【コラム】セクシャル・マイノリティ(性的少数者)をめぐる発言と国立市のアクション

コラム

公開日 2023年3月20日

先週、国立市が、市長の名前で「セクシュアル・マイノリティへの差別発言に関する報道について」と題した文章を発表しました。

国立市公式Webサイト
セクシュアル・マイノリティへの差別発言に関する報道について(2023年3月14日)
https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kurashi/heiwa/sankaku/1678762234849.html

この素晴らしい声明を出した国立市ならびに国立市長に拍手を贈りたいと思います。是非、全文を読んでみてください。書かれている内容は、概ね、次のようなことです。

  • 国立市は、条例によって、性的指向及び性自認に関する差別を禁止している
  • 同性婚の是非に関して、総理大臣秘書官(当時)がセクシュアル・マイノリティへの差別発言をしたとの報道があった
  • 性的指向は自ら選択や変更をすることのできないものである
  • 性的指向に関する差別的な言動は、個人の尊厳を傷つけ、社会から孤立させ、時として生命を失わせることにもつながる、重大な人権侵害となる
  • 持続可能で多様性を認め合う包摂的な社会の実現のためには、性的指向や性自認に関する根強い偏見や差別意識の解消を図ることと、制度を整備することが重要
  • 同性の二者が現行の婚姻制度を利用できるよう法整備する必要がある
  • 国立市は、人権侵害を許さないという強い意志とソーシャル・インクルージョンの理念のもと、セクシュアル・マイノリティを含むすべての人が自分らしく安心して暮らすことのできるまちづくりに向けて、引き続き取り組んでいく

このような声明を市長の名前で出したことで、この市に住んでいるセクシャル・マイノリティの人たちは、少なからず安堵したのではないかと想像します。差別は許さない、許されるものではない、という力強いメッセージを出していることが素晴らしい!

市川市でも、市の公式Webサイト内に「性的少数者(LGBTQ)支援」というページがあり、セクシャル・マイノリティの人たちに寄り添う姿勢を見せています。

市川市公式Webサイト
性的少数者(LGBTQ)支援
https://www.city.ichikawa.lg.jp/gen05/1111000066.html

参考までに、国立市の公式Webサイトにおける、同様のページのリンクも置いておきます。

国立市公式Webサイト
多様な性、セクシュアル・マイノリティ
https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kurashi/heiwa/sankaku/1629853294824.html

国立市のこのページには、こんな一節があります。

だれもが自分らしく安心して暮らせるまちづくりをめざしています。

出所:国立市公式Webサイト、「多様な性、セクシュアル・マイノリティ」(更新日2022年11月11日)、https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kurashi/heiwa/sankaku/1629853294824.html、2023年3月30日閲覧

だれもが自分らしく安心して暮らせるまちづくりのためには、セクシャル・マイノリティの人たちに対する差別を禁止し、人権を守ることが必要だ、という、国立市の考えを示しています。

このページでは、2003年以降の、国立市のこの問題への主な取り組みが紹介されています。2022年11月に、「『PRIDE指標2022』にてゴールド認定&レインボー認定獲得」とありますが、これは、全国の自治体で初のことでした。

市川市では、セクシャル・マイノリティに関する理解促進を目的とした講座を用意し、希望する市民は、これをオンラインで聴講することができました。私はこれを受講し、学んだことをコラムに書きました。

こうした講座を開講し、市民に受講を勧めるなど、市川市でも、セクシャル・マイノリティの人たちにとって、安心して生活できる町(場所)になるべく、取り組んでいます。

国立市のように、市川市にも、差別発言は断じて許せないという声明を出してほしいと思います。同時に、国立市のように、性的指向及び性自認に関する差別を禁止する条例を策定してほしいです(単に私が知らないだけで、存在するかもしれません)。

自分らしくある、誰かに押し付けられる「らしさ」ではなく、変に「わきまえ」たりしないで、自分がこうありたいという姿でいられることは、そこで安心して生きられる条件の一つだろうと思います。多くの人にとって。

誰かを排除するようなことなく、誰もが安心して生きることができるまちを、みんなでつくっていきたいですね。