公開日:2022年12月23日
男女は平等?不平等?
過日、冬の果実に齧りつきながら、冷え切った六面に囲まれて、市川市の多様性社会推進課が2022年2月1日~2月14日に実施した「市川市e-モニター制度※2による男女共同参画に関するアンケート」の結果を眺めていました。
この調査では「社会全体において男女の地位は平等になっていると思いますか」という質問をしていました。この問いへの回答を集計した結果を紹介します。
上のグラフ(年代別集計のグラフ)内のnは回答人数を表しています(10代と20代はnが小さいため、数値は参考程度に留める必要があります)。このグラフを見れば一目瞭然、「男性が優遇されている」と感じている人が多いことがわかります。なお、本来は「わからない」という回答があるのですが、グラフには表示していません。
10~80代の対象者全体で見ると、「平等」だと感じている人は12%でした。前年の調査(2021年2月2日~15日)では13%だったので、微減、というか、ほぼ同水準ですね。2022年2月調査では、「平等」の目標値が18%だったので、目標に6ポイント及ばず、という結果でした。
下のグラフは男女別に集計した結果です。女性は男性以上に、男性が優遇されていると感じている割合が高く、平等だと感じている割合が低いですね。
市川市はこの調査結果をふまえ、次のようにコメントしています。
e-モニターアンケートによると、男女ともに男性が優遇されていると感じており、女性の方 がより男性優遇を感じる割合が高くなっています。男女ともに、男女の地位は平等であると思う人の割合が高くなることが、男女共同参画の意識が高い状態であると考えます。
所:市川市 総務部 多様性社会推進課「市川市男女共同参画基本計画 第8次実施計画(案)の パブリックコメント(意見募集)について」資料 (太字は筆者)
男女の地位が平等だと思う人は、極めて少ないと言わざるを得ないのが現状です。
また、男性のうち、「女性が優遇されている」と感じている人は17%ですが、女性でそう感じているのは3%で、その差は14ポイントと、大きく乖離しています。この意識の乖離は色々なトラブルの発生につながるのではないか、と、ぼんやりと思ってしまいました。
ちなみに、市川市議会においてもジェンダーギャップが存在しています。
市川市のDV相談件数は増加している
もう1つ、データを紹介します。
市川市におけるDV相談件数(警察への緊急的な相談を除き、市川健康福祉センター(市川保健所)、こども家庭支援課、多様性社会推進課のいずれかに相談があった件数)は、2018年度以降、増加を続けています。
DV防止法では被害者を女性に限定していません。これを前提とした上で、内閣府男女共同参画局のWebサイトを見ると、DVに関して、次のように説明されています。
配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性です。
出所:内閣府男女共同参画局、「ドメスティック・バイオレンス(DV)とは」、https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/dv/index.html、2022年12月23日閲覧(太字は筆者)
配偶者からの暴力などの女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害する重大な問題です。相談件数や調査結果等から、少数の人だけが被害を受けているのではなく、多くの人が被害を受けていることがわかります。
暴力には、いくつかの類型があります。
- 身体的暴力
- 精神的暴力
- 性的暴力
- 経済的暴力
内閣府男女共同参画局Webサイトに、暴力の事例が掲載されています。
暴力の事例
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/dv/02_1.html
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少なくない女性が生きづらさを感じざるを得ないのでは?
上で紹介したデータは、男女平等(ジェンダー平等)に関する市川市民の意識、そして、市川市におけるDV相談件数の推移でした。それぞれは直接的に関係しているわけではないかもしれません。が、いずれのデータも、市川市で、少なくない女性が生きづらさを感じざるを得ない状態に身を置いているのではないか、と私に思わせます。
- どうすれば、「男女の地位は平等だ」と思う人が増えるのか?
- どうすれば、DVが発生しなくなるのか?
この2つの問いに対する答えは、既存研究で明らかにされているかもしれません。今度、調べてみます。
ところで、今、市川市では、以下2つの実施計画(案)について市民から広く意見を求めています(募集期間は2023年1月15日まで)。
- 市川市男女共同参画基本計画 第8次実施計画(案)
- 市川市男女共同参画基本計画 第5次DV防止実施計画(案)
興味がある人は
https://www.city.ichikawa.lg.jp/gen05/0000416682.html
をチェックしてみてください。
「チェックしてみてください」と書きましたが、上の2つの実施計画の資料は、ともに100ページ以上もあります。「どれどれ、ちょっと見てみようかな」と、冬の果実でも齧りながら軽い気持ちでチェックするには、あまりに負荷が大きすぎると思います。市としては提供情報に不足がないよう、丁寧であろうとしているのだと思うのですが、読み手に苦労を強いてしまいますよね、これは。
なお、上で紹介したグラフは、現在意見を募集中の2つの実施計画(案)の資料に掲載されているデータを用いて作成したものです。
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市川市の「パブコメ」
市が計画を策定する際に、案の段階で市民に公開して広く意見を求め、その意見を踏まえた上で、案を決定するとともに、市民からの意見に対する市の考え方を示す――これを、パブリックコメント手続きと言います。
市川市では、毎年度、10前後の政策案についてパブコメ(パブリックコメントの略)を募っています。過去4年間に公開された政策案34のうち、9案は1件も意見が寄せられませんでした。全体の1/4超はゼロ件!そして、意見が2件以下だった政策案は18もあります(全体の53%)。4年間に公開され、広く意見を募った34の政策案の、実に半数以上は、集まった意見が2件以下という事実に、唖然とします。
※このブロックは以下の記事「【コラム】パブリックコメント(略してパブコメ)」(2022年11月30日)に記載した内容を元に書きました。
パブコメを募集しても集まる意見の件数が少ないのは、関心を持つ市民が少ないことも理由として考えられますが(とはいえ、50万人弱の人口がいる市川市で、意見が0件などということがあるでしょうか?あるのですが…)、100ページを超えるような分量の資料を公開して、意見求む!と言われても、読み解くのに時間が必要なので、資料をじっくり読むのを諦めてしまう人が多いこともひとつの理由なのではないでしょうか。
おまけ:私の好きな「ラブコメ」3作品
パブコメという語は、ラブコメ(ラブ・コメディ。ロマンティック・コメディを指す和製英語の略語)を想起させます。
ラブコメ免疫を持たなかった私が映画館で渋々見たところ、快心の一撃をくらったのが、韓国映画『猟奇的な彼女』でした。
その数年前に映画館で見て大好きになったラブコメ作品が、『メリーに首ったけ』です。
2007年頃だったと思いますが、今年閉店した妙典駅前のオークスブックセンター妙典店が前身の流水書房だった頃、この店で文庫サイズのコミックを買い集めた作品があります。それは、この作品です。
『めぞん一刻』という有名な作品です。私が好きな数少ないラブコメです。
すみません、パブコメから連想して、ラブコメについて綴ってしまいました。素直にI’mSorry…。
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〈注釈〉
※1:冒頭の画像は「市川市新庁舎建設基本設計図書」(株式会社山下設計)を加工したものです。
※2:〈市川市e-モニター制度(愛称:eモニ)とは、市川市が運営する登録制のアンケート制度です。モニターとして登録していただいた方に、インターネットを活用し、パソコンや携帯電話へ電子メールで市からアンケートや情報を発信し、回答していただきます。そして、みなさんの声を広く集め市政に反映していくものです。パソコンでも携帯電話でも参加できます。〉(引用)
出所:市川市e-モニター制度Webサイト、https://www.e-moni.city.ichikawa.chiba.jp/em/user/top/aboutHtml/、2022年12月23日閲覧
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