【コラム】「市川市都市計画マスタープラン」って何だろう?

コラム

表題のクエスチョン、「市川市都市計画マスタープラン」って何だろう?に対する答えは、現状の「市川市都市計画マスタープラン」に掲載されています。早速見てみましょう。

「市川市都市計画マスタープラン」とは

市川市(2004年4月)
市川市都市計画マスタープラン2004
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit01/file/0000395111.pdf

「都市計画マスタープラン」は、都市計画法(第 18 条の2)に定められている「市町村の都市計画に関する基本的な方針」の呼称であり、市町村がその創意工夫のもとに、市民の意見を反映して、都市の将来のあるべき姿や都市づくりの方向性を定めるものです。

「市川市都市計画マスタープラン」は、「市川市総合計画」に示された将来都市像『ともに築く 自然とやさしさがあふれる 文化のまち いちかわ』を具体化していくための都市づくりの基本的な方針となります。

出所:市川市「市川市都市計画マスタープラン2004」(2004年4月)https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit01/file/0000395111.pdf、2023年11月16日閲覧

※冒頭の画像は「市川市都市計画マスタープラン2004」の表紙に少し手を加えて加工したものです。

2004年版の「市川市都市計画マスタープラン」が、今現在(2023年11月現在)の最新版であり、現役のマスタープランです。え?そんなに古いものが今も使われているの?と思うかもしれませんが、このマスタープランは、つくった時点から20年ほど後のまちづくりの方向性を示しているものなのです。

2004年版の「市川市都市計画マスタープラン」は、PDF形式のファイルで199ページもあるので、読むのは大変ですが、子どもを含むたくさんの市民の協力があって完成したプランであり、今年が公表されてから19年目に当たるので、一度読んで(または、見て)いただきたいです。

ちなみに、概要版という、「市川市都市計画マスタープラン」のエッセンスをまとめた12ページの資料もあるので、「タイパ重視」(タイムパフォーマンスを重視する)の人は、概要版をチェックするのでも良いと思います。ところで、タイパは、先行した多用されてきた(コストパフォーマンス、略して)コスパという語を踏まえた表現だと思われますが、そもそも、投入した費用に対して得られる効果「費用対効果」は、コストに対するベネフィットなので、コストvs.パフォ―マスではなく、コストvs.ベネフィットであり、コストベネフィットという表現の方が適当で、コスベ、または、コスベネの方が適当で…

市川市都市計画マスタープラン2004概要版 ←タイパ重視のあなたへ
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit01/file/0000395112.pdf

「市川市都市計画マスタープラン」には市民の意見も反映されています

市民の意見も反映されている、というのは、市民モニター(合計118名:北東部28名、北西部32名、中部21名、南部37名)から、都市計画マスタープランを検討する際の資料「まちのデータ集」「地域別ハンドブック」の作成段階から意見を求めたり、地域別構想素案に対して意見を出してもらっている、ということです。また、大町小学校、大野小学校、中山小学校、中国分小学校、百合台小学校、市川小学校、宮田小学校、鬼高小学校、新浜小学校、新井小学校の生徒に、「未来の市川 こんなまちにしたい、こんなまちに住みたい」をテーマとした作文(206点)や絵(187点)を制作してもらったということです。
情報出所:「市川市都市計画マスタープラン2004」資料編
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cit01/file/0000395119.pdf

19年前に小学生だった人は、今、25歳から31歳になっています。今の市川市は、当時、「こんなまちにしたい、こんなまちに住みたい」というテーマで書いたり描いたりしたまちの姿と似ているでしょうか。似ても似つかないでしょうか。

当時、どんな作文や絵が作成されたのかを知りたい人は多いと思うので、市役所のファンクションルーム(でしたっけ?第一庁舎の1階にある展示スペース)に展示してはどうでしょうか。

「市川市都市計画マスタープラン」の位置付け

さて、改めて「市川市都市計画マスタープラン」の位置付けを確認しましょう。

出所:「市川市都市計画マスタープラン2004」を参考に作成。

「市川市都市計画マスタープラン」は、市川市の将来の都市像が掲げられた「市川市総合計画(基本構想)」と、「千葉県都市計画マスタープラン」(正式名称:千葉県都市計画区域の整備、開発及び保全の方針)に即して定められた、まちづくりを実現するための「部門別の諸計画」に対する総合的な指針です。そして、

