農林水産省のWebサイト内に、「市町村の姿 グラフと統計でみる農林水産業」というコーナーがあり、自治体別の「販売を目的とした農畜産物の作付・飼養状況」(2020年農林業センサス)を確認することができます。
本日は、市川市の農業について、「農業経営体」の数を見てみたいと思います。
ちなみに、「農業経営体」というのは、
次のいずれかに該当する事業を行う者。
出所:農林水産省の資料(用語の解説(農林業経営体調査) https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/gaiyou/attach/pdf/index-13.pdf および 「農業経営体」と「農家」の概念図(2010年世界農林業センサス・東北) https://www.maff.go.jp/tohoku/stinfo/toukei/tosyo/pdf/2010ce_gainenzu.pdf)、2023年6月24日閲覧
(1)経営耕地面積が30a以上の規模の農業
(2)農作物の作付面積又は栽培面積、家畜の飼養頭羽数、その他の事業
の規模が次の外形基準以上の農業
①露地野菜作付面積 15a ②施設野菜栽培面積 350㎡
③果樹栽培面積 10a ④露地花き栽培面積 10a
⑤施設花き栽培面積 250㎡ ⑥搾乳牛飼養頭数 1頭
⑦肥育牛飼養頭数 1頭 ⑧豚飼養頭数 15頭
⑨採卵鶏飼養羽数 150羽 ⑩ブロイラー年間出荷羽数 1,000羽
⑪その他 調査期日前1年間における農産物の総販売額50万円に
相当する事業の規模
(3)農作業の受託の事業
とのことです。細かく定義されていますね。
さぁ、では、早速見ていきましょう!
以下の表は、農林水産省公式Webサイト「市町村の姿 グラフと統計でみる農林水産業」https://www.machimura.maff.go.jp/machi/map/12/index.html の各自治体のWebページに掲載されている「販売を目的とした農畜産物の作付・飼養状況(2020年農林業センサス)」の数値(2023年6月24日閲覧)を用いて作成したものです。
ちなみに、比較のために、隣接する船橋市、松戸市、鎌ケ谷市と、梨の生産が市川市と同程度かそれ以上だという白井市の数値を市川市と並べています。浦安市についてはデータがなかった(気になる方はチェックしてみてください)ので、載せていません。
さて、では、見てみましょう。表を!
「日本なし」、これは、「和梨」とも言ったりしますが、やはり市川市には、「日本なし」の農業経営体の数が非常に多いですね。白井市が179あり、この5自治体の中では1位、千葉県の全自治体を確認していませんが、恐らく千葉県で1位でしょう。全国1位かもしれません。市川市は白井市に次いで2番目ですね、この5市では。以下、鎌ケ谷市の144、船橋市の108、松戸市の54となっています。いずれの自治体でも、果樹の農業経営体の数としては「日本なし」が最多ですね。
松戸市には「りんご」をつくっている農業経営体があるのですね。驚きました。また、これら5市では、いずれも「温州みかん」をつくっているという事実も。単につくっているということではなく、販売を目的として栽培している経営体があるということです。
他にも興味深い数字が色々とありますよ。
「水稲」、いわゆる田で栽培される稲ですが、市川市ではこの水稲を販売するために生産している経営体は8と少ないですね。白井市、船橋市、松戸市には100以上もあるのに。一方で、下図は少ないものの、鎌ケ谷市以外には、「陸稲」をつくって販売している経営体が、それぞれ1ないし2あるというのは驚きでした。知っていますか?「陸稲」を。「りくとう」と読みます。「水稲」は「すいとう」です。「陸稲」は畑で栽培する稲です。
船橋市、白井市には、「さとうきび」をつくっている経営体がありますね。
その他、全体をざっと見てわかることは、「船橋市は農業が盛ん」ということですね。松戸市も負けてはいません。勝ち負けじゃないですけどね。
松戸市の「ねぎ」、船橋市の「ほうれんそう」や「にんじん」。
では、市川市の野菜は?
注目すべき動きがあります!
