【再開発】本八幡駅北口に新たなタワーマンションが建設されたら――2023年7月時点の鳥観図

コラム

当サイトには「再開発」に関する記事を何本も掲載していますが、本稿もまた、再開発にまつわる内容であり、先週公開した記事の続きでもあります。

未読の方は本稿を読む前に読むか、読んでから読むか、二つに一つですよ!

といっても、本来であれば、わざわざ記事の形をとるまでもないというか、表題の

【再開発】本八幡駅北口に新たなタワーマンションが建設されたなら――2023年7月時点の鳥観図

に対するアンサーは、冒頭の画像なので、これにて「おわた」ということにしても良いのですが、それでは「あんまり」なので、「終わりじゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ」※1ということで、筆先に染み込ませた墨汁がなくなるまでは筆を滑らそうと思います。

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2023年7月28日に行われた「市川市景観審議会」の資料「本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業について」には、景観シミュレーション(資料内では”シュミレーション”となっていますが、これは誤りです)が掲載されています。

本八幡駅前北口駅前地区に、新たに高層建築物ができた暁には、どんな風に見えるのか、気になりますよね。それをシミュレーションしたもの(CG画像)が載っているので、これを紹介します。CG画像は5枚掲載されているにですが、今回は、市川市役所第1庁舎の前から、千葉街道(国道14号線)、八幡の藪知らずの方を見上げた時に、どのように見えるかを確認します。

こんな風に見えます。

出所:「本八幡駅北口駅前地区第一種市街地再開発事業について」
(市川市景観審議会、2023年7月28日)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit01/file/0000435926.pdf
2024年3月15日閲覧。冒頭の画像の出所も同様。
※冒頭の画像は「計画建築の鳥観図(他地区を意識したスカイライン)」。

画像の左にそびえているのが、下図の右から2つ目「南棟」(予定では160mになるとか!)、画像の右に位置しているのが、下図の一番右にある「北棟」(78mの予定)に当たります。

どうですか?

藪知らずのあちら側に摩天楼がそびえている、というのは、超現実的な印象です。そりゃそうですよね、今現在は「ない=現実ではない」のですから。

それにしても、160mというのはとんでもない高さですね。

アイリンクの西の棟、ザ・タワーズ・ウエストと同じくらいです。ちなみに、アイリンクのある市川駅南口から、数百m南に、現在、100m超のタワーマンションが建設されていることをご存知でしょうか。

この記事で少しだけ触れています。

さて、本八幡に再度眼差しを向けましょう。

タワマンが本八幡の駅近くにひしめき合うような状況になると、ビル風が吹き、地上を歩く時に帽子を飛ばされたり、自転車が倒れたり、お店の看板やのれんが傾いたりする可能性はないのでしょうか。というようなことを、中学生も懸念していました。

ビル風については、景観審議会においても懸念が示されていました。興味のある方は、議事録をチェックしてみてください。

市川市公式ウェブサイト
令和5年度 第1回市川市景観審議会(2023年7月28日開催分)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit01/file/0000438902.pdf

この議事録で確認できますが、市川市景観審議会の会長である木下勇氏(大妻女子大学社会情報学部 教授)が、次のような発言をしています。

スイスから来た人たちに本八幡の再開発計画について相談した際、本八幡のアイデンティティは何かと聞かれました。設計者もそんなことは考えたことなかったというやりとりがありました。名のある設計者が関わったとしても、どこでも同じような駅前になってしまう。このようになってしまう背景には市街地再開発事業の仕組みそのものにもあります。
制度が違いますが、スイスでは工場跡地の再開発に市民が反対して、工場を残しながら市街地とミックスした再開発を展開しています。
最初は公共的投資をするけど、徐々に民間が入ってくるような全体的なマネジメントが大事です。

出所:市川市公式ウェブサイト「令和5年度 第1回市川市景観審議会」(2023年7月28日開催分)https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit01/file/0000438902.pdf、2024年3月18日閲覧、太字は筆者。

誰が設計したとしても、設計思想というか、設計をする上で拠って立つ、その土地に特有の持ち味とでもいうべき、アイデンティティがはっきり意識さていないと、そして、それを言語化するなどして、利害関係者(今回の場合は市民全体?)に周知・共有されていないと、どこにでもある駅前になる――

景観審議会の会長が、このように危惧しており、警鐘を鳴らしているわけですから、市の関係各者や事業者の方々には、鐘の音をちゃんと聞いていただいて、対応をしていくことを望みます。

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〈注釈〉

※1:鳥山明氏の作品、漫画『ドラゴンボール』の17巻(其之百九十四)で、第23回天下一武道会の決勝戦が、孫悟空によるマジュニアことピッコロ大魔王に対する勝利で決着し、悟空が筋斗雲でチチを連れて飛び去った後、亀仙人が言った「最終回じゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ」に対するオマージュです。

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執筆日 2024年3月25日
公開日 2024年3月28日