「市川市都市計画マスタープラン」の内容は、

  • 「全体構想」全体の視点による市全域を対象とする構想
  • 「地域別構想」市民の生活の視線で身近な地域を対象とする構想
  • 「まちづくりの推進方策」これらの構想を実現していくための考え方

で構成されています(上図のブルーのブロック)。

つまり、市の総合計画や、県のマスタープランという、大局的な計画と、市川市における再開発や緑・環境、景観、交通など、各部門の計画、さらにその先にある、個別具体的なまちづくりの実現の間をつなぐ、非常に重要な位置にあるのが、「市川市都市計画マスタープラン」なのです。

行政だけでなく、市民や事業者もまちづくりの担い手です

まちづくりの担い手は、行政はもちろんですが、それだけではなく、事業者や市民にも、役割があります。言い方を変えれば、みんな、まちづくりに関われるんですよ!

行政は、「まちづくりに関する総合窓口」を設けており、事業者や市民に対して、収集した情報を提供したり、各種活動を支援したり、講演会や勉強会を開催したり、市民の意見や提案を受け付けたり、関連する課との調整を日々行っています。また、都市計画マスタープランと部門別事業等との調整をしたり、関係機関との調整をします。都市計画マスタープランはつくって公表して終わりではなく、プランに沿って事業を進めていく必要があるので、マスタープランの進行管理も行います。

市民や事業者は、計画・構想策定に参加したり、身近な施設の管理や運営をしたり、まちづくり計画等を行政に対して提案したり、フリースタイル市川などの活動に参加したり、ボランティア活動に参加したり、まちづくりに関する勉強会を開いたり参加するなど、様々なかたちで、まちづくりに関わっていますし、関わることができます。

市川市のまちづくりの整備方針

ここからは、「市川市都市計画マスタープラン2004」のエッセンスである「概要版」から、数箇所抜粋し、紹介していきます。

まずは、「まちづくりの整備方針」について見てみましょう。
※以下の1~4は「市川市都市計画マスタープラン2004」の「概要版」からの引用です。

1.調和のとれた土地利用

自然、歴史と文化、都市の経済性や就業環境等に配慮し、自然と共生した住宅都市を基本に、適正な機能の配置と地域の特徴を適切に活かした魅力や活力ある土地利用を図ります。
また、今までのまちづくりの課題に対応するとともに、農地や水辺等の自然環境の保全に努め、無秩序な市街化を抑制し、防災性に優れた魅力ある市街地の形成を目指します。
・まちづくりを支える拠点や軸の形成
・いつまでも住み続けられる住環境の形成
・まちの課題に対応した、新たな魅力の創出

2.資源の活用と景観づくり

江戸川や三番瀬等の水辺環境や貴重な緑、また歴史的な環境を守り、活かし、再生し、さらに地域の特性に応じた公園や緑地の整備など市民生活にゆとりや潤いを与える景観づくりを進めます。
また、これらの資源のネットワーク化を図るとともに、市民や事業者と協働で、質の高い魅力的なまちづくりを目指します。
・良好な自然環境の保全と活用
・歴史的・文化的資源の活用と都市空間の形成
・市民・事業者と行政の協働による資源の保全や景観形成等の取組み

3.安心して暮らせる環境づくり

密集市街地の改善、避難地・避難路等の整備、河川整備を中心とした総合的な治水対策を進め、また地域コミュニティの強化や福祉に配慮した住環境づくりなどにより、誰もが健康で安心して暮らせる、災害に強い都市づくりを進めます。
さらに、市民・事業者、行政との協働による環境と共生する都市づくりを目指します。
・災害に強い安全なまちの形成
・誰もが生き生きと暮らし、活動できるまちの形成
・環境と共生する、持続可能なまちづくり

4.快適な交通環境づくり

公共交通機関や都市計画道路の整備状況と土地利用状況を踏まえて、安全性・利便性・防災性、また環境面等の観点に立ち、効率的で円滑な道路網の形成を図り、安全で快適な人にやさしく市民生活や交流を支え育む道づくりを進めます。
また、自動車利用や自動車流入の抑制、環境にやさしい自動車の導入など、環境への負荷を軽減する交通環境づくりを目指します。
・交通拠点における機能の向上
・地域や拠点を結び、市民生活や交流を支える交通体系の形成
・人や環境に配慮した交通環境の形成

