先日始まった「コラム」の新シリーズ、「市川ちょっと話」の第2回です。
このシリーズは、フリスタのメンバーが気になっている市川市にまつわる事項のうち、あまり広くは知られていないのではないかと思われるモノ・コト・人物などを取り上げる短文です。知らなくても問題はないけれど、知ると、「市川市って実に面白い場所だな」、「市川市に50年以上住んでいるけれど知らないことが多いな」などと思えるかもしれません。
「まちづくりNPO」であるフリースタイル市川のWebサイトに、どうしてそんな話を載せるの?とお思いの方もいるかもしれませんね。このコラムそのものが「まちづくり」に直接関わるものとは言えない、それはその通りでしょう。せいぜい、市川パースン※1同士で話をしているときに、「この話、知ってる?」という風に切り出して、「市川ちょっと話」の内容を喋って、市川話(いちかわばなし)で盛り上がることができる、その程度だとは思います。が、その程度の小さなコミュニケーションがたくさん生まれることも、「まちづくり」にとって、大切なのではないかと思うのです。
出所:『【市川ちょっと話】市川で誕生したサード長嶋』、フリースタイル市川Webサイト 2022年6月16日、https://fs-ichikawa.org/chotto_banashi001/
上の文章は、「市川ちょっと話」第1回から引用したものです。市川パースン同士の会話の中で、ちょっとしたスバイスになればよいなと思っています。
第2回の本稿では、京成バスのバス停、「姫宮団地入口」の謎を扱います。
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はじめに、京成バスのバス停「姫宮団地入口」の場所を、地図上で確認しましょう。
上の地図の中央付近に赤いピンが打たれている場所が、バス停の「姫宮団地入口」です。
このバス停を利用する人の中には、大柏川の西にあるマンション群(A~Dの4棟から成る「市川グリーンハイツ」、A~Cの3棟から成る「市川パークハイツ」)の住人が多く含まれます。
ちなみに、グリーンハイツとパークハイツの間を通る1本の道(地図では赤いピンから左上=北西に伸び、セブン-イレブン市川南大野2丁目店を追い越し※3、「こざと北公園」と「こざと南公園」※4という2つの人工池の間を抜けるストリート)沿いにも、同じく「姫宮団地入口」というバス停があります。バスのルートによって、バスが停まるバス停が異なっています。
地図の赤いピンとは別の(100メートルほど離れた場所の)「姫宮団地入口」は、「じもとの放送局」さんのYouTube動画『【市川さんぽ#18】今回はJR市川大野駅~南大野周辺をドライブします!地元で人気のおいしいお店がたくさんあります。お散歩に行ってみてください!』の1分31秒あたりの、画面左側に見えます。また、この時、画面左に見えるマンションが市川グリーンハイツ、右に見えるのが市川パークハイツです。
ちなみに、市川パークハイツには、かつて同時期にDAIGOさん※5とヨネスケさん※6が住んでいました。
何を隠そう、この私※7は、南大野2丁目のこのマンション群で育ちました。そして、数えきれない回数、「姫宮団地入口」からバスに乗り、「姫宮団地入口」でバスから降りました。今でもよくこのバス停を使っています。
私は、このバス停の名前から、市川グリーンハイツと市川パークハイツを総称して「姫宮団地」と呼ぶのものだと思い込んでいました。
しかし、ある日、母から衝撃の事実を聞いたのです。
グリーンハイツとパークハイツは、姫宮団地じゃないよ。川のあっち側にある住宅地が姫宮団地らしいよ。
出所:1990年代前半、ノスタルジー鈴木の母親の発言。
母の言葉を聞いた私は、驚きのあまり、飲んでいたコーヒーを吹き出してしまいました。
真の「姫宮団地」は、一体どこにあるんだろう。長年、この謎を解き明かせずにいました。
たまに、当時、グリーンハイツやパークハイツに住んでいた旧友と会話する時に、「グリーンとパークは姫宮団地じゃないらしいぜ!」と言うと、100%の確率で相手は驚き、飲んでいるコーヒーを吹き出します。みんな、グリーンハイツとパークハイツが姫宮団地だと思い込んでいるのです。
旧友のひとりで、かつて市川パークハイツに住んでいた人物(ここでは「エグチK」さんとしておきます)に、このことを伝えると、彼は京成バスに問い合わせました。「姫宮団地入口」のバス停の名の由来となった「姫宮団地」はどこにあるのか教えてほしい、と。しかし、返事はありませんでした※8。
長年の謎は、しかし、突然、解き明かされました。奉免町(ほうめまち)を探索した人が綴ったWeb上の記事に、詳細な記述と写真が残されていたのです。
我が家から奉免町へ行くには、JR総武線本八幡駅で下車し、町の北側京成バス「姫宮団地入口」バス停で降りた。バス停の“姫宮”は常盤井姫のことと推察し、団地が見たくバスを降りた若い主婦に『姫宮団地ってどの建物ですか?』と聞くが、『そんな団地はありませんよ、バス停前はパークハイツで、後ろはグリーンハイツです』と、つれない返事。 幻の“姫宮団地”か?