ご存知ですか?「いちベジ」を。
市川産野菜の消費拡大や販売促進を目指して立ち上げたブランド、それが、「いちベジ」です。
農業協同組合新聞公式Webサイト(2023年3月7日)
市川産野菜「いちベジ」ブランド本格化 新鮮野菜をアピール 千葉・JAいちかわ
https://www.jacom.or.jp/noukyo/news/2023/03/230307-65177.php
JAいちかわ公式Webサイト(2023年3月9日)
「いちベジ」お披露目会を開きました
https://www.ja-ichikawashi.or.jp/archives/15174
J:COMテレビ公式YouTubeチャンネル(2023年4月6日)
地元農業を応援! 地場サンっ!! ~市川産野菜をブランド化へ『いちベジ』2023年4月始動!!!(2023年3月放送)
https://www.youtube.com/watch?v=PSb2xaXiRaA
※冒頭の画像はこの映像から引用したものです。
市川市や近隣市の小売店舗(スーパーマーケットや青果店など)で「いちベジ」が販売されることが増えればよいですね。
ちなみに、7年前の2016年(平成28年)に市川市経済部農政課が作成した、「いちかわ都市農業振興プラン」には、市川市の農業の特徴として、次の①~⑥が挙げられていました。
①大消費地の東京に隣接し、住宅都市である本市では、果樹を中心とした直売所の数が多く、スーパーマーケットでもインショップとして販売する等収益率の高い農業経営が行われています。
出所:市川市 経済部 農政課「いちかわ都市農業振興プラン」(平成28年3月)、https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000232983.pdf、2023年6月24日閲覧
② 北部では農業振興地域を含む一団の優良な農地が形成され、果樹、野菜や花きといった様々な農産物が生産されています。
③果樹は、県下1位の産出額を誇る地域ブランド「市川のなし」があります。
④野菜は露地栽培のネギや施設栽培のトマト等があり、四季折々旬の農産物があります。
⑤花きはシクラメンやペチュニア等を中心に施設栽培が行われています。
⑥市内の農家は、兼業農家と自給的農家で半数以上を占めています。
ここで⑤として書かれている「花き」ですが、上の表でも、経営体数は船橋市と並んで、5市で最多なのです。
「いちかわフラワー」が、身近で買えるとうれしいですね!
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ところで…
フリースタイル市川が主催するイヴェント(共催は KeiyoGAS Community Terrace)、「いちカイギ」で、以前、いしい農園の石井一平さんにお話をしていただきました。住宅地に近接した、都市型農業ならではの工夫や皆さんに伝えたい想いを語っていただいたことを、今、この記事を書きながら思い出しました。
いしい農園 https://bit.ly/34hIBhs
「一平トマト」でお馴染みの、地元市川で活躍する農家さん。
市川市国分の農園でつくられた減農薬有機野菜は、奥様が営む園内のカフェ「ガルテンカフェぶ楽り」で野菜たっぷりのピザやカレーがいただけたり、有機野菜専門店の「やさしい野菜屋さん」や、「道の駅 いちかわ」等で購入できます。
テレビ朝日「ちい散歩」でも、見慣れた市川の風景とともに、一平トマトが紹介されました。昔と変わらない、自然のままに育てられた旬の野菜のすばらしさを届けてくれています。
出所:特定非営利活動法人フリースタイル市川公式Webサイト、「【第16回いちカイギ】3月21日(祝)開催です」(2022年3月8日)、https://fs-ichikawa.org/ichi016/、2023年6月24日閲覧
そんな「いちカイギ」では、毎回、市川市で、地域に対して想いを持って活動している3組程度のゲスト・スピーカーをお招きしています。
次回、「第25回いちカイギ」は、まもなくやって来る7月、2023年の下半期の初日、7月1日(土)に「笹の葉ラプソディ」という副題を添えて、KeiyoGAS Community Terrace にて、14時から16時まで開催されます。
個性豊かな3組5名のゲストをお招きします!興味のある方は、是非、ご参加ください。参加方法は上の記事内に掲載しています。
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遠くない将来、「いちベジ」の立ち上げに関わった方に、「いちカイギ」にお越しいただいて、お話をうかがってみたいですね!
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執筆日 2023年6月24日
公開日 2023年6月26日