市川市の地域別構想

続いて、同じく「市川市都市計画マスタープラン2004」の「概要版」から、市川市の地域別の構想を紹介します。
※以下の1~4は「市川市都市計画マスタープラン2004」の「概要版」からの引用です。

1.北東部地域

将来像
里山や農地の自然環境にふれあい、街道沿いの歴史と文化を大切にして活気を育み水辺の環境で集い交流する北東部のまち

出所:市川市都市計画マスタープラン概要版

目標
・豊かな自然環境を大切に育むまちづくり
・自然や歴史と共生した住みやすいまちづくり
・歴史と芸術、文化を大切にした活気のあるまちづくり
・誰もが安心に住み続けられる優しいまちづくり
・多世代が交流するコミュニティのあるまちづくり

2.北西部地域

将来像
“水と緑の回廊”を活用した 人が育むまち

出所:市川市都市計画マスタープラン概要版

目標
・豊かな自然と固有の歴史を「守り・育て・つなげる」まちづくり
・水と緑に守られた誰もが「安心して快適に」暮らせるまちづくり
・活気と潤いが調和する「めりはり」のあるまちづくり
・世代をこえて誰もが「集い・語らい・触れ」あえる市民主体のまちづくり

※地域づくりに留意すること
[外かん道路について] 防災、景観、安全、安心の観点から、20年後に生きる市民のための空間づくりを市民と行政が一体となって進めます。

3.中部地域

将来像
江戸川の自然を活かし
アートふる・ハートふるなまち

出所:市川市都市計画マスタープラン概要版

目標
・水と緑に彩られ 文化を育む 豊かなまちづくり
・誰でも安心して生活できる 温もりと安らぎのあるまちづくり
・人々が楽しく集い 快適で暮らしやすく 調和の取れたまちづくり

4.南部地域

将来像
若潮の香りと豊かな生活環境に恵まれた
住み続けたいまち ― 行徳

出所:市川市都市計画マスタープラン概要版

目標
・街道町・新市街地・臨海部の3つの個性を活かしたまちづくり
・三番瀬や江戸川などの豊かな水辺空間と「行徳文化」を活かすまちづくり
・みんなが健康に安心して暮らせる「生活の質」を高めるまちづくり
・歩いて・自転車で・車椅子で快適に回遊できるまちづくり

「市川市都市計画マスタープラン」の改定に向けてアンケート実施中(~2023年11月28日)

実は今、市川市では、「市川市都市計画マスタープラン」の改定のため、市民アンケートを実施しています。市民とは言いますが、住民でなくても、市川市の学校に通学している人や、市川市で働いている人なども回答できるようです。締め切りは2023年11月28日ですよ。

市川市公式Webサイト(2023年11月15日)
都市計画マスタープラン改定のための市民アンケート(アンケートの説明ページ)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/cit01/0000441393.html
※アンケートフォームへのリンクはこのページに掲載されています。

本稿をここまで読み進めた人は(もし、まだアンケート締め切り前であれば)、きっとアンケートに回答することでしょう!

一市民が、市川市に意見を届ける手段が用意されているのです(このアンケート以外にも様々な方法で普段から意見を伝えることはできますが、今回は大々的に募っています)。是非、1人でも多くの市民(だけでなく、市川市に通っている人も答えられます)にアンケートに参加してほしいと思います。集まった意見の数、回答した人数が多い程、市川市の当該事業関係者は、寄せられた意見をなるべくマスタープランの改定に反映させたいと思う・・・はずです。

色々なかたちで、私たちのまちのまちづくり※1に関われます、ということを、このような場で伝えていくことも、まちづくりをおこなうNPOであるフリースタイル市川の大事な活動だと思い、こんな記事を綴りました。

Let’s fill out the questionnaire !

See ya !

脚注

※1:まちのまちづくり
と、全部ひらがなで書くと何だかわかりづらいですね。
まちの「まちづくり」
と、カッコを用いる方が良いかもしれません。

執筆日・公開日

執筆日 2023年11月16日
公開日 2023年11月19日