊かな草原に生息しています。都市部では草原が減少し、コガネグモが棲める場所が少なくなっています。
江戸川の河川敷は生きもの達にとって、とても大切な場所です。
絶滅に瀕しているか、そうでないか、あるいは、日本固有の種なのか、外来種なのか、といった違いによって、生き物の命それ自体の価値に差があるわけではありません(そうですよね?)。環境省は、外来種駆除マニュアルというものを公開しており(参考)、外来種の駆除を歓迎しているようです。とはいえ、私たちの身の回りの外来種の扱いひとつとっても、人それぞれ、色々な思いがあると思います。
この写真は、5年前の春に南大野の「こざと公園」で私が撮影した白鳥の親子です。三羽の雛が愛らしいですね。私が観察していた時は、普段よりも公園の通路がにぎわっており、人々の心を癒してくれているようでした。
しかし、この白鳥(コブハクチョウ)は外来種なのです。専門員の鈴木さんが、このような文章を市のWebサイトに寄せていました。
そして、このハクチョウ、日本にもともといた種類ではなく、シベリアに渡っていく種類でもない「コブハクチョウ」といいます。
出所:市川市公式Webサイト、いちかわの四季 Diary 2016年5月、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env01/1111000154.html、2022年8月1日閲覧 (太字は筆者)
ほんとうにかわいくて心なごむ様子ですが、日本古来の種を守るという観点では、残念ながら積極的な保護をするというわけにはいきません。
かといって、今のところじゃまにするわけではありません。
しかしながら、たくさん貼られている注意喚起を無視して、餌やりをする人などが多くなると、ハクチョウの外敵であるカラスが活気付いてしまいますし、外来生物であるミシシッピアカミミガメも大喜びします。
結果的にとても生態系に悪影響を及ぼします。
そのような方がふえると、保護とは反対の方向に動かざるを得ないケースもでてくるかもしれません。
コブハクチョウやミシシッピアカミミガメはかわいいし、オオキンケイギクやナガミヒナゲシは綺麗です。
しかし、かわいい、綺麗だけではない事情もちょっとあるんだな~~と、ご理解いただければ幸甚に思います。
私たち市民は、市川市の生活環境整備課などの注意書きなどをしっかり読み、禁止されている餌付けなどはしないで、外来種や絶命の恐れのある種を含む自然に親しむべきなのですね。
外来種の駆除が報じられる時、いつも思うのは、「動物たちには何の罪もないのに」ということです。私たち人間の自作自演のようにも思えるこの状況は、なかなかに悲惨です。
温暖化の影響による生息域の変化
最後に、以前は市川市では観察されなかったものの、最近になって存在が確認されるようになった生き物について書かれた記事を、アフュー※1紹介します。
2021年2月24日 ムラサキツバメ
チョウは卵・幼虫・蛹・成虫と様々な形で冬を越し、その形は種類によって決まっています。大町自然観察園で、成虫で越冬するムラサキツバメに出会いました。南方系のシジミチョウですが、1990年代後半から関東地方にも分布を拡げ、今では市内でも普通に見られるようになりました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000061.html
分布拡大の一因には、温暖化の可能性もあります。冬の間はじっとしているのですが、暖かい日差しの日には動き出します。深い紫色に輝くオスが翅を広げていました。
2020年8月17日 スズミグモ
じゅん菜池緑地で見慣れないクモを見つけました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env09/1111000061.html
最初に目についたのは、特徴的な大きな巣網です。中心にドーム状の網があり、周りにジョロウグモの網も、いくつもくっついていて、より大きな巣網となっていました。
巣網の中心には、獲物を捕らえて食事中の大きく綺麗なクモがいました。特徴的な巣網からスズミグモと判明、市内での記録は少ないと思われます。
スズミグモは南方系のクモで、温暖化の影響を受けて分布が北上していると話題にもなっています。
2016年8月17日 クマゼミとミンミンゼミ
南大野二丁目の小さな公園で、クマゼミが鳴いていました。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000017.html
クマゼミは大型のセミで、黒い体に透明の翅、鳴き声は「シャシャシャ・・・」。
南方系のセミであるため、温暖化の影響により生息域を広げているとも言われています。
市内で声を聴くようになったのは、2000年代になってからです。
公園で鳴いていたクマゼミとミンミンゼミを数えたら、それぞれ3匹でした。 10年後はどうなっているのでしょうか?
身近な自然を記録しておくことはとても大切です。調査員募集中です!
