【フードバンクにゅ~す】2022年12月27日

フードバンク

公開日:2022年12月27日

もういくつ寝ると、お正月。もうすぐ今年が終わりますね。1年を表す漢字として選ばれたのが「戦」だったという、この2022年が。

今年、世界が未だにコロナ禍の只中にあるわけですが、2月にロシアがウクライナに侵攻したことで戦争状態となりました。また、ミャンマーでは軍事政権と、その軍に抵抗する武装勢力の間で紛争が続いています。他にも、アフガニスタンではタリバン政権が女性による人道支援活動と女子教育を制限したり(基本的人権の侵害として非難されています)、イランでは女性たちがスローガン「女性、命、自由」を掲げて反政府の抗議デモを続けています。これらの国・地域で同時代を生きる人たちが、早く安心して過ごせる時が訪れることを願います。

それでは、4日ぶり、20回目の「フードバンクにゅ~す」をお届けします。

「『フードバンク山梨』冷凍冷蔵設備備えた新物流拠点が完成」(2022年12月19日)

困窮世帯に食料支援をするNPO法人、「フードバンク山梨」が南アルプス市に建設していた冷凍、冷蔵設備を備えた新たな物流拠点が完成し、フードバンク山梨はコロナ禍や物価高騰などの影響で増加する食料支援を求める家庭を含め県内全域での支援を強化することにしています。

完成した新たな物流拠点は、敷地がおよそ3000平方メートル、570平方メートルの建物にはこれまで受け入れできなかった冷凍、冷蔵食品を貯蔵する設備を備えています。

(中略)

全国フードバンク推進協議会によりますと、自前で物流拠点を持ち、県全域での支援を目指す取り組みは全国で初めてだということです。

米山理事長は「このセンターを拠点に、地域のみなさんの協力を得ながら、さらに支援に力を注ぎたい」と話していました。

出所:NHK NEWS WEB(山梨 NEWS WEB)、「『フードバンク山梨』冷凍冷蔵設備備えた新物流拠点が完成」(2022年12月19日)、https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20221219/1040018843.html、2022年12月26日閲覧(太字は筆者)
出所:NHK NEWS WEB(山梨 NEWS WEB)、「『フードバンク山梨』冷凍冷蔵設備備えた新物流拠点が完成」(2022年12月19日)、https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20221219/1040018843.html Webページ内動画の画面をキャプチャ。

フードバンク山梨さんの物流拠点が完成しました。山梨県内で食品を必要としている団体や人に、食品を届ける能力が、この拠点の完成により、大幅にアップするものと思われます。

「神奈川県とのSDGs連携協定にもとづき京急グループ本社でフードドライブ活動を実施」(2022年12月26日)

京浜急行電鉄株式会社(本社:横浜市西区、社長:川俣 幸宏、以下 京急電鉄)は、2022年12月23日(金)、京急グループ本社(所在地:横浜市西区)で実施したフードドライブ活動において集まった食品を「公益社団法人フードバンクかながわ」に寄付いたしました。

この活動は、京急電鉄がSDGsの「(1番)貧困をなくそう」、「(2番)飢餓をゼロに」、「(12番)つくる責任つかう責任」などの目標達成に向け、12月6日(火)~12月22日(木)の期間に実施したものです。京急グループ本社に勤めるグループ12社、約1,400人の社員やご来社されたお客様を対象に集まった缶詰、レトルト食品などの食品78点をフードバンクへ寄付することで、食品ロス問題や廃棄物削減に貢献いたします。寄付後は、各施設・団体等を通じて、ひとり親家庭や高齢者食事会などへ食品が提供される予定です。

出所:京浜急行電鉄株式会社公式Webサイト、「神奈川県とのSDGs連携協定にもとづき京急グループ本社でフードドライブ活動を実施 集まった食品を『フードバンクかながわ』に寄付しました」(2022年12月26日)、https://www.keikyu.co.jp/company/news/2022/20221226HP_22139KO.html、2022年12月26日閲覧

鉄道会社が沿線地域のまちづくりに参加するケースは、今後ますます増えていくものと考えられます。京急グループのように、食品を集め、フードバンクに寄付する、いわゆる「フードドライブ」を通じて、地域とのつながりを密にする企業が全国に登場するでしょうか。

「いちかわフードバンクbyフリスタ」が皆様から食品の寄贈を受け付けているフードドライブについては、こちらのWebページをご参照ください。

「『フードバンクに回ってくる食材が極端に減っている』年末の困窮者支援で、支援団体の藤平輝明代表が『貧困というか、底が抜けて、格差がより一層強まっている感じがする』と指摘」(2022年12月26日)

