※冒頭の画像は、千葉県の資料「真間川改修の進捗に伴い、かつての水害常襲地帯が『安全で安心できる街』に」からの引用です。
2023年6月2日(金)から3日(土)にかけて、日本全国で大雨が降りました。ここ、市川市でも激しい雨が降ったことは記憶に新しいと思います。
日付が3日(土)に変わった頃だと思いますが、市川市は、市内の「北東部、北西部」地区に土砂災害に関する警戒レベル3高齢者等避難を発令しました。がけ地付近に住む、高齢者や避難に時間のかかる人に、避難を呼びかけました。
この、警戒レベルというものには、最も低い1から、最も高い5まで、5つの段階があります。
警戒レベル3は「高齢者等は避難、他の住民は準備」
警戒レベル4は「全員避難」
となっています。
市川市 水害ハザードマップ【冊子面】
100回逃げて、100回空振りでも、101回目も逃げる!https://www.city.ichikawa.lg.jp/gen06/1511000002.html
最近では、こんな ↑ 光景を目にすることはないですよね。この写真は平成5年、西暦1993年※1の大雨の時の市川大野の様子です。写真のキャプションに色々書き込んでいるので、小さな字で恐縮ですが、読んでみてください。
市川市では、かつては大型台風の際には浸水する家がたくさんありました。それが、長年に渡る治水事業の成果により、大きく減少しています。
市川市の治水事業については、
市川市公式Webサイト
市内の河川状況と治水に関する取り組み
https://www.city.ichikawa.lg.jp/gre01/1111000025.html
で説明されています。本稿では治水に関する取り組みの内容には踏み込みませんが、上のグラフからわかる通り、治水事業の恩恵は、それはもうとんでもなく大きいわけですね。ありがたい限りです、本当に。
しかし、完全に水害がなくなるわけではありません。
冒頭でも触れましたが、先日の大雨(台風2号の接近によるものだとか)の際には、警戒レベル3の発令がありました。市川市の公式Twitterの投稿によると、2019年9月以降に警戒レベル3以上が発令されたケースは6回あります(私調べ。抜け漏れがあるかもしれません)。
- 2019年9月9日(警戒レベル4)
- 2019年10月12日(警戒レベル4)
- 2019年10月25日(警戒レベル4)
- 2021年3月13日(警戒レベル4)
- 2021年8月15日(警戒レベル4)
- 2023年6月3日(警戒レベル3)
警戒レベル3以上の場合、避難所が開設されます。避難所と言えば、「スフィア基準」なるものをご存知ですか?「スフィア基準」は、「災害発生時の、被害を受けた人たちへの支援のあり方を、特に、守られるべき人権などを考慮して、定められた基準」で、市川市議会でも言及されたことがあります。
災害時には、デマが飛び交いやすく、現在はSNSにより、そのデマが瞬く間に拡散されてしまいます。デマというものは極めて大きな影響があり、人命を奪うような最悪の事態を招くことがあるのです。
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そういえば、先日の大雨の際に、誰かが、日本は災害救助に世界一力を入れる国になるべきだとSNSに投稿していました。他国の災害時にも救助をして、尊敬される国を目指すべきだ、と。※2
この投稿を見た際に、一理あるな、と思いました。これだけ災害が多い国土に住む私たちですからね。上で触れた「スフィア基準」についても、もっと議会で議論して、避難所のクオリティを高めてほしいと思います。
読売新聞のWebの特集「防災ニッポン」に、「災害時の避難所に命を守る『TKB』を!3大課題をイタリアに学ぶ」(2022年7月26日)という記事があります。https://www.bosai.yomiuri.co.jp/feature/6593
TKBというのは、避難所のトイレ、キッチン、ベッドのことだそうです。記事によると、日本の避難所の環境は、本質的には100年ほど変わっていないのだとか。これだけ災害が多い国であるにもかかわらず。そして、劣悪な環境の避難所で、命を落としてしまう被災者もいます(記事では「避難所で命を落とす被災者が相次いでいる」と表現されています)。
実は、市川市には、避難所での生活の質を少しでも良くしようと活動しているグループがいます。
災害時に避難所でおいしい食事を提供しようと、千葉県市川市職員でつくるグループが、市販の長期保存食を使った九品の「避難所炊き出しレシピ」を考案した。市ホームページに掲載するなどし、災害時に役立ててもらう。(保母哲)
グループは、管理栄養士を中心にした男女五人の「BJ☆プロジェクト」。主に女性の視点で防災施策を再検証する。
出所:東京新聞公式Webサイト、「『避難所でおいしい食事を』 長期保存食で9品のレシピ 市川市職員が考案」(2023年2月1日)、https://www.tokyo-np.co.jp/article/228630、2023年6月5日閲覧、太字は筆者
名称は防災の頭文字であるB、女子のJを当てた。考案したレシピの食材は、保存期間が三〜五年のアルファ米や缶詰を使った。
九品は、アルファ米と鳥の缶詰に乾燥野菜と塩、水で作る「焼き鳥缶雑炊」や、さば缶とカットトマト缶、大豆缶などでの「さばとトマトのドライカレー」、ミネストローネなど。「ちょっとした手間をかけることで、避難所でも心安らげる料理にした」という。
ちなみに、「【コラム】災害に備え、デマを拡散させない」(https://fs-ichikawa.org/disaster/#toc2)には、以下のようなことを書いています。
BJ☆プロジェクトが活動を開始した平成28年(2016年)の12月には、市川市の防災施策に関する提言書を市長に提出しています。この提言書は現在もWeb上に公開されており、閲覧、ダウンロードが可能です。
防災女性プロジェクト「市川市の防災施策に関する提言書」(2016年12月26日)
https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/000248889.pdf非常に充実した内容で、学ぶことが多い提言書だと思います。
出所:特定非営利活動法人フリースタイル市川公式Webサイト、「【コラム】災害に備え、デマを拡散させない」(2022年8月31日)、https://fs-ichikawa.org/disaster/ 、2023年6月5日閲覧
BJ☆プロジェクトには男性のメンバーもいるのですね。フリスタは(というか、私は)、BJ☆プロジェクトの活動に注目しています。「長期保存食で9品のレシピ」のように、どの活動をメディアには積極的に取り上げていただきたいですね。それをフリスタが、このようなかたちで更に広められたら、と思っています。
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〈注釈〉
※1:1993年のヒット曲には色々あるわけですが、3月3日に発売されたCHAGE&ASKA「YAH YAH YAH」で売上枚数では年間1位でした。前年10月21日に発売されていたZOOの(「YAH YAH YAH」ならぬ)「YA-YA-YA」がこの年の81位になっています。ちなみに、1位のチャゲアスの曲が発売された2週間後、3月17日には、B’z「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」が発売され、この年の第2位でした。
情報出所:「年間シングルヒット曲 1993年(平成5年) ベスト100」、https://entamedata.web.fc2.com/music/hit_music1993.html、2023年6月5日閲覧
BTW、1993年に発売された米米CLUB「愛はふしぎさ」のMVは大変素晴らしい内容で、衣装、セット、ダンス、どれをとっても最高品質です。音楽の演奏や歌唱が素晴らしいのはもちろんですが、映像作品として見たときにも、これは傑作と呼んで差し支えないのではないかと思います。
※2:参考:https://twitter.com/x__ok/status/1664697572710141957
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執筆日 2023年6月5日
公開日 2023年6月8日