奉免町の北端、武蔵野線沿いに住宅が並んでいる。 その中に「都美人 ひめみや食堂」の文字が見える。 アレ!、また幻の“姫宮”か? しかも“都美人”だって!
食堂の前まで行くと、玄関先に「ひめみや団地自治会」の札が下げられていた。
集合住宅が並ぶ団地をイメージした私が馬鹿だった。 姫宮団地は、バス停からチョイト離れた、安楽寺近くの戸建て住宅の団地だった。、、、、建ち並ぶ家を見ると、昭和50年前後に分譲された団地のように見える。
出所:『菊の御紋は奉免町』、「雅万歩 雅夫の一日一万歩の散歩」2018年10月28日、https://nabe-masao.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-607a.html (水色の下線は筆者による)
昨年(2021年)、この情報に辿り着いた時、驚きのあまり飲んでいたコーヒーを吹き出してしまいました。そして、すぐに旧友であり、元・市川市民であり、元・市川パークハイツ住民のエグチKさんに、「シン・姫宮団地」(真の「姫宮団地」)の在り処を伝えたのでした。
市川市自治会連合協議会のWebサイトによると、「ひめみや団地自治会」は、「奉免町の一部」と「柏井町2丁目の一部」に相当するということです。
私はまだこの目で「姫宮団地」を訪れてはいません。近日中に、自転車をスイスイとこいで行ってみようと思います。いや、やはり、本八幡北口から京成バスに乗り、「姫宮団地入口」で下車して、そこから歩いて「姫宮団地(ひめみや団地)」に赴きます。「入口」から「団地」まで歩き、この目で存在を確認した時、長年の謎が本当に解き明かされるのだと思います。
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〈参考情報〉
市川市を自転車で楽しむことなどを目指して、最近立ち上がった市川市内のグループ、「てんてんけん」こと「自転車天国研究会」のWebサイトでも、先日、「姫宮団地入口」に関する記事が公開されていました(何を隠そう、この私※7が、その記事を書いたジョージさん※9に「姫宮団地」に伝えたのです)。
▼参考記事
『時を駆けるバス停・・「姫宮団地入口」 スイスイ道路の十字星』
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〈注釈〉
※1:市川パースンとは、市川市民だけでなく、元・市川市民、市川市で働いている人、市川市の学校で学んでいる人、市川市が好きで頻繁に訪問しては飲食店を漫遊してエンジョイしている人※2などを含む、市川市に関わりのある人(パースン)を指す語です。
※2:市川市が好きで頻繁に訪問しては飲食店を漫遊してエンジョイしている人としては、週末八幡botさんがよく知られています。
※3:「セブン-イレブン市川南大野2丁目店を追い越し」という表現は、「調布基地を追い越し」という、荒井由実さんの『中央フリーウェイ』の歌詞に対するオマージュです。
※4:「こざと北公園」、「こざと南公園」は、市川グリーンハイツ、市川パークハイツなど、近隣の住民たちの憩いの場となっている、調整池とその周囲の遊歩道からなる公園です。「中山・下総・散歩道」という素敵なWebサイトでも紹介されています。https://www.travel.smileandhappiness.net/kozato-koen.html
※5:DAIGOさんは、〈日本のシンガーソングライター、ミュージシャン、タレント、俳優、司会者。3人組ロックバンド・BREAKERZのボーカル〉(Wikipediaより)で、初期にはDAIGO☆STARDUST(ダイゴ☆スターダスト)名義で活動していました。また、〈母方の祖父は元衆議院議員で、第74代内閣総理大臣の竹下登〉(Wikipediaより)です。
※6:ヨネスケさんは、タレント活動時はこの名義で、落語家としては桂米助(かつらよねすけ)として活動しています。
※7:「何を隠そう、この私」という肩に力の入った表現は、ゆでたまごさんの漫画『キン肉マン』の主人公であるキン肉マンが作中で発するセリフへのオマージュです。
※8:このフレイズからは、「返事がない。ただの屍のようだ」という、『ドラゴンクエスト』シリーズに登場する説明セリフを連想します。
※9:ジョージさんは、「自転車天国研究会」(通称:てんてんけん)の活動を牽引する紳士で、ソウル・ミュージックをこよなく愛してもいます。