貧困の問題と物価高、それが極端ですよね。食料品や物資の集まり具合も、今年は少ないんですよ。去年と比べると、食料品とかが非常に少ない。

コロナが少し緩和されてきたということもあるのかもしれないけど、いわゆる、フードロスとか、あるいはフードバンクに回ってくる食材が極端に減っているんですね。やはり、貧困というか、底が抜けて、格差がより一層強まっている感じがする。

だって、日本の賃金が30年の間上がってなくて、OECD諸国の一番下のほうになっているし、今年になって、ウクライナ戦争もあり、物価高がどんどんどんどん進んで、来年また、かなりの品目が値上げになりますでしょう。で、電気代も上がるという中で、これは、本当に生活に困っている人がたくさんいる、ということを実感できる。

出所:IWJ、「『フードバンクに回ってくる食材が極端に減っている』年末の困窮者支援で、支援団体の藤平輝明代表が『貧困というか、底が抜けて、格差がより一層強まっている感じがする』と指摘!~12.25 ’22-’23 年越したすけあいフェス 2022.12.25」(2022年12月26日)、https://iwj.co.jp/wj/open/archives/513143、2022年12月26日閲覧、「のらねこハウスよろず相談室」代表の藤平輝明氏のコメント(太字は筆者)

経済協力開発機構(OECD)が公開している、国別の「平均賃金」は下図の通りです。日本の平均賃金はOECD全体平均を大きく下回っています。スペインとイタリアに挟まれており、リトアニアやスロベニアよりも低いのですね。

平均賃金は、国民経済計算に基づく賃金総額を、経済全体の平均雇用者数で割り、全雇用者の週平均労働時間に対するフルタイム雇用者1人当たりの週平均労働時間の割合を掛けることで得られます。この指標は、2016年を基準年とする米ドルと購買力平価(PPP)で表記されます。(グラフ画像と解説文の出所:OECD Webサイト) ※データは2021年のもの、または、入手できる最新のもの。

余談:日本の平均賃金、どうすれば上がる?

日本の平均賃金は、どうすれば上がるのでしょうか。本稿の主旨から逸れますが、今これを読んでいる人の多くが関心を持っていると思うので、賃金を上げる策として考えられることについて、識者の意見を参照してみます。

日本の平均賃金を上げる方法は様々に指摘できる。本稿では、国際比較という視点に絞って、その打開策を示したい。

単純な論理として、日本の平均賃金が安いのならば、安い労働コストを武器にして、輸出を増やせばよい。「今まで賃上げすると輸出競争力が落ちる」と心配してきた人は、輸出競争力が向上したのを利用しなくてはいけないと思う。

国際比較データをみると、実は1人当たり輸出額が大きい国ほど、平均賃金も高いという傾向がみられる。スイス、オランダ、ベルギー、アイルランドは、特に1人当たり輸出額が大きい。いずれも1人当たり平均賃金が上位の国々である。日本とイタリア、ポルトガル、スペイン、ギリシャは1人当たりの輸出額が小さい。日本の平均賃金を越えたスロベニアは、1人当たりの輸出額が大きい。チェコ、スロバキア、ハンガリーも割と1人当たりの輸出額は多い。これらの国々がドイツなど西欧への輸出促進で、賃金を増やしてきたことがわかる。「平均賃金が上がると輸出が減る」のではなく、因果関係は「輸出を増やして平均賃金を上げる」ということなのかもしれない。

なお、米国は1人当たりの輸出額が極めて低い。米国は大国であり、輸出促進で稼ぐという戦略を採らなくてもやっていける。英国、フランスも、輸出は少ない。輸出が少なくても、内需がそれなりに増えていければ成長できる。しかし、日本や南欧は、高齢化している分、内需のパワーが落ちて、それが成長率を押し下げているのだろう。輸出促進はそれを回避するための打開策だと考えられる。

出所:株式会社第一生命経済研究所公式Webサイト、熊野英生「平均賃金で見た『安い日本』~高齢化すると平均賃金も下がる~」(2022年9月14日)、https://www.dlri.co.jp/report/macro/203118.html、2022年12月27日

むすびえ「2022年度 こども食堂全国箇所数発表(2022年12月 速報値)」(2022年12月15日)

こども食堂の支援を通じて、誰もとりこぼさない社会の実現を目指している「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)」(東京都新宿区、理事長:湯浅誠)は、2018年から調査を開始した箇所数調査について、全国のこども食堂地域ネットワーク団体等の協力を得て、今年度も最新の調査結果を「速報値」としてまとめました。