2015年8月18日 黒いアゲハチョウ
15年前に市内で見かける黒いアゲハチョウは、ほとんどクロアゲハでした。
出所:市川市公式Webサイト、「自然環境政策専門員の観察日記」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env02/1111000006.html
ところが近年見かける黒いアゲハチョウは、ほとんどナガサキアゲハです。ナガサキアゲハは南方系のチョウで温暖化により分布を広げていると考えられています。
真間山近くのクサギの花に黒いアゲハチョウが5頭飛来していましたが、クロアゲハは1頭のみでした。
以前は市川市で観察されることがなかった南方系の昆虫やクモが、最近になって目撃されるという例がいくつもあり、鈴木さんは、温暖化の影響による分布域の拡大ではないかと述べています。
人間の活動を要因とする(と考えられる)気候変動により、生態系が変化してしまっている可能性があるという話ですね。黒いアゲハチョウを見ると、「クロアゲハだ!」と思うか、「カラスアゲハかな?」と思う私ですが、「ナガサキアゲハ」という種類がいること、そのチョウが最近市川市で観察されるようになっていることは知りませんでした。
鈴木さんのような専門員の方が、定点観察を続けてくれているおかげで、観察される頭数の変化を把握でき、気候変動の影響ではないか、と考えることも可能になるのですね。
『自然環境政策専門員の観察日記』は読んで、見て、面白いだけでなく、身近なところにも地球環境の変化の影響(の可能性があること)が表出しているということを学ぶこともできる、貴重なローカルメディアなのです。
是非、市川市公式Webサイト内の『自然環境政策専門員の観察日記』にアクセスしてみてください!身の回りの自然、小さな生き物たちの存在を改めて認識する良い機会になりますよ。
スピッツ / 小さな生き物
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(参考)市川市、全国581番目のゼロカーボンシティになる
市川市は、令和4年2月22日令和4年2月議会において、2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「カーボンニュートラルシティ」を表明しました(出所:市川市公式Webサイト、「カーボンニュートラルシティを表明しました!」(2022年4月1日)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env01/0000391648.html、2022年8月1日閲覧)
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることです※2。
貴市におかれましては、この度、地方公共団体として 2050 年の温室効果ガスの排出量実質ゼロ(ゼロカーボンシティ)を目指すことを表明されました。
出所:市川市公式Webサイト、「山口環境大臣メッセージ」、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/env01/file/0000393013.pdf、2022年8月1日閲覧 (太字は筆者)
今回の貴市の表明をもちまして、ゼロカーボンシティは国内で 581 地方公共団体となりました。我が国としての 2050 年カーボンニュートラルの実現に向け、大変心強く感じております。
近年、国内各地で大規模な災害が多発しているところですが、地球温暖化の進行に伴い、今後、気象災害の更なる頻発化・激甚化などが予測されております。こうした私たちの生存基盤を揺るがす「気候危機」とも言われている気候変動問題に対処するため、2050 年カーボンニュートラルの実現を目指す必要があります。
また、市川市は、2021年3月には「市川市地域エネルギー計画」を策定しています。計画では、将来像として、「エネルギー循環型スマートシティ」を示しており、「エネルギーの地産地消」などを推進する施策を挙げています。
本市の特性である都市型の廃棄物エネルギーを始めとした個別の取組を、地域新電力会社が中心となって効率的に繋げることで「エネルギーの地産地消」「再生可能エネルギーの導入促進」「省エネルギー支援」などを推進し、エネルギー循環型スマートシティを目指します。
出所:市川市公式Webサイト、https://www.city.ichikawa.lg.jp/env01/0000365965.html
市川市のエネルギー計画などについては、稿を改めて記事にすることも考えています。私たち人間には温暖化防止などの地球環境保護の責任があると思います。自然の一部である人間が、自然を不自然なかたちに変え続けてきたことが、様々な悪影響を引き起こしている可能性がある、ということを、身近な自然の変化を確認することから感じ取れます。
市川市民として、環境問題、エネルギー問題を取り巻く政府の方針や大企業の動向に注目することに加え、市川市の計画の進捗もウォッチし続けたいと思います。
※ ※ ※ ※ ※
〈注釈〉
※1:アフューは、a few で、「2,3の」、「少数の」、「いくつかの」という意味です。
※2:〈2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林、森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。(※人為的なもの)
カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに 吸収作用の保全及び強化をする必要があります。
地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択され、世界共通の長期目標として、
・世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)
・今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
等を合意しました。この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げているところです。〉
(出所:脱炭素ポータル、https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/、2022年8月1日閲覧)