【コラム】市川市、「船橋市と他都市との比較」に登場

コラム

執筆日 2023年5月23日
公開日 2023年5月27日

市川市の隣の市である船橋市が、7年前の2016年(平成28年)3月に作成した資料、『「船橋市まち・ひと・しごと創生総合戦略」基礎調査報告書(2)』を読んでいたところ、「船橋市と他都市との比較」という項目に幾度となく市川市が登場していたので、本日はそれらを紹介します。

2015年の7~9月に事業者に対してヒアリングを行っているのですが、ヒアリング項目のひとつが、「船橋市と他都市との比較」でした。事業者は、マンション建設、宅地開発という観点で、船橋市と近隣の自治体を見たときに、人々にとって魅力的な居住地はどこなのか、という話をしています。

以下、出所は『「船橋市まち・ひと・しごと創生総合戦略」基礎調査報告書(2)』です。
https://www.city.funabashi.lg.jp/shisei/keikaku/009/p035822_d/fil/kisotyousahoukokusyo2.pdf

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・ 県内では、松戸市、柏市がライバル都市となる。同じ沿線でより都心に近い市川市は船橋市に比べ都市の競争力は高い。 ――E社(大手ゼネコン)

・ 現在の事業環境下でマンション開発地として魅力的なエリアは、市川駅、松戸駅、柏駅などに限られる。市川市は東京への玄関口であり、文教都市のイメージもある事から人気が高い。松戸駅や柏駅も常磐線が大手町まで直結しているため、人気がある。津田沼駅や千葉駅は、開発エリアを厳選して検討している。 ――F社(地元ディベロッパー)

市川市や浦安市の物件は、市川駅や行徳駅、本八幡駅など都心から 15 ㎞圏内にある駅周辺地域を中心に人気が高い。都内に通勤する購入者は、老後や転勤時の賃貸なども想定して資産価値をとらえており、これらの地域の競争力の強さにつながっている。市川市以北の地域であれば、エリアを限定せず開発を検討できるが、船橋市では北部地域などエリアによってはまったく触手が伸びない。――H社(マンション施工・販売)

・ 船橋市から他地域に移る住宅購入者では、現在の居住地から都心方面(市川市、浦安市、江戸川区、江東区など)への転居が多い。特に、江戸川区は子育て支援策が充実していることが人気の背景となっている。――H社(マンション施工・販売)

・ 船橋市の首都圏における位置づけは、中途半端な印象である。子育て支援に強みがあるわけでもなく、商業も臨海部が中心で開発が可能な北部地域にはそれほどない。住宅開発を促進させるためには、何か突き抜けたコンセプトが必要となる。船橋市は、市川市や浦安市をライバルとするのではなく、千葉市や周辺自治体から船橋市への転入ニーズを取り込むという方向性はあり得る。――H社(マンション施工・販売)

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最近、2度に渡って「市川ブランド」というもの、あるいは、この言葉に注目して、コラムを書きましたが、市川市には「文教都市のイメージもある」という意見が出ていますね。都市の良いイメージは、ブランド・イメージのようなものですね。ブランドと言えるかどうかはわかりませんが。

江戸川区は子育て支援策が充実していることが人気の理由という意見もあります。

船橋市から見ると、市川市の方が東京都に近く、都内勤務者、都内通学者にとっては「通いやすい」というメリットがあります。しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大したことによって、リモートワーク、テレワークが一気に普及した現在、市川市が船橋市に対して有していた「東京との距離の短さ」という優位性は、なくなってはいないものの、コロナ前よりは小さくなっていることでしょう。

気になったので、新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が初めて発出され、リモートワーク、テレワークが広まった後の、2021年に市川市で実施された調査結果を確認してみました。

出所:市川市のeモニ調査結果をもとに作成。

「通勤・通学しやすいから」という理由で市川市に住んでいる人が多いことが確認できました。この調査の別質問で、市川市在住者に、何年間住んでいるかを尋ねていますが、住んで1年未満と回答したのは2%でした。この調査に回答した市川市在住者のうち98%は、コロナ禍の前から住んでおり、市川市に居住し始めた時の理由として「通勤・通学しやすいから」を選んだ人が多かったのだと想像します。

愛着があって住んでいるという人が約3割、自然環境が良いから住んでいる人が2割弱、文化・歴史資源が充実しているから住んでいる人が1割ですした。これらを多いとみるか少ないとみるか。

ちなみに、船橋市や、近年、人口が増加している流山市で実施されている調査で、同じような質問がないか確認してみたのですが、見当たりませんでした。充実した調査レポートはあるのですが(流山市では分析などに使用できるようにオープンデータとして提供しているようです。さすが、市長がマーケティングのプロというだけありますね。市川市の田中市長の場合、経営者として培った視点を市政に生かすと言っていますが、そこにはマーケティングの考え方もあるのでしょうか。選択と集中という考え方を前面に出し、お金をつかって事業を推進するものと、費用対効果が良くないという理由で事業を終わらせるものを明確に決めている田中市長)

と、いうわけで、今日はおとなり船橋市まで出かけて(比喩です)、資料を見せていただき、「市川市」が登場した箇所をピックアップして紹介しました。船橋市まで出かけて行って何をしているんだい?と言われそうですね!

そういえば先日は松戸市に出かけました。

近隣の市がそれぞれ個性を発揮して、互いに刺激を受けつつ(from「Crazy Gonna Crazy」 by trf)良きライヴァルとして、各々の輝きを放っていければ良いですね。