その結果、全国のこども食堂は1,317箇所増え、7,000を超える7,331箇所であることがわかりました。コロナ禍以降(2020年2月以降)において、最も多い増加数になります。

NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ(プレスリリース)、「2022年度 こども食堂全国箇所数発表(2022年12月 速報値)」(2022年12月15日)、https://musubie.org/news/6022/、2022年12月27日閲覧

上記の記事に掲載されているグラフ(本稿の冒頭のグラフは、記事内グラフをもとに筆者が作成したもの)によると、2018年以降のこども食堂の数の推移は次の通りです。

  • 2018年 2,286
  • 2019年 3,718 前年+1,432
  • 2020年 4,960 前年+1,242
  • 2021年 6,014 前年+1,054
  • 2022年 7,331 前年+1,317

なお、これは、あくまでも調査で把握できたこども食堂の箇所数です。

こども食堂は、毎年、1,000箇所以上増えています。コロナ禍前の2019年と比べると、2022年のこども食堂箇所数は、はほぼ倍増となっています(箇所数 3,718→7,331、増加 +3,613、1.97倍)。市川市でも、新たにこども食堂を始めたいと考えている人はいます。

「善意に支えられる子ども食堂 増える『居場所』、でも・・・ 岐阜」(2022年12月27日)

10月にオープンした子ども食堂「にこぺこぐう食堂」は月2回、親子連れや地域のお年寄りに、テイクアウトも含め130食ほどを提供する。大人は500円、子どもは無料だ。

前平美由紀代表(48)は元保育士で、コロナ禍で人のふれあいが減るなか、子ども食堂を開いた。「誰が来てもらってもいい。月2回、みんなでご飯を食べる日と思ってもらえれば」

県によると、無料や低額で利用できる子ども食堂や学習支援などの「子どもの居場所」は、県内に157カ所(10月末現在)。コロナ禍で小中高校が一斉休校していた2020年3月は51カ所だったが、1年後には107カ所に増えた。

(中略)

山県市のにこぺこぐう食堂で出会った4歳、9歳の兄妹の母親(40)の言葉が心に残る。「ふだんは仕事から帰って夕食の準備をしているうちに子どもがぐずり、ふれあう時間がなかなか取れない。食堂がある日は家で子どもとトランプができる」。うれしそうだ。

コロナ禍に物価高、核家族化……。時代が移り変わり、厳しいときこそ、子どもと向き合う「居場所」の大切さが身に染みる。それを支える多くの善意に頭が下がった。

出所:朝日新聞デジタル、「善意に支えられる子ども食堂 増える『居場所』、でも・・・ 岐阜」(2022年12月27日)、https://www.asahi.com/articles/ASQDV6X1XQDNOHGB00F.html、2022年12月27日閲覧

「佐賀県唐津市に『食』『学』『経験』を提供する『子ども食堂』がオープン!2023年1月14日より営業を開始」(2022年12月23日)

小・中・高校生向けの参考書の出版やオンライン授業配信を行っている一般社団法人Next Educationは、佐賀県唐津市において、世帯収入が低く、食や教育、経験が十分に行き届かない子ども達や、保護者の仕事の都合で一人で自宅にいる子ども達を支援するために『子ども食堂』をオープンいたします。

この食堂は、食事だけでなく、子どもたちが安心して前向きに勉強に取り組める環境や教育コンテンツ、地域住民や同世代の子どもたちとの交流を通した経験などを提供します。

本プロジェクトは、佐賀県唐津市に寄せられたふるさと納税の寄付金の一部や、クラウドファンディングでの資金援助を受けて実施されるものです。

出所:PR TIMES(一般社団法人Next Education ニュースリリース)、「佐賀県唐津市に『食』『学』『経験』を提供する『子ども食堂』がオープン!2023年1月14日より営業を開始 収入や居住地域による教育格差をなくすための第一歩として支援を開始」(2022年12月23日)、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000113486.html、2022年12月27日閲覧

「スターバックス 1365万円を全国の『こども食堂』に寄付、2022クリスマスシーズンのドリンク売上一部を」(2022年12月26日)

スターバックスコーヒージャパンは12月25日、クリスマスシーズンに販売したドリンク売上の一部を、全国550ヵ所のこども食堂へ寄付したと発表した。寄付金相当額は1365万8259円。

11月1日から12月25日までの期間中のドリンク売上の一部を、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)を通じ、47都道府県550ヵ所のこども食堂の2万5,500人の子どもたちへホリデーギフトを贈った。クリスマスシーズンのプロモーションで寄付活動を行うのは初めての取り組み。

