この春の完成を目指して、国府台の地でリノベーション工事が進む、「アトリエ029」（アトリエ・ゼロ・ニ・キュー、または、アトリエ・オニク）は、女性クリエイター向けのシェアハウスで、管理・運営を、国府台にある不動産会社である有限会社京葉不動産管理が、企画をフリースタイル市川が担っています。
参考：前回の記事はこちら。
元のお肉屋さんの建物の良い部分を残し、生かして、そこに新たな色を足していくように、リノベーションを進めています。リノベーションがうまくいくかどうかは、企画や設計の巧拙はもちろんのこと、職人さんたちの力によるところが非常に大きいです。
「アトリエ029」のプロジェクト進捗は、本稿のようにフリースタイル市川のWebサイトで情報を発信する他、TwitterやInstagram、FacebookといったSNSでも状況報告をしています。情報を発信していると、思いもよらぬ方から反応をいただくことがあります。
先日は、ヌ・アント！お肉屋さんをやられていた方の親戚の方から連絡があり、古い写真を送っていただきました。戦後まもなく、リニューアルオープンした際の、「小林精肉店」（後の「肉のこばやし」、現在の「アトリエ029」）の様子を写した1枚が、こちらの写真です。
貴重な写真をご提供いただき、また、Webサイトへの掲載やSNSでの発信に対してご快諾いただき、ありがとうございました！
お店の当事者や関係者はもちろん、近隣にお住まいでお肉屋さんだった頃をご存知の方、お肉を買っていた当時のお客さん、建物のオーナーさん、設計者さん、リノベーション工事に尽力くださっている職人さんたち、オープニングイベントの「二人展」をおこなう市川市在住の女性アーティストのおふたり、実際にお住まいになる方々…
たくさんの人の想いが重層化して、今に至り、それが未来につながっていくのだな、と、古い1枚の写真を見て、思いました。
私には、かつてお肉屋さんだった時の記憶はありませんが、写真に写っている開店祝いの花輪や、お肉を陳列するガラスのショーケース、少しだけ見えるお店の方の後ろ姿などを見ていると、この日のために準備した関係者の皆さんのご苦労と、改装オープンを迎えられた安堵の気持ち、また、商店街の近くに住む人たちの、戦後の苦しい生活の中で、栄養を摂り元気になれる、そして、家族皆で食べることで笑顔になれる、そんなお肉を販売する店が近所に再び開店する喜び、親に頼まれておつかいにやってくる子どもの緊張した表情、お客さんと店員さんの会話――こういった人の行動や気持ちが、写真の中に、奥に、周りに、その時確かに存在したのだ、ということを思うのです。
私がかつて記憶していたことを写真を見て思い出したわけではなく、まるで写真の中に入って行って、お店の周りを歩き、動き喋る人たちを見て、何を考えているのだろうと想像する、私がしたのは、そんな、束の間の戯れです。
上掲のリノベーション工事の最中の写真は、「アトリエ029」が完成したら、もう見ることのできないものです。ここに住むことになる人たちが、後から、この建物の歴史を知ることができるように、写真に収め、記録しています。住む人のみならず、このプロジェクトに関わっている全ての人にとって、ここで開かれる展覧会やイヴェントにやってくる人たちにとっても、変化していく過程を写真により記録しておくことは、意義のあることだと思います。
いつか、先ほどの私のように、リノベーション工事前や工事中の写真を見た人が、色々なことを想像するかもしれません。
「アトリエ029」の進捗や、「二人展」のことなどは、追ってお伝えいたします。どうぞ、お楽しみに！
また、「女性クリエイター」の方で、「アトリエ029」に住んでみたいと思っている方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。こちらからメッセージやご質問をいただければと思います。
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