出所:ライブドア・ニュース、「スターバックス 1365万円を全国の『こども食堂』に寄付、2022クリスマスシーズンのドリンク売上一部を」(2022年12月26日)、https://news.livedoor.com/article/detail/23441780/、2022年12月27日閲覧

「子ども食堂 地域交流の拠点に…高齢者施設に開設し、介護職への理解を深めてもらうきっかけにも」(2022年12月21日)

食事を通じて、地域の子どもたちと高齢者が交流することができる場に――。介護大手「SOMPOケア」(東京)は、運営する介護付き有料老人ホームなどで、子どもたちに無料で食事を提供する子ども食堂を始めた。高齢者とのふれあいや、子どもたちに介護職への理解を深めてもらうねらいもあり、全国に広げていく考えだ。

SOMPOケアが運営する東京都練馬区の介護付きホーム「そんぽの家 光が丘」。11月下旬の土曜の午後、近くに住む小中学生8人が次々と集まってきて、フロアににぎやかな声が響いた。

子どもたちはビーフカレーを食べたあと、入居する高齢者の居室に、お茶や夕食を配ったり、入居者の車椅子を押したりするなど介護職の体験もした。

声を聞きつけて、居室から出てくる入居者の姿も。「部屋ではいつも一人でしょ。子どもたちと話せるのが本当に楽しみなんです」と顔をほころばせるのは高橋茂さん(85)。この日も小学6年の子らと、剣道についての話題で盛りあがっていた。

月1回程度の開催で、この施設の上席ホーム長を務める羽石月恵さん(60)は、「新型コロナウイルス禍で面会が減って毎日の変化が少ない中、子どもたちが来るのを楽しみにしている入居者は多く、表情も明るくなる」と話す。

現在は新型コロナウイルスなど感染症対策のため、子どもたちと入居者は別の部屋で食事をとるが、将来的には一緒に食事ができるようにしたいという。

出所:ヨミドクター、「子ども食堂 地域交流の拠点に…高齢者施設に開設し、介護職への理解を深めてもらうきっかけにも」(2022年12月21日)、https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20221207-OYTET50009/、2022年12月27日閲覧

「高齢者施設」で「子ども食堂」を行うことで、施設に入居する高齢者と、地域の子どもたちが、交流する機会が生まれる、上手な仕組みですね。

市川市にも、色々な立場の人が、立場などということを意識しないで自然に混ざり合えるような場があることをご存知でしょうか?

参考:「森でkidsに行ってきました!」(2022年11月19日)

市川市には子ども食堂が約17箇所ほどありますが、その中でも独自の取り組みを行っている「森でkids」に参加してきました。

主催者は国府台緑地にある自宅の周りのスペースを活用して、午前中に食品のおすそ分け会(フードパントリー)を行い、正午から同じ場所で子どもたちがふらっと遊びに来られる子ども食堂を開いています。

トランポリンコーナーや昔ながらの輪ゴムと割り箸で作る鉄砲で射的をするコーナー、森の中の草木でクリスマスのリースを作るワークショップ、紙芝居や焚き火での焼き芋づくりなど、子どもたちが目を輝かせて思いっきり遊べる場所です。

生活困窮者への直接的な支援として捉えられがちな「フードパントリー」と地域の居場所づくりとしての「子ども食堂」を少し時間をずらしながらも同日に開催することで、「ただ昼下がりに近所に遊びに行く感覚」で集まった人たちがそれぞれの時間を共有して、混ざり合い、どちらが支援する側でも支援される側でもなく、どちらが店主でもお客様でもないような、様々な境界がなくなっていくような空間と時間を作り出しています。

出所:野口じゅんFacebookページ、「【森でkidsに行ってきました!】」(2022年11月19日)、https://www.facebook.com/junnoguchi76/posts/pfbid07qwdCRpkbDHrmxhRxjceANoJNoRG3mJaBJzMV5dCW2einZwhrtzLvZ9yEnKuJQQvl、2022年11月20日閲覧(太字は筆者)
画像出所:野口じゅんFacebookページ、「【森でkidsに行ってきました!】」(2022年11月19日)、https://www.facebook.com/junnoguchi76/posts/pfbid07qwdCRpkbDHrmxhRxjceANoJNoRG3mJaBJzMV5dCW2einZwhrtzLvZ9yEnKuJQQvl

「森でkids」は、毎月第3土曜日に「市川市国府台4-6-6」で開催されます。興味がある人は、足を運んでみてはいかがでしょうか。こちらのページの地図に掲載されています(「ふくろうの森@国府台」として)。